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20話 「神からの伝言」

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…じゅーじゅー

焼肉屋で美味しい香りがした。6人は早速肉を焼いて食べていた

「焼肉ってどうして美味しい香りがするのかしら」

杏はとても美味しそうな肉を見つめて言った。リミットはもう既によだれが垂れそうなほど真剣に見ている

「…まだ?」

「これはもう食べていいかもな」

サンダースが言うとリミットは早速食べる。焼肉のタレを付けて食べた

「美味しい~!」

「他のみんなも食べようよ」

そう言うと全員が食べはじめる。美味しい肉だ。恵たちは焼きながら言う

「…しかしあの助けた人が店主だったっていうのは驚いたね」

カロフトは言う。実は救いを求めて来た人はこの店の店主だったというのは後で聞いた話だ

実際恵たちはリヤカーにあった肉を取り返してお礼をされた。そのお礼はうちに来てくれたら半額以下の値段で食べさせてくれるとのこと

もちろんその話に乗って今は焼肉をしてるのであった

「わあこのお肉美味しい~!」

「とても美味しいですわ。疲れが消えて行きます」

6人は肉を焼いて食べていた。5人とも、嬉しい顔をして食べている。…一人を除いて

「うん…美味しい…わね」

恵であった。カロフトは見たが、もしかして記憶がまたよくわからないように思い出すのではないだろうか?

「恵…また、記憶の片隅にあるのかい?」

「記憶の片隅?一体どういうことなんだい?」

サンダースが言うと恵は説明をする

「私、記憶が無いの。最初に会った記憶は神に会って、その後目覚めてロザリーの住む村の樹木だったの」

…よくわからないことがあるものだ

「じゃあ、君は子供のころの記憶が無いのか?」

「うん。無いわ」

前にラーメン屋で言ってた通り、恵は即答する

「君は一体何者なんだ?」

「よくわからないわ」

よくわからない…そんなこと言われたらサンダースもこれには何も言えなくなる

謎に包まれたまま、サンダースは言うのを止める。だが今があればいい。強い恵がいれば、血漿族なんてつぶせるだろう

「わかった。ありがとう」

「サンダースお姉ちゃん!お肉が焦げてしまうよ!」

「はいはいわかった」

リミットに言われてサンダースは引き続き食べることになる。そして心で思ったことをつぶやく

(予言者…占い師に聞けばわかるのかもしれない…誘導させて連れて行ってあげよう)



「サンダースは…ここでお別れ?」

半額以下の料金で食べた6人。すっかり夜になりそろそろ帰ろうとした恵たち

サンダース自体別の家があったため、今日はここでさよならであった

「うん。君たちと付いていきたいけど、私は持ち家があるからね。また明日、会おう」

「おう、サンダース。また明日な」

「じゃあね」

サンダースは去っていった。5人はカロフトの家に帰ろうとした

ここは繁華街であってとても良い雰囲気のした王国内の場所だ。寄り道せずにまっすぐ帰ろうとした

「美味しそうな香り。するね」

「こらこら寄り道するな」

どこか行ってしまいそうなリミットを抑えて5人は帰った



カロフトの家。今日も一日頑張ったなあとは思っていた

カロフトはベッド、後のみんなは布団だ。今日はあまり暑くなく布団にかぶっても良いぐらいの温度だった

「本当に…あたしたち恵に付いてきて良かったと思ってるわ」

「杏なんか自分の体に炎包ませて突進したの、あれほんとびっくりしたよ」

カロフトが言うと杏は照れくさい顔をする

「あれは思いつきだったんだけどね。でも十分に血漿族を燃やせたから良かったけど」

「杏。あまり無理しないで戦いましょうね?」

ロザリーに言われた。まあ杏自体あの行動は無理とは思わなかったが

「いいなあ杏お姉ちゃんは。ボクなんかただ殴るだけで精一杯なのに」

「リミット。安心して。前線に立って戦えるのは私と貴女だけよ。十分に戦力になってるのだから、誇ってね」

「うん!お姉ちゃん!」

リミットは嬉しそうな顔をして言う

「しかしあのサンダースって人は…まだまだ能力がありそうな底なしの女性っぽいわよね」

杏はサンダースのことを言うとカロフトが言う

「サンダースは前から知ってたけど元々雷呪文の極意を身につけてこの王国へやってきたんだ。その実力は凄まじいんだよ」

なるほど、彼女はそういう人だったか

「耳がとがっていたから…エルフよね?」

「その通りさ」

エルフ。どういう種族だろうか

「エルフは昔人間とはギスギスした関係だったが、今はまあまあ仲良しだ。たまにエルフが王国に志願するぐらいにはな」

「いつかエルフの村?に行かないとだめかしら?」

恵が言うとカロフトは言う

「まあわからないな。あそこに血漿族の地帯があるって話は聞いたことない。何かがあれば。って話は出るだろうが」

きっと魔法能力のあるエルフたちがたくさんいて守っているのだろう。そう思った恵だった

「さあそろそろ寝よう。明日もあるし」

「そうね。おやすみなさい」

明かりを暗くして5人は眠った



…ここは…

恵は夢を見ていた。真っ暗の中、恵はぽつんと立っている

間違い無い。ここは神と会った場所…恵はわかっていた。恵は夢では無いと判断した

「神!?神がいるんでしょ!?」

恵が叫ぶと一筋の光が灯った。間違い無く神だった

「恵…」

「神!ここで会うのは久しぶりね!」

恵は言うと神が言う

「恵…お前は私の指示どおりに血漿族を次々と浄化、撃破をして誇らしい気持ちだ。お前を召喚して正解だった」

…召喚?

「召喚って?ねえなにかあるの?」

「いや、なんでもない。お前はあくまでもこの世界にいてほしいと強く思った」

質問をのけぞってしまった。まあいいや。恵は思う

「ねえ神…あなたに会いたい。なんで一筋の光でしか出てこないの?」

「残念だが私は既に魂の存在。ここへは降りることはできない。ただ…」

「ただ?」

一呼吸置いて、神は言う

「今、お前のいる国は教会がある。そこで願えば魂だけだが本当の姿が見えるだろう。私に会いたいなら教会に行ってくれ」

そんなことで会えるなんて。恵は嬉しそうに言う

「わかったわ!どんな姿か、私、見てみたいの!」

「ふふふ…あまり良い格好ではないがな。それと恵。前に会った人のクリーチャーには油断するな。あいつは血漿族でも強大な力を持っている」

やはり。恵は思ったがあのクリーチャーはかなり強い存在なのか

「うん。今度会ったら承知しないんだから」

「その気持ちだ。しばらくの間は仲間たちと一緒に行動しろ。困難があっても仲間がいれば怖いものはない」

一筋の光がやがて静かに消えていった

「あ!もう終わり?」

「そうだ。恵。これからも十分に気をつけて血漿族を倒せ。さらばだ」

すーっと一筋の光が消えて、やがて真っ暗になったら恵の意識も消えた


恵、神、クリーチャー

恵の戦いはこれからも続くだろう


続く


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