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ジェダイト編
15、地下牢
しおりを挟む「――城からの依頼?」
その文が届いたのは、軽い仕事を終えて帰ってきたときのことだった。
松雲に渡された、簡素ではあるが恐ろしく質の良い料紙にこれまた恐ろしく整った文字が並んでいる。
堅苦しい文面を要約すると、こうだ。
――シルキアとの戦が始まるため、暁の鷹に戦時中の密偵をお願いしたい。
依頼を受けるか否かはそちらの判断に委ねるが、もし引き受けてくれるならその対価として、金銭ならびにその他の要望をできる限り叶える――
「重要機密を、ずいぶんあっさりとバラしてるな。それに断っても構わないとは……うちの組織を余程信用してるらしい」
部下たちの目を避けざっと目を通すと、松雲が不思議そうな顔で首をひねった。雪華は食い入るように、その文面を読み返す。
……龍昇の言っていた依頼だ。黙り込んだ雪華に松雲が問いかける。
「で、どうするんだ?」
「私は受けたいと思うが……。すぐに返事をよこせって感じでもないし、とりあえず航悠が帰ってくるのを待つよ。それで相談しよう」
「そうだな。……やっぱり戦になるのか。街の噂は本当だったんだな」
温厚な男の顔に翳りが浮かぶ。雪華もまた溜息をつきながら、かつての帝都の惨状を思い浮かべた。
「陽連まで、火の粉が降りかからなければいいがな。一般人が巻き込まれるのは、もうごめんだ」
「……そうだな」
(シルキアとの戦が、始まる――)
松雲と別れ、雪華は自室に戻ると立ったままうつむいた。
雪華が捕らえられていた間にも、当然だが状況は刻一刻と動いていた。あの、時が止まったような部屋でなぶられている間にも、この国は戦に向かって進んでいたのだ。
(あいつは……どうするのだろう)
人質だと、アーシムが言っていた。
戦が始まるということは、シルキアの要求を斎が突っぱねたということで、つまりはシルキアに拘束されていた斎の官吏は、すでに殺されている可能性が高い。
その対価にされる矢面にいるのは、現在斎に留まっているシルキア人。……ジェダイトだ。
「…………」
この手で殺したいと思っていた。
殺されても構わないはずだ。むしろ嬉しいぐらいだ。そう、思っていたのに――
『あの方を……マモり、たい。血に汚れても、自分の道を行くあの方を……失いたく、ないのです』
あの声を嗄らした訴えが。
『……すみませんでした』
あの最後の微笑が。
どうしてこんなに、気になる。
どうして自分は――ジェダイトが死ぬかもしれないことを、少しも喜べないのだろう。
唇を噛むと、ふいに扉が鳴らされた。入室を許可すると、見慣れた相棒が室内にゆっくりと入ってくる。
「入るぜ。……依頼のこと、松雲から聞いた。お前、どうしたい?」
「話が早いな。個人的には受けたいと思っているが――今回ばかりは、命に関わるかもしれない。皆の意見を聞いてからでないと……」
帰ってきた航悠に問われ、雪華が返答すると相棒は依頼書を眺めて息をつく。
「ま、そうだろうな。とりあえず、しばらく検討したいとか適当に返事出しとけ。情報探る限りじゃ、来月以降って感じだったしな」
「……そうだな」
依頼書をぽいと投げて寄越した航悠が、そのままじっと腕を組んだ。まだ何か用があるのかと見上げると、航悠は扉に寄りかかったまま口を開く。
「雪華。……お前、何された?」
「……っ。別に……何も……」
――来た。ここ最近の雪華の言動の不自然さに、この男が気付いてないわけがなかったのだ。
それでも、何も言えるわけがない。雪華が首を振って返答を拒むと、航悠は溜息をついた。
「……いや、いいや。別に言わなくても。ここんとこは落ち着いてきたみたいだしな。ただ――」
目を閉じていた航悠が、ふいにそれを開いた。そこによぎった冷たく鋭い光に背中がぞくりとする。
「お前にそんな顔をさせた奴を、もし見つけたなら――見つけ次第、八つ裂きにしてやる。……それだけ、覚えとけ」
「え……」
「用事はそんだけだ。じゃあな。ちょっと妓楼、行ってくっから」
暗い殺気を一瞬で引っ込め、航悠が出ていく。雪華はそれを呆然と見送ると自らの両手を見下ろした。
(……殺す……。殺したい…のか? 本当に――)
喉元を過ぎれば熱さも忘れると言うが、離れてしまえば、殺意も消えるのだろうか。
拳をぎゅっと握りしめると雪華は口元を引き締めた。
(少なくとも……私以外の奴に、手を下されるのは嫌だ。……殺すなら、私が殺す)
自分の中に芽生えたいびつな執着を持て余し、城に戻す文をしたためることで雪華はその感情を紛らわせた。
一方、陽帝宮にて。ジェダイト・アル=マリクは冷たい壁にもたれて無言で耳をそばだてていた。
どこかで水音がしている。……どこだろう。
そんなことはどうでもいいのだが、他に考えることもないから、思考は勝手にその源を追い始める。
(食料は与えられ、絹ではなくなったがまともな寝床つき。ずいぶん恵まれた虜囚生活だ……)
「シルキアの奴隷の方が、よほどわびしいな……」
陽帝宮の地下牢に、ジェダイトは拘束されていた。
地下といっても月明りが入ってくるから、暗闇というわけでもない。手足を枷で繋がれるぐらいは覚悟していたのだが、牢に入れられただけでそれもなかった。
食事も暖もそれなりに与えられ、おかげで捕えられて数日経った今もこうして生き長らえている。
ふいに鉄格子の向こうで重い扉が開き、ジェダイトは碧の目をのろのろと向けた。
「……失礼する」
「……? これはこれは……皇帝陛下。このような所まで、いかがなさいましたか」
せっかくの月夜に無粋な客人がやってきた。
蝋燭を手にしたこの国一番の権力者は、相変わらず生真面目な表情で鉄格子越しに自分を見つめる。ジェダイトは身を起こすと、いつもの泰然とした笑みを浮かべた。
「体調は、どうだろうか。……ここは冷える。できる限りの待遇はするよう、官に言ってあるが――」
「これほど快適な牢獄は入ったことがありません。奴隷時代の私が見たら、泣いて喜ぶ豪華さだ」
「……っ」
笑いながらそう告げると、皇帝は顔を強張らせた。その高潔な、悪く言えば潔癖な反応にジェダイトは内心で笑ってしまう。
「私の過去は、もうお調べ済み……でしょう? 斎の方々からすれば、そんな下賤を宮廷に招き入れていたこと自体が、噴飯ものでしょうか」
「そんなことは――」
「……相変わらず、お優しい方だ。それでシルキアの姑息な役人と渡り合うのは、苦労されるでしょう」
「……ジェダイト殿」
馬鹿にされたと思ったのか、皇帝の目に小さな怒りがよぎる。……親切心で忠告してやったのだ。そんな目をされる筋合いはないのだが。
ジェダイトはまつ毛を伏せると歌うように問いかける。
「それで……決まりましたか? 私の処遇は。覚悟はできておりますが、できるだけ苦痛の少ない方法にしていただけるとありがたい。火あぶりとか八つ裂きは、ちょっと……ね」
「……っ。そんなことはしない。あなたは明日、随行とともにシルキアに強制送還されることに決まった。処刑や処罰は行わない」
皇帝がわざわざここに来るということは、すなわち自分への死刑宣告のためだと思っていたが違ったらしい。予想をくつがえされ、ジェダイトは演技でなく目を瞬いてしまう。
「それはまた……寛大ですね。反対の声が大きかったのでは?」
「ずいぶん前から、あなたの身は軟禁状態にあった。斎の官吏や機密に接する機会もほとんどなかったはずだ。よって、解放しても無害と判断した」
「……無害。無害ね。シルキア人である、ただその一点だけで今の斎にとっては十分有害かと思いますが。それに解放されたとて、先のことは分かりませんよ? シルキアに帰れば、斎を害するために再びこの地を踏むこともあるでしょう」
「その際は遠慮なく攻撃させてもらう。……あなたは解放する。これが斎国皇帝の決定だ」
静かな目で語る男に、腹の中で怒りがくすぶった。
……甘い。甘すぎる。こんな男が――この国の主なのか。
「あなた……馬鹿ですね。いつか足元を掬われますよ」
扉の裏に衛士がひそんでいても何らおかしくないのに、気付けばそう口にしていた。
皇帝は目を見開き、ついで眉をひそめる。
「ジェダイト殿。あなたは――死にたいのか?」
「ご冗談を。私は奴隷からここまでのし上がった身。誰よりも生き汚い男ですよ」
「しかしあなたを見ていると、そう思っているように見える」
「…………」
――清廉潔白な、斎国皇帝。自分が正しいことを疑わないような男だ。
簒奪の玉座に君臨する、世間知らずな皇帝。そんな男の言葉に――なぜ苛立つ。
ジェダイトは笑みを引っ込めると、冷ややかな碧の目で告げる。……もう、この男に用事などない。
「処遇が決まったのなら、それに従うのみです。私はシルキアに帰り、斎に攻め入る算段を練らせていただく。……お話はそれだけでしょうか? でしたらお引き取りを。陛下も、ご多忙でしょう」
「ジェダイト殿。もう一つだけ、聞きたいことがある。離宮にて斎の女人と接触した、というようなことはなかっただろうか」
「…………」
皇帝の唐突な問いかけに、ジェダイトは一瞬目を見開いた。
だがその感情が表に漏れる前に、演じることに慣れた体は揺るがぬ視線を勝手に返す。
一見物静かだが、ささいな表情の変化すら見逃さぬというような激しい怒りを押し殺した皇帝の視線に、ジェダイトは凪のような表情で応えた。
「なんのことでしょう」
「実は先日、城の前で行き倒れていた女人を保護したのだ。その者は何も告げなかったが――明らかに、性的な暴行を受けた跡があった。それについて、何か知っていたりはしないだろうか」
怒りをたたえた皇帝の言葉に、ジェダイトは得心がいった。つまり――あの皇女は、無事に逃げおおせたということだ。
行き倒れても皇帝に拾われるとは、よほどの強運の持ち主か。……いや、不幸中の幸いにすぎないか。皮肉ながらもどこかほっとした気持ちで、ジェダイトは表情を変えずに答える。
「私や私の侍従をお疑いですか? それは構いませんが、残念ながら私は女性に興味がございません。私の過去をお調べになったでしょう? 私は元を正せば稚児ですよ。離宮に女性が入るのも嫌ですから、侍従もあえて連れ込んだりしません」
「あなたの随行の方々も、あなたは潔癖だと言っていた。……本当に、違うのだな」
『稚児』というところを自虐的に強調したつもりだったが、皇帝はそれについて何の反応も示さなかった。ただ念押しするように確認され、ジェダイトは小さく溜息をつく。
「その女性はお気の毒でしたが、私のような卑しいシルキア人に暴行されたと誤解されては、ますます苦しむことでしょう。女性の平穏を望むのなら、シルキア人にやられたなどと公言しない方がよろしいかと存じます」
「……そうか。その者も強く拒絶したゆえ、表立っての調査は打ち切ることにする。失礼をした、ジェダイト殿」
「いえ……」
自らの保身のためか、あの皇女の尊厳を守るためか、神妙な顔でアドバイスすると皇帝は一礼をして牢から立ち去って行った。もう二度と見ることもないだろうその後ろ姿を、ジェダイトは無言で見送る。
(アーシムたちが口を割らなかったのはともかく――李雪華まで、告げなかったのか……)
それは、元皇女の矜持ゆえだろうか。その身を蹂躙されたことを皇帝に知られながらも、彼の手にすがることは拒んだのか。
(いや――)
『出自が何であろうと、今の私は李雪華で、それ以外の何者でもない。皇女の朱香紗をおとしめて満足しようと思っているなら、無駄だからやめておけ』
(皇女じゃない。彼女が……李雪華だからか)
ジェダイトは息を吐いて寝台に腰掛けると、目を背け続けてきた自らの内面と向き合った。
――離れてから、気付いた。屈服させたくて辱めたくせに、本当は自分こそが、彼女が屈するのを恐れていたことに。
あの目が自分を映さなくなる日を、恐れていた。意思を失い人形のようになったら、自分という存在が共に消えていくような気がしていた。
……だからなのかもしれない。解放を選んだのは。
手元に置いて殺す、という選択肢もあった。だがそれでは、自分という存在を覚えている人間がいなくなる。
自分や侍従が殺されても、彼女さえ生きていれば。
この世に生まれた意味が少しはあったかもしれないと、思いながら死んでいける気がしたのか。
(だが処刑はまぬがれた。シルキアに戻れば、また元の生活が始まる)
覚悟はしていたが、何も自ら進んで生を捨てたいとは思わない。ここまでして掴んだものを放り投げれば、誰も、何も救われない。
そしてそれ以上に、戦に駆り出されるとしても、できる限りは生にしがみ付いていたかった。
地獄の底から這い上がってきた、この下らない世界で息をしていたかった。
「本当に……救いようのないエゴイストだな」
なんにしても、雪華と自分の生きる道はこれで永遠に分かたれた。あとは、余計な荷物が彼女に宿っていないことを祈るのみだ。
「……さようなら、雪華殿」
ジェダイトは目を閉じ、未練にも似た女の残像を断ち切った。
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