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愚弟怨讐編 上
裏切りの神官
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「カイン……兄さん……何故……!?」
薄暗い木造の部屋の中で、カインと呼ばれた男が一人。
己よりも一回り小さい青年の首を、真綿で絞めるように強く握り締めていた。
青年の顔は息苦しさのあまり醜く歪む。しかしそれでも腰まで届く黒い長髪をなびかせる男はやめようとしない。むしろ彼が苦しみもがく姿に、愉悦さえ感じていた。
「これはすごい……お前のような強者ですら、こうも容易く……! すばらしい、実にすばらしい!」
男は相手の首を絞めているにもかかわらず、首を絞めて持ち上げている自分に歓喜していた。
青年は男の両腕を握り必死に呼吸しようともがき、足をばたつかせてなんとか振りほどこうとする。
だが男の腕力は、あまりに強すぎた。抵抗もむなしく、青年の唇は徐々に豊潤な赤色から、毒々しい紫色へと変わっていく。
「弟よ。この実の兄たるユダ・カイン・ツェペシュ・ドラクルからの、最初で最後の願いを聞いて欲しい」
男―――ユダ・カイン・ツェペシュ・ドラクルは唇を悪辣に吊り上げ、死に底ないとなろうとしている弟に、笑みをこぼす。
だがその笑みはもはや、人の笑顔ではない。悪魔が人から対価を奪い去るときに浮かべる、死の笑みそのものであった。
たとえ血の繋がった者であろうと殺す事に何のためらいもなく、人を殺めることに何も感じない。むしろ、圧倒的な力で殺せることに快感すら得ている。
男ユダに、もはや弟への愛情や、兄弟の絆など皆無であった。
ただただ圧倒的な力で首の骨をへし折れる。その圧倒的強者の愉悦こそが、今の彼を彼足らしめている。
死にかけの弟に、兄は言った。容赦なく、躊躇なく、ただひたすら平坦に、しかし明瞭に。
悪魔の微笑を浮かべながら、己が実の弟に叶えて欲しい最初で最後の願望を、楽しみながら口にしたのだった。
「死んでくれ」
「ユダ……! ユダ!!」
老人の声で我に帰る。
神父服に身を包む老人を囲っていた近衛を、邪魔だから殺すただそれだけと言わんばかりに、杖で殴り殺した。
彼らは目を血走らせて血反吐を噴き出し、前のめりに倒れる。薄暗い建物の床は鮮血で汚れ、血溜まりとなって服装を赤く染めた。
「貴様ぁ……! 裏切りおったな……!?」
老化によりくすんだ肌色としわくちゃな皺だらけの顔が、怒りと憎悪で激しく歪む。
老獪の前に同じく神父服を着た中年男性が一人。
「馬鹿め……今頃気づいたのか? 私はお前らのような、有象無象に成り果てた凡愚など、一度たりとも味方と思ったことはない」
若くもなく、しかし年老いてもいないその男は、血がべっとりとついた杖を片手に、真顔で老人も殴り殺す。
老人の頭部は、まるでざくろのように飛び散る。血を噴水の如く飛沫させながら、老人だったそれはよろけるようにぐしゃりと後ろへ倒れたのだった。
建物は教会。壁は白く、窓は少ない。天井にはロウソクの火がゆらゆらと揺れ、空間を薄暗く照らす。
蛍光灯ではないため部屋が暗く感じるが、教会であるという事実が、薄暗さから醸し出される神聖さを表現する。
中年男性は聖堂内を見渡した。
彼の視界に横たわるは、見るも無惨に惨殺された神官達。ある者は身体を焼かれ、ある者は身体が氷漬けに、ある者は溶けてなくなり、ある者はズタズタに引き裂かれ臓腑が飛び出している。
聖堂内を彩る神聖さとは裏腹に、辺りは血で汚れ、もはや教会としての神聖さは失われていた。天井から吊り下げられたロウソクの灯りが彩る明暗のコントラストが、ただただ聖堂内を薄気味悪く表している。
「佳霖様~。全員殺しましたよー」
聖堂の入り口から、白い学生服のようなもので身を包む茶髪の少年が現れた。学生服のようなものを真っ赤に染め、片手には血まみれのナイフをさげている。切っ先からは、ぽたぽたと真っ赤な雫が床を濡らしていた。
「よし。ではアレを取りに行くぞ」
イエッサー、と地獄絵図の如き惨状を目の当たりにしようと顔色一つ変える事のない少年、十寺興輝は、神父服を着こなす中年男性、流川佳霖とともに、老獪が座っていた聖堂の奥へと歩を進める。
「なけなしのヴァルヴァリオンを支える新設大教会の重鎮、``五大神官``も大した事なかったですね」
「所詮、時代の波に乗り遅れた過去の遺物の残滓だ。死んだところで大差ない」
佳霖はかつて同僚であった神官達を一瞥し、鼻で笑った。
五大神官。ヴァルヴァリオン法国跡集落を執政する新設大教会の最高幹部。と言えば大層な肩書きだが、言ってしまえばただの陰湿な宗教団体に成り下がった無能な魔術師の集まりである。
五大神官などという肩書きだけの立派な連中よりも、ここに来るまでの道中で出くわす魔生物の方が、命の危機を感じるほど強大な存在だ。
おそらくこの建物から外に出るだけの力すら無く、引きこもって竜神を崇め奉る程度の能しかないのだろう。
「だが無能な割に、保管している神器や設備は良質ときた。温室育ちの穀潰しには、勿体ない代物だ」
「まさに、私もそう思います。それで、今からその神器とやらの回収を?」
そうだ、と佳霖は答えた。
新設大教会に勤めていたのは、神器の在り処の下調べと無駄に良質な支給品を利用し、手渡された支部を己自身のアジトとして改造するためであった。
本来なら流川家からいくらか盗み取りたかったのだが、新設大教会の連中と違い、奴らは有能すぎた。
大戦時代、苦労して流川に潜り込んで手に入ったのは、今や欠陥だらけの甲型霊学迷彩のみ。流川家のどこかにあると言われる宝物庫や、分家派が有する科学技術の数々は、あまりに厳重に守られていたために手が出せなかった。
本音を語るなら、流川から何かを盗み取り自身の蓄えにするために潜り込んだものの、ほとんど実りのあるものは盗めなかったのは精神的にかなり効いた。
本家派の当主、流川澄会と結納を交わしたのは間違いだったとも言いたくなる。
澄会は力こそ強かったが、流川のほとんどの管理は、奴の兄が全て牛耳っていたのだ。
武力統一大戦時代まで本家の拠点であった、流川本家邸旧館の最深部にあるはずの、宝物庫や領地そのものを、高度な魔法トラップや殺人的性能を持つ魔生物で埋め尽くして守るなどと、誰が予想できよう。
その手のものには隙があって然るべきだが、流川は本当に隙がない。流石は二千年間、誰にも気取られず数多の勢力に戦勝してきただけはある。どれだけ模索しても近づくことすら叶わない対策など、よく編み出せたものだ。
結局、流川から宝物庫の武具や独自の科学技術を盗み取るのは諦め、あらかじめ下調べしていた大教会の神器で、己自身の強化を図る事にしたのだった。
「神器というからには強いんでしょうねぇ……現代的に言うならチート武器?」
「それは分からん。神器という呼び名はただの言い伝えだ。現代水準と比較した場合、ただの旧型モデルである可能性もある」
「佳霖様、この際その手のリアリズムな考えは置いときましょうよ。こーゆーのはロマンが大事でしょう?」
「理想だけで戦いには勝てんよ」
ですよねー、と十寺は頭に手を回し、空を仰いだ。
ヴァルヴァリオン法国には代々、大教会が守ってきたとされる神器が存在する。
はるか昔、竜人族の始祖が、竜人族の更なる繁栄を願い創造したと言い伝えられているもので、今まで誰も見たことのない幻の宝とされていた。
様々な文献を日夜読み漁り、大神父の監視を掻い潜って実地調査をしてきたところ、なんとその神器は、大教会の地下奥深くの宝物庫にしまってある事が、長年の根気強い調査で分かった。
この情報を入手できた時点で、新設大教会は用済みとなったわけである。強奪するにあたり、五大神官の存在と、五大神官の頭領である大神父の存在など、ただただ邪魔なだけだ。
「して佳霖様。神器とはどのようなものなんです?」
「一つは杖。名を天空竜杖エラドラヴォルグ。黄金色に輝く杖と言われ、それで魔法を行使すれば様々な天災を起こせると言われている」
「一つ、ということはもう一つもあるので?」
「もう一つは防具だ。頭から靴まで一式揃った防具。エラドルクという名だったか。様々な加護が付与されていると、伝記には書かれている」
「字面だけなら凄そうですね」
「だから分析するのだ。劣化や不足が顕著であれば、強化改修もできるやもしれんからな」
「神器を改造ですか。先祖代々守ってきた同族が泣きますよ~?」
「構わん。生き遅れの遺物に同情してやる必要はない」
佳霖の返答に、十寺はそれ以上何も言わなかった。すぐさま、話題を切り替えられる。
「しっかし分家派はやばいですねホント。迂闊にぷらぷら外回りもできませんよ」
「澄男の通っている学校に手下を送り込ませ襲撃させたからな。分家派は血眼になって私達を探している」
「基本的にどこにいても分家派の目があるんですよね。どうやって監視してるんだか」
「奴らは大陸上空に大量の衛星を打ちあげて情報を探査し、それを専用のデータベースに保存している。原則、奴らにはあらゆる情報が筒抜けだ」
ひぇー、と十寺は両手を上げる。
流川分家派の情報探査力は、一大先進国をもはるかに凌ぐ。
大陸に存在するほぼ全ての人間の個人情報と、世界情勢に関する全ての政治的情報を保有しているほどだ。
流川に在籍していたからこそ分かるが、彼らはそのデータベースを利用すれば、政府の要人から有象無象の一般人まで、様々な人間の身分を偽造でき、あらかじめ保持していた情報を利用して、世界情勢を裏から操作することもできてしまう。
実際、現代人類文明の九割以上の情報は機密情報のみならず、そのほとんどが流川によって盗み取られていると言っても過言ではない。
「でもですよ、そんな超絶技術、どうやって編み出してるんですかね。普通なら対策されてそうなもんでしょう?」
「したくてもできないのだよ。流川には情報戦の化物が控えているからな」
「情報戦の化物……?」
「さっきも言っただろう? 流川は世界のほとんどの情報をデータベースとして保存していると」
「はい。言ってましたね」
「そのデータベースを管理、運用している人間は当然いるわけだ」
「分家派の連中でしょ?」
「違うな。分家派は、精査された情報を利用しているにすぎない」
「えっ。じゃあ管理してる人は別にいるってことですか」
「ああ。本家派に一人、な」
十寺は目を丸くさせた。
この反応は想定内。ソイツの存在を知る者など、流川関係者以外、知る由もないのだから。
「でも待ってくださいよ。本家派は澄男ちゃん一人っ子ですよね。あれ、まだ久々さんご健在なんですか」
「公式には、な。だがその情報自体が、さっき言ったように``あらかじめ用意されていた情報``だとしたら?」
「じ、じゃあ……」
「流川澄男には、ただ一人の弟がいる。その弟が、現代人類文明のほとんどの情報……ビッグデータを支配しているのだ。名を、流川久三男」
久三男の姿が脳裏をかすめる。
もはや魔法という概念が理論化され、御伽噺の身技ではなくなった現代。``科学``と``魔法``の境界線は薄弱となり、遂には一つの概念として統一された。
魔法や魔術を行使するために必要な霊力は、それらを定式化した``科学``によって、世界の情報を保存するネットワークの一部として利用されている。
そのネットワークこそ、魔法や魔術という概念と、インターネットという概念を一体化させた``霊子ネット``と呼ばれるもの。今や何者も疑問に思う事なく使っている``霊子通信``を雛形にして発展させた情報技術の一種である。
``霊子ネット``を基軸とする現代情報化社会の根源は、武市に隣接して存在する巫市とするのが通説だが、それもまた分家派の情報操作によって、後付けされたものにすぎない。
本当の根源は、流川の本家。厳密には本家領に存在する``ラボターミナル``という地下研究施設である。
「つまり、その澄男ちゃんの弟ちゃんが、現代の情報化社会の管理者……?」
「そうだ。``霊子ネット``の全権管理者であると同時に、久々の技術を継承して今も発展させている設計者でもある」
十寺は口を開いたまま、佳霖を見つめる。
奴は根っからの引きこもりだった。自分に似て、外に出るよりも本を読んだり研究に勤しむタイプの人間。奴を見ていると、過去の自分の姿が何度も反芻された頃が懐かしい。
表向きは存在しない我が息子。しかし、その正体は今や魔法と科学が一体化した情報化社会の深層を牛耳る、情報の海の支配者。全ての情報、技術を支配し、その最先端をいく設計者にして究極の管理者である。
もはやそれは奴の存在自体が、文明のみならず、種族すらも絶滅させられる最強の軍隊そのものであると言っても過言ではないのだ。
「ゆえに現代人類文明は、流川の科学、魔法、情報、軍事。あらゆる分野における技術開発力を超えられない。我が息子、流川久三男がいる限り」
十寺は目をそらした。あまりに壮大で、奏でる言葉が思いつかなかったのだろう。
だが流川久三男は危険な存在だ。最初は奴を利用しようと画策したが、奴の精神はあまりに不安定な上、頭は自分以上に回るのだ。
開発力、発想力、創造力、思考力。その全てが、想定を遥かに超えている怪物。制御できない化物など、利用するに値しない。
澄会に学校へ無理矢理通わされたときは通学のストレスに対処するため、使用者が指定した任意の座標を、魔導式戦略爆撃機で精密爆撃させる腕時計型端末をたった数時間で作り上げて平然と持ち歩いていたくらいだ。
奴がその気になれば、一夜にして地図を書き換える大量破壊も容易いだろう。たった一声、腕時計型端末に命じるだけでいいのだから。
「そんな化物がいたんじゃ、私達の邪魔になるのでは?」
十寺はおそるおそる問いかける。佳霖は唇を吊り上げた。
「だからこそ澄男がいるのだよ。奴には此度、第二段階目の実験を受けてもらう」
「……もしや。兄弟で殺し合わせる、と?」
「奴はゼヴルエーレの力を全て引き出した。つまり、今の澄男は久三男に抵抗しうる力を理論上は持っている状態にある」
ふむふむ、と十寺は相槌をうつ。
久三男の持つ技術力は、奴一人で一文明を淘汰する軍隊にすら匹敵する。
だが澄男は、ゼヴルエーレの持つ全ての力をその手に治めた。つまり奴もまた、一文明を抹消できる力を持ち合わせている事になるのだ。
理論上ならば、澄男が久三男に負けることはない。むしろ、単体の戦闘能力では澄男の方に軍配があがる。
澄男が久三男の対抗策になりうるか実験し、合格点に達すれば良し。あわよくば澄男が久三男を殺してくれれば、都合の悪い存在が消えてくれてなお良し。
まさに、一石二鳥の人体実験である。
「佳霖様はほんとにお人が悪い。全人類を人質にとるだけでなく、実の息子達を殺し合わせるなんて」
「殺し合わせるとは人聞きが悪いぞ? ただ世界最強のモルモット同士を戦わせ、性能を測定する。それだけの事だ」
「知ってます? 世間一般に、人間を物扱いするのは重大な人権侵害に当るらしいですよ?」
「俗世でしか生きられぬ有象無象の凡愚が掲げる理屈だな。人間など、言の葉を奏で思想を持てる程度に進化しただけの知的動物でしかないというのに、哀れなものよ」
「そうですよね~。人間なんて言ってしまえば言葉が話せてちょーっとものを考えられるだけの動物ですもん。人権侵害とか吹聴してる馬鹿はクソでも食ってればいいんですよ」
朗らかに笑う二人。地下へ降りる螺旋階段しか空間に、彼らの笑い声が反響する。
大教会の地下は奥深い。竜神を崇め、その恩恵を授かり、実りを与えるなどと吹聴してはいるが、実際はこの地下に有用な資源を独占し、保管しているにすぎないのだ。
もはや教会に属する神官どもにとって、教会の外に住んでいる同族にすら関心が無い。かくいう自分も、どうなろうと興味は無いのだが。
死ぬべき無能は大地に還るべきであるし、使える有能はとことん重宝するべきだ。大教会の無能神官どもを皆殺しにした今、ここに保管されている全ての資源も略奪するつもりである。
「でも澄男ちゃんと弟ちゃん、戦うでしょうかね。そんなに都合良く」
十寺は首を傾げながら問いかけた。
澄男と久三男は兄弟だ。曲がりなりにも、温情というべきか、絆という概念がある。誰も、何の理由もなく殺し合おうとは思わないものである。
佳霖は足を止め、その場で立ち止まった。十寺は怪訝な表情を浮かべるが、佳霖はゆっくりと十寺へ振り向く。
濁りに濁りきった暗澹とした瞳と、悪辣に歪めた唇も添えて。
「案ずることはない。奴の弟には、私の……ドラクルの血が色濃く流れている。必ず殺り合うさ。かつて、私が実の弟を殺したようにな」
ははは、と十寺は作り笑いを浮かべた。
どうやらまた薄汚い過去を語る癖が出たらしい。十寺はこの手の話をしても不快がらないから口が滑ってしまう。話したところで、特にコイツが虚しさを満たしてくれるわけでもないのだが。
気を取り直して佳霖と十寺は、地下の奥深くへ続く螺旋階段をゆっくりと降りていく。
周りが石塀で囲われているせいか、足音の反響は暗い。誰もいなくなった大聖堂の地下室に、光り輝くそれらを垣間見るまでは―――。
薄暗い木造の部屋の中で、カインと呼ばれた男が一人。
己よりも一回り小さい青年の首を、真綿で絞めるように強く握り締めていた。
青年の顔は息苦しさのあまり醜く歪む。しかしそれでも腰まで届く黒い長髪をなびかせる男はやめようとしない。むしろ彼が苦しみもがく姿に、愉悦さえ感じていた。
「これはすごい……お前のような強者ですら、こうも容易く……! すばらしい、実にすばらしい!」
男は相手の首を絞めているにもかかわらず、首を絞めて持ち上げている自分に歓喜していた。
青年は男の両腕を握り必死に呼吸しようともがき、足をばたつかせてなんとか振りほどこうとする。
だが男の腕力は、あまりに強すぎた。抵抗もむなしく、青年の唇は徐々に豊潤な赤色から、毒々しい紫色へと変わっていく。
「弟よ。この実の兄たるユダ・カイン・ツェペシュ・ドラクルからの、最初で最後の願いを聞いて欲しい」
男―――ユダ・カイン・ツェペシュ・ドラクルは唇を悪辣に吊り上げ、死に底ないとなろうとしている弟に、笑みをこぼす。
だがその笑みはもはや、人の笑顔ではない。悪魔が人から対価を奪い去るときに浮かべる、死の笑みそのものであった。
たとえ血の繋がった者であろうと殺す事に何のためらいもなく、人を殺めることに何も感じない。むしろ、圧倒的な力で殺せることに快感すら得ている。
男ユダに、もはや弟への愛情や、兄弟の絆など皆無であった。
ただただ圧倒的な力で首の骨をへし折れる。その圧倒的強者の愉悦こそが、今の彼を彼足らしめている。
死にかけの弟に、兄は言った。容赦なく、躊躇なく、ただひたすら平坦に、しかし明瞭に。
悪魔の微笑を浮かべながら、己が実の弟に叶えて欲しい最初で最後の願望を、楽しみながら口にしたのだった。
「死んでくれ」
「ユダ……! ユダ!!」
老人の声で我に帰る。
神父服に身を包む老人を囲っていた近衛を、邪魔だから殺すただそれだけと言わんばかりに、杖で殴り殺した。
彼らは目を血走らせて血反吐を噴き出し、前のめりに倒れる。薄暗い建物の床は鮮血で汚れ、血溜まりとなって服装を赤く染めた。
「貴様ぁ……! 裏切りおったな……!?」
老化によりくすんだ肌色としわくちゃな皺だらけの顔が、怒りと憎悪で激しく歪む。
老獪の前に同じく神父服を着た中年男性が一人。
「馬鹿め……今頃気づいたのか? 私はお前らのような、有象無象に成り果てた凡愚など、一度たりとも味方と思ったことはない」
若くもなく、しかし年老いてもいないその男は、血がべっとりとついた杖を片手に、真顔で老人も殴り殺す。
老人の頭部は、まるでざくろのように飛び散る。血を噴水の如く飛沫させながら、老人だったそれはよろけるようにぐしゃりと後ろへ倒れたのだった。
建物は教会。壁は白く、窓は少ない。天井にはロウソクの火がゆらゆらと揺れ、空間を薄暗く照らす。
蛍光灯ではないため部屋が暗く感じるが、教会であるという事実が、薄暗さから醸し出される神聖さを表現する。
中年男性は聖堂内を見渡した。
彼の視界に横たわるは、見るも無惨に惨殺された神官達。ある者は身体を焼かれ、ある者は身体が氷漬けに、ある者は溶けてなくなり、ある者はズタズタに引き裂かれ臓腑が飛び出している。
聖堂内を彩る神聖さとは裏腹に、辺りは血で汚れ、もはや教会としての神聖さは失われていた。天井から吊り下げられたロウソクの灯りが彩る明暗のコントラストが、ただただ聖堂内を薄気味悪く表している。
「佳霖様~。全員殺しましたよー」
聖堂の入り口から、白い学生服のようなもので身を包む茶髪の少年が現れた。学生服のようなものを真っ赤に染め、片手には血まみれのナイフをさげている。切っ先からは、ぽたぽたと真っ赤な雫が床を濡らしていた。
「よし。ではアレを取りに行くぞ」
イエッサー、と地獄絵図の如き惨状を目の当たりにしようと顔色一つ変える事のない少年、十寺興輝は、神父服を着こなす中年男性、流川佳霖とともに、老獪が座っていた聖堂の奥へと歩を進める。
「なけなしのヴァルヴァリオンを支える新設大教会の重鎮、``五大神官``も大した事なかったですね」
「所詮、時代の波に乗り遅れた過去の遺物の残滓だ。死んだところで大差ない」
佳霖はかつて同僚であった神官達を一瞥し、鼻で笑った。
五大神官。ヴァルヴァリオン法国跡集落を執政する新設大教会の最高幹部。と言えば大層な肩書きだが、言ってしまえばただの陰湿な宗教団体に成り下がった無能な魔術師の集まりである。
五大神官などという肩書きだけの立派な連中よりも、ここに来るまでの道中で出くわす魔生物の方が、命の危機を感じるほど強大な存在だ。
おそらくこの建物から外に出るだけの力すら無く、引きこもって竜神を崇め奉る程度の能しかないのだろう。
「だが無能な割に、保管している神器や設備は良質ときた。温室育ちの穀潰しには、勿体ない代物だ」
「まさに、私もそう思います。それで、今からその神器とやらの回収を?」
そうだ、と佳霖は答えた。
新設大教会に勤めていたのは、神器の在り処の下調べと無駄に良質な支給品を利用し、手渡された支部を己自身のアジトとして改造するためであった。
本来なら流川家からいくらか盗み取りたかったのだが、新設大教会の連中と違い、奴らは有能すぎた。
大戦時代、苦労して流川に潜り込んで手に入ったのは、今や欠陥だらけの甲型霊学迷彩のみ。流川家のどこかにあると言われる宝物庫や、分家派が有する科学技術の数々は、あまりに厳重に守られていたために手が出せなかった。
本音を語るなら、流川から何かを盗み取り自身の蓄えにするために潜り込んだものの、ほとんど実りのあるものは盗めなかったのは精神的にかなり効いた。
本家派の当主、流川澄会と結納を交わしたのは間違いだったとも言いたくなる。
澄会は力こそ強かったが、流川のほとんどの管理は、奴の兄が全て牛耳っていたのだ。
武力統一大戦時代まで本家の拠点であった、流川本家邸旧館の最深部にあるはずの、宝物庫や領地そのものを、高度な魔法トラップや殺人的性能を持つ魔生物で埋め尽くして守るなどと、誰が予想できよう。
その手のものには隙があって然るべきだが、流川は本当に隙がない。流石は二千年間、誰にも気取られず数多の勢力に戦勝してきただけはある。どれだけ模索しても近づくことすら叶わない対策など、よく編み出せたものだ。
結局、流川から宝物庫の武具や独自の科学技術を盗み取るのは諦め、あらかじめ下調べしていた大教会の神器で、己自身の強化を図る事にしたのだった。
「神器というからには強いんでしょうねぇ……現代的に言うならチート武器?」
「それは分からん。神器という呼び名はただの言い伝えだ。現代水準と比較した場合、ただの旧型モデルである可能性もある」
「佳霖様、この際その手のリアリズムな考えは置いときましょうよ。こーゆーのはロマンが大事でしょう?」
「理想だけで戦いには勝てんよ」
ですよねー、と十寺は頭に手を回し、空を仰いだ。
ヴァルヴァリオン法国には代々、大教会が守ってきたとされる神器が存在する。
はるか昔、竜人族の始祖が、竜人族の更なる繁栄を願い創造したと言い伝えられているもので、今まで誰も見たことのない幻の宝とされていた。
様々な文献を日夜読み漁り、大神父の監視を掻い潜って実地調査をしてきたところ、なんとその神器は、大教会の地下奥深くの宝物庫にしまってある事が、長年の根気強い調査で分かった。
この情報を入手できた時点で、新設大教会は用済みとなったわけである。強奪するにあたり、五大神官の存在と、五大神官の頭領である大神父の存在など、ただただ邪魔なだけだ。
「して佳霖様。神器とはどのようなものなんです?」
「一つは杖。名を天空竜杖エラドラヴォルグ。黄金色に輝く杖と言われ、それで魔法を行使すれば様々な天災を起こせると言われている」
「一つ、ということはもう一つもあるので?」
「もう一つは防具だ。頭から靴まで一式揃った防具。エラドルクという名だったか。様々な加護が付与されていると、伝記には書かれている」
「字面だけなら凄そうですね」
「だから分析するのだ。劣化や不足が顕著であれば、強化改修もできるやもしれんからな」
「神器を改造ですか。先祖代々守ってきた同族が泣きますよ~?」
「構わん。生き遅れの遺物に同情してやる必要はない」
佳霖の返答に、十寺はそれ以上何も言わなかった。すぐさま、話題を切り替えられる。
「しっかし分家派はやばいですねホント。迂闊にぷらぷら外回りもできませんよ」
「澄男の通っている学校に手下を送り込ませ襲撃させたからな。分家派は血眼になって私達を探している」
「基本的にどこにいても分家派の目があるんですよね。どうやって監視してるんだか」
「奴らは大陸上空に大量の衛星を打ちあげて情報を探査し、それを専用のデータベースに保存している。原則、奴らにはあらゆる情報が筒抜けだ」
ひぇー、と十寺は両手を上げる。
流川分家派の情報探査力は、一大先進国をもはるかに凌ぐ。
大陸に存在するほぼ全ての人間の個人情報と、世界情勢に関する全ての政治的情報を保有しているほどだ。
流川に在籍していたからこそ分かるが、彼らはそのデータベースを利用すれば、政府の要人から有象無象の一般人まで、様々な人間の身分を偽造でき、あらかじめ保持していた情報を利用して、世界情勢を裏から操作することもできてしまう。
実際、現代人類文明の九割以上の情報は機密情報のみならず、そのほとんどが流川によって盗み取られていると言っても過言ではない。
「でもですよ、そんな超絶技術、どうやって編み出してるんですかね。普通なら対策されてそうなもんでしょう?」
「したくてもできないのだよ。流川には情報戦の化物が控えているからな」
「情報戦の化物……?」
「さっきも言っただろう? 流川は世界のほとんどの情報をデータベースとして保存していると」
「はい。言ってましたね」
「そのデータベースを管理、運用している人間は当然いるわけだ」
「分家派の連中でしょ?」
「違うな。分家派は、精査された情報を利用しているにすぎない」
「えっ。じゃあ管理してる人は別にいるってことですか」
「ああ。本家派に一人、な」
十寺は目を丸くさせた。
この反応は想定内。ソイツの存在を知る者など、流川関係者以外、知る由もないのだから。
「でも待ってくださいよ。本家派は澄男ちゃん一人っ子ですよね。あれ、まだ久々さんご健在なんですか」
「公式には、な。だがその情報自体が、さっき言ったように``あらかじめ用意されていた情報``だとしたら?」
「じ、じゃあ……」
「流川澄男には、ただ一人の弟がいる。その弟が、現代人類文明のほとんどの情報……ビッグデータを支配しているのだ。名を、流川久三男」
久三男の姿が脳裏をかすめる。
もはや魔法という概念が理論化され、御伽噺の身技ではなくなった現代。``科学``と``魔法``の境界線は薄弱となり、遂には一つの概念として統一された。
魔法や魔術を行使するために必要な霊力は、それらを定式化した``科学``によって、世界の情報を保存するネットワークの一部として利用されている。
そのネットワークこそ、魔法や魔術という概念と、インターネットという概念を一体化させた``霊子ネット``と呼ばれるもの。今や何者も疑問に思う事なく使っている``霊子通信``を雛形にして発展させた情報技術の一種である。
``霊子ネット``を基軸とする現代情報化社会の根源は、武市に隣接して存在する巫市とするのが通説だが、それもまた分家派の情報操作によって、後付けされたものにすぎない。
本当の根源は、流川の本家。厳密には本家領に存在する``ラボターミナル``という地下研究施設である。
「つまり、その澄男ちゃんの弟ちゃんが、現代の情報化社会の管理者……?」
「そうだ。``霊子ネット``の全権管理者であると同時に、久々の技術を継承して今も発展させている設計者でもある」
十寺は口を開いたまま、佳霖を見つめる。
奴は根っからの引きこもりだった。自分に似て、外に出るよりも本を読んだり研究に勤しむタイプの人間。奴を見ていると、過去の自分の姿が何度も反芻された頃が懐かしい。
表向きは存在しない我が息子。しかし、その正体は今や魔法と科学が一体化した情報化社会の深層を牛耳る、情報の海の支配者。全ての情報、技術を支配し、その最先端をいく設計者にして究極の管理者である。
もはやそれは奴の存在自体が、文明のみならず、種族すらも絶滅させられる最強の軍隊そのものであると言っても過言ではないのだ。
「ゆえに現代人類文明は、流川の科学、魔法、情報、軍事。あらゆる分野における技術開発力を超えられない。我が息子、流川久三男がいる限り」
十寺は目をそらした。あまりに壮大で、奏でる言葉が思いつかなかったのだろう。
だが流川久三男は危険な存在だ。最初は奴を利用しようと画策したが、奴の精神はあまりに不安定な上、頭は自分以上に回るのだ。
開発力、発想力、創造力、思考力。その全てが、想定を遥かに超えている怪物。制御できない化物など、利用するに値しない。
澄会に学校へ無理矢理通わされたときは通学のストレスに対処するため、使用者が指定した任意の座標を、魔導式戦略爆撃機で精密爆撃させる腕時計型端末をたった数時間で作り上げて平然と持ち歩いていたくらいだ。
奴がその気になれば、一夜にして地図を書き換える大量破壊も容易いだろう。たった一声、腕時計型端末に命じるだけでいいのだから。
「そんな化物がいたんじゃ、私達の邪魔になるのでは?」
十寺はおそるおそる問いかける。佳霖は唇を吊り上げた。
「だからこそ澄男がいるのだよ。奴には此度、第二段階目の実験を受けてもらう」
「……もしや。兄弟で殺し合わせる、と?」
「奴はゼヴルエーレの力を全て引き出した。つまり、今の澄男は久三男に抵抗しうる力を理論上は持っている状態にある」
ふむふむ、と十寺は相槌をうつ。
久三男の持つ技術力は、奴一人で一文明を淘汰する軍隊にすら匹敵する。
だが澄男は、ゼヴルエーレの持つ全ての力をその手に治めた。つまり奴もまた、一文明を抹消できる力を持ち合わせている事になるのだ。
理論上ならば、澄男が久三男に負けることはない。むしろ、単体の戦闘能力では澄男の方に軍配があがる。
澄男が久三男の対抗策になりうるか実験し、合格点に達すれば良し。あわよくば澄男が久三男を殺してくれれば、都合の悪い存在が消えてくれてなお良し。
まさに、一石二鳥の人体実験である。
「佳霖様はほんとにお人が悪い。全人類を人質にとるだけでなく、実の息子達を殺し合わせるなんて」
「殺し合わせるとは人聞きが悪いぞ? ただ世界最強のモルモット同士を戦わせ、性能を測定する。それだけの事だ」
「知ってます? 世間一般に、人間を物扱いするのは重大な人権侵害に当るらしいですよ?」
「俗世でしか生きられぬ有象無象の凡愚が掲げる理屈だな。人間など、言の葉を奏で思想を持てる程度に進化しただけの知的動物でしかないというのに、哀れなものよ」
「そうですよね~。人間なんて言ってしまえば言葉が話せてちょーっとものを考えられるだけの動物ですもん。人権侵害とか吹聴してる馬鹿はクソでも食ってればいいんですよ」
朗らかに笑う二人。地下へ降りる螺旋階段しか空間に、彼らの笑い声が反響する。
大教会の地下は奥深い。竜神を崇め、その恩恵を授かり、実りを与えるなどと吹聴してはいるが、実際はこの地下に有用な資源を独占し、保管しているにすぎないのだ。
もはや教会に属する神官どもにとって、教会の外に住んでいる同族にすら関心が無い。かくいう自分も、どうなろうと興味は無いのだが。
死ぬべき無能は大地に還るべきであるし、使える有能はとことん重宝するべきだ。大教会の無能神官どもを皆殺しにした今、ここに保管されている全ての資源も略奪するつもりである。
「でも澄男ちゃんと弟ちゃん、戦うでしょうかね。そんなに都合良く」
十寺は首を傾げながら問いかけた。
澄男と久三男は兄弟だ。曲がりなりにも、温情というべきか、絆という概念がある。誰も、何の理由もなく殺し合おうとは思わないものである。
佳霖は足を止め、その場で立ち止まった。十寺は怪訝な表情を浮かべるが、佳霖はゆっくりと十寺へ振り向く。
濁りに濁りきった暗澹とした瞳と、悪辣に歪めた唇も添えて。
「案ずることはない。奴の弟には、私の……ドラクルの血が色濃く流れている。必ず殺り合うさ。かつて、私が実の弟を殺したようにな」
ははは、と十寺は作り笑いを浮かべた。
どうやらまた薄汚い過去を語る癖が出たらしい。十寺はこの手の話をしても不快がらないから口が滑ってしまう。話したところで、特にコイツが虚しさを満たしてくれるわけでもないのだが。
気を取り直して佳霖と十寺は、地下の奥深くへ続く螺旋階段をゆっくりと降りていく。
周りが石塀で囲われているせいか、足音の反響は暗い。誰もいなくなった大聖堂の地下室に、光り輝くそれらを垣間見るまでは―――。
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