call back your power ~物語の心 色鉛筆の手触り~ (短編集・画集)

青空 蒼空

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砂のピラミッドたち ~曖昧な世界で~4⃣

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 狸 じゃなくて 猫が 赤いマントを翻して 凄いスピードで そちらに向かい走って行く⁉
 でっぷり太っているので ドタドタと 砂ぼこりを上げて走る

 俺は たぬ・・・猫を追いかけた

 そして あの客のピラミッドの前に駆け寄ると 華麗?に ジャンプして 左回転をし 短い脚で 飛蹴りを入れた
 
 あの でっぷりとした体とは 思えない身軽さで 地面に着地し よくわからない ポーズを決めて 満足げな顔を している・・・

 客の ピラミッドは 半分以上 崩れ落ちた・・・

 「まじか・・・いいのかよ・・・殺したのか?」
 「死んだら 綺麗なピラミッドに なるニャン」

 あ~そうか 蝋燭とは逆だと言っていたな・・・

 猫 いや狸・・・違う 猫は 満足げにニャンニャン 笑っている

 「人の 人生 勝手に変えて いいのかよ」
 「変えてないニャン 少し 早めただけニャン 人生 やり直しのチャンス到来ニャン!」

 どっちにしても そうなる予定だったということか・・・
 ピラミッドを 建て直す・・・
 人生の やり直しか・・・

 「ちなみに お前の ピラミッドから 遠く離れた あのピラミッドは 結婚相手ニャン」
 「えっ!どれ?」

 「あの 遠くに あるやつニャン あの距離は 出会うまでに あと4・5年 かかるニャン」
 「もっと 早めてくれ!」

 俺は 食い気味に言いた

 「だから 言ったニャン 世界は曖昧にできているニャン 早めるのも 自分次第ニャン」
 「相手は 可愛いのか?」

 「だから 言ったニャン! 曖昧ニャン!」
 「あー はいはい どう思うかも 自分次第 ということね」

 たぬ・・・猫は 満足げに 大きく頷いた

 「曖昧なら 狸でも いいだろ?」
 「猫ニャン!!」

 と頭に 華麗?なる 飛び蹴りを された

 そこは 譲れないのか・・・
 しかし どこかで見た たぬ・・・猫だな・・・

 あー マジで痛い・・・

 「いっ!痛い・・・」

☆☆

 頭の痛みに 俺は 目を覚ました
 昨夜は 飲み過ぎて 背広のまま 寝てしまったようだ・・・

 起き上がろうとして体を動かすと ベッドの下に何かが落ちた
 俺は それを手に取る
 ヘッドボードに置いていた 狸の置物だ
 
 この前 同僚と出張先で 時影砂丘が 近くにあるということで 行った
 そこの砂丘に 埋もれていた 手のひらサイズの 陶器の狸の置物だ
 
 でっぷりとした体に 赤いマントをつけ 朗らかな笑顔が可愛くて 拾って持って帰ってきた

 どうやら この狸が 俺の頭に落ちてきたみたいだ 痛い・・・

 「・・・!! お前 もしかして・・・猫か?」

 たぬ・・・猫は 何も答えない
 あたりまえか・・・

 さあ 仕事に 行こうか・・・
 
 客を殴って 自棄酒した割には 気分が スッキリしているな
 まぁ どうにでも なるか
 世界は 曖昧だもんな・・・
 
 俺は 携帯に目をやる

 あれ 会社から 昨日 何度も着信が・・・
 やば・・・

 8時には 俺 意識なかったよな・・・
 記憶が 7時台までだ・・・

 俺が でないから 課長から メールが届いている

 『○○(株) 倒産につき あと処理を よろしく
 私は 明日から 暫く 会社を休む』

 俺が 殴った客の会社だ・・・
 大口注文 受けなくて・・・よかった・・・

 課長・・・病気か?大丈夫か・・・?
 俺は 再び たぬ・・・猫の置物を眺めた
 朗らかな顔の笑顔が 増した・・・気がした・・・






 (了)



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