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復讐のブルー・ペグランタン編
プロローグ:運命の分岐点
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その日、武市は震撼した。
いつも通りの朝がきて、いつも通りの紛争がどこかで起きて、上位暴閥たちが絶妙なバランスで押し留める。任務請負機関は任務に勤しむことで迫る脅威を退けて、ギャングスタたちは今日も暴力に明け暮れる。
法律も道徳も倫理も、何もかもが機能しない。実力と成果こそがものをいう。それこそが武市の日常。異常が正常たるこの国で、大半の異変などただの日常の域を脱することはないはずであった。
今日という日が、来るまでは。
「おい、おいおいおいおい!! なんだよ、なんなんだよ!!」
「はぁ!? 武ノ壁が崩れた!? 嘘だろ!! あの不壊の壁が破られたってのかよ!!」
「なんだったんださっきの大地震!?」
「お前ら聞いたか!? さっき速報で、海岸沿いをシマにしてる上位暴閥が大津波に飲み込まれたんだとよ!!」
「「「なんだって!?」」」
任務請負機関北支部。四方位に位置する四支部の中で、特筆することがないと言われるほどに平穏で平凡な支部である北支部だが、今日だけは皆、毛色が違った。
時間も九時が過ぎたというのに誰も任務に行く様子がなく、中央ロビーで騒ぎ立てる者が大半を占める。騒いでいない者に目を向けても、ロビーにあるテーブルで朝食を片手に請負機関速報に視線を投げたまま呆然としているのみ。朝食を口に運ぶ手が完全に止まっていて、誰も食べ終える気配がなかった。
「落ち着けお前ら!! 騒がず冷静に状況を把握しろ!! 請負人としての自覚を持ちやがれ!!」
戦々恐々とした支部内。誰しもが急変した事態についていけず焦燥と不安を募らせて、暴走寸前の原子炉の如く暴発しようとしている。そんな中でただ一人、冷静さを失わず聡明に、現状を把握しようと努める傑物がいた。
北支部監督官、レク・ホーランその人である。
「総員、北支部ビル内に待機!! 状況把握を最優先して、有事に速やかに対応できるよう兵站を整えておけ!!」
「お、おう!!」
「任務は受注するな!! 本部からの続報を待ち、受注しちまった奴は今すぐキャンセル手続きを済ませろ!!」
「応ッ!!」
「いいかお前ら、確かに今何が起こってんのかまるで分からんが、要はいつもと違うことがおきたってだけだ!! 今この状況がフェーズSの緊急任務だと思え!! 気合入れろ!!」
「「「おおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオ!!」」」
北支部ロビーを震え上がらせるほどの大歓声。ロビーの中心で片腕を振り上げ鼓舞するレクの熱気に当てられて、北支部請負人から不安と恐怖の色が掻き消える。
レクは知っていた。恐怖と不安、それに飲まれ正気を失った者の末路は、どれも悲惨なものなのだと。負の感情に支配され、何もできず死んでいった新人を何人も見てきた彼にとって、不安や恐怖といった感情は請負人にとっての天敵なのだと。
だからこそ彼は、より一層奮起する。北支部のトップは自分であり、そのトップが明確な意志を示さなければ、請負人たちはたちまち不安と恐怖を募らせて潰れてしまう。そうなれば組織だった動きは期待できず、その先にあるのは全滅である。
並大抵の災害に怯えない自分たちでさえも、思わず腰が引けてしまうほどの災厄が起こったとき、如何に自分を保てるか。それが武市を生きる上で、必要な処世術なのだ。
「よし。まずは点呼を取るぞ。その後グループ分けして役割分担を……」
「レク、レクうううううううう!!」
一人の請負人が正門から全力疾走。点呼をとって役割ごとのグループに分け、今から起こりうる有事に備えようとした矢先だったが、レクの前まで走ってきたその請負人から脂汗が滴っているのを見て、レクは顔色を変えた。
「俺たちは……死ぬのか?」
「まず落ち着け。息を整えて深呼吸しろ」
「空……空を見てくれ。俺はもう、何が起こってんのか、分かんねーよ……」
過呼吸気味の請負人を近くの請負人に預け、正門前に目を向ける。
正門前まで歩を進めるレクに従い、静かに道を開ける請負人たち。一人の請負人を皮切りに、再び暗雲が立ち込めた。正門から少し出るが、既に異常を肌で感じ取る。
北支部周辺はいつも人が少ないが、人の気配は常々しているものだ。レクほどの強者ともなれば、そこらの戦闘民や相応の請負人が路地裏で角待ちしていようと息遣いや気配でその存在を察知することができる。
だから人が視界に写らなくとも人の存在を微かに感じ取っていたのだが、今日は純粋に誰もいない。北支部周辺に生き物の気配がしないのだ。まるで建物だけを残して無人になったかのような不気味な静けさが、周囲を支配している。
だがこの不気味な静けさの正体は、すぐに察しがついていた。周囲の戦闘民が全員、地下シェルターに避難したからだ。
武市のうち戦闘民と呼ばれる者たちは、自分たちの拠点に必ず地下シェルターを設け、災害や異変に備えるのが常である。今いる北支部ビルも最新鋭の魔道複合装甲で作られた強力な地下シェルターを有しており、有事の際は北支部所属の請負人全員を収容して災厄から身を守ることができるようになっている。武市にとって、避難用地下シェルターの存在はもはやなんら珍しいものではない。
北支部に所属する請負人たちも、暴閥やギャングスターなどと同じ戦闘民に分類される。地下シェルターの存在は当然知っているはずだ。今は異常な事態が起きている。ならみんな地下シェルターに避難していることくらい、余程の世間知らずでもない限りは予想がつくはず。
だが正門前から走ってきた請負人は、脂汗を垂れ流して気が動転していた。つまり状況把握能力が麻痺してしまうぐらいの何かを目の当たりにしてしまったということだ。
虚無を彷彿とさせる静寂を全身で感じながらも、空を見上げてみる。そして全てを理解した。
「んだ……こりゃあ……?」
視界に映るそれがまさに原因なのだと直感する。思わず目を見開いて、その何かを馬鹿みたく魅入ってしまった。
眼前を覆い尽くす、暗黒の闇。その闇に赤や青、緑や紫、白や黄といった合計六色の光がそれぞれ息遣いし、全てを塗り潰す黒に彩りを与えていた。
その様は、夜空に浮かぶ星々の如く。思わず夜がきたのかと錯覚するほどに、その飛翔体は北支部ビル上空を完全に支配していた。
思考が停止する。自分が持ちうる、あらゆる知識を総動員しても、例えようがない謎の巨大飛行物体。分かっているのは自分の全ての視野をもってしても、その全容を把握することができないほどに巨大だということだけだった。
【任務請負機関緊急速報】
「うおおふ!?」
脳内に突如鳴り響くアラーム。いつものアラームとは聞きなれない警鐘に、流石に驚きを隠せない。
脳内で直接響き、視界に緊急速報という赤文字がでかでかと描かれるということは、間違いない。任務請負証を通じて、本部からの続報がきたのだ。
【任務長官及び三大魔女の決議により、大規模霊力空襲警報が発令されました。任務請負機関に属する全ての者は、建物内に避難してください】
「だ、大規模霊力空襲警報だと……!?」
それは、監督官に就任して初めて発令されたアラートであった。
彼は監督官である。機関則などとっくの昔に丸暗記しており、一字一句間違えず復唱することなど児戯である。それゆえに任務請負証が言った意味を、的確にかつ迅速に理解できてしまった。
大規模霊力空襲警報。一定水準を超える強力な軍事的勢力によって、霊力を用いた直接的な空対地攻撃が行われる場合に発令される特別警報のことである。
機関則において大規模霊力空襲警報は、武市全域を空爆範囲とする超広範囲空対地攻撃が発生する際にのみ発令するため、創設されてからずっと機関則にその存在が語られるだけの枠組みだったはずだが、そんな影の薄い大警報が発令されたことと上空に浮遊する巨大な暗黒物体が関連しているとしたら、それが何を意味するのか。想像するまでもない。
「うそ、だ、ろ……」
六色の光を撒き散らす暗黒物体そのものが、爆撃機だとでもいうのか。仮にそうだとしたら、被害は破滅的なものになる。
武市全域を空対地攻撃できるのなら、上空に浮かぶ暗黒物体は、武市一帯を覆い尽くせるほどに巨大だということになる。
逃げ場などありはしない。武市全てが、空爆の射程範囲に収まっているということなのだから。
【任務請負機関本部より各支部へ。請負人及び請負官の安全を最優先。本部ビル及び支部ビルを、六十秒後に遠隔閉鎖】
さっきから聞いたことのない単語やシステムを、淡々と読み上げてくれる任務請負証。
支部ビルを遠隔閉鎖。そんな大それた真似ができるなんて監督官になって今知ったが、考えている暇はない。
身を翻した次の瞬間、支部ビル内が赤い警報ランプとで真っ赤に染まる。
【任務長官及び幹部官権限により、全ての支部は六十秒後に遠隔閉鎖されます。所属する全ての請負人は、ビル内の地下シェルターへ避難し、安全を確保してください。繰り返します―――】
どこからともなく鳴り響く、けたたましい警報音。それを皮切りに、ギリギリ辛うじて繋がっていた糸が、引き千切れる。
「な、なんだなんだあ!!」
「クソが!! どうしたら、どうすりゃいい!? 俺は何をしたらいいんだ!?」
「うわああああ!! 死ぬのは嫌だあ!! せめて童貞卒業させてくれええええ!!」
請負人たちの慟哭は、ロビー内を反響する警報音に勝るとも劣らない。気怠く肩を竦めるが、すぐに両頬を手で叩き、大きく息を吸い、目一杯に空気を取り込んだ。
「静まれええええええええ!!」
警報音が、一瞬だが掻き消えた。大の大人たちの慟哭すら鳴り止み、ほんのわずかな間だけ無音の世界が広がるが、すぐにまた警報音とアナウンスが鼓膜を弄り始める。
ロビーにいる請負人たちは、それでも尚無言だった。彼らが見つめるその先に、拳を壁に叩きつけた金髪の男。正門前で正々堂々、その圧倒的存在感を蜘蛛の巣状のヒビ割れで物語る。
「どうすりゃいい? アナウンスに従え! 死ぬのが嫌だ? なら黙って避難しろ! 童貞卒業? そんなもん全部終わってからやりやがれ!」
請負人たちの表情から焦燥が消え失せる。目の前に起こる意味不明な事態よりも、人外に片足突っ込みつつある監督官が放つ威嚇が、彼らの恐怖心を刺激したためだ。
「いいか? お前らは請負人だ。請負人が不測如きで怯えんな。任務なんざ予想外しか起きやしねぇ、今だってそうだ! 怯える暇があんなら手ェ動かせ、足動かせ! 脳味噌捻って考えろ、自分に今何ができて、何をすべきかを! その程度のこともロクにできねぇクソガキは、いますぐ退職手続きを済ませてこい!!」
有無は言わせない。誰も反論する気配なく、脂汗を垂らし固唾を飲むのみ。辺りを見渡す。意気揚々と首を縦に振った。
「よし。今から何をする?」
「「「避難であります!!」」」
「避難の心得ェ!!」
「「「押さない!!」」」
「「「走らない!!」」」
「「「喋らない!!」」」
「も、揉まない?」
「違ぇ! 喧嘩しない、だろ!」
「よし!! 分かったら行け!!」
「「「応ッ!!」」」
見通しが立ち、統率を取り戻した請負人たちの動きは迅速だった。音頭を取れる者が避難の後押しをし、体力のある者は緊急用の備蓄を確認、シェルターへ運搬する。
手が空いている者は順次点呼を自主的に行い、音頭を取っているリーダー格へ的確に報連相を済ませていく。
冷静さを取り戻した彼らに、監督官の出番はない。だが、仕事は残っている。
「さて、他の監督官と話し合うとしますか」
執務室へ戻ったレクは、ロビーから人がいなくなりただでさえ物静かな執務室が更に深い静寂に包まれた中で、執務机に深く腰かける。
応接のためのソファには、レクが来るのを待っていたのか。ソファの上で雑魚寝をかましていたであろう黒いポンチョを着た少女―――ブルー・ペグランタンが、ゆっくりと身を起こす。
「お前も参加しろよ」
「……やることあっから」
「そんなもん後にしろ」
「それはできねー」
「はあ?」
このバカ忙しいときに、彼女は何を言っているのだろう。
いつもぐうたらしているから想像しにくいかもしれないが、彼女もまた北支部の監督官だ。自分が監督官として全ての業務を仕切っているがゆえに大半の連中からは忘れ去られているが、むーさん込みの実力は自分を軽く凌いでいたりする。それに怠けている印象が強いが責任感は人並みにあり、一度請け負うと決めた仕事はきちんと最後までやり切ってくれる。
実力が足りず遂行不能になったり、単純にやる気がなくなったり等の様々な理由から事前相談なく任務を放棄する馬鹿野郎も少なくない中で、ブルーは中途放棄した任務は今のところ存在しない。むーさんに丸投げしたことで厳重注意を受けたことなら何度かあるが、その場合はむーさんが完璧に任務をこなすため、結局のところ本人がぐうたらしていようがいなかろうが、きちんと結果を出すことに変わりないのである。
だからこそ緊急任務時の対応だって怠ったことは一度もない奴だったのだが、今回はなんだろう。いつもより雰囲気が暗澹としているような、粘り気の強い邪気が、彼女の周りを漂っているように思えた。
「……それ、今じゃねぇとダメなのか」
静かに、首を縦に振る。アナウンスやアラートは支部ビル全体で鳴り響いている。仮に支部寮にいたとしても、状況を理解していないなんてことはないだろう。
それでもなお、彼女が今の状況を差しおいてやりたいこととは、なんなのか。少なくとも、ただ事ではあるまい。
「話すつもりは……ねぇ、か」
事情を聞こうとする意志は、彼女から放たれる邪気に阻まれる。
任務請負人は報連相を蔑ろにする奴がとにかく多い。それは機関則に報連相を必ず行わなければならないという記載がなく、蔑ろにしたところでペナルティも何も発生しないからだが、報連相を怠ったことによって困るのは、結果的にはお互いだ。
ゆえに新人研修では報告、連絡、相談はきちんとしろと教えている。請負官に昇進して責任ある立場に立ったとき、円滑に業務に励めるように。
今回だって事前相談もなく勝手な行動をしようとしているブルーを許せるかと問われたら、許せるわけがない。相手が同じポストだろうと関係なく、むしろ同じポストに就いているからこそ、報連相はきちんとするべきなのだ。
とはいえ厄介なのが、厳重注意してもあまり効果がないことだ。
彼女が請負人になってからというもの、雑魚寝癖は治る気配がない。今でも勤労意欲を持つように再三厳命しているものの、お金がなくなったら働くというスタンスは変わらず、監督官になった今でも怠惰な側面が根強い。だからこそ周囲から監督官であることが忘れ去られているのだが。
ともあれ変えるつもりがないと思っているところは、こっちがいくら指摘しても変わらない。無理に強いればむーさんの怒りを買い、周囲への被害を考えると採算が合わなくなってくる。今回もまた、そのパターンのようだった。
「説明はしろ」
「てーさつ」
「何の」
「そら」
「飛べねぇだろお前」
「むーちゃんにのる」
「そりゃむーさんに任せたらまあ……できんこたぁねぇだろうけどよ」
「とかく、そーゆーこったから。むーちゃんいるからだいじょーぶ」
納得するべきではないのだが、むーさんを盾にされると頷いてしまう自分がいるのが恨めしい。
むーさんの信頼は、北支部において絶大である。
むーさんだから。むーさんがいたら大丈夫。むーさんがいたら無問題。大体のことはむーさんに任せたら片付いてしまうため、むーさんを盾にすると北支部の面々は皆、いかなる無茶だろうと無条件に首を縦に振ってしまうのである。かくいう自分もむーさんならと納得してしまいがちで、むしろ一部の仕事を任せることもあるほどだ。あんまりやってはくれないが。
「それとも、あーしがしんよーできない?」
「いやそういうこたぁねぇが……」
「ならいかせてくれ。じゃまはしねーからさ」
首だけ振り返り、ほんのりの笑みを浮かべた。その表情に、虚をつかれる。
ブルーが笑うことは、滅多にない。大体は無表情か、眠たそうな顔をしているかの二択で、長い付き合いになるが笑ったところは数えるほどしか見たことがなかった。
久しぶりに見れて嬉しいはずなんだが、何故だろう。彼女の笑みからは、どことなく儚さが滲んでいる。今にも消えてしまいそうな、水面に浮かぶ水泡のような、泡沫の景色を呆然と眺めるときのような。
上手い例えが浮かばないが、頭の中に山積みにしていたタスクの存在を、一瞬だけ忘れてしまうほどに、思考の渦が完全にかき消えていた。
「……おい!」
タスクの山が崩れる音で、我に帰る。気がつくと、ブルーは執務室の自動扉まで移動していた。扉が開かれ、一歩前に進んだところでブルーが足を止める。
「……帰ってこいよ」
自分で言っていて、意味がわからなかった。
ブルーはただ偵察に行くだけ、口にわざわざ出さずとも、いずれは北支部に帰ってくる。それなのに、どうして念を押したのだろう。
勢いよく振り返る。黒いポンチョを勢いではためかせる姿は、身長の低さも相まって無邪気に映る。さっきまで纏っていた、全身から湧き出る妖気はどこへやら。その表情は屈託のない笑顔で彩られていた。
今思えば、引き留めるなら今この瞬間が最後のチャンスだったのだと思う。悔やんでも悔やんでも仕方がないが、いつだって失敗ばかり。
新人の請負人が実力を見誤って死んだときも、姉御が消息不明になったときも。今回だってそうだ。
こじつけでもなんでも言って、なんとしてでも引き留めていれば、未来は変わったかもしれない。今更嘆いてもたらればにしかならないが、監督官という役職はいつだって後悔が付きまとう。
もう何度目か分からない。反省はいくらしても、し足りない。手に入るなら、時間操作の能力が欲しい。あったなら、今頃。
自動扉が閉ざされる。運命が分岐した。
北支部監督官レク・ホーラン。``閃光``なんて呼ばれているが、実際は背負いきれないものを背負い、その度に選択を間違える、間抜けで哀れな脳筋野郎。ここぞってときに決められない、愚かで浅はかで、常に目の前のタスクで手一杯になってしまう仕事馬鹿。
だからこそ今回もまた―――選択肢を間違える。
いつも通りの朝がきて、いつも通りの紛争がどこかで起きて、上位暴閥たちが絶妙なバランスで押し留める。任務請負機関は任務に勤しむことで迫る脅威を退けて、ギャングスタたちは今日も暴力に明け暮れる。
法律も道徳も倫理も、何もかもが機能しない。実力と成果こそがものをいう。それこそが武市の日常。異常が正常たるこの国で、大半の異変などただの日常の域を脱することはないはずであった。
今日という日が、来るまでは。
「おい、おいおいおいおい!! なんだよ、なんなんだよ!!」
「はぁ!? 武ノ壁が崩れた!? 嘘だろ!! あの不壊の壁が破られたってのかよ!!」
「なんだったんださっきの大地震!?」
「お前ら聞いたか!? さっき速報で、海岸沿いをシマにしてる上位暴閥が大津波に飲み込まれたんだとよ!!」
「「「なんだって!?」」」
任務請負機関北支部。四方位に位置する四支部の中で、特筆することがないと言われるほどに平穏で平凡な支部である北支部だが、今日だけは皆、毛色が違った。
時間も九時が過ぎたというのに誰も任務に行く様子がなく、中央ロビーで騒ぎ立てる者が大半を占める。騒いでいない者に目を向けても、ロビーにあるテーブルで朝食を片手に請負機関速報に視線を投げたまま呆然としているのみ。朝食を口に運ぶ手が完全に止まっていて、誰も食べ終える気配がなかった。
「落ち着けお前ら!! 騒がず冷静に状況を把握しろ!! 請負人としての自覚を持ちやがれ!!」
戦々恐々とした支部内。誰しもが急変した事態についていけず焦燥と不安を募らせて、暴走寸前の原子炉の如く暴発しようとしている。そんな中でただ一人、冷静さを失わず聡明に、現状を把握しようと努める傑物がいた。
北支部監督官、レク・ホーランその人である。
「総員、北支部ビル内に待機!! 状況把握を最優先して、有事に速やかに対応できるよう兵站を整えておけ!!」
「お、おう!!」
「任務は受注するな!! 本部からの続報を待ち、受注しちまった奴は今すぐキャンセル手続きを済ませろ!!」
「応ッ!!」
「いいかお前ら、確かに今何が起こってんのかまるで分からんが、要はいつもと違うことがおきたってだけだ!! 今この状況がフェーズSの緊急任務だと思え!! 気合入れろ!!」
「「「おおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオ!!」」」
北支部ロビーを震え上がらせるほどの大歓声。ロビーの中心で片腕を振り上げ鼓舞するレクの熱気に当てられて、北支部請負人から不安と恐怖の色が掻き消える。
レクは知っていた。恐怖と不安、それに飲まれ正気を失った者の末路は、どれも悲惨なものなのだと。負の感情に支配され、何もできず死んでいった新人を何人も見てきた彼にとって、不安や恐怖といった感情は請負人にとっての天敵なのだと。
だからこそ彼は、より一層奮起する。北支部のトップは自分であり、そのトップが明確な意志を示さなければ、請負人たちはたちまち不安と恐怖を募らせて潰れてしまう。そうなれば組織だった動きは期待できず、その先にあるのは全滅である。
並大抵の災害に怯えない自分たちでさえも、思わず腰が引けてしまうほどの災厄が起こったとき、如何に自分を保てるか。それが武市を生きる上で、必要な処世術なのだ。
「よし。まずは点呼を取るぞ。その後グループ分けして役割分担を……」
「レク、レクうううううううう!!」
一人の請負人が正門から全力疾走。点呼をとって役割ごとのグループに分け、今から起こりうる有事に備えようとした矢先だったが、レクの前まで走ってきたその請負人から脂汗が滴っているのを見て、レクは顔色を変えた。
「俺たちは……死ぬのか?」
「まず落ち着け。息を整えて深呼吸しろ」
「空……空を見てくれ。俺はもう、何が起こってんのか、分かんねーよ……」
過呼吸気味の請負人を近くの請負人に預け、正門前に目を向ける。
正門前まで歩を進めるレクに従い、静かに道を開ける請負人たち。一人の請負人を皮切りに、再び暗雲が立ち込めた。正門から少し出るが、既に異常を肌で感じ取る。
北支部周辺はいつも人が少ないが、人の気配は常々しているものだ。レクほどの強者ともなれば、そこらの戦闘民や相応の請負人が路地裏で角待ちしていようと息遣いや気配でその存在を察知することができる。
だから人が視界に写らなくとも人の存在を微かに感じ取っていたのだが、今日は純粋に誰もいない。北支部周辺に生き物の気配がしないのだ。まるで建物だけを残して無人になったかのような不気味な静けさが、周囲を支配している。
だがこの不気味な静けさの正体は、すぐに察しがついていた。周囲の戦闘民が全員、地下シェルターに避難したからだ。
武市のうち戦闘民と呼ばれる者たちは、自分たちの拠点に必ず地下シェルターを設け、災害や異変に備えるのが常である。今いる北支部ビルも最新鋭の魔道複合装甲で作られた強力な地下シェルターを有しており、有事の際は北支部所属の請負人全員を収容して災厄から身を守ることができるようになっている。武市にとって、避難用地下シェルターの存在はもはやなんら珍しいものではない。
北支部に所属する請負人たちも、暴閥やギャングスターなどと同じ戦闘民に分類される。地下シェルターの存在は当然知っているはずだ。今は異常な事態が起きている。ならみんな地下シェルターに避難していることくらい、余程の世間知らずでもない限りは予想がつくはず。
だが正門前から走ってきた請負人は、脂汗を垂れ流して気が動転していた。つまり状況把握能力が麻痺してしまうぐらいの何かを目の当たりにしてしまったということだ。
虚無を彷彿とさせる静寂を全身で感じながらも、空を見上げてみる。そして全てを理解した。
「んだ……こりゃあ……?」
視界に映るそれがまさに原因なのだと直感する。思わず目を見開いて、その何かを馬鹿みたく魅入ってしまった。
眼前を覆い尽くす、暗黒の闇。その闇に赤や青、緑や紫、白や黄といった合計六色の光がそれぞれ息遣いし、全てを塗り潰す黒に彩りを与えていた。
その様は、夜空に浮かぶ星々の如く。思わず夜がきたのかと錯覚するほどに、その飛翔体は北支部ビル上空を完全に支配していた。
思考が停止する。自分が持ちうる、あらゆる知識を総動員しても、例えようがない謎の巨大飛行物体。分かっているのは自分の全ての視野をもってしても、その全容を把握することができないほどに巨大だということだけだった。
【任務請負機関緊急速報】
「うおおふ!?」
脳内に突如鳴り響くアラーム。いつものアラームとは聞きなれない警鐘に、流石に驚きを隠せない。
脳内で直接響き、視界に緊急速報という赤文字がでかでかと描かれるということは、間違いない。任務請負証を通じて、本部からの続報がきたのだ。
【任務長官及び三大魔女の決議により、大規模霊力空襲警報が発令されました。任務請負機関に属する全ての者は、建物内に避難してください】
「だ、大規模霊力空襲警報だと……!?」
それは、監督官に就任して初めて発令されたアラートであった。
彼は監督官である。機関則などとっくの昔に丸暗記しており、一字一句間違えず復唱することなど児戯である。それゆえに任務請負証が言った意味を、的確にかつ迅速に理解できてしまった。
大規模霊力空襲警報。一定水準を超える強力な軍事的勢力によって、霊力を用いた直接的な空対地攻撃が行われる場合に発令される特別警報のことである。
機関則において大規模霊力空襲警報は、武市全域を空爆範囲とする超広範囲空対地攻撃が発生する際にのみ発令するため、創設されてからずっと機関則にその存在が語られるだけの枠組みだったはずだが、そんな影の薄い大警報が発令されたことと上空に浮遊する巨大な暗黒物体が関連しているとしたら、それが何を意味するのか。想像するまでもない。
「うそ、だ、ろ……」
六色の光を撒き散らす暗黒物体そのものが、爆撃機だとでもいうのか。仮にそうだとしたら、被害は破滅的なものになる。
武市全域を空対地攻撃できるのなら、上空に浮かぶ暗黒物体は、武市一帯を覆い尽くせるほどに巨大だということになる。
逃げ場などありはしない。武市全てが、空爆の射程範囲に収まっているということなのだから。
【任務請負機関本部より各支部へ。請負人及び請負官の安全を最優先。本部ビル及び支部ビルを、六十秒後に遠隔閉鎖】
さっきから聞いたことのない単語やシステムを、淡々と読み上げてくれる任務請負証。
支部ビルを遠隔閉鎖。そんな大それた真似ができるなんて監督官になって今知ったが、考えている暇はない。
身を翻した次の瞬間、支部ビル内が赤い警報ランプとで真っ赤に染まる。
【任務長官及び幹部官権限により、全ての支部は六十秒後に遠隔閉鎖されます。所属する全ての請負人は、ビル内の地下シェルターへ避難し、安全を確保してください。繰り返します―――】
どこからともなく鳴り響く、けたたましい警報音。それを皮切りに、ギリギリ辛うじて繋がっていた糸が、引き千切れる。
「な、なんだなんだあ!!」
「クソが!! どうしたら、どうすりゃいい!? 俺は何をしたらいいんだ!?」
「うわああああ!! 死ぬのは嫌だあ!! せめて童貞卒業させてくれええええ!!」
請負人たちの慟哭は、ロビー内を反響する警報音に勝るとも劣らない。気怠く肩を竦めるが、すぐに両頬を手で叩き、大きく息を吸い、目一杯に空気を取り込んだ。
「静まれええええええええ!!」
警報音が、一瞬だが掻き消えた。大の大人たちの慟哭すら鳴り止み、ほんのわずかな間だけ無音の世界が広がるが、すぐにまた警報音とアナウンスが鼓膜を弄り始める。
ロビーにいる請負人たちは、それでも尚無言だった。彼らが見つめるその先に、拳を壁に叩きつけた金髪の男。正門前で正々堂々、その圧倒的存在感を蜘蛛の巣状のヒビ割れで物語る。
「どうすりゃいい? アナウンスに従え! 死ぬのが嫌だ? なら黙って避難しろ! 童貞卒業? そんなもん全部終わってからやりやがれ!」
請負人たちの表情から焦燥が消え失せる。目の前に起こる意味不明な事態よりも、人外に片足突っ込みつつある監督官が放つ威嚇が、彼らの恐怖心を刺激したためだ。
「いいか? お前らは請負人だ。請負人が不測如きで怯えんな。任務なんざ予想外しか起きやしねぇ、今だってそうだ! 怯える暇があんなら手ェ動かせ、足動かせ! 脳味噌捻って考えろ、自分に今何ができて、何をすべきかを! その程度のこともロクにできねぇクソガキは、いますぐ退職手続きを済ませてこい!!」
有無は言わせない。誰も反論する気配なく、脂汗を垂らし固唾を飲むのみ。辺りを見渡す。意気揚々と首を縦に振った。
「よし。今から何をする?」
「「「避難であります!!」」」
「避難の心得ェ!!」
「「「押さない!!」」」
「「「走らない!!」」」
「「「喋らない!!」」」
「も、揉まない?」
「違ぇ! 喧嘩しない、だろ!」
「よし!! 分かったら行け!!」
「「「応ッ!!」」」
見通しが立ち、統率を取り戻した請負人たちの動きは迅速だった。音頭を取れる者が避難の後押しをし、体力のある者は緊急用の備蓄を確認、シェルターへ運搬する。
手が空いている者は順次点呼を自主的に行い、音頭を取っているリーダー格へ的確に報連相を済ませていく。
冷静さを取り戻した彼らに、監督官の出番はない。だが、仕事は残っている。
「さて、他の監督官と話し合うとしますか」
執務室へ戻ったレクは、ロビーから人がいなくなりただでさえ物静かな執務室が更に深い静寂に包まれた中で、執務机に深く腰かける。
応接のためのソファには、レクが来るのを待っていたのか。ソファの上で雑魚寝をかましていたであろう黒いポンチョを着た少女―――ブルー・ペグランタンが、ゆっくりと身を起こす。
「お前も参加しろよ」
「……やることあっから」
「そんなもん後にしろ」
「それはできねー」
「はあ?」
このバカ忙しいときに、彼女は何を言っているのだろう。
いつもぐうたらしているから想像しにくいかもしれないが、彼女もまた北支部の監督官だ。自分が監督官として全ての業務を仕切っているがゆえに大半の連中からは忘れ去られているが、むーさん込みの実力は自分を軽く凌いでいたりする。それに怠けている印象が強いが責任感は人並みにあり、一度請け負うと決めた仕事はきちんと最後までやり切ってくれる。
実力が足りず遂行不能になったり、単純にやる気がなくなったり等の様々な理由から事前相談なく任務を放棄する馬鹿野郎も少なくない中で、ブルーは中途放棄した任務は今のところ存在しない。むーさんに丸投げしたことで厳重注意を受けたことなら何度かあるが、その場合はむーさんが完璧に任務をこなすため、結局のところ本人がぐうたらしていようがいなかろうが、きちんと結果を出すことに変わりないのである。
だからこそ緊急任務時の対応だって怠ったことは一度もない奴だったのだが、今回はなんだろう。いつもより雰囲気が暗澹としているような、粘り気の強い邪気が、彼女の周りを漂っているように思えた。
「……それ、今じゃねぇとダメなのか」
静かに、首を縦に振る。アナウンスやアラートは支部ビル全体で鳴り響いている。仮に支部寮にいたとしても、状況を理解していないなんてことはないだろう。
それでもなお、彼女が今の状況を差しおいてやりたいこととは、なんなのか。少なくとも、ただ事ではあるまい。
「話すつもりは……ねぇ、か」
事情を聞こうとする意志は、彼女から放たれる邪気に阻まれる。
任務請負人は報連相を蔑ろにする奴がとにかく多い。それは機関則に報連相を必ず行わなければならないという記載がなく、蔑ろにしたところでペナルティも何も発生しないからだが、報連相を怠ったことによって困るのは、結果的にはお互いだ。
ゆえに新人研修では報告、連絡、相談はきちんとしろと教えている。請負官に昇進して責任ある立場に立ったとき、円滑に業務に励めるように。
今回だって事前相談もなく勝手な行動をしようとしているブルーを許せるかと問われたら、許せるわけがない。相手が同じポストだろうと関係なく、むしろ同じポストに就いているからこそ、報連相はきちんとするべきなのだ。
とはいえ厄介なのが、厳重注意してもあまり効果がないことだ。
彼女が請負人になってからというもの、雑魚寝癖は治る気配がない。今でも勤労意欲を持つように再三厳命しているものの、お金がなくなったら働くというスタンスは変わらず、監督官になった今でも怠惰な側面が根強い。だからこそ周囲から監督官であることが忘れ去られているのだが。
ともあれ変えるつもりがないと思っているところは、こっちがいくら指摘しても変わらない。無理に強いればむーさんの怒りを買い、周囲への被害を考えると採算が合わなくなってくる。今回もまた、そのパターンのようだった。
「説明はしろ」
「てーさつ」
「何の」
「そら」
「飛べねぇだろお前」
「むーちゃんにのる」
「そりゃむーさんに任せたらまあ……できんこたぁねぇだろうけどよ」
「とかく、そーゆーこったから。むーちゃんいるからだいじょーぶ」
納得するべきではないのだが、むーさんを盾にされると頷いてしまう自分がいるのが恨めしい。
むーさんの信頼は、北支部において絶大である。
むーさんだから。むーさんがいたら大丈夫。むーさんがいたら無問題。大体のことはむーさんに任せたら片付いてしまうため、むーさんを盾にすると北支部の面々は皆、いかなる無茶だろうと無条件に首を縦に振ってしまうのである。かくいう自分もむーさんならと納得してしまいがちで、むしろ一部の仕事を任せることもあるほどだ。あんまりやってはくれないが。
「それとも、あーしがしんよーできない?」
「いやそういうこたぁねぇが……」
「ならいかせてくれ。じゃまはしねーからさ」
首だけ振り返り、ほんのりの笑みを浮かべた。その表情に、虚をつかれる。
ブルーが笑うことは、滅多にない。大体は無表情か、眠たそうな顔をしているかの二択で、長い付き合いになるが笑ったところは数えるほどしか見たことがなかった。
久しぶりに見れて嬉しいはずなんだが、何故だろう。彼女の笑みからは、どことなく儚さが滲んでいる。今にも消えてしまいそうな、水面に浮かぶ水泡のような、泡沫の景色を呆然と眺めるときのような。
上手い例えが浮かばないが、頭の中に山積みにしていたタスクの存在を、一瞬だけ忘れてしまうほどに、思考の渦が完全にかき消えていた。
「……おい!」
タスクの山が崩れる音で、我に帰る。気がつくと、ブルーは執務室の自動扉まで移動していた。扉が開かれ、一歩前に進んだところでブルーが足を止める。
「……帰ってこいよ」
自分で言っていて、意味がわからなかった。
ブルーはただ偵察に行くだけ、口にわざわざ出さずとも、いずれは北支部に帰ってくる。それなのに、どうして念を押したのだろう。
勢いよく振り返る。黒いポンチョを勢いではためかせる姿は、身長の低さも相まって無邪気に映る。さっきまで纏っていた、全身から湧き出る妖気はどこへやら。その表情は屈託のない笑顔で彩られていた。
今思えば、引き留めるなら今この瞬間が最後のチャンスだったのだと思う。悔やんでも悔やんでも仕方がないが、いつだって失敗ばかり。
新人の請負人が実力を見誤って死んだときも、姉御が消息不明になったときも。今回だってそうだ。
こじつけでもなんでも言って、なんとしてでも引き留めていれば、未来は変わったかもしれない。今更嘆いてもたらればにしかならないが、監督官という役職はいつだって後悔が付きまとう。
もう何度目か分からない。反省はいくらしても、し足りない。手に入るなら、時間操作の能力が欲しい。あったなら、今頃。
自動扉が閉ざされる。運命が分岐した。
北支部監督官レク・ホーラン。``閃光``なんて呼ばれているが、実際は背負いきれないものを背負い、その度に選択を間違える、間抜けで哀れな脳筋野郎。ここぞってときに決められない、愚かで浅はかで、常に目の前のタスクで手一杯になってしまう仕事馬鹿。
だからこそ今回もまた―――選択肢を間違える。
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