多谷昇太

多谷昇太

「小説は面白くなければならない。それが執筆者に課された使命である」というSF小説家、故・平井和正先生の言葉をモットーに毎日執筆に励んでおります。因みにツイッターでは写楽呆介と名乗っています。
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冒頭の総歌(この歌集を総合的に、代表して表すという意味で私が命名した)に謳ったように、人は風であるべきでないかと、そう思いつつ、また念じつつ、この歌集の題名としてすえました。ある現代の聖人の言葉で「よどんだ空気を一掃するかのように、谷に野に、一陣の風が吹き抜けて行く」というものがあります。私の好きな文句で、従ってこのような趣旨のもとに総歌を一首ひねった分けです。しかし不徳の身のいたりで清新な風であるべきものが、どうかすると(と云うかむしろ概ね)鬱屈し、よどんだ空気になってしまいがちなのです。それでもいつかは爽やかな風となって、人に清新な思いを持っていただきたく、またそう生きたいものと念じながら、以下に種々の和歌を綴ってまいります。能うるなら彼の有名な詩(そして歌)である「千の風になって」のような歌風に昇華したいのですが…いやいやどうして、なかなか現実は厳しいです。^_^ しかしとにかく折々のあざなう苦楽の縄につけて、本音で詠んでおりますので読むには面白いだろうと自負しております。では以下何章にも分けた長いものとなっておりますので、どうぞ腰を据えてお付き合いのほどを宜しくお願い申し上げます。
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小説 14,933 位 / 99,895件 エッセイ・ノンフィクション 193 位 / 3,527件
文字数 24,568 最終更新日 2021.04.16 登録日 2021.03.01
青春 連載中 短編
これは一言で云ってしまえば「青春小説」です。大人のネット小説である当アルファポリスには不向き?と思いましたが、この小説は別趣「プラトニック・ラブ小説」の要素もあり、僭越ながら常々私はもし最たる官能小説があるとするならば、それはSEXの四十八手をひたすら追求描写するよりも、ピュアな、それこそキス一つの場面さえない、互いの互いに対する心模様と何気ない行為を、丹念に描写するに限る…と思っているのです。ですから当小説には強弁にはなりますが確かにそのプラトニック・ラブの要素もありますので、読むに不向きと仰らずに、どうかご一読のほどをお願い申し上げます。作者・多谷昇太より。
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小説 16,445 位 / 99,895件 青春 174 位 / 3,932件
文字数 34,236 最終更新日 2021.04.11 登録日 2020.08.26
大衆娯楽 連載中 短編 R18
渋谷宇田川町の一画、路地裏の通りに5坪ほどの小さなバーを偶然見つけたフリーライターの田村淳二。バー・アンバーと入口の扉の上にレタリング文字で記されただけの、何のデコレイトもされていない殺風景な店構え。正面にも側面にも窓ひとつない。廃店したバー?とも見える。『アンバー?イエローアンバーか。絵描きが肌色に使う一番自然な色だな。ふん、なんか面白いな…』などと心中でモノローグし、同時に『しかしこんな殺風景な店じゃあ、さぞや生活苦の滲んだ年増のママが待ち受けていることだろうさ。ふふ、ま、それもいいけどな…』とも独白するのだった。しかしそこへ開店のために表れた女はファッションセンスのある、存外に若い女で、のみならず摩訶不思議としか云いいようのない表情を浮かべた、実にイイ女である。開錠したドアを開けてふり向いた女はこのあと田村に〝魔法〟をかけ…アンバーな世界へと彼を誘うのだった。アンバーな世界とは自然?それとも原点…?以降お楽しみください。
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小説 99,895 位 / 99,895件 大衆娯楽 3,057 位 / 3,057件
文字数 10,232 最終更新日 2020.12.27 登録日 2020.10.25
あるエッセーで「わたしは結婚しない。男に家庭に社会に(女とはかくあるべしと決めつける社会に)縛られ、決めつけられたくはない。わたしは100%、自分自身を生き抜く。生き抜いてみせる。これだけのことをこうしてエッセーで云ったからには、それだけの‘覚悟’がある。わ、た、し、は、結婚しない!」というちょっと眉に唾つけて見なければ信じられないほどの、すさまじい覚悟を述べた方がおられました。ご自分の写真付きでしたが、その写真を拝見してなおびっくり。髪の毛を長く伸ばした(お世辞ではなく)超美人だったからです。年令は28くらいだったかと記憶していますが定かではありません。1990年前後のことでした。これに感心のあまり書こうと思い立ったのがこの拙著「ぜフィルス、結婚は嫌よ」でした。ゼフィルスとは彼の巨匠手治虫先生の作品「ゼフィルス」から名をお借りしたのです。御作品では(男への)復讐の女神ゼフィルスということでしたが。とにかく、この端倪すべかざる女性をエッセーで知って思い立った作品です。先に一度(ラジオ)シナリオにしてNHKの公募に応募したのですが力たらずに入選しませんでした。今回20年近くを経てあらためて小説にしてみようと思い立ちました。主人公の名前は惑香、エッセーの主のようにできるだけ美しいイメージを出そうとして考えた名前です。作中にも記しましたが「みずからの美しさにと惑う」ほどの美貌の主ということです。その美しさは単に外形のみならず…? どうぞ作品内でご確認ください。手前味噌ですがラストは(たぶん)感動的だと思いますのでぜひどうぞ。
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小説 99,895 位 / 99,895件 ミステリー 2,420 位 / 2,420件
文字数 11,163 最終更新日 2020.10.08 登録日 2020.10.06
これは既発表の「渋谷少女Aーイントロダクション」の続編です。霊界の東京から現実の東京に舞台を移しての新たな展開…田中茂平は69才になっていますが現世に復帰したA子とB子は果してあのまま…つまり高校生のままなのでしょうか?以降ざっと筋を述べたいのですがしかし叶いません。なぜか。前作でもそうですが実は私自身が楽しみながら創作をしているので都度の閃きに任せるしかないのです。唯今回も見た夢から物語は始まりました。シャンソン歌手の故・中原美佐緒嬢の歌「河は呼んでいる」、♬〜デュランス河の 流れのように 小鹿のような その足で 駈けろよ 駈けろ かわいいオルタンスよ 小鳥のように いつも自由に〜♬ この歌に感応したような夢を見たのです。そしてこの歌詞内の「オルタンス」を「A子」として構想はみるみる内に広がって行きました…。
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小説 99,895 位 / 99,895件 現代文学 5,224 位 / 5,224件
文字数 11,088 最終更新日 2020.09.28 登録日 2020.08.07
一葉恋慕(大森での邂逅編)」の続きです。こんどは私が明治時代にワープして来ました。一葉さんや母おたきさん、妹邦子さんがどう暮らしてらっしゃるのか…のぞき根性で拝見しに行って来ました…などと、冗談ですが、とにかく一葉女史の本懐に迫りたくて女史の往時を描いてみようと思ったのです。こんどは前回の「私」こと車上生活者は登場しませんのでご安心を。ただ、このシリーズのラストのラストに、思わぬ形で「私」と大森での邂逅を描いては見せますので、その折り、その有りさまをどうかご確認なさってください。では明治の世をお楽しみください。著者多谷昇太より。
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小説 99,895 位 / 99,895件 現代文学 5,224 位 / 5,224件
文字数 18,677 最終更新日 2020.09.23 登録日 2020.08.02
 平安時代の昔、あの絶大な権力者だった平清盛に囲われた白拍子がいました。名は祇王。白拍子とは今で云えば芸能人となるでしょうか。いまの芸能人たちはステータスシンボルであり、万人の憧れの的ですが、昔の白拍子たちは必ずしもそうではありません。権力者やお金持ちに囲われれば天国ともなりましょうが、飽きられて捨てられたら一転地獄となってしまいかねなかったのです。住む家もなく、野山に庵を建てて住まうことともなったことでしょう。実は他ならぬこの祇王もそうだったのです。自分の妹分だったのでしょうか仏午前というもうひとりの白拍子を清盛に紹介し、自分と同じように取り立ててもらったのですが、清盛はやがてその仏午前ばかりを重用するようになり、祇王は捨てられてしまいます。ひとりわびしく野山に庵住まいをする祇王。ところが…年を経てからこんどはその仏午前も捨てられてしまい、ほかに行く当てもなかったのでしょう、ふたたび姉貴分だった祇王を庵にたずねてまいります。祇王は彼女をやさしく迎えたと思われます。そう云うのには祇王が残した和歌が今に残っているからです。「もえいずるも枯るるも同じ野べの草いづれか秋にあはではつべき」なる一歌。しょせんわたしたちは野べの草、過去は一時の夢とあきらめて、朽ち果てるまでここで仲良く暮らしましょうとでもするようなこの歌にそれが読み取れましょう。さて、実はこの逸話に加えていまひとつ私はこの小説に主題を添えてみたい。それは「シャーロットの女」というイギリスの画家ウォーターハウスが描いた絵の主題をぜひここに入れてみたいのです。それについてはあとのお楽しみ、祇王の逸話とともにどうぞ小説内で存分にご堪能ご確認ください。さあ、ではどうぞ。小説の世界へ。
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小説 99,895 位 / 99,895件 ライト文芸 4,319 位 / 4,319件
文字数 7,343 最終更新日 2020.09.14 登録日 2020.09.14
青春 連載中 長編
私が19才の頃から25才辺りのことを記した、約2年に及んだ海外放浪生活をメインとする自伝的、いや自省的な小説です。作中詩編をいくつも編入しています。というのも私は詩人をも自称していますので…。1970年代頃のヨーロッパに於ける日本人ボヘミアンたちの生態をも実態に即して紹介していますのでお楽しみに。ところで、いま私はすでにン才ですが、はたしてこの青春放浪記を書くに当たって往時の境涯だけを記したものか、それとも合間合間に今および中・実年時の折々の、往時を振り返っての感慨をも挿入すべきか、ちょっと迷っています。なぜかと云うに放浪時以後、あとになればなるほど当時の〝若気の至り〟に思いを致すことが多く、はたしてこの反省を入れずにこの書を世に問うのもいかがなものかと思えるからです。斯様な分けでこれ以後の執筆過程で場違いな、いや「時」違いな箇所が入るかも知れず、ひょっとしてそれが読者の皆様の興味を削ぐかも知れませんが、その際はどうか悪しからずご勘弁のほどを予め申し上げておきます。
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小説 99,895 位 / 99,895件 青春 3,932 位 / 3,932件
文字数 3,810 最終更新日 2020.09.11 登録日 2020.09.11
人生詩集シリーズの番外編です。正悪、世の規範や常識等にとらわれず、もっぱら身の五官と感情によって書いてみた詩群です。こちらもまた一面における間違いのない私の姿と云えましょう。むしろこういった詩風の方が読者には好まれるのかも知れませんが、さても、今や年令を重ねましてあまり無鉄砲なこともできません。とにかく、今後もし詩興などをもよおした際には、とりあえずこの人生詩集・番外編に入れ置こうかと存じますので、覗き見がてら読んでみてください。よろしくどうぞ。
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小説 99,895 位 / 99,895件 現代文学 5,224 位 / 5,224件
文字数 7,762 最終更新日 2020.08.18 登録日 2020.07.25
東京の渋谷を知ってますか?ニューヨークのブロードウェイやロンドンのピカデリーサーカスに当たる、若者たちに人気のある東京の繁華街です。しかしここは一時期家出少女たちのたまり場となってしまい、世間で問題となりました。非行や売春に少女たちが走ってしまうからです。そんな少女たちの中でA子とB子という二人の少女が不良たちの連れ去りに会って、その後不良たちにレイプされて挙句殺されてしまいます。  他方この少女たちに関係なく田中茂平(Tanaka Mohei)という50代のホームレスが居て、彼の夢の中に件のA子とB子が現れるのです。夢の中で、魔界のメガロポリス東京で(なかんずく渋谷で)、彼ら三人の魂の救済を掛けた大活劇が展開されます…。
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小説 99,895 位 / 99,895件 恋愛 27,875 位 / 27,875件
文字数 13,889 最終更新日 2020.08.06 登録日 2020.08.05
天国への階段を上って行く主人公の林満(ハヤシミツル)。まわりは雲のカーテンで何も見えません。いくばくもなく上り切った先にはどういうわけか一軒の精神科医院があらわれ、‘超’美人の看護婦が入口で待っています。なぜ自分が精神科にかからなければならないのか、いっかなわからぬままに医院の中へと…。やがて医師(ドクタースイサイド)があらわれ、林は世にも不思議な、かつ空前絶後の治療を受けることとなります…。
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小説 99,895 位 / 99,895件 ミステリー 2,420 位 / 2,420件
文字数 13,074 最終更新日 2020.07.25 登録日 2020.07.24
これは小説ではありません。ラジオ用シナリオです。シナリオならばラジオで聞くべきで、読んでも仕方ないと思われるでしょう。確かにおっしゃる通りなのですがしかし如何せんオンエアにならなかったのです。力量不足だったのは否めませんがしかしそれを踏まえて、今回は改稿したものをここにご披露した次第です。昨今はテレビ一辺倒でラジオドラマなどほとんど顧みられませんが、私に云わせれば受ける印象の度合いにおいてテレビよりラジオのほうが優っていると思います。なぜか。それは場面を想像することで直接的にまた客観的に場面を見せられるよりも印象が強くなるからです。また「言霊」というものがあります。具体的には声優さんたちのそれですがこれにおいても画面を見ることで視覚のほうに印象が片寄ってしまうテレビ・映画よりも、はるかに凌駕するものとなります。ご存知でしょうか?かつてNHK連続ラジオドラマでオンエアされていた森繁久弥さんや奈良岡光子さん、あるいは西岡晃さんたちの声優ぶりを。それはまあ見事なものだったので今でも耳にそれが残っています。つまりそれだけ言霊の印象が強くなるわけです。もっとももしそれであるならばただシナリオを読むだけならその言霊などいっさいないではないかと云われるかも知れません。しかしはたしてそうでしょうか。視覚のみならず、その声、言霊さえも想像することになるので、もしかしたらその両面においてかえって印象が強くなるかも知れません。嘘か真か、どうぞご自分で体験なさってみてください。今回の改稿編にはいささかでも自負するものがあります。 ロビタ、マサトとミキの生き方や人柄(ロボット柄?)が肌感覚で伝わることと思います。せつないほどの彼らのそれが。はたしてそれは今の世にいちばん失われてしまったものかも知れませんよ…。
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小説 99,895 位 / 99,895件 ミステリー 2,420 位 / 2,420件
文字数 7,511 最終更新日 2020.07.20 登録日 2020.07.20
恋愛 連載中 短編
女性の間で時代を超えて、いつまでも輝きを失わない文学作品と云えば「源氏物語」でしょう。作者は紫式部。生前その紫式部の生まれ変わりではないかとまで云われた作家が樋口一葉です。こちらも式部同様、単に女性のみならず性別と世代を超えて、我々日本人に愛され続ける作家と云えましょう。彼女の作品がと云うよりは一葉自身が好かれているのだと思います。でもそれはいったいなぜだと思いますか?かくお尋ねする私自身が一葉の大ファンでして、実はその理由を模索するためにこの小説執筆を思い立ったのです。模索する上でいちばん手っ取り早い方法は一葉本人に会って、暫しの交誼をお願いするのがベストだと思います。そこで、私は一葉をいっとき平成の御世(この4月で終りますがね)にワープさせて、その上で私と対談してもらうことを思い立ったのです。場所はなぜか大森、東京都大田区の大森です。実はその大森で、就中区内の某公園でこの構想を思い立ったがゆえのことなのですが、その事と次第は小説内で私自身(小説内では‘俺’と云ってますが)に述べさせることとしましょう。さあ、では論より‘小説’、さっそくあなたも樋口一葉に会ってみてください。夜の公園へと…私がエスコートいたしましょう。  おっと、これでは筆足らずでした。一葉との現代における邂逅のあと、実はこんどは私が明治の世へと一葉を訪ねてまいります。やはり往時の彼女を確認しませんと模索になりませんからね。でも訪ねるとは云ってもある特殊な媒体(と云っては失礼なのですが)を通じてのことで、私自身が小説内に登場することは次の明治編ではありません。彼女の男の友人たちという媒体の中に私は潜もうと思っているのです。斉藤緑雨とか平田禿木とかの中にですね。  こうした時代を跨いでの模索の末に彼女の実像というか、本懐を描き得ましたらば作家冥利に尽きるというものです。現紙幣になるような国民的作家というよりは、我々日本人に愛され続けて止まない樋口一葉の実体を、私は皆様の前でまつぶさにしてみたい…。
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小説 99,895 位 / 99,895件 恋愛 27,875 位 / 27,875件
文字数 21,793 最終更新日 2020.07.19 登録日 2020.07.19
恋愛 連載中 長編
「あをによし奈良の都に初袖のみやこ乙女らはなやぎ行けり」これはン十年前に筆者が奈良地方を正月に旅した折りに詠んだ和歌です。一般に我々東京者の目から見れば関西地方の人々は概して明るく社交的で、他人と語らうにも気安く見えます。奈良の法隆寺で見た初詣の〝みやこ乙女たち〟の振袖姿の美しさとも相俟って、往時の正月旅行が今も鮮明に印象に残っています。これに彼の著名な仏像写真家である入江泰吉のプロフィールを重ねて思い立ったのがこの作品です。戦争によって精神の失調を覚えていた入江は、自分のふるさとである奈良県は斑鳩の里へ目を向けることで(写真に撮ることで)自らを回復させます。そこにいわば西方浄土のやすらぎを見入出したわけですが、私は敢てここに〝みやこ乙女〟を入れてみました。人が失調するのも多分に人間によってですが(例えばその愚挙の最たる戦争とかによって)、それならば回復するにもやはり人間によってなされなければならないと考えます。葵の花言葉を体現したようなヒロイン和泉と、だらしなくも見っともない(?)根暗の青年である入江向一の恋愛模様をご鑑賞ください。
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小説 99,895 位 / 99,895件 恋愛 27,875 位 / 27,875件
文字数 15,901 最終更新日 2020.07.18 登録日 2020.07.11
恋愛 連載中 短編
これはラジオ用に作成したシナリオです。1975年頃の九州は博多を舞台にしたもので、文学青年と元・極妻という、一見結びつきそうもない男女間の交流とその顛末を描いたものです。キーワードにも掲げましたが主題は「運命を超える」ということ。自分ひとりではなかなか超えられない「運命(さだめ)橋」も、男女互いが手を取り合えば渡れるのかも知れません。おのれの心の中の暗い洞窟に常時住んでいた、そこから出れなかった主人公の青年で云えば、相手の女性に心を開くことがそのまま洞窟を出ることにつながったことでしょう。自分の真の敵は他人ではなく、世間や社会でもなく、おのれ自身です。おのれが培って来た心の基盤である暗い洞窟そのものです。またそこに自分を閉じ込めている心中の何某かです。これらをしっかり見据えて対峙しないことには人は何も始まりません。サブ主人公のハナはこれを見事にやってのけ、ケンをも誘おうとしましたが…。残されたケンの心意気を、その「男」を義弟の杉浦が問います。
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小説 99,895 位 / 99,895件 恋愛 27,875 位 / 27,875件
文字数 8,049 最終更新日 2020.07.13 登録日 2019.07.28
 平安時代後期の宮中でめったに起きないことが出来しました。北面の武士佐藤義清と、彼とは身分違いにあたる、さる上臈の女房との間に立った噂話です。上臈の女房が誰であったかは史書に記されていませんが、一説ではそれが中宮璋子であったことが根強く論じられています。もし事実であったならまさにそれはあり得べからざる事態となるわけで、それを称して阿漕の浦の事態という代名詞までもが付けられているようです。本来阿漕の浦とは伊勢の国の漁師で阿漕という名の男が、御所ご用達の漁場で禁漁を犯したことを云うのです。空前絶後とも云うべきそれは大それた事、罪でしたので、以後めったに起きないことの例えとして阿漕の浦が使われるようになりました。さてでは話を戻して冒頭の、こちらの阿漕の浦の方ですが仮にこれが事実であったとしたら、そこから推考し論ずべき点が多々あるようにも私の目には写りました。もの書き、小説家としての目からということですが、ではそれはなぜかと云うに、中宮璋子の置かれた数奇な運命と方やの佐藤義清、のちの西行法師の生き様からして、単に御法度の恋と云うだけでは済まされない、万人にとって大事で普遍的な課題があると、そう着目したからです。さらにはこの身分違いの恋を神仏と人間との間のそれにさえ類推してみました。ですから、もちろんこの物語は史実ではなく想像の、架空のものであることを始めに言明しておかねばなりません。具体的な展開、あらすじについてはどうぞ本編へとそのままお入りください。筋を云うにはあまりにも推論的な要素が多いからですが、その正誤についてはどうぞ各々でなさってみてください。ただ異世界における、あたかも歌舞伎の舞台に見るような大仕掛けがあることは申し添えておきます。
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小説 99,895 位 / 99,895件 歴史・時代 1,108 位 / 1,108件
文字数 19,025 最終更新日 2019.05.20 登録日 2019.05.20
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