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第二章 人生は万事、塞翁がウマ!
19.アルジェリアの悲劇(1)
しおりを挟むここ最近の胸の息苦しさについて、原因ははっきりしない。けれどそれほど神経質にもなっていない。なぜなら私も彼も、その答えには薄々辿り着いているからだ。
これが精神的なものであり、まだ取り戻せていないキハラと新堂さんが関わる記憶が関係している事を。
「ダメだ、ユイ!」
「お願い、行かせてよ……っ!」
私は今、彼の手を振り切ってリビングを出ようとしている。
「行ってどうする?」
「このまま黙って見てる事なんてできないわ!」
テレビでは、アルジェリアで日本人を含む外国人が、どこかの武装勢力に拉致されたというニュースが流れている。今年の幕開けは最悪なものとなった。
あまりの怒りに本気で現地へ乗り込もうと立ち上がったところで、彼に止められたという訳だ。
「気持ちは分かるが、それは俺達の仕事じゃない」
「そう、間違っても外科医のあなたの仕事ではないわね」
「そうじゃないだろ!」
睨み合いが続いた後、一瞬彼の力が緩む。その隙に、私は彼を振り切る事に成功した。
自室に駆け込み荷物を纏め始めるも、追い駆けて来た彼がまたも私の腕を強く掴んでくる。
「痛い、放してよ!急がないと手遅れになるでしょ?」
「ユイ!自分の今の状況を考えろ。悪いが、今のおまえには人質を救う事も、テロリストを始末する事もできやしない」
「なぜそんな事が分かるの?やってみなきゃ分からないでしょ!」
途端に彼が悲し気な顔をした。
「やっぱりこうなるんだな。記憶が戻ろうと戻るまいと、結局大して変わらないじゃないか!」後半は皮肉な笑いを交えて言い放つ。
何も返す言葉がない。私の信念が変わる訳ではないのだから、当然の事だ。
けれど、一つだけ違う事がある。
「約束してくれたじゃないか。思い出してくれたんだろ?」
「約束……」そう、この人の隣りで共に生きて行くと自分が誓った事だ。
「そうだ!行くな、ユイ……」
自分にとって何が一番大切なのか。その選択を迫られたのは、これが初めてではない。
そんな事を考えた時、突然激しい眩暈に襲われた。
頭を抱えて、突如蹲った私に新堂さんが驚く。「ユイ?」
「くっ……!なっ、何なのこんな時に?何が起きてるの、っ、……」
まともに立っている事もできない。体が勝手に揺れ動くのを止められない。
「どうした、立ちくらみか?」
「目の前が、物凄く、揺れて……、」
そのままあっさり倒れた。意識はある。
「酷い眩暈が起きてるようだ。無理して動くな。気分は悪くないか?」彼は私の眼球を覗き込んで言った。
「大、丈夫……。でも、どうしたらいいの!」
こんなに強く長びく眩暈は初めてで、恐ろしくなる。
「とにかくベッドに横になろうか。じっとしてろ、俺が運んでやる」
体が持ち上げられても揺れは収まらない。まるで悪夢の中だ。もし今一人きりだったら、このまま奈落の底に引きずり込まれて行きそうだ。
彼にしがみ付きながら、そんなおかしな事を考えていた。
ベッドに寝かされてみると、聴覚に違和感がある事にも気づく。
「ねえ新堂さん、耳が変。音が……頭の中で反響しててっ、嫌な感じ」
「音?聞こえる音全部か」
「う~ん、分かんないけど自分の声とか?横になっても眩暈が治まらないし!」
眩暈などというものは、立っている間だけ一瞬感じるものと思っていた。天井が未だにグラグラと揺らめいている。
新堂さんがサイドテーブルに置いた聴診器を手に、私の心音を時間をかけて確認している。
「こっちは問題ないな」こう言った後、真剣な表情で私を見下ろして沈黙した。
こういう時は、良くない兆候を疑っている事が多い。
「ごめん……私が興奮しすぎたんだわ、きっと」両耳を押さえて言う。
彼が静かに首を左右に振った。「いつだってユイは、罪のない命が犠牲になる事に対して敏感だった。そういうヤツだって事くらい知ってる。今さらだろ?」
「うん……」
「しばらく休んでろ。もう興奮するなよ?」
「ああん!私、どうしちゃったの……!」次から次へと襲い来る体の不調について行けない!
対する彼はどこまでも落ち着いている。「心配するな、今薬を取って来るから」
「注射はイヤよ?飲み薬にしてね」
「出たな、我がまま患者め!そんな注文をしてくるところを見ると、大した事はなさそうだな」
人の気も知らずにこんな軽口を叩いて、彼は部屋を出て行った。
すぐに薬を手に戻って来る。取りあえず、と言って鎮静剤と鎮暈剤の錠剤を差し出された。
「どうやら願いは叶ったみたいね」相変わらず耳を押さえながら声を出す。
こうしないと、自分の声が反響してよく聞こえないのだ。
「……そうだ、いいものがある。ちょっと待ってろ」
何かを思い出したように彼が席を立つ。
少しして、手に何か小さな物を乗せて戻ってきた。
「これ使え」
彼から受け取ったのは、変わった形をしたゴム製の耳栓だった。球根付きの花のようなその姿がどこか可愛らしい。
「気圧の変化を緩和するものだが、雑音もシャットアウトしてくれる。必要な人の声などは聞こえるようにできてる」
「何だか画期的ね」早速装着してみる。
すると、響いていた低音の耳鳴りが気にならなくなったではないか。
「スゴイ!これなら楽だわ」
彼がほっとしたように微笑んだ。
「飲んだら少し眠るといい。今後の対応は、目が覚めて状況を見てから考えよう」
「対応って……?」
「もちろん、アルジェリア行きの事じゃないぞ」
「でしょうね」
それから数時間後、私は目を覚ました。部屋に彼の姿はなく、先ほどの音の反響は消えていた。起き上がってみると、眩暈も治まっている。
ゆっくりと廊下を進むと、書斎で難解そうな本を手に、考え事に耽っている彼がいた。
「新堂さん……」
「ん……ああ起きたか。具合はどうだ?」本から顔を上げて私を見る。
「うん。治まったみたい」
「リビングへ行こう」
彼が優しくエスコートしてくれた。二人でソファへ腰を下ろす。
「それで?まだあっちに乗り込むつもりか?」
「いいえ」私は即答した。心底嬉しそうな顔で彼が言う。「良かった」
「分かってるの。今の私には何もできないって……」こんな状況だ。当然だろう。
彼は何も言わない。
「分かってるけど!」
「ああ、そうだな」
彼がそっと抱きしめてくれる。たちまち涙が溢れた。
「知ってるか?一応この国にも、テロ展開班ってヤツがあるんだ」
「警察庁のTRT-Ⅱでしょ。そういうのをあなたが知ってる事の方が驚きだけど」
彼は肩を竦めた。
「でもこの国は、そういう対応に慣れてない。結局法律が邪魔をして何もできないのよ!」だから私は法律に縛られない裏から手を回す。
「だが、それが彼らの仕事なんだ。それは、彼らの仕事。おまえのじゃなくな」
悔しい。悔しすぎる!年を取り過ぎた事にも、あらゆる後遺症で身軽でないこんな体になってしまった事にも、おかしな病を何かと抱え込んでいる現状にも!
「もし私がこんな体じゃなかったら、フリーランスの猛者達を募って絶対に乗り込んでたのに!」
「ああ……そうだろうな」
真剣に聞いているのかいないのか、彼が私の髪を優しく撫でている。そしてその手が耳に触れる。
「もしまた症状が出たら、すぐに言うんだぞ?」
「うん」
「けど、治まって良かった」彼は本当に嬉しそうに言った。
それから数日が経っても、テレビでは連日のように人質事件の近況を報道している。さらに悪い事には人質の何名かの死亡が確認されたようだ。
「おい、ニュースはあまり見るなよ」
こんな発言に思わず反論する。「私に現実から逃げろと言うの?」
「体に障るから言ってるんだ」
「ふざけないで!」
またも興奮し始めた私に、彼の視線が突き刺さる。
居ても立ってもいられず、シガレットケースを手にテラスへ出た。冷たい空気が肌を刺す中、早々に一本目に火を点けて、深く吸い込む。
「ユイ」
振り返りもせずに答える。「何?寒いでしょ。煙も入るし、早く閉めて」
「気の済むまで、いくらでも吸えって言いに来た」このおかしな回答に思わず振り向いてしまった。「え?」
「それの方が、無謀な行動を起こされるよりも何十倍もマシだ」
てっきり取り上げられると思っていたので、呆気に取られた。
「ふふっ!」
「何がおかしい?」
「だって!普通の医者はそんな事言わないでしょ。こういう時は、絶対禁煙しろって言うわよ、間違いなく?」まだ笑いが止まらない。
「そんな無意味な事は言わないって言ってるだろ」
「だから大好きよっ、新堂先生って!」
この人よりも大事なものなんてない。比べる事なんて、そもそもできないけれど。
「……うっ」
またしても眩暈が始まったが、彼に支えられて体勢を保った。
「大丈夫か?」
「ごめんなさい。調子に乗りすぎね。もうやめる」半分ほど吸った二本目の火を揉み消して言った。
「やれやれ……」彼の小さなため息が聞こえた。
「ありがとう。でもお陰で落ち着いたから」
「何よりだ」
「だけど、これだけの罪もない人達の命を奪ってるあいつ等、殺してやりたいわ!」
「いずれ天罰が下るさ」
「今回の実行犯は、前にもドイツの大統領暗殺を企てたみたいじゃない?未遂に終わったらしいけど。数ヶ月前の米大使館襲撃も奴等の仕業だって話よ」
思わず力が入ってしまう。こういうニュースの類は隈なく見ている。
「そのようだ。だからってユイ……」
不安そうな彼に、力を抜いてから答えた。「分かってる。私の仕事じゃないものね」
私達は室内に戻って、ダイニングに向かい合って座る。
「キハラだったら何て言うかしら」
「ん?」
彼の顔色が少しだけ陰った気がした。
「いいえ、何でもないわ」こんな話はこの人とするべきではない。
そう思って話題を変えようとした時、新堂さんがこんな事を言った。
「もしキハラなら、ユイを危険に曝すような事は絶対にしない」
「……え?」驚いて聞き返す。
「あいつと話した時に、言っていたんだ」
「やっぱり!話した事あるのね?」
「まあね。秘密だったんだが……まあいい。ヤツは、おまえがこういう世界に身を置いている事を知って、悲しそうだった。そうさせたのは自分のせいだとね」
再会したあの日、私にもそんな事を言っていた。
あれは依頼先の寂れた倉庫街だった。薄闇の中で響いたその声を、そしてキハラの愛用銃コルトパイソンのシリンダー回転音を聞いた時は耳を疑った。
私がまだ幼かった頃、父義男がキハラをどこからか引き抜いて来た。それから私の世話役としてずっと側にいたキハラ。生真面目で不愛想で怖くて、だけどどこまでも頼もしくて尊敬する人。
私がこんな道を歩んでいるのは、決してキハラのせいなどではない。
「ヤツなら絶対におまえをアルジェリアには行かせない。そもそも人質の救出には行かないだろう」
「そんな事、どうして分かるの」
「ユイも知ってるだろ?あいつは裏の世界の人間だ。つまり……」
「だったら私もそうよ」
キハラと自分のいる場所を線引きされたようで、思わずそう言い返した。
「そうだったな。なのに不思議な事に、おまえはまるで正義の味方だ!」
「だって私、そもそも警察官志望だから?」好きでウラの世界に入った訳ではない。
親族に犯罪者がいる場合、警官になる事はほぼ不可能なのだ。
「だが現実問題、違うだろ」
「何が言いたいのよ」
「別に何も」
「言いにくそうだから自分で言うわ。私は人殺しの犯罪者よ」
「おい、俺はそんな事思ってないぞ?」
「いいのよ、本当の事だし。それが現実だわ」
彼は黙ってしまった。けれど構わず続けた。「正規の職ではやれる事に限界がある。でもこちらの世界に身を置けば、ある程度は可能。バレなければね」
自分はなぜこんなに必死に説明しているのだろう?以前ならばこんな話は彼にはしなかったはず。なぜなら……。
「もういい」
そう。こういう話になると、彼はいつでも避けようとするから。自分だって裏の世界の人間なのに?でも今はそんな事までは言わないでおこう。
「悪人は、人助けなんてしないって?」私はやや皮肉を込めて言った。
すると彼も同調してくる。「そうだ。俺も悪人だから、金にならない人助けなんてしないだろ?」
それはとても良く知っている。「言うじゃない?」
「おまえもだろ?何せ殺人犯は極悪人だからな」
そう来るか……。一人を殺してもう一人を助ける事だってできる!
そう反論しようとして断念した。今さら私も正義の味方にはなれそうもない。
「あ~っ、んもう……負けたわ」怒りがどこかへ吹き飛んでしまった。
「それよりユイ、具合はどうなんだ」
「時々フラフラするけど、今は平気」
「顔色があまり良くないようだが……」
「あら、そう?」
「……タバコの吸い過ぎか」独り言のように呟く彼に、「そこまで吸ってないでしょ~?」と反論する。
「血流が悪くなるんだ、一時的にね」こんな言葉には、「それなのに容認してるなんてねぇ」と言ってみる。
不意に彼が私を真っ直ぐに見て言った。「俺の苦悩も知ってほしいね」
これには、さすがにふざけられなかった。「……ごめんなさい」
「まあいいさ。そうやって吸ってるうちは、それほど重症ではないって証拠だからな」
何も言えなかった。この人には全てお見通しのようで……やっぱり頭が上がらない!
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