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機動兵士 4
「機動歩兵に頭なんて要らないんですよ」
しおりを挟むチャーリー・パイナップルが工廠の隅まで歩くと、新兵器「ブレムミュアエ」が立っていた。今度は、頭がなくて、その代わりに腹部に顔のようなものが描かれている機動歩兵であった。近くで働いていた整備兵に
「頭はどうしたんだ」
ときくと、その男はこう答える。
「機動歩兵に頭なんて必要ないんですよ」
「この前も腕なんて必要ないなんて言われたんだが……」
「あっしゃあ、その人のことは知りませんがね。チャーリー閣下に、変なものは用意しませんよ。我々だって」
「そうか。しかし、このブレムミュアエというものは、いささか、呼びづらいな」
「不思議なんですよ。西洋人の中世の絵巻物をみると、絶対に出てくる怪物なんですが、不思議と日本では一切紹介されないんですよ」
「だから、機動歩兵にしたってのか……発想がぶっ飛びすぎているな」
「いや。違うんです。頭がない方が、被弾率も落ちますし、効率的ですよ」
「そうか。当てにするぞ」
「こんなこと言うのは、気休めかもしれませんが……チャーリーさんなら大丈夫ですよ」
「どうしてだ?」
「キャラクター映えするからです。やっぱり、映えない人って死んじゃいますからね」
「面白くないな。私は自分の力で切り抜けるよ。いつでも、そうして来たんだ」
「そうですね。ま、こういうのは、確率の話って部分ありますからね」
「フッ。オムロンには、私は倒せない」
「どうしてですか?」
「オムロンは、坊やだからさ……」
というと、チャーリーは、ブレムミュアエに乗り込むのであった。ハッチが開き、テールライトを輝かせて、旗艦の右側のハンガーから飛び出すと、どこまでも続く暗黒空間の向こうに飛び立つブレンミュアエの更に前方には、戦場へと導くように星が瞬いていた。
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