DEEP BLUE WORLD

白丸

文字の大きさ
8 / 10
回収 そして…

捕虜

しおりを挟む
 ぼくが治療を受けている間にネオノーチラス号シヴァの回収が終わり旧ユーラシア大陸海域──PANGAEAに直進しているところだった。
 今回の調査では新たな生物が見つかりシヴァの周辺では強力な磁場の影響からか生態系に大きな影響を与えたものと思われるとアリスさんからは報告があった。やはり海は不思議なことがいっぱいあるんだな。とおもい課題レポートを早めに仕上げ今回の一件もレポートにまとめていたところだった。

「くぇ!」
「ソラ?…ああもうお昼ごはんか」
 ぼくは机から出てきた食事とパックに入った冷凍のスルメイカをとりだし、イカはソラにあげた。
「きみはすごいね、ぼくらが苦戦したイカをいとも簡単に丸呑みにするんだから」
「くぇ?」
「…きみにはわからないか」
「くぇ!」
 テレビ電話がなる相手はサヤからだ。
「カイ!無事?」
「うん、無事だけど?」
「よかったしばらく連絡ないから心配したよ」
「ごめん、ブリッジからしばらく連絡するなって言われてて…」
「そう」
「サヤは?大丈夫?」
「ええ、減圧の影響は少ないって」
「そっかそれはよかった」
「そっちは?」
「ぼくも大丈夫減圧の影響は少ないからこのまま安静だってさ、数日もすればであるいていいって」
「…ごめん」
 サヤは画面の前で目をそらした。
「えっ?」
「こんなことになるんだったら引き留めればよかった」
「いいよ、こんなことになったのは想定外だったし」
「まあ、うん」
 しばらくの沈黙が流れた。
「くぇ!」
「あっソラ食べ終わったんだ」
「ソラ元気そうね」
「くぇぇ!」
「ははは!女子が相手だから喜んでるのか?」
「そうなの?」
「まあ、ソラは女性にはすごくなつきやすいんだぼく以外の男はあまりなつかなくって」
「そうなんだ、スケベなのね」
「まあね」
「くぇ!くぇ!くぇ!」
 ソラにくちばしで頭をつつかれてしまった。
「いてっ!やめて、いたいいたいいたいっ!」
「…ふっ、ふふふ」
「どうしたの?」
「いや、最初にあったときのことおもいだして」
「ああ、ターミナルであったとき?」
「そう、あのとき不機嫌だったし仲良くするつもりもなかったからそっけなかったなーって」
「不機嫌だった?」
「うん、まあいつものこと、お兄様のことを馬鹿にする連中をみかけて」
「ああ…」
「あなたもそのひとりかとおもっていたの」
「そうか…」
「でも違った、あなたは責任感がとても強くて優しい人だった」
「あ…そんなことないよ」
「でも、機械にしか興味なのは損してる、少しは女の子に興味持ちなさい…じゃあまた」
「ああ、また」
 テレビ電話の通信を切る。
「さて、お昼にしますか」
「くぇ!」

 昼食を食べ終えレポートを書く。昔はこれが紙媒体だったから大変だったんだろうなとパッドをタップしていると突然画面が真っ暗になった。一瞬電源が落ちたのかと思ったがすぐに起動した。
「なんだこれ」
 タブレットには見たことのない文字が数行表示されていた。見た限り象形文字のようにみえるがいずれにせよ地上では使われていない言語だろう。それらの文らしきものが文字化けのように地上の言語におきかわる。
『あト■んていスニムかいて■くを■たすべクそノ*☆Яб≒×=±を携エ☆メイはた♬∈∉∪スべし』
「ん?んん?『アトランティスにむかいてナントカを携えて使命?を果たすべし』どういう意味だろう?」
 そのとき大きな振動が船を襲い警報が鳴り響いた。
「なっ!なんだ?」
『ナゾの磁場が…はっ…せい、船体がい…どうしています、そう…いんそのばから…うご────』
 途絶えそうなアナウンス、それを最後にぼくの意識は途絶えた。
 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...