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チュートリアル
レベル1/SUKETTO
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「大変だ! 達也、今すぐ部室に来てくれ!」
教室のドアが叩きつけるように開かれて、メガネの青年が姿を見せる。
肩で息をしながら、彼はずり落ちたメガネを押し上げた。
「お、陽介じゃん」
達也と呼ばれた青年は、学校椅子に敷いた座布団に胡坐をかいていた。
机に置かれた将棋盤を見つめながら、彼は続ける。
「で、どったの」
「どったもクソもないさ! いつもみたいに力を貸して欲しいんだ」
「ふーん、嫌だね!『面白そう』じゃないと」
パチリッ
彼は飛車を縦に進め、ニッカリ笑う。
――達也こと、古賀達也。
神は天は二物を与えず、とはよく言ったものだが、彼はその例外そのものだ。
卓越した頭脳に、神掛かった運動神経、そして天性の運を併せ持つ男である。
それ故、暇を持て余した彼は、『運動部の補欠から、迷いネコ探し』まで、幅広く助っ人として手を貸している。
その効果は絶大であり、学校以外からも評判なのだが、
――彼は、「面白そう」でないと、依頼を受けないのだ。
陽介は苦虫を嚙んだ顔で、ポツリとつぶやく。
「……オレ達の部室が、襲撃されてるんだ」
「襲撃、?」
達也は言葉の意味を飲み込んで、沈黙する。
陽介は彼の反応を黙って見守った。
眼鏡の縁を玉汗が伝う。
「かっかっか!」
達也は手の甲を擦り合わせて、ケタケタと笑った。
そして、扇子で駒を指す。
「二手先、腹金。部長さんの詰みだ」
「あああ! また負けた! 黎明学院3年 将棋部部長 成績優秀 無欠席無遅刻のこの私がァ!!!」
『ぶちょおおおお! しっかりしてください! また作戦の練り直しです! 今から打倒・古賀達也会議、第47回を行いますよおおお』
将棋部員たちが涙を流しながら、放心の部長を励ますのを後ろ目に、スタスタと歩いて行った達也はドアへ手を伸ばす。
――やはりダメだったか。
彼にすら協力を仰げないなら、俺にはどうしようもない。
困り顔で俯く陽介の背後から、おーい、と声が投げかけられる。
「何してんだよ陽介」
「え、」
達也は得意げに笑うと、自身の首に中指を立てる。
「部室、案内しろや」
教室のドアが叩きつけるように開かれて、メガネの青年が姿を見せる。
肩で息をしながら、彼はずり落ちたメガネを押し上げた。
「お、陽介じゃん」
達也と呼ばれた青年は、学校椅子に敷いた座布団に胡坐をかいていた。
机に置かれた将棋盤を見つめながら、彼は続ける。
「で、どったの」
「どったもクソもないさ! いつもみたいに力を貸して欲しいんだ」
「ふーん、嫌だね!『面白そう』じゃないと」
パチリッ
彼は飛車を縦に進め、ニッカリ笑う。
――達也こと、古賀達也。
神は天は二物を与えず、とはよく言ったものだが、彼はその例外そのものだ。
卓越した頭脳に、神掛かった運動神経、そして天性の運を併せ持つ男である。
それ故、暇を持て余した彼は、『運動部の補欠から、迷いネコ探し』まで、幅広く助っ人として手を貸している。
その効果は絶大であり、学校以外からも評判なのだが、
――彼は、「面白そう」でないと、依頼を受けないのだ。
陽介は苦虫を嚙んだ顔で、ポツリとつぶやく。
「……オレ達の部室が、襲撃されてるんだ」
「襲撃、?」
達也は言葉の意味を飲み込んで、沈黙する。
陽介は彼の反応を黙って見守った。
眼鏡の縁を玉汗が伝う。
「かっかっか!」
達也は手の甲を擦り合わせて、ケタケタと笑った。
そして、扇子で駒を指す。
「二手先、腹金。部長さんの詰みだ」
「あああ! また負けた! 黎明学院3年 将棋部部長 成績優秀 無欠席無遅刻のこの私がァ!!!」
『ぶちょおおおお! しっかりしてください! また作戦の練り直しです! 今から打倒・古賀達也会議、第47回を行いますよおおお』
将棋部員たちが涙を流しながら、放心の部長を励ますのを後ろ目に、スタスタと歩いて行った達也はドアへ手を伸ばす。
――やはりダメだったか。
彼にすら協力を仰げないなら、俺にはどうしようもない。
困り顔で俯く陽介の背後から、おーい、と声が投げかけられる。
「何してんだよ陽介」
「え、」
達也は得意げに笑うと、自身の首に中指を立てる。
「部室、案内しろや」
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