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おかしい・・・何かが おかしい
鈴音は あの綺麗な男性のことを考えていた
祖父は もう何年も寝たきりで
意識があるのかもわからないと 両親から聞いている
世話になっている介護士の方たちとも 会話が出来る状態でもないらしいが・・・
なのに あの男性は 祖父と会話をしているような口ぶりで しかも的を得ている
あの男性は介護士で
たまたま 祖父の意識がはっきりしている時に 会話をしているのだろうか?
両親の知らない所で 会話が成り立っているのだろうか?
不思議だ
「もう一度会いたい・・・」
鈴音は 独り言を呟く
毎日 嫌なことばかりなので こんな出会いは心ときめく
あの男性に会うために 近いうちに また祖父に会いに行こうと思った
「白石君! 昨日 頼んでおいた見積できたか?」
営業部長のキツイ言葉で 現実に引き戻される
「まだです・・・すいません・・・」
「早くしてくれよ!待っているんだよ!」
「・・・」
「なんだ その不満そうな顔は⁉」
「・・・なんでも ありません・・・」
「早くしてくれよ!」
だったら 自分で作ればいいのに・・・とは言えない
「俺が若い頃は 頼まれたことは
無報酬の残業をしてでも上司のために直ぐにやって
仕事を溜めるようなことはしなかった
『そこまでやれ』とは言わないが もう少し早くしてくれないか?」
鈴音が勤めている小さな会社は 専門商社で そこの営業事務をしている
営業2課の中で 部長 課長 係長 平社員の 4人の事務を担当している
鈴音は上司や先輩に
『これやっといて』『何でできてないの?』という命令口調 詰問口調が苦手だ
しかも 部長は せっかちだ
なので 急ぎとは関係なく 直ぐの対応を望む
困った人だ と鈴音は思う
鈴音だって 何もサボっているわけではない
一生懸命 皆の要望に応えている
課長から頼まれた見積の納期が早かったので こちらを先に終わらせ
次に部長の見積もりを手掛けようと思っていた
きつい言い方に 自分の価値が低く見られているように感じる
実際 低いのだろうと鈴音は 思ってしまう
対話の余地を感じないどころか 委縮して自分の意見が出せなくなる
そんな自分は 繊細過ぎてダメなのだろうと落ち込んでしまう
両親は 大手企業で もっと大変な仕事をしているのだ
こんなことで落ち込む自分は ダメな人間なのだろう
仕方がない 昼休みを返上して見積もりを作ろう・・・
無報酬残業はしたくない そう思う鈴音は おかしいのだろうか?
そして ため息を吐きながら 鈴音は仕事をする
☆☆☆
鈴音は あの綺麗な男性のことを考えていた
祖父は もう何年も寝たきりで
意識があるのかもわからないと 両親から聞いている
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あの男性は介護士で
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不思議だ
「もう一度会いたい・・・」
鈴音は 独り言を呟く
毎日 嫌なことばかりなので こんな出会いは心ときめく
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「・・・」
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「・・・なんでも ありません・・・」
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仕事を溜めるようなことはしなかった
『そこまでやれ』とは言わないが もう少し早くしてくれないか?」
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『これやっといて』『何でできてないの?』という命令口調 詰問口調が苦手だ
しかも 部長は せっかちだ
なので 急ぎとは関係なく 直ぐの対応を望む
困った人だ と鈴音は思う
鈴音だって 何もサボっているわけではない
一生懸命 皆の要望に応えている
課長から頼まれた見積の納期が早かったので こちらを先に終わらせ
次に部長の見積もりを手掛けようと思っていた
きつい言い方に 自分の価値が低く見られているように感じる
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こんなことで落ち込む自分は ダメな人間なのだろう
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