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1章 奴隷の育成

吸血鬼の始祖

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朝食を終え、俺達は準備を済まして俺たちは神殿に向かうために屋敷を出た。ユグは仕事があるため留守番だ。決して怒って書斎にこもったわけではない。
神殿に向かって街の中を歩いていると広場に人だかりができていた。
おそらく国際会議に参加予定のどっかの王族が部族の族長だろうと思いそのまま、スルーした。がそれを人だかりの中心にいた人物には見えてたらしく、人だかりを飛び越えてこっちに飛んでくる。
「私をスルーするとはいい度胸じゃない!」
「いや、別にカーミラだからってスルーしたわけじゃないよ、俺は人だかりの中に誰がいるかわからなかったから、スルーしてもいいと思ったわけだし。」
「まぁ私を避けてたわけじゃないならいいわ!さぁいつも通り跪いて首を差し出しなさい。」俺が言われた通りにするとカーミラがこれの首筋に噛み付いて、ちゅうちゅう血を吸い出す。こいつは見てわかる通り吸血鬼だ。でもただの吸血鬼ではない。生まれながらの吸血鬼、始祖とか呼ばれる吸血鬼の最上位種だ。全種族の中でも、始祖は最強種に部類されている。そろそろ血がなくなりすぎて干からびるなぁとか考えていると今度はカーミラの方から俺の身体血を流し込みだした。これをされると普通は眷属になってしまうのだが、さすがは世界樹の加護俺の中に入ってきた血は浄化されて、俺の血になる。ユグ曰く私の使徒に唾つけんじゃねぇだそうだ。
血を流すのを終えると満足したようにカーミラが離れる。
「やっぱり眷属にならないかぁ、私もコウタみたいな奴が欲しかったなぁ。」
「いや、それユグが怒るから、やめてくれ。」
「そうだよねぇ、世界の危機だってのに奴隷を自分好みの女に仕込むので忙しくて、今回の件はあまり意欲的じゃないんだって?」
「それ誰から聞いた?誇張が入り過ぎてて、釈明することすらめんどくさくなるレベルなんだけど」
「そりゃ本人からに決まってるでしょ、あまり構ってあげないのはかわいそうだから、その子達と同じ程度には相手してあげてね。」
「わかってる。それに今回のは俺の立場的にやる気もなくなるだろ?おっさんが急に魔王だぞ!意味わかんねぇ。」
「あはははははは、それじゃあ私は用が済んだから行くね!奴隷ちゃん達ちゃんとコウタに可愛がってもらうんだよ?!」
嵐の如く去っていったカーミラ。
「ご主人様、さっき血を吸われてましたが大丈夫でしょうか?」心配そうにアリスが声をかけてくる。
「いや、ほとんど返されたから問題ない。」
「それでしたら、ご主人様が眷属になってしまうのではないですか?」フーロも近づいてくる。
「いや眷属にはならないよ。俺には世界……ユグドラシルの加護があるから、身体に入ってきた邪魔なものは浄化されるからちっとやそっとのことじゃどうにもならないよ。」
6人はホッとしている。
「まぁたとえ、カーミラの眷属になったとしても、悪いようにはしないだろうよ。」
「そういう問題じゃないと思うんですけど。ご主人様が無事ならいいです。」
「?。まぁいいか、じゃあ神殿行くぞ。」
俺たちは再び神殿に向けて歩き出した。
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