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機動兵士 4

テスカトリポカ

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 私は旗艦から離れて、暗黒空間に光芒瞬く、戦域へと向かうのであるが、チャーリーも飛び立ったようである。これで戦いは、最終段階に進んだことになる。
 
 いきなり巨大な光が目を覆い尽くさんとするので、ライトニングザゴ3を右側にローリングさせると、いくつもの味方の機動兵士の爆散を巻き込んで、目の前に赤紫色のデスビームが迸る。その様は、まさに三途の川のようなものであった。

  巨大なザゴよりも二回りくらい大きな機動歩兵が停止している。禍々しいフォルムの顔は黒と黄色の複雑な縞模様をしており、両手にプラズマライフルを手にして、右足が蛇のようにのたくっている。四条大五郎の怨念がそのまま怪物になったかのような巨大な機体である。胸部の鏡のようなところから、見慣れた四条夏生の顔が現れた。

「シズマ。よく来たわね。地獄へようこそ」
「それは、お前にとっての地獄だろ」

   と吠えると、私は、ザゴの背中に積んでいるライトニングウィップで足止めしようとするが、奴の腕に触れた途端に光条鞭は真っ二つになった。

「効かぬわっ」

    と叫ぶと、彼女は、両輪の横に積んであるポッドから、多弾道ミサイルを発射したが、ザゴ3はそれを全部避ける。背後では、味方機がいくつか犠牲になっている。これ以上、こいつを生かしていたら一体どれ程の味方機がやられるかわかったものではない。

 ザゴ3のバックパックの中に収納されている二つのスティックを合体させて、ライトニングピアスを作り上げる。

「ぬおおおおおっ」

    一気に一突きでコックピットを狙おうとすると、目の前に鏡が現れた。不思議なことに、そこには全裸の四条夏生が漂っている。

「なっ……」
「シズマ……、あなたとの甘い思い出……あたし、忘れてはいないの。さあ、来て。ここで一緒にランデブーしましょう」

   私の頭は混乱する。判断力が著しく低下して、コックピットのハッチを開けて彼女のもとにゆこうとした時に、キャノン砲の砲弾が浴びせかかる。

「シズマ君!それは罠だっ」

   宇宙戦車900式に乗っている岩原真太郎中将提督であった。テスカトリポカは、小さな宇宙戦車の方に向き直る。

「まずは、あんたから血祭りに上げるわよ」

   その恫喝に対して、岩原真太郎は

「ノー!」

    と叫んで、宇宙戦車の武装の全弾をテスカトリポカに向かって発射する。

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