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学内実戦実習編

契約主たる素質

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間一髪だった。
まぁ恵子さんなら見てからでも避けれそうだけど。

咄嗟に飛び出したが、なんとか綺麗に着地して抱き上げていた恵子さん下ろす。

恵子さんは驚いた表情で蛇竜を見ている。
どうやら蛇竜の接近には気づいてなかったらしい、助けられて良かったわ。

「恵子さん?大丈夫?」
俺が話しかけるとビクッと体を震わせる。
少しまたフリーズした後、いつもの笑顔に戻り俺の方を見る。
「はい、危ないところをありがとうございます。」
恵子さんが深々と頭を下げてくる。
「あぁ、無事で良かったよ。それにしても蛇竜が雨宮を助けにくるとはねぇ」
「そうですね、式神は主人との力差がない限り、命令に従うか背くかは本人の意思となりますからね。」
雨宮には蛇竜を無理やり使役するほどの力はない。
つまり、蛇竜は自分の意思で雨宮と共に戦っていることになる。
長寿の最強種に良くある気まぐれでそのような事をする場合もある、だがそれでも助けに入ったりすることは珍しい。
今も雨宮から俺たちを追撃する事より、雨宮の近くに佇み、周囲を警戒し護衛の方を重視している。

「私もここまで友好を築いているとは思いませんでした。前に相手した雪女とは良い関係を築いていなっただけに予想外でした。」

「あいつの何処を気に入ったのかわからないが、この状態はやはり来るよな?」
「神憑きですか?」
「そうじゃ。今までに蛇竜との神憑きの前例はない。全力でやったほうがよさそうじゃよ」
俺たちの会話に割って入るように現れたコン。

「さっきまでは、勝ち筋が見えてたから生け捕りを試みたが、今からの相手の実力は未知数、それに呪詛があそこまで深く侵食してるし救えないと思うから、全力で殺しに行くが良いな?」
コンがいつになく真面目な顔で俺に聞いてくる。
「こっちがやられたら元も子もないからね、事の終息を第1で頼むよ。」

俺たちが再び雨宮の方を見る。
雨宮が黒い球体の中に包まれている。
そこに蛇竜が突っ込んで行き黒い球体の中に消えてった。
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