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14話・イヤリング
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一週間ほど歩き続ければ次の村に出た。
村の名前はエーデルといい、規模は前の村より少し大きい程度だが、人口の密度が違う。
ルーデルカンスとの違いにリースがきょろきょろとしていれば、気付いたステラが教えてくれた。
「ここは各農村への経由所になっているから、それなりに人が多い。その分、性質が悪いのも多いから、気をつけろ」
そういって、リースの腰に下げる剣を指差す。
「いいか、ソレは決して人に向けるな」
短く告げられた言葉に頷く。ステラはすぐに周りを見回して「知り合いのところに顔を出してくる」とつげ別行動を取るといった。
シェリアとリースにはそれぞれ「好きに使っていい」という言葉とともにステラから硬貨が渡された。
さっさと人ごみに紛れていくステラを見送り、リースはどうしたものかと手渡された硬貨を見つめていると、隣からずいっと小袋が差し出される。
「アンタ、財布持ってないんでしょ。とりあえず、それにいれとけば?」
相変わらずつっけんどんな言い方だが、小袋は素直にありがたいので戴いておく。
短く礼も告げれば「別に」とそっぽを向いてこれまたすたすたと歩き出してしまった。
「あ、おい!」
「ここ、宿屋は一つしかないから夕食前にそこに集合ね。じゃあ」
ひらりと手を振ってこれまた人ごみに紛れてしまったシェリアを一人取り残されたリースは立ち尽くしたまま見送った。
なにをするにも珍しい。厳しい鍛練と歩き通しだったこともあり、体は休息を求めていたが、それも好奇心の前には抗えない。
あっちをみて、こっちをみて。屋台を冷やかして回る。
あっという間に時間は過ぎて、夕暮れが顔をのぞかせた頃だ。
店仕舞いを始める店もある中、ぶらぶらと宿屋に向かって歩いていたときに、それを見つけた。
軒先に出されていたのは、群青色の中に星空のように金色の粉がちりばめられた丸いガラス玉をチェーンの先につけたイヤリングだった。
それは、なぜかシェリアを髣髴とさせて、なぜだろうと店先で考え込んでいると店主らしい若い男が奥から出てきた。
「にーちゃん、そのイヤリングが気に入ったのかい?」
「え?えっと」
「彼女サンへの贈り物かな? 中々にいい出来だろう。まだ見習いのガラス職人が作ったものだから値段は低いがね、それなりにいいモンだよ。にーちゃんは目がいいなぁ」
からからと人受けする笑みで笑う店主に眉を寄せて困った表情をしていると、バンといきなり背中を勢いよく叩かれた。
「なーにをまよってる。こんだけいいモンみつけたんなら、かわなきゃソンだぞ、ソン」
「あー、いや、でも」
「んん? 手持ちの金がたりないのか?」
「あ、いや、それは、大丈夫、なんだけど……」
このイヤリング一つを買うくらいの金額はステラから貰っているし、何に使えばいいかわからなくてあっちをみてこっちをみてを繰り返し、結局何も買わなかったからステラからもらった小遣いは丸ごと残っているのだ。
第一、店主の男の言うとおり見た目に反して値段が酷く安い。
とはいっても、それは今日一日色んな店を冷やかしたからいえる言葉であって、以前の、それこそ生まれた村からでたことがなかったリースには途方もない金額でもあっただろう。
なにしろ、リースは生まれてこの方、小遣いなどもらったことがないものだから。
「なら買っちまえ! 次にこの職人のヤツ仕入れるときは、零が一個ふえとることを商人として確信してるぜ」
そんな風に押せ押せでこられると、リースではどう対応していいかわからない。
今日一日店を冷やかして回れたのも、リース以外の客が多かったからだ。
夕食時も間近となった今、リースしかいない店内で他に客はいない。
困ったなぁと思いつつも、リースの脳裏にはやっぱりシェリアの顔がちらついて仕方なくて。後はなにかにつけ、世話を焼かれていることもやっぱり気になっていて。
「……じゃあ、もらおうかな」
つい、そんな言葉が口をついてでていた。
村の名前はエーデルといい、規模は前の村より少し大きい程度だが、人口の密度が違う。
ルーデルカンスとの違いにリースがきょろきょろとしていれば、気付いたステラが教えてくれた。
「ここは各農村への経由所になっているから、それなりに人が多い。その分、性質が悪いのも多いから、気をつけろ」
そういって、リースの腰に下げる剣を指差す。
「いいか、ソレは決して人に向けるな」
短く告げられた言葉に頷く。ステラはすぐに周りを見回して「知り合いのところに顔を出してくる」とつげ別行動を取るといった。
シェリアとリースにはそれぞれ「好きに使っていい」という言葉とともにステラから硬貨が渡された。
さっさと人ごみに紛れていくステラを見送り、リースはどうしたものかと手渡された硬貨を見つめていると、隣からずいっと小袋が差し出される。
「アンタ、財布持ってないんでしょ。とりあえず、それにいれとけば?」
相変わらずつっけんどんな言い方だが、小袋は素直にありがたいので戴いておく。
短く礼も告げれば「別に」とそっぽを向いてこれまたすたすたと歩き出してしまった。
「あ、おい!」
「ここ、宿屋は一つしかないから夕食前にそこに集合ね。じゃあ」
ひらりと手を振ってこれまた人ごみに紛れてしまったシェリアを一人取り残されたリースは立ち尽くしたまま見送った。
なにをするにも珍しい。厳しい鍛練と歩き通しだったこともあり、体は休息を求めていたが、それも好奇心の前には抗えない。
あっちをみて、こっちをみて。屋台を冷やかして回る。
あっという間に時間は過ぎて、夕暮れが顔をのぞかせた頃だ。
店仕舞いを始める店もある中、ぶらぶらと宿屋に向かって歩いていたときに、それを見つけた。
軒先に出されていたのは、群青色の中に星空のように金色の粉がちりばめられた丸いガラス玉をチェーンの先につけたイヤリングだった。
それは、なぜかシェリアを髣髴とさせて、なぜだろうと店先で考え込んでいると店主らしい若い男が奥から出てきた。
「にーちゃん、そのイヤリングが気に入ったのかい?」
「え?えっと」
「彼女サンへの贈り物かな? 中々にいい出来だろう。まだ見習いのガラス職人が作ったものだから値段は低いがね、それなりにいいモンだよ。にーちゃんは目がいいなぁ」
からからと人受けする笑みで笑う店主に眉を寄せて困った表情をしていると、バンといきなり背中を勢いよく叩かれた。
「なーにをまよってる。こんだけいいモンみつけたんなら、かわなきゃソンだぞ、ソン」
「あー、いや、でも」
「んん? 手持ちの金がたりないのか?」
「あ、いや、それは、大丈夫、なんだけど……」
このイヤリング一つを買うくらいの金額はステラから貰っているし、何に使えばいいかわからなくてあっちをみてこっちをみてを繰り返し、結局何も買わなかったからステラからもらった小遣いは丸ごと残っているのだ。
第一、店主の男の言うとおり見た目に反して値段が酷く安い。
とはいっても、それは今日一日色んな店を冷やかしたからいえる言葉であって、以前の、それこそ生まれた村からでたことがなかったリースには途方もない金額でもあっただろう。
なにしろ、リースは生まれてこの方、小遣いなどもらったことがないものだから。
「なら買っちまえ! 次にこの職人のヤツ仕入れるときは、零が一個ふえとることを商人として確信してるぜ」
そんな風に押せ押せでこられると、リースではどう対応していいかわからない。
今日一日店を冷やかして回れたのも、リース以外の客が多かったからだ。
夕食時も間近となった今、リースしかいない店内で他に客はいない。
困ったなぁと思いつつも、リースの脳裏にはやっぱりシェリアの顔がちらついて仕方なくて。後はなにかにつけ、世話を焼かれていることもやっぱり気になっていて。
「……じゃあ、もらおうかな」
つい、そんな言葉が口をついてでていた。
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