バー・アンバー 第一巻

多谷昇太

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第四章 娼婦殺人事件

ミキの策謀

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どうやらこの店の本当のママのようだ。どう受けようか俺が考える間もなく近づいて来「ミキ、表でパパが待ってるわよ。あとは私がするからあなたは着替えてきなさい」とカウンター越しにミキに呼びかけた。おしぼりを顔に当てたミキの嗚咽が止まる。おしぼりの裏側で必死に何事か考えをめぐらせているようだ。数瞬間を置いてからミキはおしぼりを顔から離した。涙目のあとは隠せなかったがニッとばかりママに微笑んで見せる。
「あら、ママ、泣いてなんかいないわよ。こちらのお客さんがあんまり面白いことを云うんで、思わず笑い転げていただけよ」とこともなげに云い、今度は俺に「田村さん、ご免なさいね。お聞きの通り。うちのママの云うことは絶対なの。わたし行かなきゃならないけど、さっきのお約束必ず守ってくれるんでしょ?」と話を振る。俺は面食らいながらも何某かのミキの策謀を感じて「あ、ああ…も、もちろんだよ。忘れはしないさ。例のアレでしょ?」とかまをかけた。「そう、アレ。わたしをデートに誘ってくださるっていうお約束。日時と場所は…(ママに視線をやってから)あ、ママに聞かれちゃ嫌だから、田村さん、ちょっと来て」そう云ってカウンターから出たミキは俺の肩に手を掛けて奥の着替室へと同行を誘った。「ミキ…」咎めようとするママに「うーん、いいじゃない。5分で済むわよ」と往なしそのまま俺の手を引いて奥へ行こうとする。「ちょっとお客さん、困りますよ。着替え室まで入られちゃ」と咎めるママに俺は「うーん、いいじゃない。ママ。そんな困るばかり連発しなくても」とミキを真似て往なしたがしかしさすがにママの対応が心配されたので「すぐ、すぐだよ、ママさん。何も変なことはしない(自信なかったが…)。日時を聞くだけさ」と云い足した。しかしママは顔をこわばらせて「お客さん、表で待ってるのはパパだけじゃないんですけどね。若い者(もん)が一人付いているんですよ」と脅す。

【ママさん、こんな感じだろうか。尤も胸元は開いていなかったのだが。from pinterest】
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