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機動兵士 3

クワンプ散る

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 静馬と夏生以外にも、四条大五郎の機動兵士たちは攻め込んでいることを忘れてはならない。他にも三機いて、チャーリーの会社の元社員であるクワンプとゴルダンが防いでいたのだ。

 二人の技量は、クワンプの方が上であった。クワンプはもともと陸上の選手だったこともあって、瞬間的な敏捷性や判断力が優れていたのである。彼は、陸上で食えないので、数年間、自衛隊に入っていたが、そこでチャーリーにスカウトされて今に至るのである。チャーリーの眼鏡にかなった人材ということである。

 だから、儀仗型ザゴで、攻撃軍のエース、オムロン少年の乗るガルダンと量産型ガルダンと呼ばれているグムとを引き受けていたのであるが、段々、厳しくなってくる。戦闘は、大統領府の開けた荒野で行われていた。やや、夏生たちのいる場所は大統領府に近かったのであるが、クワンプは上手く牽制して二機が近づくのを阻止していた。

「うおおおおおっ」

   量産型ガルダンに乗る、マイケル小暮はいきなり猪突してきた。実は、クワンプはそこでそういう行動に出てもらうことを期待していた。すぐさま応戦して、グムの機体を唐竹割りにする。

「ビシュワシュワ!」

  オレンジ色に迸る閃光と共に、爆炎が立ち上る。

「マイケル小倉さああああん」

  オムロン少年の脳裏に、マイケル小倉と過ごした日々が蘇ってくる。彼は、小山ゆうえんちのベンチで遊んでいた女の子二人をナンパして、結果として、オムロンに、女性というのもの素晴らしさを教えてくれたのである。ラヴホテルの二階の角部屋で、回転するピンク色のベッドの上、ミラーでいくつも映されたあの眩い肢体を、オムロンは思い浮かべてから、クワンプに突進する。

「許さんぞおおお」
「うわっ」

   クワンプはある程度、予測していたのであったが、オムロン少年の踏み込みはそれよりも二倍は速かった。彼は、前に戦闘していた時と比べると格段と成長していたのだ。それは、静馬というライバルが彼をそこまで高めたに違いあるまい。スッと通り過ぎると、次の瞬間、クワンプの機体は爆散した。
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