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第1章 芥川龍之介
河童(1)自活か自殺か
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和歌一首…我が歌集宣伝⑤河童
自殺して河童の国に転生しパロディ現(うつつ)…シニカルならぬ
詞書:「河童」は芥川晩年の頃の作品。主人公は精神病院に隔離中の患者…という設定が意味深です。つまりこれは、この小説の執筆時に彼が自分の精神の錯乱ぶりを隠そうとしていなかったということです。むしろその錯乱自体が彼の人生と(執筆した数々の)小説へのシビアな問い掛け、最終的な、シビアな詰問となっているのです。ではまず、作品より抜粋した以下の問答を挙げてみましょう。そこでは芥川自身に見立てた河童の詩人トツク君が〝詩人として疲れていた〟がために「いざ、立ちて行かん。娑婆界を隔つる谷へ。岩むらはこごしく、やま水は清く、薬草の花はにほへる谷へ」というゲーテの『ミニヨンの歌』を遺書代わりに残してピストル自殺をしてのけた次第となっています。で、そのあとこの自殺したトック君の霊に河童界の心霊学協会なる面々が色々と質問をしている…。
問「心霊諸君の生活(注:つまり死後の世界)は如何?」
答「諸君の生活と異ること無し」
問「然らば君は君自身の自殺せしを後悔するや?」
答「必しも後悔せず。予は心霊的生活に倦まば、更にピストルを取りて自活(注:自殺ではなく自活となっています)すべし」
問「自活するは容易なりや否や?」
トツク君の心霊はこの問に答ふるに更に問を以てしたり。こはトツク君を知れるものには頗(すこぶ)る自然なる応酬なるべし。
答「自殺するは容易なりや否や?」
【Pixabay, OpenClipart-Vectorさんの作品 ↓】
自殺して河童の国に転生しパロディ現(うつつ)…シニカルならぬ
詞書:「河童」は芥川晩年の頃の作品。主人公は精神病院に隔離中の患者…という設定が意味深です。つまりこれは、この小説の執筆時に彼が自分の精神の錯乱ぶりを隠そうとしていなかったということです。むしろその錯乱自体が彼の人生と(執筆した数々の)小説へのシビアな問い掛け、最終的な、シビアな詰問となっているのです。ではまず、作品より抜粋した以下の問答を挙げてみましょう。そこでは芥川自身に見立てた河童の詩人トツク君が〝詩人として疲れていた〟がために「いざ、立ちて行かん。娑婆界を隔つる谷へ。岩むらはこごしく、やま水は清く、薬草の花はにほへる谷へ」というゲーテの『ミニヨンの歌』を遺書代わりに残してピストル自殺をしてのけた次第となっています。で、そのあとこの自殺したトック君の霊に河童界の心霊学協会なる面々が色々と質問をしている…。
問「心霊諸君の生活(注:つまり死後の世界)は如何?」
答「諸君の生活と異ること無し」
問「然らば君は君自身の自殺せしを後悔するや?」
答「必しも後悔せず。予は心霊的生活に倦まば、更にピストルを取りて自活(注:自殺ではなく自活となっています)すべし」
問「自活するは容易なりや否や?」
トツク君の心霊はこの問に答ふるに更に問を以てしたり。こはトツク君を知れるものには頗(すこぶ)る自然なる応酬なるべし。
答「自殺するは容易なりや否や?」
【Pixabay, OpenClipart-Vectorさんの作品 ↓】
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