バー・アンバー 第一巻

多谷昇太

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第一章 圧巻のストリップショー

It's time for a striptease!

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「おいおい…」と俺は心中で期待と感嘆の声を発した。これじゃ俺一人に貸し切りのストリップショーではないか。これは果して突如現れた真昼の白昼夢、あるいは幻覚の類に落ちているのではないか…などと顔をつねりたくもなるが、いやしかし、例えそれであっても決してつねりなどするものではない。こんないい女のストリップ…本場浅草のロック座でも、まして今俺の住む街、横浜のロック座であっても決してお目にかかったことなどないのだから。ブラウスを脱ぐと趣味のいい赤いレースブラジャーだけの上半身となり…と、しかし…あ、あろうことか今度は両腕を背中にまわしてそのブラジャーのホックさえ外そうとするではないか!驚き呆れる俺に女は目配せをしてホック外しの助けを要求する。生唾を飲み込んだあと俺は立ち上がって女の脇へ行き震える手でホックに手を掛けようとしたが、その前に、いけない俺の手が女の背中を暫し這いずりまわる。そして真上から、間近から見る形のいい釣鐘型の乳房を垣間見るにつけ、次の瞬間にはこれが完全露出するだろう期待に我を忘れそうになる。「どうしたの?」とばかりホックはずしを失念しているような俺に女の視線が問いかける。あの笑みもて、である。俺はあわてて両手をホックにかけてそれを外すと介助するようにブラジャーを前へと押しやった。期待通りの見事な乳房の露出を見て俺はたまらずに両手を当ててしまう。一瞬二瞬それを手に弄(もてあそ)ぶ。女が方眉をつり上げて俺を咎めたのですぐに手を離したがその重みと感触のよさは絶品もので、暫く、いや終生忘れられそうにない。しかしいつまでも側に立つ野暮天は憚られたので俺はボックス席に戻ったが目はショーの続きを期待して女に釘付けである。次に女は茶色のチノパンのジッパーを下げると腰を浮かせてこれを膝までおろし、右足左足と抜いてカウンター上の脇に置いた他の衣服といっしょにした。遂に今や赤いレースのボックスショーツ一枚きりの姿となってしまう。
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