上 下
37 / 43
学内実戦実習編

vs雨宮

しおりを挟む
さてこっちは、恵子さんと素手の結界術師が近接攻撃をしながら、様子を伺っている。
呪詛を直接触れるとこっちが呪いに取り憑かれてしまうので少しばかり手間取っているようだ。

対して雨宮は少し離れた距離から飛んでくる矢の方も見えてるらしく、しっかり避けたり、呪詛を込めた妖力弾で打ち落としたりしてる。

なんでこんなに距離をとって戦っているのかというと、最初に呪詛を結界で受け止めたら、そこから結界を維持している妖力に呪詛が侵食して来て、危うく前衛の素手の男子が呪詛に飲み込まれるところだった。
がしかしさすがは治癒術を修めているクラス多少の呪詛なら軽減できる術をみんな持っているため彼も難を逃れた。
そこからみんな呪詛を受け止めるのは最小限にしているため、かなり攻め辛い状況になっている。

向こうとて、元が人間のためこちらの攻撃を受ければ致命傷になるから、攻撃は何から何まで捌かないといけないので、向こうも若干こちらへの攻撃に割ける手数が減っている。

自体は膠着している。
健治がこっちにきてくれれば一瞬で決着がとか思うが、そうすると蛇竜を相手している陣形が総崩れしそうだ。

1番の問題は俺が完璧にお荷物なところだな。
蛇竜相手にしても力不足だし、雨宮の前に出た時には、雨宮の感情を昂らせて暴走の原因になるかもしれない。

ということで俺は、弓持ちと一緒に雨宮の気を引いているが、ここは雨宮達から200m以上離れている。
ここまで距離があると投げナイフは精度もあったもんじゃない。

これ以上普通のを投げても仕方がないので、例の空気砲型を使うことにする。

「それはなんですか?」
矢で牽制しながら場所を移していた沙織が俺がいろいろ装備を漁っているのを気づいて、こっちにくる。
「武装を変える、少し周りを見ててもらえるか?」
「いいですけど、あまり時間をかけないでくださいね。」
そう言ってまた矢を雨宮に放ち別の場所に行ってしまった。

ここで撃たれたら、ここに誰かいるって逆算されるかもしれないのに全く。

仕方ないので、2つほど木を乗り継いで移動した木の上でまた作業を始める。

こないだ使った空気砲型のナイフの方を少しいじる。
前回はとっさに使ったし、急所を外したから怪我程度で済んだが、今回は距離があり狙いも付けづらく当たりどころが悪ければ、即死もあり得る。

て事でナイフを差し込んでいた部分にゴム弾を込める。
多分1発当てればそのまま恵子さんが詰めていくと思うから、外した時を考えても3発でいいだろう。
発射機構は空気を結界で圧縮したものなので、飛ばす物の付け替えは簡単にできる。

無事、弾の切り替えを終えたのだが、問題は何処からどの部位を狙うかだが、、

「ねぇ?なんで出てこないのよ!後ろに隠れてるのはわかってるのよ。早く出て来なさいよ!」
バギィと音がして俺が隠れている隣の木が倒れる。
折れた木は根元が朽ちている。
雨宮が放った妖力弾が木に当たったのだろう。

これは俺が出て行かなくてもそろそろ厳しいな。

俺は急いで雨宮を狙えるポイントを探しに移動を始めた。
しおりを挟む

処理中です...