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参上! 花筏ノ巫女編
エピローグ:流川と花筏
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一階ロビーに降りると、ベランダの席で頬杖をつきながらテーブルの上で足を組み、盛大に煙草の煙を吐き散らかしながら夜空を眺めている主人を見つけた。
「待ってただぁ御玲ちゃん」
おじさんたちは澄男から醸し出される威圧感にどう対応したらいいか困っていたらしく、二階から降りてくるや否や、これでもかと全員近寄ってきた。
「すまねぇ……ワシらの力不足でさぁ」
「儂たちもがんばったんじゃがのう……」
「力及ばずでガンス」
「いえいえ。後はこちらで対応しますので、皆さまはお休みになってください」
ありがたやありがたや、とおじさんたちは去っていく。相当困っていたようだ。
そりゃあテーブルに足を乗り出してしかめっ面で夜空を見上げている姿を見れば、誰も近寄りたがらないわけである。ここは堂々としていよう。
「終わりましたよ。話し合い」
「で? 結論は」
「その前に言うことあるんじゃないんですか?」
タダで教えるのは、はっきり言って癪である。
本来なら本人の口から説明しなければいけないことを代わりにやってあげたのだ。メイドとはいえ便利屋代わりにされるのは心外である。
「あん? ツラァ下げろって言いてぇの?」
眉を顰め、煙草を吹かしながらこちらを睨みつけてきた。
「別に下げたくなければ結構ですが」
「じゃあ何? 喧嘩売ってんなら買うぜ? 文句あんなら拳でこいや」
「いや、喧嘩なんて売ってませんけど? なに勘違いしてるんですか?」
「ああ!? じゃあ何なんだよめんどくせぇ!! このクソみてぇな気分なときに舐めた真似しやがって……」
「いやぁ……ですからね?」
機嫌の悪い人間の神経を逆撫でするような言い方をしている自覚はある。だがこの想いを親切に伝えてしまうと、きっと彼の為にならない。全部教えてもらえるのが前提、みたいな考え方になってしまうだろう。それは絶対にダメだ。
「あなたがやるべきことを代わりにやってあげましたので、疲れたんですよね。なんかこう……メイドとして? 代わりにやった甲斐があったなぁ、主人の仕事できたなぁ、やりきったなぁって思える言葉の一つでも……と思っただけなんですよ?」
あ、ないならないでいいんですけどね? メイドですし? と少し煽り気を残しておく。
ほぼ答えを言っているようなものだが、これで喧嘩以外の言葉が出てくれば良し。でなければこの話題は打ち切る。
流石にここで本当に喧嘩するわけにもいかないし、したところで勝てる見込みもなければ、南支部で余計に器物損壊するだけである。わざわざ余計な損失を被る意味もないのだ。
「あー……? あー……」
流石の澄男もようやく察しがついたのか、全身から滲み出る熱い妖気が鳴りを潜める。そして頭を無造作にかきむしりながら、おもむろに口を開いた。
「はいはいあざしたあざしたー、こんなクソみてぇな俺の代わりにクソな奴らが要求してきたクソ面倒なのをひきうけてくださりまことにあざしたあざしたー……お前様はホント有能だよこれからも専属メイドとしてよろしくな煽りの才能溢れる青髪クソメイド様ァ!! ……はい。お望み通り言ってやったぞ、これで満足か?」
口調から態度まで労う気があるのかってくらい横柄だし、最後あたりは何気に悪口が混ざっていたような気がするが、ここで態度や口調や内容に怒っても逆効果になるだけ。傲岸不遜な彼からここまで引き出せただけ、今は良しとしよう。
もういいだろめんどくせぇ、という感情を顔色でぶつけてくる澄男。
彼にここまで譲歩させられたのだ。本気で暴れられても止められる自信もないし、なにより南支部に迷惑なのでさっさと本題に入るとしよう。
澄男が抜けた後の内容を、掻い摘んで簡単に話した。詳細に話すこともできるが、彼の傾聴力に期待するだけ無駄である。長話をしても途中で飽きて話を聞かなくなるので、彼にとって重要だと思う部分だけを話した。
話し終えると、煙草の煙を荒々しく吐きながら、その顔色は険しいものであった。
「あの巫女が……キレた俺を止めると。ふーん……」
「引っかかるところ、やっぱりそこなんですね」
「そりゃあ何処の馬の骨とも知らん女に止められるのは癪だよな。単純に」
「そこよりも竜位魔法についての反応が欲しかったですけど」
「別に深くは話してねぇんだろ? だったら問題なんざありゃあしねぇよ」
怒り混じりに吐き捨てる澄男。同時にそれでいいのか、竜位魔法事情と思ってしまう。
「まあそれを含めて、彼女が止めてくれるそうです。良かったですね」
「男として微妙な気分だがな」
だったら最初っから暴走とかすんじゃねぇよ、と言いたくなったがやめておいた。そんなことを言えば火に油、得られる成果は雀の涙である。メイドとしても、自分の性格的にも、そんな無駄はやりたくなかった。
「つーかよ、あの巫女は何モンなんだよ。勝手に割り込んできて全部片付けちまったんだろ?」
未だ不機嫌そうな澄男が、夜空を眺めながら虚しく煙草の煙を吐いた。
色々と確認することや、話し合うことが多くて失念していたが、言われてみれば彼女の戦闘能力は異様だった。
天災級と恐れられているスケルトン・アークを消しとばし、暴走状態の澄男を一撃で沈めた力。もはや強いとか弱いとか、そんなレベルではない。
次元が違う。その一言しか言い表す言葉が見つからないほどに、彼女の力は圧倒的だった。
「あれだけ派手に戦っておいて、無傷でしたからね」
「傷が高速で治るとかそんなんか?」
「いえ、裏鏡水月と同じです。純粋な意味で、無傷」
それを聞いて、澄男はようやく怒り以外の感情を露わにする。
澄男のように一定の不死性があり、傷が目にも止まらぬ速さで治るならば、まだ理解できる話だ。常識的ではないが、まだ理解の範疇である。
しかし純粋な無傷となると、もはや荒唐無稽の一言に尽きる。それは不死ではなく無敵だからだ。傷を負わないということは、倒せないということと同義なのだから。
「流石にどんな方法を用いても、とは思えませんが……おそらく私たちが勝てる存在ではないのは確かです。なにせ澄連が戦々恐々としてましたし」
「はぁ!? アイツらがか? 嘘だろ……?」
「嘘だと思うなら、本人たちに聞いてみるといいです」
常にコミカルにふざけまくるコミカルの代名詞澄連が、彼女を見るや否や見たこともないくらいシリアスになっていた。特にカエルは本来の姿がどうのこうのと意味のわからないことを口走っていたほどだ。
ちんことかうんことか下品な言葉ならいざ知らず、本当に意味のわからないことをシリアス顔で言い放つことは、今までほとんどなかった。
彼らがシリアスになるときは、大体想像を絶する何かであることが多い。詳細はあくのだいまおうあたりに聞かないと分からないだろうが、彼らをシリアスにさせたという点で、百代という少女が只者ではないのは事実であろう。
「ただの巫女のコスプレしてるだけの奴だと思ってたが、まさか……?」
「澄男さまも、やはり?」
ここで同じ考えに同時に辿り着いた。お互い目を合わせ、頷き合う。自分らの予想が正しければ、彼女の正体は―――。
「もし、もしッ。そなたら、ここでなにをしとる」
唐突に真横からなんの前触れもなく声をかけられたせいで、思わず飛び上がってしまった。
突然声をかけられてビックリすることなどほとんどないのだが、今回ばかりは素で驚いてしまった。接近した気配すら感じさせず、真横を取られるなどそうはない。支部に勤める程度の連中なら、背後を取られるミスは犯したことなどないからだ。
しかし今回はしてやられた。もし相手に殺意があったなら、何をされたか分からないまま始末されていただろう。
『お、おい……アイツ、いつからいたんだ……?』
『さ、さぁ……?』
これ以上気取られるわけにはいかない。声に出して話すわけにもいかないため、速攻で精神世界に部屋を作って、そこに澄男を招待する。招待された澄男は、部屋にログインしてくれた。
これからどうする、と疑問符を投げかけられたので、とりあえず落ち着いて現状を整理しようと思った瞬間。
『これッ、何をこそこそと話しておるか』
思わず二人揃ってログアウト、現実世界でその場を飛び退いていた。
いやこれはもう飛び退くしかないと思う。飛び退かずにはいられないってくらいには想定外だ。
いま話していたのは久三男が開設してくれた秘匿霊子回線である。誰にも盗聴することのできない鉄壁のセキュリティで守られた世界で唯一の霊子通信回線だ。久三男だけでなく弥平も、盗聴できる者など人類の技術力的に不可能だと堂々と言っていたほどの。
それをさも当然のように割り込んできたのだから、驚かずにはいられないって話である。澄男は意味が分からないという表情で額に汗を滲ませながらこっちを見てきたが、今回ばかりは同じ気持ちだった。
「お、お前……何モンだ!? 今の秘匿回線だぞ!?」
「そう言われてものう……堂々と内緒話なんぞされたら無視する方が難しいのじゃが」
「堂々とだぁ? 何言ってやがんだテメェは?」
いつもなら澄男の言動に心の中でツッコむところだが、今回ばかりは激しく同意だ。
何故秘匿回線の内容が聞こえるのか。確かに内緒話が丸聞こえなら声もかけたくなる気持ちも分かるが、この内緒話は秘匿回線で行っていた会話であって、本来なら聞こえないはずである。堂々と内緒話、というところが、もはや意味不明なのだ。
幸いだったのは、存在が秘匿されている久三男がログアウトしていて会話に参加していなかったことぐらいだろう。本当に不幸中の幸いだ。
「お前、ただの巫女のコスプレ野郎じゃねぇだろ? どこの閥のモンだ? 答えろ!!」
「以前も言われたが、こすぷれとはなんぞや!! わっちは本職ぞ!!」
「知るか!! いいからとっとと名乗りやがれ。どこの閥のモンだ!!」
「せっかちな輩よのぅ……まあよいわ」
澄男の若干横暴な態度に呆れたのか、ちょっと軽い溜息を吐くと、途端に彼女から醸し出されていた緩い雰囲気が急変する。
目尻は強くなり、視線が熱くなる。急に人が変わったかのように雰囲気が変わったせいでこちらも警戒色を弱めざる得なくなってしまうが、それとは別に余計な言動を阻む圧力に頭を抑えられる。
それが何なのか、本能で理解した。理屈ではない、暴閥の当主だからこそ分かる感覚。澄男の顔色も覗くが、彼も同様の何かを感じ取っている。これは殺気でもなければ霊圧でもない。彼女から放たれる``風格``なのだと。
「わっちは花筏家現当主にして花筏巫女衆現頭領、花筏百代である。巷では``終夜``なんぞと呼ばれておるわ」
二人同時に発せられた拍子抜けな声が、ロビー内に虚しく響いた。
今彼女はなんと言ったのか。花筏家現当主、花筏百代。又の名を``終夜``。
任務請負機関に属した目的の一つ、花筏家の現当主と五分の盃を交わすため、その当主を探す。そのための情報収集というのがあった。本人を見つけるのは物理的に困難なため、情報を得ながら長期的に探すとかそんな計画だったのに、まさかこんな早い段階で情報どころか本人が目の前に登場するという珍事である。
むしろ本人に窮地を救われてすらいる。予想外にも程がある事態すぎて、無言を貫くほかなくなってしまった。
「……む? もし、もしー?」
「……え? お前マジで``終夜``?」
「そう言っとるが?」
「四強の一人の?」
「不本意だがのぅ」
「つーかバラしていいのかそんな軽く」
「良かろうて?」
「いや良くなくね? 色々と、その……問題あるくね?」
「如何様な」
「そ、そりゃあお前……なんか、野次馬に群がられる的な?」
「すり抜ければ済む話ぞ」
「いやめんどくさくねそれ」
「他には」
「ほ、他? 他、他ねぇ……敵……が、いっぱいくる?」
「如何様な」
「いや知らんけど」
「まあ敵なんぞ言って聞かせて、聞かねば拳で聞かせるのみ。さして問題にならぬ」
「そ……そっすか……」
さっきまでの風格が消え、また緩い雰囲気を醸す巫女へ逆戻りした百代。眉を顰めて首を傾げる姿は、何の変哲もない年相応の少女にしか見えないが、確かに言っていることは武闘派のそれだ。
強さはこの目ではっきり見ている。風格といい、力といい、容姿といい、彼女が花筏の巫女、その当主であるのは間違いない。ならばそれ相応の対応をこちらもするのみ。
「それと、ずっと気になっておったんじゃが」
澄男の対応では心許ないので、話の切り出しだけでもしようとするよりも先に、百代が不快そうな表情で、突然目線を真上に向けながら、真上を指さす。
「そなたらとおると、何故だか何者かに覗かれておる。この者は、そなたらの友人か?」
これはまた、答えに詰まる問いだった。二人揃って喉から出かかった言葉をぐっと飲み込む。
覗かれていることに気づいている時点で、何故気づけると逆に疑問を呈したいが、その前に彼女が示唆している人物が、友人どころの話ではない人物で、説明しようがないところからなんとかしなくてはならない。
百代を空から覗いている人物といえば、間違いなく久三男だ。久三男は自分たちの動向を空から監視しながらサポートする役目も担っているため、遥か上空に存在する人工霊子衛星から、いつでも世界中の情報を得ることが可能である。
普通、目に見えないほど高い位置に人工霊子衛星は公転しているため、肉眼では視認できないはずなのだが、何故だかこの巫女はそれを察知し、なおかつ覗いていることをも知覚している。
もはや認識能力が人智を超えていて、頭おかしいんじゃないかこの子と思わず言いたくなってしまうほどだが、問題は毎度お馴染み久三男の存在を公開できない点である。さて、どう説明するべきか。
「え……? いやぁ、き、気のせいじゃね? 空から覗けるわけねぇじゃん、第一、お前の指さしてるとこ、天井だし」
澄男にしてはマトモな返し。案の定眼が泳いでいるのが玉に瑕だが、いつも吐く嘘よりも幾分かマシな嘘である。そっと胸を撫でおろしつつ、ここからはメイドたる自分がサポートだ。さてどう切り返すか。
「いや、これは確実にわっちを覗いておるな。それも不思議なことにそなたらと離れると視線が外れるのじゃ」
しかし、その隙を縫うように百代は首を左右に振った。ますます反論しにくくなり、澄男のきょどり具合も激しくなる。
「んなこと言われても……なぁ?」
「ええ……そうですね。我々には感じられない感覚ですし……」
などと目を合わせたり逸らしたりで誤魔化すが、百代からのジトっとした視線が痛い。
ポーカーフェイスを保とうにも、澄男が額に大汗をかきながら盛んに目線を泳がせ頭を掻きむしってソワソワしだすので、完全に怪しまれてしまっている。
つくづく嘘をつくのが下手くそな男だ。素直と言えば聞こえは良いが、今の状況を鑑みれば汚点としか言いようがない。
「まあよいわ。成敗すれば済む話じゃからの」
不快そうな表情で、なんだか不穏なワードを口にした百代は人差し指を真上に向けた。そして「成敗!」と一人でに呟くと、途端に満足げな表情でゆっくりと人差し指を下ろした。
「……今、何した?」
「成敗」
「いやそういうことじゃなくて」
「覗いとった輩に清めの一波を放っただけじゃ」
「それって相手消し飛ばしたってこと?」
「失敬な! 殺めてなどおらぬ! まあ気絶程度はしておろうが……命に大事ない!」
「へ、へぇ……そーなんだぁ……」
「澄男さま抑えて今はダメですって!」
突然背後から刺々しい雰囲気を感じ、のそりと立ち上がった澄男を咄嗟に押さえ込む。目が血走っていたのでこれは相手をブチのめそうって顔だ。
気絶した相手はおそらくだが久三男だ。実の弟を目の前で気絶させたと言われたのだから無理もないが、少しは相手を考えて欲しい。
そこらのチンピラ請負人に久三男が叩きのめされたのならともかく、相手はあの花筏。弥平や弥平のお父上ですら手を出すなと仰っていた暴閥の、現頭領である。
澄男は知らないが、他の者たちは今回の戦いでその実力をこの目で見ているのだ。勝率は火を見るより明らかだった。
とりあえず彼女の顔色を確認する。彼が威圧感丸出しにもかかわらず、百代は依然として涼しい顔をしていた。いや、そもそも意に介していない。これでただの鈍感なら笑い者だが、そうでなければ大した度胸である。
「まあよい。そなたらの素性も大体理解した。もう隠さずともよいぞ」
怒りを露わにした澄男の背中を優しく叩き、鎮めるよう宥めていた矢先の爆弾発言。
彼女は爆弾発言魔か何かだろうか。落ち着きを取り戻したのも束の間、背筋が一瞬にして凍りついた。
「……仰っている言葉の意味が、よく分かりませんが……」
なにやら悟ったような顔色で、こちらを交互に見る。何を確信したのか、それとも適当なのか。彼女の心情が気になった。
「そなたら、流川の者であろう?」
それは決定的だった。隠しようも、誤魔化しようのない台詞。彼女の顔色がそれを許さない。
何故、どうしてバレた。そこを考えるよりもバレた後どう対処するかを考えるのが合理的なのだが、脳内の処理が何故バレたのかという疑問で止まってしまって先に進まない。澄男など顔を硬直させて処理落ちしている始末だ。
主人でなおかつ本家の当主なのだから、不測の事態が起きてもしっかりしてもらいたいところだが、今の彼にそれを求めても仕方がない。自分も思考の処理が追いついていないが、彼が妙な行動を取る前に話を前に進めなければ。
「そういえば、爺が言うておったわ。母様が死に、流川とも盃直しをせんとのぅ、などと」
腕を組みながら、呆れ気味に軽くため息をつく。
話を持ち出すより先に、本人に本題を投げ込まれてしまった。好都合と言えば好都合だが、なんだろう。中々彼女のペースが掴めない。ここはとりあえず話を整理して―――。
「だったら話が早ぇ。さっさと盃直ししちまおうぜ」
お前は阿呆か。その言葉を唾ごと喉奥に押し込み胃袋に詰め込んだ。
暴閥間における五分の盃というのは、いわば一種の祭事。話を整理してから色々と段取りを踏んで、それからようやく執り行われる正式な儀式だというのに、この人はどこか適当な飲み屋で雑談しながら酒飲み合って交わすものだとでも思っているのだろうか。
澄男のお母様もそこらへんを教えていないのか、彼自身が興味なくて覚えていないのか。原因としては、後者の割合の方が高い気がする。
「否。断る」
驚くほど予断許さぬバッサリとした即答。お願いだから二人で勝手に話を進めるのはやめてほしい。
相手からすれば当然の反応だが、澄男の顔色が再び険しくなる。嫌な予感が背後からねっとりと撫で回してきた。
「あ? 何お前、俺が嫌いなの?」
「五分の盃とは、絆……心と心を重ね築いた関係の下に、交わすものじゃ。そなたとは今日会うたばかりであろう」
「そうだけどさ。お前と俺、立場的にアレだろ? 同等だし、それに俺とお前が戦争とかなったらクソ面倒だろうが」
「政略的な盃など不要。行ったところで無意味じゃ。どちらかが一方的に破れば破綻する儚いものよ」
「いやそうならないための盃なんじゃねぇの?」
「睨み合いで真の絆は生まれぬよ。むしろ、そのようなやり方こそ無用な争いを生む。したがって、そのような動機ならば断る」
澄男がかなり怒気を込めて言ったからか、百代の眉間にもシワがより始めた。澄男が更に前のめりになる。
「澄男さま、落ち着いて」
「コイツ分かってねぇだろ? なぁ?」
「まずは相手の言い分を聞きましょう! お前とは対等だって、あなたさっき言ってたでしょう!」
澄男の全身から滲んでいた怒りが少し緩む。この隙を見逃してはならない。ここから私が話の舵を取って―――。
「それにの、そなたは今一度頭を冷やす必要がある。此度、わっちらを庇ってくれた御恩は忘れぬが、一抹の感情に絆され我を忘れておる輩とは、盃云々以前に友誼を結ぶ気にならぬ。出直してくるがよい」
どうして二人揃って勝手に舵取りをしていくのか。ただでさえこんな辺鄙な場所でするような話ではないのに、なんなら話云々以前に場所移動したいくらいなのに、その隙すらない。
自分のコミュ力がないのか、この二人がマイペースすぎるのか。責任の所在がこの二人であることを信じたい。
「あ…………? 出直して……こい……だぁ?」
「澄男さま、だめ! ほんとに!」
本当、責任の所在が私にないことを信じたい。
澄男に膝を土足で踏みつけられる激痛に耐えながらも、必死で百代に飛びかかろうとしている澄男を押さえ込む。
「なんじゃ、文句あるか?」
「ちょ、あの! 百代さまもそんな挑発的な……」
「ああ!! あるね!! テメェ表出やがれ!! それで勝ったら盃、それでいいだろ?」
また澄男が無茶苦茶なことを言い出す。太ももを全力で踏み倒されてものすごく痛いし、肩も握られてて潰されそうだし、色々最悪なのだが頭に血が上っている澄男にそれを気にしろという方が酷である。火にガソリンをぶちまけるようなものだ。
「無意味な申し出じゃな。雌雄は既に決しておる」
とはいえ、主に燃料を投下しているのは、目の前の巫女なのだが。
怒りを露わにし、南支部の窓ガラスが軒並みかち割れるほどの凄まじい霊力を前にしても平然としている百代。
いい加減膝を踏むのをやめて欲しくて澄男をどかしたいが、二人が睨み合ってもしまってどうしようもない。だがどうしようもないからといって何もしないと状況はいつまでたっても好転しない。さてどうしたものか。
「そなたの怒りを鎮めたのは誰ぞと思うておる。いまここで再戦したところで、結果は見えておるわ」
「知るか、やってみなきゃ分からねぇことだってあんだろうが」
「……左様か。しからば」
どうしたものか。二人が言い争っている間に、話の舵の主導権を掻っ攫おうとしたその瞬間。背筋が一瞬にして凍りついたかのような悪寒とともに、金縛りにでもあったかのような重圧と拘束感で、身構えることはおろか声を発することすらできなくなる。
怒った澄男が発する霊力など比にならない、莫大な霊圧。その発生源を探ろうとわずかに生きている五感を駆使するが、そこまで労力を費やす必要もなかった。
当然だ。その霊圧の発生源は、目の前に立つ巫女―――花筏百代その人だったのだから。
百代は霊圧を放ちながら、私にのしかかる形で前のめりになっていた澄男の肩に優しく手を置くと、その莫大な霊圧を一気に収めた。
「己が意志を突き通したくば、この威を以ってして揺るがぬ強き意志でわっちに挑むがいい。一抹の激情に絆された意志など、所詮霞のようなものじゃからの」
その笑みは、菩薩の如き微笑みだった。
ありとあらゆる者から敵意や殺意といった負の感情を取り払う、屈託のない満面の笑み。含みもなければ裏もない、その疑いの余地すら与えない本物の笑みが、そこにあった。
澄男は「お、おう……」と言い、滲ませていた怒りを消失させる。怒った澄男を収めるなど中々面倒で難しいことなのに、目の前の巫女はたった一瞬の霊圧で鎮めてしまった。
澄男も本能的に彼女に勝てないことを理解したのだろう。むしろ今の彼から分かる感情は、額に滲む大量の汗から、怒りではなく焦燥のようだった。
「頭が充分に冷えたなら、また会いにくるがいい。盃はまだ交わせぬが、ともに任務に馳せ参じるならば歓迎じゃ! ではのー!」
今度はまるで目一杯遊んで家に帰る無邪気な子供のような笑みで、大きく手を振りながら南支部の建物を後にする。
その行動の速さたるや、呼び止める暇すらないほどに速く、しばらく二人で唖然としながら彼女の去り際を見送った。
「……あの、痛いんですが」
一息ついて、未だ呆然と立ち尽くしている澄男に、足を退けるよう促す。
ほぼ全体重を膝にずっとかけられていて既に片足の感覚がなくなりかけていた。そのうえ土足だったせいで膝が若干泥だらけになったが、冷静になったせいか、罰の悪い顔をしながら、「あ。ああ! 悪りぃ……」と膝についた泥を払ってくれた。
「……断られたな」
「そりゃそうでしょ」
なんか残念そうにぼそりと呟く澄男にばっさりと即答する。共感して欲しかったのか、驚いた顔をされるが構いはしない。
「想像してみてください。レク・ホーランに今日出会ったばかりだとします。その彼が突然任務を一回だけ共にしただけで『心の友の印に酒飲み明かそうぜ』と馴れ馴れしく肩を組んできたとしたら、あなたどう思います?」
「……あっ……」
「でしょ?」
「うわぁー……」
顔を手で覆い隠し、俯く澄男。自分が行った言動を思い返し、死にたくなっているのだろう。正直慰める気にはなれなかった。
専属メイドが思うことではないが、自業自得というものだ。
「……俺、もうおうち帰る……」
「その方がよろしいかと」
「……帰って頭冷やす……」
「もう寝た方がよろしいかと」
「……そうする……」
片手でいまだ顔を覆い隠しながら、懐から技能球を取り出し、一瞬にして姿がかき消えた。
澄男も百代もいなくなった南支部のロビーは異様に静かだったが辺りを見渡し、盛大にため息を吐く。
今の自分の目は、きっと死んだ魚の目をしているだろう。怒った澄男が放った霊力で散らかったロビーの家具の片付けと修理代、割れた窓ガラスの修理代。今日だけで発生した南支部の損害賠償を考えて、もう頭が痛いのを通り越し、自分も眠くなってきた。
布団があったら飛び込んで不貞寝をかましたい。そんな欲望を抑えつつ、今すぐにでも頭痛薬を飲みたくなる凄まじい頭重感を抱えながら、二階の執務室にいるであろうトト・タートこと花筏一年に、損害賠償の交渉をしに行くのであった。
「待ってただぁ御玲ちゃん」
おじさんたちは澄男から醸し出される威圧感にどう対応したらいいか困っていたらしく、二階から降りてくるや否や、これでもかと全員近寄ってきた。
「すまねぇ……ワシらの力不足でさぁ」
「儂たちもがんばったんじゃがのう……」
「力及ばずでガンス」
「いえいえ。後はこちらで対応しますので、皆さまはお休みになってください」
ありがたやありがたや、とおじさんたちは去っていく。相当困っていたようだ。
そりゃあテーブルに足を乗り出してしかめっ面で夜空を見上げている姿を見れば、誰も近寄りたがらないわけである。ここは堂々としていよう。
「終わりましたよ。話し合い」
「で? 結論は」
「その前に言うことあるんじゃないんですか?」
タダで教えるのは、はっきり言って癪である。
本来なら本人の口から説明しなければいけないことを代わりにやってあげたのだ。メイドとはいえ便利屋代わりにされるのは心外である。
「あん? ツラァ下げろって言いてぇの?」
眉を顰め、煙草を吹かしながらこちらを睨みつけてきた。
「別に下げたくなければ結構ですが」
「じゃあ何? 喧嘩売ってんなら買うぜ? 文句あんなら拳でこいや」
「いや、喧嘩なんて売ってませんけど? なに勘違いしてるんですか?」
「ああ!? じゃあ何なんだよめんどくせぇ!! このクソみてぇな気分なときに舐めた真似しやがって……」
「いやぁ……ですからね?」
機嫌の悪い人間の神経を逆撫でするような言い方をしている自覚はある。だがこの想いを親切に伝えてしまうと、きっと彼の為にならない。全部教えてもらえるのが前提、みたいな考え方になってしまうだろう。それは絶対にダメだ。
「あなたがやるべきことを代わりにやってあげましたので、疲れたんですよね。なんかこう……メイドとして? 代わりにやった甲斐があったなぁ、主人の仕事できたなぁ、やりきったなぁって思える言葉の一つでも……と思っただけなんですよ?」
あ、ないならないでいいんですけどね? メイドですし? と少し煽り気を残しておく。
ほぼ答えを言っているようなものだが、これで喧嘩以外の言葉が出てくれば良し。でなければこの話題は打ち切る。
流石にここで本当に喧嘩するわけにもいかないし、したところで勝てる見込みもなければ、南支部で余計に器物損壊するだけである。わざわざ余計な損失を被る意味もないのだ。
「あー……? あー……」
流石の澄男もようやく察しがついたのか、全身から滲み出る熱い妖気が鳴りを潜める。そして頭を無造作にかきむしりながら、おもむろに口を開いた。
「はいはいあざしたあざしたー、こんなクソみてぇな俺の代わりにクソな奴らが要求してきたクソ面倒なのをひきうけてくださりまことにあざしたあざしたー……お前様はホント有能だよこれからも専属メイドとしてよろしくな煽りの才能溢れる青髪クソメイド様ァ!! ……はい。お望み通り言ってやったぞ、これで満足か?」
口調から態度まで労う気があるのかってくらい横柄だし、最後あたりは何気に悪口が混ざっていたような気がするが、ここで態度や口調や内容に怒っても逆効果になるだけ。傲岸不遜な彼からここまで引き出せただけ、今は良しとしよう。
もういいだろめんどくせぇ、という感情を顔色でぶつけてくる澄男。
彼にここまで譲歩させられたのだ。本気で暴れられても止められる自信もないし、なにより南支部に迷惑なのでさっさと本題に入るとしよう。
澄男が抜けた後の内容を、掻い摘んで簡単に話した。詳細に話すこともできるが、彼の傾聴力に期待するだけ無駄である。長話をしても途中で飽きて話を聞かなくなるので、彼にとって重要だと思う部分だけを話した。
話し終えると、煙草の煙を荒々しく吐きながら、その顔色は険しいものであった。
「あの巫女が……キレた俺を止めると。ふーん……」
「引っかかるところ、やっぱりそこなんですね」
「そりゃあ何処の馬の骨とも知らん女に止められるのは癪だよな。単純に」
「そこよりも竜位魔法についての反応が欲しかったですけど」
「別に深くは話してねぇんだろ? だったら問題なんざありゃあしねぇよ」
怒り混じりに吐き捨てる澄男。同時にそれでいいのか、竜位魔法事情と思ってしまう。
「まあそれを含めて、彼女が止めてくれるそうです。良かったですね」
「男として微妙な気分だがな」
だったら最初っから暴走とかすんじゃねぇよ、と言いたくなったがやめておいた。そんなことを言えば火に油、得られる成果は雀の涙である。メイドとしても、自分の性格的にも、そんな無駄はやりたくなかった。
「つーかよ、あの巫女は何モンなんだよ。勝手に割り込んできて全部片付けちまったんだろ?」
未だ不機嫌そうな澄男が、夜空を眺めながら虚しく煙草の煙を吐いた。
色々と確認することや、話し合うことが多くて失念していたが、言われてみれば彼女の戦闘能力は異様だった。
天災級と恐れられているスケルトン・アークを消しとばし、暴走状態の澄男を一撃で沈めた力。もはや強いとか弱いとか、そんなレベルではない。
次元が違う。その一言しか言い表す言葉が見つからないほどに、彼女の力は圧倒的だった。
「あれだけ派手に戦っておいて、無傷でしたからね」
「傷が高速で治るとかそんなんか?」
「いえ、裏鏡水月と同じです。純粋な意味で、無傷」
それを聞いて、澄男はようやく怒り以外の感情を露わにする。
澄男のように一定の不死性があり、傷が目にも止まらぬ速さで治るならば、まだ理解できる話だ。常識的ではないが、まだ理解の範疇である。
しかし純粋な無傷となると、もはや荒唐無稽の一言に尽きる。それは不死ではなく無敵だからだ。傷を負わないということは、倒せないということと同義なのだから。
「流石にどんな方法を用いても、とは思えませんが……おそらく私たちが勝てる存在ではないのは確かです。なにせ澄連が戦々恐々としてましたし」
「はぁ!? アイツらがか? 嘘だろ……?」
「嘘だと思うなら、本人たちに聞いてみるといいです」
常にコミカルにふざけまくるコミカルの代名詞澄連が、彼女を見るや否や見たこともないくらいシリアスになっていた。特にカエルは本来の姿がどうのこうのと意味のわからないことを口走っていたほどだ。
ちんことかうんことか下品な言葉ならいざ知らず、本当に意味のわからないことをシリアス顔で言い放つことは、今までほとんどなかった。
彼らがシリアスになるときは、大体想像を絶する何かであることが多い。詳細はあくのだいまおうあたりに聞かないと分からないだろうが、彼らをシリアスにさせたという点で、百代という少女が只者ではないのは事実であろう。
「ただの巫女のコスプレしてるだけの奴だと思ってたが、まさか……?」
「澄男さまも、やはり?」
ここで同じ考えに同時に辿り着いた。お互い目を合わせ、頷き合う。自分らの予想が正しければ、彼女の正体は―――。
「もし、もしッ。そなたら、ここでなにをしとる」
唐突に真横からなんの前触れもなく声をかけられたせいで、思わず飛び上がってしまった。
突然声をかけられてビックリすることなどほとんどないのだが、今回ばかりは素で驚いてしまった。接近した気配すら感じさせず、真横を取られるなどそうはない。支部に勤める程度の連中なら、背後を取られるミスは犯したことなどないからだ。
しかし今回はしてやられた。もし相手に殺意があったなら、何をされたか分からないまま始末されていただろう。
『お、おい……アイツ、いつからいたんだ……?』
『さ、さぁ……?』
これ以上気取られるわけにはいかない。声に出して話すわけにもいかないため、速攻で精神世界に部屋を作って、そこに澄男を招待する。招待された澄男は、部屋にログインしてくれた。
これからどうする、と疑問符を投げかけられたので、とりあえず落ち着いて現状を整理しようと思った瞬間。
『これッ、何をこそこそと話しておるか』
思わず二人揃ってログアウト、現実世界でその場を飛び退いていた。
いやこれはもう飛び退くしかないと思う。飛び退かずにはいられないってくらいには想定外だ。
いま話していたのは久三男が開設してくれた秘匿霊子回線である。誰にも盗聴することのできない鉄壁のセキュリティで守られた世界で唯一の霊子通信回線だ。久三男だけでなく弥平も、盗聴できる者など人類の技術力的に不可能だと堂々と言っていたほどの。
それをさも当然のように割り込んできたのだから、驚かずにはいられないって話である。澄男は意味が分からないという表情で額に汗を滲ませながらこっちを見てきたが、今回ばかりは同じ気持ちだった。
「お、お前……何モンだ!? 今の秘匿回線だぞ!?」
「そう言われてものう……堂々と内緒話なんぞされたら無視する方が難しいのじゃが」
「堂々とだぁ? 何言ってやがんだテメェは?」
いつもなら澄男の言動に心の中でツッコむところだが、今回ばかりは激しく同意だ。
何故秘匿回線の内容が聞こえるのか。確かに内緒話が丸聞こえなら声もかけたくなる気持ちも分かるが、この内緒話は秘匿回線で行っていた会話であって、本来なら聞こえないはずである。堂々と内緒話、というところが、もはや意味不明なのだ。
幸いだったのは、存在が秘匿されている久三男がログアウトしていて会話に参加していなかったことぐらいだろう。本当に不幸中の幸いだ。
「お前、ただの巫女のコスプレ野郎じゃねぇだろ? どこの閥のモンだ? 答えろ!!」
「以前も言われたが、こすぷれとはなんぞや!! わっちは本職ぞ!!」
「知るか!! いいからとっとと名乗りやがれ。どこの閥のモンだ!!」
「せっかちな輩よのぅ……まあよいわ」
澄男の若干横暴な態度に呆れたのか、ちょっと軽い溜息を吐くと、途端に彼女から醸し出されていた緩い雰囲気が急変する。
目尻は強くなり、視線が熱くなる。急に人が変わったかのように雰囲気が変わったせいでこちらも警戒色を弱めざる得なくなってしまうが、それとは別に余計な言動を阻む圧力に頭を抑えられる。
それが何なのか、本能で理解した。理屈ではない、暴閥の当主だからこそ分かる感覚。澄男の顔色も覗くが、彼も同様の何かを感じ取っている。これは殺気でもなければ霊圧でもない。彼女から放たれる``風格``なのだと。
「わっちは花筏家現当主にして花筏巫女衆現頭領、花筏百代である。巷では``終夜``なんぞと呼ばれておるわ」
二人同時に発せられた拍子抜けな声が、ロビー内に虚しく響いた。
今彼女はなんと言ったのか。花筏家現当主、花筏百代。又の名を``終夜``。
任務請負機関に属した目的の一つ、花筏家の現当主と五分の盃を交わすため、その当主を探す。そのための情報収集というのがあった。本人を見つけるのは物理的に困難なため、情報を得ながら長期的に探すとかそんな計画だったのに、まさかこんな早い段階で情報どころか本人が目の前に登場するという珍事である。
むしろ本人に窮地を救われてすらいる。予想外にも程がある事態すぎて、無言を貫くほかなくなってしまった。
「……む? もし、もしー?」
「……え? お前マジで``終夜``?」
「そう言っとるが?」
「四強の一人の?」
「不本意だがのぅ」
「つーかバラしていいのかそんな軽く」
「良かろうて?」
「いや良くなくね? 色々と、その……問題あるくね?」
「如何様な」
「そ、そりゃあお前……なんか、野次馬に群がられる的な?」
「すり抜ければ済む話ぞ」
「いやめんどくさくねそれ」
「他には」
「ほ、他? 他、他ねぇ……敵……が、いっぱいくる?」
「如何様な」
「いや知らんけど」
「まあ敵なんぞ言って聞かせて、聞かねば拳で聞かせるのみ。さして問題にならぬ」
「そ……そっすか……」
さっきまでの風格が消え、また緩い雰囲気を醸す巫女へ逆戻りした百代。眉を顰めて首を傾げる姿は、何の変哲もない年相応の少女にしか見えないが、確かに言っていることは武闘派のそれだ。
強さはこの目ではっきり見ている。風格といい、力といい、容姿といい、彼女が花筏の巫女、その当主であるのは間違いない。ならばそれ相応の対応をこちらもするのみ。
「それと、ずっと気になっておったんじゃが」
澄男の対応では心許ないので、話の切り出しだけでもしようとするよりも先に、百代が不快そうな表情で、突然目線を真上に向けながら、真上を指さす。
「そなたらとおると、何故だか何者かに覗かれておる。この者は、そなたらの友人か?」
これはまた、答えに詰まる問いだった。二人揃って喉から出かかった言葉をぐっと飲み込む。
覗かれていることに気づいている時点で、何故気づけると逆に疑問を呈したいが、その前に彼女が示唆している人物が、友人どころの話ではない人物で、説明しようがないところからなんとかしなくてはならない。
百代を空から覗いている人物といえば、間違いなく久三男だ。久三男は自分たちの動向を空から監視しながらサポートする役目も担っているため、遥か上空に存在する人工霊子衛星から、いつでも世界中の情報を得ることが可能である。
普通、目に見えないほど高い位置に人工霊子衛星は公転しているため、肉眼では視認できないはずなのだが、何故だかこの巫女はそれを察知し、なおかつ覗いていることをも知覚している。
もはや認識能力が人智を超えていて、頭おかしいんじゃないかこの子と思わず言いたくなってしまうほどだが、問題は毎度お馴染み久三男の存在を公開できない点である。さて、どう説明するべきか。
「え……? いやぁ、き、気のせいじゃね? 空から覗けるわけねぇじゃん、第一、お前の指さしてるとこ、天井だし」
澄男にしてはマトモな返し。案の定眼が泳いでいるのが玉に瑕だが、いつも吐く嘘よりも幾分かマシな嘘である。そっと胸を撫でおろしつつ、ここからはメイドたる自分がサポートだ。さてどう切り返すか。
「いや、これは確実にわっちを覗いておるな。それも不思議なことにそなたらと離れると視線が外れるのじゃ」
しかし、その隙を縫うように百代は首を左右に振った。ますます反論しにくくなり、澄男のきょどり具合も激しくなる。
「んなこと言われても……なぁ?」
「ええ……そうですね。我々には感じられない感覚ですし……」
などと目を合わせたり逸らしたりで誤魔化すが、百代からのジトっとした視線が痛い。
ポーカーフェイスを保とうにも、澄男が額に大汗をかきながら盛んに目線を泳がせ頭を掻きむしってソワソワしだすので、完全に怪しまれてしまっている。
つくづく嘘をつくのが下手くそな男だ。素直と言えば聞こえは良いが、今の状況を鑑みれば汚点としか言いようがない。
「まあよいわ。成敗すれば済む話じゃからの」
不快そうな表情で、なんだか不穏なワードを口にした百代は人差し指を真上に向けた。そして「成敗!」と一人でに呟くと、途端に満足げな表情でゆっくりと人差し指を下ろした。
「……今、何した?」
「成敗」
「いやそういうことじゃなくて」
「覗いとった輩に清めの一波を放っただけじゃ」
「それって相手消し飛ばしたってこと?」
「失敬な! 殺めてなどおらぬ! まあ気絶程度はしておろうが……命に大事ない!」
「へ、へぇ……そーなんだぁ……」
「澄男さま抑えて今はダメですって!」
突然背後から刺々しい雰囲気を感じ、のそりと立ち上がった澄男を咄嗟に押さえ込む。目が血走っていたのでこれは相手をブチのめそうって顔だ。
気絶した相手はおそらくだが久三男だ。実の弟を目の前で気絶させたと言われたのだから無理もないが、少しは相手を考えて欲しい。
そこらのチンピラ請負人に久三男が叩きのめされたのならともかく、相手はあの花筏。弥平や弥平のお父上ですら手を出すなと仰っていた暴閥の、現頭領である。
澄男は知らないが、他の者たちは今回の戦いでその実力をこの目で見ているのだ。勝率は火を見るより明らかだった。
とりあえず彼女の顔色を確認する。彼が威圧感丸出しにもかかわらず、百代は依然として涼しい顔をしていた。いや、そもそも意に介していない。これでただの鈍感なら笑い者だが、そうでなければ大した度胸である。
「まあよい。そなたらの素性も大体理解した。もう隠さずともよいぞ」
怒りを露わにした澄男の背中を優しく叩き、鎮めるよう宥めていた矢先の爆弾発言。
彼女は爆弾発言魔か何かだろうか。落ち着きを取り戻したのも束の間、背筋が一瞬にして凍りついた。
「……仰っている言葉の意味が、よく分かりませんが……」
なにやら悟ったような顔色で、こちらを交互に見る。何を確信したのか、それとも適当なのか。彼女の心情が気になった。
「そなたら、流川の者であろう?」
それは決定的だった。隠しようも、誤魔化しようのない台詞。彼女の顔色がそれを許さない。
何故、どうしてバレた。そこを考えるよりもバレた後どう対処するかを考えるのが合理的なのだが、脳内の処理が何故バレたのかという疑問で止まってしまって先に進まない。澄男など顔を硬直させて処理落ちしている始末だ。
主人でなおかつ本家の当主なのだから、不測の事態が起きてもしっかりしてもらいたいところだが、今の彼にそれを求めても仕方がない。自分も思考の処理が追いついていないが、彼が妙な行動を取る前に話を前に進めなければ。
「そういえば、爺が言うておったわ。母様が死に、流川とも盃直しをせんとのぅ、などと」
腕を組みながら、呆れ気味に軽くため息をつく。
話を持ち出すより先に、本人に本題を投げ込まれてしまった。好都合と言えば好都合だが、なんだろう。中々彼女のペースが掴めない。ここはとりあえず話を整理して―――。
「だったら話が早ぇ。さっさと盃直ししちまおうぜ」
お前は阿呆か。その言葉を唾ごと喉奥に押し込み胃袋に詰め込んだ。
暴閥間における五分の盃というのは、いわば一種の祭事。話を整理してから色々と段取りを踏んで、それからようやく執り行われる正式な儀式だというのに、この人はどこか適当な飲み屋で雑談しながら酒飲み合って交わすものだとでも思っているのだろうか。
澄男のお母様もそこらへんを教えていないのか、彼自身が興味なくて覚えていないのか。原因としては、後者の割合の方が高い気がする。
「否。断る」
驚くほど予断許さぬバッサリとした即答。お願いだから二人で勝手に話を進めるのはやめてほしい。
相手からすれば当然の反応だが、澄男の顔色が再び険しくなる。嫌な予感が背後からねっとりと撫で回してきた。
「あ? 何お前、俺が嫌いなの?」
「五分の盃とは、絆……心と心を重ね築いた関係の下に、交わすものじゃ。そなたとは今日会うたばかりであろう」
「そうだけどさ。お前と俺、立場的にアレだろ? 同等だし、それに俺とお前が戦争とかなったらクソ面倒だろうが」
「政略的な盃など不要。行ったところで無意味じゃ。どちらかが一方的に破れば破綻する儚いものよ」
「いやそうならないための盃なんじゃねぇの?」
「睨み合いで真の絆は生まれぬよ。むしろ、そのようなやり方こそ無用な争いを生む。したがって、そのような動機ならば断る」
澄男がかなり怒気を込めて言ったからか、百代の眉間にもシワがより始めた。澄男が更に前のめりになる。
「澄男さま、落ち着いて」
「コイツ分かってねぇだろ? なぁ?」
「まずは相手の言い分を聞きましょう! お前とは対等だって、あなたさっき言ってたでしょう!」
澄男の全身から滲んでいた怒りが少し緩む。この隙を見逃してはならない。ここから私が話の舵を取って―――。
「それにの、そなたは今一度頭を冷やす必要がある。此度、わっちらを庇ってくれた御恩は忘れぬが、一抹の感情に絆され我を忘れておる輩とは、盃云々以前に友誼を結ぶ気にならぬ。出直してくるがよい」
どうして二人揃って勝手に舵取りをしていくのか。ただでさえこんな辺鄙な場所でするような話ではないのに、なんなら話云々以前に場所移動したいくらいなのに、その隙すらない。
自分のコミュ力がないのか、この二人がマイペースすぎるのか。責任の所在がこの二人であることを信じたい。
「あ…………? 出直して……こい……だぁ?」
「澄男さま、だめ! ほんとに!」
本当、責任の所在が私にないことを信じたい。
澄男に膝を土足で踏みつけられる激痛に耐えながらも、必死で百代に飛びかかろうとしている澄男を押さえ込む。
「なんじゃ、文句あるか?」
「ちょ、あの! 百代さまもそんな挑発的な……」
「ああ!! あるね!! テメェ表出やがれ!! それで勝ったら盃、それでいいだろ?」
また澄男が無茶苦茶なことを言い出す。太ももを全力で踏み倒されてものすごく痛いし、肩も握られてて潰されそうだし、色々最悪なのだが頭に血が上っている澄男にそれを気にしろという方が酷である。火にガソリンをぶちまけるようなものだ。
「無意味な申し出じゃな。雌雄は既に決しておる」
とはいえ、主に燃料を投下しているのは、目の前の巫女なのだが。
怒りを露わにし、南支部の窓ガラスが軒並みかち割れるほどの凄まじい霊力を前にしても平然としている百代。
いい加減膝を踏むのをやめて欲しくて澄男をどかしたいが、二人が睨み合ってもしまってどうしようもない。だがどうしようもないからといって何もしないと状況はいつまでたっても好転しない。さてどうしたものか。
「そなたの怒りを鎮めたのは誰ぞと思うておる。いまここで再戦したところで、結果は見えておるわ」
「知るか、やってみなきゃ分からねぇことだってあんだろうが」
「……左様か。しからば」
どうしたものか。二人が言い争っている間に、話の舵の主導権を掻っ攫おうとしたその瞬間。背筋が一瞬にして凍りついたかのような悪寒とともに、金縛りにでもあったかのような重圧と拘束感で、身構えることはおろか声を発することすらできなくなる。
怒った澄男が発する霊力など比にならない、莫大な霊圧。その発生源を探ろうとわずかに生きている五感を駆使するが、そこまで労力を費やす必要もなかった。
当然だ。その霊圧の発生源は、目の前に立つ巫女―――花筏百代その人だったのだから。
百代は霊圧を放ちながら、私にのしかかる形で前のめりになっていた澄男の肩に優しく手を置くと、その莫大な霊圧を一気に収めた。
「己が意志を突き通したくば、この威を以ってして揺るがぬ強き意志でわっちに挑むがいい。一抹の激情に絆された意志など、所詮霞のようなものじゃからの」
その笑みは、菩薩の如き微笑みだった。
ありとあらゆる者から敵意や殺意といった負の感情を取り払う、屈託のない満面の笑み。含みもなければ裏もない、その疑いの余地すら与えない本物の笑みが、そこにあった。
澄男は「お、おう……」と言い、滲ませていた怒りを消失させる。怒った澄男を収めるなど中々面倒で難しいことなのに、目の前の巫女はたった一瞬の霊圧で鎮めてしまった。
澄男も本能的に彼女に勝てないことを理解したのだろう。むしろ今の彼から分かる感情は、額に滲む大量の汗から、怒りではなく焦燥のようだった。
「頭が充分に冷えたなら、また会いにくるがいい。盃はまだ交わせぬが、ともに任務に馳せ参じるならば歓迎じゃ! ではのー!」
今度はまるで目一杯遊んで家に帰る無邪気な子供のような笑みで、大きく手を振りながら南支部の建物を後にする。
その行動の速さたるや、呼び止める暇すらないほどに速く、しばらく二人で唖然としながら彼女の去り際を見送った。
「……あの、痛いんですが」
一息ついて、未だ呆然と立ち尽くしている澄男に、足を退けるよう促す。
ほぼ全体重を膝にずっとかけられていて既に片足の感覚がなくなりかけていた。そのうえ土足だったせいで膝が若干泥だらけになったが、冷静になったせいか、罰の悪い顔をしながら、「あ。ああ! 悪りぃ……」と膝についた泥を払ってくれた。
「……断られたな」
「そりゃそうでしょ」
なんか残念そうにぼそりと呟く澄男にばっさりと即答する。共感して欲しかったのか、驚いた顔をされるが構いはしない。
「想像してみてください。レク・ホーランに今日出会ったばかりだとします。その彼が突然任務を一回だけ共にしただけで『心の友の印に酒飲み明かそうぜ』と馴れ馴れしく肩を組んできたとしたら、あなたどう思います?」
「……あっ……」
「でしょ?」
「うわぁー……」
顔を手で覆い隠し、俯く澄男。自分が行った言動を思い返し、死にたくなっているのだろう。正直慰める気にはなれなかった。
専属メイドが思うことではないが、自業自得というものだ。
「……俺、もうおうち帰る……」
「その方がよろしいかと」
「……帰って頭冷やす……」
「もう寝た方がよろしいかと」
「……そうする……」
片手でいまだ顔を覆い隠しながら、懐から技能球を取り出し、一瞬にして姿がかき消えた。
澄男も百代もいなくなった南支部のロビーは異様に静かだったが辺りを見渡し、盛大にため息を吐く。
今の自分の目は、きっと死んだ魚の目をしているだろう。怒った澄男が放った霊力で散らかったロビーの家具の片付けと修理代、割れた窓ガラスの修理代。今日だけで発生した南支部の損害賠償を考えて、もう頭が痛いのを通り越し、自分も眠くなってきた。
布団があったら飛び込んで不貞寝をかましたい。そんな欲望を抑えつつ、今すぐにでも頭痛薬を飲みたくなる凄まじい頭重感を抱えながら、二階の執務室にいるであろうトト・タートこと花筏一年に、損害賠償の交渉をしに行くのであった。
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