バー・アンバー 第一巻

多谷昇太

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第八章 天国と地獄のサスペンス(1)

神泉駅へ向かう田村

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そこまで聞いて山口はもうそろそろ上がりとばかり一献飲み干しては大きく溜息をひとつ吐いた。
「ふーっ。МAD博士ねえ。しこうしてそういった連中が許せねえと、ヤクザやら、そいつらを使って我意と我欲を押し通す、権力や金の亡者どもが許せない…って分けだな。ホントに田さん、あんたらしいな。しかしそう目くじらばかり立てていたら疲れるだろうによ。そんなバカどもは放って置いてさ、上(かみ)さんでももらったらどうよ」
「なに?上さん?もう、もらってるよ。こいつだ(と云ってポケットからタバコを出して見せる)。こいつと一発やりたくなった。そろそろ上がるか?」
「ああ、そうしようや。その上さんが俺はおっかなくなって来たからな。(ちょうど通りかかった女給に)あ、菊さん、上がり湯ちょうだい」
「はい。(山口の言葉を聞き齧って)支店長さん、このあとハシゴなんかしちゃ駄目ですよ。山の神、山の神。うふふ」
「俺はしねーよ。だけどこいつ(俺)は危ないな。何せ花の独身貴族だからさ」
「馬鹿野郎…」
こうして山口への〝介護新聞記者ならぬ〟ユーチューバーとしての現況報告は終った。ここまでで優に1時間以上過ぎていたのだ、俺のレクチャーやらで。時刻は既に6時半になっていた。海鮮風炉を出て秋葉原駅までは山口といっしょに行く。山口は吉祥寺に住んでいた。駅に着いて総武線改札口に向かう山口が「おい、田さん、まっすぐ帰るんだろ?」と聞いて来た。俺は「ああ、山手線でな」と答える。「なに?山手線?…ああ、わかった。神泉、とかだな。カーッ、しょうがねえなあ、まったくもう。気をつけろよ」で手を振って別れる。ふっ、しかし感のいいやつだ。俺の性癖と意気込みからしてさもやありなん、と見抜いてやがる。確かに、俺も自分が頑固で不器用だと思う。思い込みも激しかろう。しかし「助けてよ、田村さん…」とすがったミキを放って置けようか?本来ならあり得ぬ、イブから示された〝真の人生〟への指針を放棄できようか?俺はミキの闇への感触を得べく神泉へと向かうのだった…。

【田村は渋谷区円山町、神泉駅近くの現場に立ち寄ろうとする…ネット上より拝借】


※「バー・アンバー」だいぶ長くなってしまったので、ここまでを第一巻として終えて、新たに第二巻をアップします。引き続きご期待ください。from多谷昇太。
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