清いお付き合いをしている聖騎士と「オ〇ニーを見せないと出られない部屋」に閉じ込められたら

柴田

文字の大きさ
2 / 13




 聖騎士とは、鍛え上げた肉体と聖力で魔を斬り、聖女さまと共に国を安寧に導く存在だ。
 決して穢れることはないと誓うが如き純白の制服に身を包んだ彼らが、ライトブルーのマントを風になびかせながら歩くだけでその場の空気が澄んでいくような気がする。それほど清らかでうつくしい。
 魔の正反対となる聖の力を扱うという特性のせいか、一様に天使のような整った顔立ちをしているのもまた特徴だ。

 王宮の近衛騎士と並び、聖騎士もまた女性たちの憧れの的だった。
 わたしも例外ではない。
 住んでいた村が魔性に襲われたときに命を救われてから、ラファエロ様を恋い慕っている。
 しかし天の使いに等しき聖騎士に、下界の民が気軽に近づくのは憚られる。それに神に忠誠を誓う彼らは、きっと神以外を愛することを許されていない。

 そう思って、ひそかに想うだけで我慢していた。
 結果的に、我慢できたのは三年だけだった。
 王都に越してから毎日、神殿に通ってラファエロ様を一目見るだけで満足していたはずが、ますます慕う気持ちが大きくなり、ついには勢い余って告白してしまったのだ。

 昔から思い立ったら即行動タイプだったので、よく我慢したほうだと思う。
 でも驚いた彼の顔を目にした瞬間、すぐに後悔が押し寄せたのを覚えている。いつもこうだ。もう少し考えてから行動に移したほうがよかったとあとから悔やむことばかり。

 しかし思いがけず受け入れられて、お付き合いをすることになった。
 当時は飛び上がって喜んだが、あとになって冷静に考えると、優しいから断れなかったのだろう。

 だって、わたしのことなんて今の今まで認識すらしていなかったはずだ。三年前に命を助けてもらったのを大事な思い出にしているのはわたしだけで、彼にとっては人助けなど日常茶飯事。救った人間の顔などいちいち覚えていられるはずがない。

 しかし同情だとわかっても、自分から関係の解消を言い出せるほどわたしは人間ができていなかった。

 そんなふうにはじまったお付き合いだが、ラファエロ様は意外にもわたしを本当の恋人のように扱ってくれている。
 任務で長期間遠征に出ているときは手紙をくれたり、何度かデートもした。たまにしかない休みなのに時間を割いてくれるのだ。ただの平民でしかないわたしをいつもお姫さまみたいにエスコートしてくれるから、本当に愛されてるって勘違いしてしまいそうだった。

 とってもとってもしあわせだけれど、同時に罪悪感で胸が苦しくなる。
 ふとしたときに、無理をして恋人を演じてくれているのがわかってしまうのだ。
「かわいい」や「きれい」といったお世辞は言うくせに、「好き」とは一度も言われたことがない。
 それにキスをする雰囲気になると、わざとらしく話を逸らされたりやんわりと距離をとられる。もう半年もそんなことを繰り返していた。さすがに勘違いでは済まない。

 そろそろ潮時だ。じゅうぶんいい夢を見させてもらっただろう。これまで本当に幸せだった。でも、この先はきっとつらい気持ちのほうが大きくなってしまう。それに、これ以上恋人ごっこに付き合わせるのも酷だ。

 ラファエロ様に感謝とお別れを告げようと思い、最後のデートに誘った。
 明後日から三カ月間また遠征すると聞いたので、ちょうどいいタイミングだ。


 ――しかし個室のカフェに入った途端、この『オナニーを見せないと出られない部屋』に閉じ込められてしまったというわけだった。


あなたにおすすめの小説

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。

甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。 だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。 それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。 後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース… 身体から始まる恋愛模様◎ ※タイトル一部変更しました。

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。 そんな彼に見事に捕まる主人公。 そんなお話です。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

獅子の最愛〜獣人団長の執着〜

水無月瑠璃
恋愛
獅子の獣人ライアンは領地の森で魔物に襲われそうになっている女を助ける。助けた女は気を失ってしまい、邸へと連れて帰ることに。 目を覚ました彼女…リリは人化した獣人の男を前にすると様子がおかしくなるも顔が獅子のライアンは平気なようで抱きついて来る。 女嫌いなライアンだが何故かリリには抱きつかれても平気。 素性を明かさないリリを保護することにしたライアン。 謎の多いリリと初めての感情に戸惑うライアン、2人の行く末は… ヒーローはずっとライオンの姿で人化はしません。