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聖騎士とは、鍛え上げた肉体と聖力で魔を斬り、聖女さまと共に国を安寧に導く存在だ。
決して穢れることはないと誓うが如き純白の制服に身を包んだ彼らが、ライトブルーのマントを風になびかせながら歩くだけでその場の空気が澄んでいくような気がする。それほど清らかでうつくしい。
魔の正反対となる聖の力を扱うという特性のせいか、一様に天使のような整った顔立ちをしているのもまた特徴だ。
王宮の近衛騎士と並び、聖騎士もまた女性たちの憧れの的だった。
わたしも例外ではない。
住んでいた村が魔性に襲われたときに命を救われてから、ラファエロ様を恋い慕っている。
しかし天の使いに等しき聖騎士に、下界の民が気軽に近づくのは憚られる。それに神に忠誠を誓う彼らは、きっと神以外を愛することを許されていない。
そう思って、ひそかに想うだけで我慢していた。
結果的に、我慢できたのは三年だけだった。
王都に越してから毎日、神殿に通ってラファエロ様を一目見るだけで満足していたはずが、ますます慕う気持ちが大きくなり、ついには勢い余って告白してしまったのだ。
昔から思い立ったら即行動タイプだったので、よく我慢したほうだと思う。
でも驚いた彼の顔を目にした瞬間、すぐに後悔が押し寄せたのを覚えている。いつもこうだ。もう少し考えてから行動に移したほうがよかったとあとから悔やむことばかり。
しかし思いがけず受け入れられて、お付き合いをすることになった。
当時は飛び上がって喜んだが、あとになって冷静に考えると、優しいから断れなかったのだろう。
だって、わたしのことなんて今の今まで認識すらしていなかったはずだ。三年前に命を助けてもらったのを大事な思い出にしているのはわたしだけで、彼にとっては人助けなど日常茶飯事。救った人間の顔などいちいち覚えていられるはずがない。
しかし同情だとわかっても、自分から関係の解消を言い出せるほどわたしは人間ができていなかった。
そんなふうにはじまったお付き合いだが、ラファエロ様は意外にもわたしを本当の恋人のように扱ってくれている。
任務で長期間遠征に出ているときは手紙をくれたり、何度かデートもした。たまにしかない休みなのに時間を割いてくれるのだ。ただの平民でしかないわたしをいつもお姫さまみたいにエスコートしてくれるから、本当に愛されてるって勘違いしてしまいそうだった。
とってもとってもしあわせだけれど、同時に罪悪感で胸が苦しくなる。
ふとしたときに、無理をして恋人を演じてくれているのがわかってしまうのだ。
「かわいい」や「きれい」といったお世辞は言うくせに、「好き」とは一度も言われたことがない。
それにキスをする雰囲気になると、わざとらしく話を逸らされたりやんわりと距離をとられる。もう半年もそんなことを繰り返していた。さすがに勘違いでは済まない。
そろそろ潮時だ。じゅうぶんいい夢を見させてもらっただろう。これまで本当に幸せだった。でも、この先はきっとつらい気持ちのほうが大きくなってしまう。それに、これ以上恋人ごっこに付き合わせるのも酷だ。
ラファエロ様に感謝とお別れを告げようと思い、最後のデートに誘った。
明後日から三カ月間また遠征すると聞いたので、ちょうどいいタイミングだ。
――しかし個室のカフェに入った途端、この『オナニーを見せないと出られない部屋』に閉じ込められてしまったというわけだった。
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