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胡桃と拓哉の場合(前編)
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ここに簡単な英文がある。 たった一行だ。 小中と義務教育を受け、ちゃんと勉強をして来た人間にとっては簡単なのだが。 現在進行形で学生であるはずの葉月胡桃には、解読出来なかった。 英語の成績は、毎回赤点ギリギリをキープしている状態で、褒められたものではない。
隣のクラスの友人、沢田朱里に貸した教科書に、一枚のメモが挿まれていた。 メモには[葉月胡桃様]と宛名が書いてあった。 てっきり朱里からのお礼の手紙で、律儀だなと思いながら気軽に開いたメモだった。
『I've always liked you』
メモを開いて胡桃の目に飛び込んで来た文字は、苦手な英文だった。 胡桃は暫く英文を凝視してから、首をひねって困惑した様子でメモを眺めていた。 額からは冷や汗が、後から後から流れ出る。
(どうしよう、読めない。 訳せないから、なんて書いてあるのか分からない!)
胡桃は予鈴が鳴った事にも気づかない。 廊下で生徒たちが教室に急ぐ足音も、クラスメイト達が席に着く騒音も、次の授業の準備の為に、教科書が机の上に置かれる音も、本鈴が鳴って教師が教室に入ってきても、授業を始める声も、BGMのように右から左へ、胡桃の頭の中に流れては出ていった。
――校舎に昼休みの鐘が鳴り響く。
いつもはクラスの友人と教室で昼食を摂る胡桃だが、今日は朱里と昼食を摂りたい為、終了のベルが鳴るなり隣のクラスに急いだ。 目的は、あのメモの事を訊くためだ。
屋上にベンチがある一角を陣取る。 ここはあまり人が来ないので、内緒話するにはいい場所だ。 一人になりたい時もいい。 穴場だが、極一部には人気スポットだ。 運よく今日は誰も居なかった。
「んで? このメモが教科書に挿んであった訳?」
「うん」
朱里がウィンナーを頬張りながらメモを見た途端、怪しく目を光らせた。
「ねぇ、どういう意味だと思う? まさか! 果たし状とかじゃないよね? でも、差出人がないの! 怖くない? あ、もしかして! 先生からの謎の課題とか? ああ、でも答えが分からない。 これ直ぐに提出しないと駄目かな?」
「いや、止めてやれ。 メモの相手が可哀そう過ぎる。 分からなかったら携帯でググればいいじゃん」
「今日に限って、携帯を家に忘れてきたんだよーー! 先生に訊いても、絶対に自分で考えろって言われるだけだし」
朱里が胡桃を残念な子を見る目で見つめている。 しょうがないなという顔をした後、自分の携帯を取り出してささっと英文を調べる。 そして、ブラウザーの音声を再生させた。
『I've always liked you』
静かな屋上に機械音の女性の声で、流暢な英語が携帯から流れてきた。 胡桃には早すぎて聞き取れなかったが、差し出された携帯のブラウザーには、英文の訳が載っている。 「ずっと君が好きだった」と書かれてあった。
(これってラブレターだったの? 初めて告白された!)
胡桃は今更ながら胸がドキドキして、顔が熱くなるのを感じた。 頭の中で、英文の訳がずっと連呼されてこだまする。
「このメモがいつ挿まれたのか? クラスの友達に、胡桃に借りてくるって宣言して行ったのよね。 だから、誰の教科書か分かってたはず。 それから、休み時間ギリギリにトイレに行って。 教科書は、机の上に置きっぱにしたからなぁ。 後は、一回だけ当てられて黒板の前まで行った時か? 席を離れたのは、この二回だけなんだけど。 胡桃も誰がこのメモをくれたのか知りたいでしょ?」
朱里の言葉に即座に頷いた。 自慢出来ないが胡桃は物凄い美人でもない。 ごく普通の何処にでもいそうな顔立ちをしている。 どちらかと言うと、朱里の方がこんな手紙を貰えそうな容姿をしていた。 朱里はふわふわの髪を2つに結んでいて、目も大きくて可愛らしい顔立ちだ。 だから、どんな人がこのメモをくれたのか、純粋に知りたいと思ったのだ。 朱里の作戦はこうだ。
「直ぐには怪しまれるから、近いうちにまた教科書を借りに行くからね。 ちゃんと前回と同様に、胡桃に借りに行くって宣言して行くから。 胡桃は返事を用意しといて。 もしかしたら、またメモを挿みに来るかもしれないし、駄目だったら他の作戦考えないとね」
胡桃は、何時決行するか楽しそうに考えている朱里を、苦笑しながら眺める。 卵焼きを一つ頬張りながら、メモの相手に思いを馳せる。
(ホントに誰だろ? 本当に高校生なのかな? 物凄いキザなんだけど)
――作戦は一週間後に決行された。
朱里に『返事をしたいので名前を教えてください』と書いたメモを、教科書に挿んで渡した。 50分後には授業が終わる。 その時には、答えが出るだろう。
終業の鐘が鳴り、お昼休み入った。 胡桃と朱里は屋上のベンチに居た。 穴場スポットには今日も誰もいない。 胡桃の手には一枚のメモが握られていた。 二人ともお弁当を食べるのも忘れて、メモを凝視している。
二人の瞳は最大限に開けられていて、口もポカーンと開いている。 メモにはこう書かれてあった。
『あんた英文読めたんだな 能上拓哉』
(いや、読めなかったけどねっ。 これって、どう受け止めたらいいんだろ?)
「能上拓哉 あ、あいつ、私の後ろの席だ! 能上か~! 悪戯で決まりだわ~。 英文読めないだろうって、揶揄って面白がってるんだよ~!」
「えっ、誰?」
「えっ! 胡桃、覚えてないの? 1年時に珠子が振られた相手じゃん。 珠子のバレンタインチョコを雑巾しぼりして、ゴミ箱に捨てた奴だよ。 胡桃、凄い怒って文句言いに行ったじゃん。 マジで覚えてないの? それが広まって女子からめちゃ叩かれてたのも?」
朱里はお弁当の卵焼きを呆れた顔で頬張っている。 胡桃は自分のお弁当箱の蓋を開け、メインの唐揚げを箸で摘まむ。 唐揚げを見つめながら、その時の事を記憶の底から引っ張り出した。
(そう言えば、そんな事があった様な気がする。 顔が全然、思い出せないけど)
「という事は、『ずっと君が好きだった』って言うのも嘘! もしかして、その時の腹いせにこんな悪戯を! 今更?! 2年になってもう6月になるのに? やっぱり果たし状だった?!」
胡桃は真っ青になって頭を抱えると、箸からポロリと唐揚げが落ちて屋上に転がった。
「落ち着け、そんな訳ないでしょ! でも能上って、うちらとは人種が違うからなぁ。 よし、食べ終わったら見に行こう。 百聞は一見に如かずって言うしね」
1・2年校舎と3年校舎を繋ぐ渡り廊下に、バルコニーがある。 バルコニーからは中庭が見渡せ、まだ多くの生徒たちが、思い思いに昼休みを満喫している様子が見えた。 その中に、ひと際賑やかでキラキラした集団が居た。 女子力が高くてお洒落な女子、美意識が高くてクオリティーの高い男子。
胡桃は眩しくて、直視出来なくて何度も瞬きをした。 朱里が目線だけで、雑巾しぼり男、能上拓哉なる男子を胡桃に教えてくれた。
「端に居る一番背の高い男子だよ。 アクセいっぱい付けてる子。 あれ、手作りらしいよ。 アクセ作りが趣味なんだって」
雑巾しぼり男は、本当にアクセサリーを付けてない場所が、無いんじゃないかってくらい付けていた。 顔立ちは中性的で、少し髪が長い。 同じ高校生とは思えない程に、色気を放っている。 胡桃は拓哉から目が離せなかった。
周囲の空気がスローモーションで流れていく。 周囲の音が消え、ここが2階で、バルコニーに居る事も忘れて拓哉を見つめる。 周囲の景色も消え、真っ白な世界に、胡桃と拓哉の二人だけになった錯覚を覚えた。
胡桃は誰かに肩を揺すられて現実世界に戻って来た。 振り返ると、朱里が心配そうに胡桃を見つめている。
「胡桃? 大丈夫?」
隣に朱里が居る事も忘れ、心配されるほどボーっと拓哉の事を見つめていたのだ。
「うん、大丈夫。 あの人、本当に同じ高校生なの? 何というか、凄い色っ、大人っぽいね」
(何!? あの人! すっごい色っぽいんですけど!!! 色気に当てられたなんて、初めてだ!!)
二人の視線を感じたのか、拓哉が不意にバルコニーの方に目を向けてきた。 拓哉は胡桃と目が合うと、少し頬を染めた。 拓哉の様子に胸がキュンと鳴った。
(今の何? ちょっと可愛いとか思ったよ)
胡桃は予鈴が鳴るなり、逃げるようにバルコニーを後にした。
――キッチンから母親の見事な包丁捌きが聞こえる。
キッチンから漂ってくる匂いに、今日は肉じゃかと予想を立てる。 胡桃は自宅のリビングのソファーで、寝転がりながら2枚のメモを眺めていた。 メモだけを見れば揶揄われてるのは否めない。
(やっぱり、揶揄われたのかな?)
昼間の胡桃と目が合った瞬間、拓哉の照れた顔が思い出される。 胡桃はメモとのギャップで益々分からなくなってくる。 不意に手元からメモが消えた。 いつの間にかリビングに降りてきた妹が、2枚のメモを、目を細めて凝視している。
「何、お姉ちゃん。 いじめられてんの?」
「違うわよ!」
妹からメモを取り返す。
「どっちにしてもその男は止めとい方がいいと思うけど」
妹の意見に苦笑いしか出ない。 母親の「ご飯出来たわよ」の声にテーブルにつく。 胡桃の予想通りテーブルにはメインの肉じゃがと、きゅうりとワカメの酢の物、焼き鮭も並んでいる。 父親の席の前には、お刺身の盛り合わせが置いてあった。 葉月家の肉じゃがは少し甘い。 胡桃はいつもの味に満足し、今後の方針を決めた。
(向こうから何か言ってくるまで、様子見しよう。 うん、そうしようつ。 本気かどうか分からないもんね)
隣のクラスの友人、沢田朱里に貸した教科書に、一枚のメモが挿まれていた。 メモには[葉月胡桃様]と宛名が書いてあった。 てっきり朱里からのお礼の手紙で、律儀だなと思いながら気軽に開いたメモだった。
『I've always liked you』
メモを開いて胡桃の目に飛び込んで来た文字は、苦手な英文だった。 胡桃は暫く英文を凝視してから、首をひねって困惑した様子でメモを眺めていた。 額からは冷や汗が、後から後から流れ出る。
(どうしよう、読めない。 訳せないから、なんて書いてあるのか分からない!)
胡桃は予鈴が鳴った事にも気づかない。 廊下で生徒たちが教室に急ぐ足音も、クラスメイト達が席に着く騒音も、次の授業の準備の為に、教科書が机の上に置かれる音も、本鈴が鳴って教師が教室に入ってきても、授業を始める声も、BGMのように右から左へ、胡桃の頭の中に流れては出ていった。
――校舎に昼休みの鐘が鳴り響く。
いつもはクラスの友人と教室で昼食を摂る胡桃だが、今日は朱里と昼食を摂りたい為、終了のベルが鳴るなり隣のクラスに急いだ。 目的は、あのメモの事を訊くためだ。
屋上にベンチがある一角を陣取る。 ここはあまり人が来ないので、内緒話するにはいい場所だ。 一人になりたい時もいい。 穴場だが、極一部には人気スポットだ。 運よく今日は誰も居なかった。
「んで? このメモが教科書に挿んであった訳?」
「うん」
朱里がウィンナーを頬張りながらメモを見た途端、怪しく目を光らせた。
「ねぇ、どういう意味だと思う? まさか! 果たし状とかじゃないよね? でも、差出人がないの! 怖くない? あ、もしかして! 先生からの謎の課題とか? ああ、でも答えが分からない。 これ直ぐに提出しないと駄目かな?」
「いや、止めてやれ。 メモの相手が可哀そう過ぎる。 分からなかったら携帯でググればいいじゃん」
「今日に限って、携帯を家に忘れてきたんだよーー! 先生に訊いても、絶対に自分で考えろって言われるだけだし」
朱里が胡桃を残念な子を見る目で見つめている。 しょうがないなという顔をした後、自分の携帯を取り出してささっと英文を調べる。 そして、ブラウザーの音声を再生させた。
『I've always liked you』
静かな屋上に機械音の女性の声で、流暢な英語が携帯から流れてきた。 胡桃には早すぎて聞き取れなかったが、差し出された携帯のブラウザーには、英文の訳が載っている。 「ずっと君が好きだった」と書かれてあった。
(これってラブレターだったの? 初めて告白された!)
胡桃は今更ながら胸がドキドキして、顔が熱くなるのを感じた。 頭の中で、英文の訳がずっと連呼されてこだまする。
「このメモがいつ挿まれたのか? クラスの友達に、胡桃に借りてくるって宣言して行ったのよね。 だから、誰の教科書か分かってたはず。 それから、休み時間ギリギリにトイレに行って。 教科書は、机の上に置きっぱにしたからなぁ。 後は、一回だけ当てられて黒板の前まで行った時か? 席を離れたのは、この二回だけなんだけど。 胡桃も誰がこのメモをくれたのか知りたいでしょ?」
朱里の言葉に即座に頷いた。 自慢出来ないが胡桃は物凄い美人でもない。 ごく普通の何処にでもいそうな顔立ちをしている。 どちらかと言うと、朱里の方がこんな手紙を貰えそうな容姿をしていた。 朱里はふわふわの髪を2つに結んでいて、目も大きくて可愛らしい顔立ちだ。 だから、どんな人がこのメモをくれたのか、純粋に知りたいと思ったのだ。 朱里の作戦はこうだ。
「直ぐには怪しまれるから、近いうちにまた教科書を借りに行くからね。 ちゃんと前回と同様に、胡桃に借りに行くって宣言して行くから。 胡桃は返事を用意しといて。 もしかしたら、またメモを挿みに来るかもしれないし、駄目だったら他の作戦考えないとね」
胡桃は、何時決行するか楽しそうに考えている朱里を、苦笑しながら眺める。 卵焼きを一つ頬張りながら、メモの相手に思いを馳せる。
(ホントに誰だろ? 本当に高校生なのかな? 物凄いキザなんだけど)
――作戦は一週間後に決行された。
朱里に『返事をしたいので名前を教えてください』と書いたメモを、教科書に挿んで渡した。 50分後には授業が終わる。 その時には、答えが出るだろう。
終業の鐘が鳴り、お昼休み入った。 胡桃と朱里は屋上のベンチに居た。 穴場スポットには今日も誰もいない。 胡桃の手には一枚のメモが握られていた。 二人ともお弁当を食べるのも忘れて、メモを凝視している。
二人の瞳は最大限に開けられていて、口もポカーンと開いている。 メモにはこう書かれてあった。
『あんた英文読めたんだな 能上拓哉』
(いや、読めなかったけどねっ。 これって、どう受け止めたらいいんだろ?)
「能上拓哉 あ、あいつ、私の後ろの席だ! 能上か~! 悪戯で決まりだわ~。 英文読めないだろうって、揶揄って面白がってるんだよ~!」
「えっ、誰?」
「えっ! 胡桃、覚えてないの? 1年時に珠子が振られた相手じゃん。 珠子のバレンタインチョコを雑巾しぼりして、ゴミ箱に捨てた奴だよ。 胡桃、凄い怒って文句言いに行ったじゃん。 マジで覚えてないの? それが広まって女子からめちゃ叩かれてたのも?」
朱里はお弁当の卵焼きを呆れた顔で頬張っている。 胡桃は自分のお弁当箱の蓋を開け、メインの唐揚げを箸で摘まむ。 唐揚げを見つめながら、その時の事を記憶の底から引っ張り出した。
(そう言えば、そんな事があった様な気がする。 顔が全然、思い出せないけど)
「という事は、『ずっと君が好きだった』って言うのも嘘! もしかして、その時の腹いせにこんな悪戯を! 今更?! 2年になってもう6月になるのに? やっぱり果たし状だった?!」
胡桃は真っ青になって頭を抱えると、箸からポロリと唐揚げが落ちて屋上に転がった。
「落ち着け、そんな訳ないでしょ! でも能上って、うちらとは人種が違うからなぁ。 よし、食べ終わったら見に行こう。 百聞は一見に如かずって言うしね」
1・2年校舎と3年校舎を繋ぐ渡り廊下に、バルコニーがある。 バルコニーからは中庭が見渡せ、まだ多くの生徒たちが、思い思いに昼休みを満喫している様子が見えた。 その中に、ひと際賑やかでキラキラした集団が居た。 女子力が高くてお洒落な女子、美意識が高くてクオリティーの高い男子。
胡桃は眩しくて、直視出来なくて何度も瞬きをした。 朱里が目線だけで、雑巾しぼり男、能上拓哉なる男子を胡桃に教えてくれた。
「端に居る一番背の高い男子だよ。 アクセいっぱい付けてる子。 あれ、手作りらしいよ。 アクセ作りが趣味なんだって」
雑巾しぼり男は、本当にアクセサリーを付けてない場所が、無いんじゃないかってくらい付けていた。 顔立ちは中性的で、少し髪が長い。 同じ高校生とは思えない程に、色気を放っている。 胡桃は拓哉から目が離せなかった。
周囲の空気がスローモーションで流れていく。 周囲の音が消え、ここが2階で、バルコニーに居る事も忘れて拓哉を見つめる。 周囲の景色も消え、真っ白な世界に、胡桃と拓哉の二人だけになった錯覚を覚えた。
胡桃は誰かに肩を揺すられて現実世界に戻って来た。 振り返ると、朱里が心配そうに胡桃を見つめている。
「胡桃? 大丈夫?」
隣に朱里が居る事も忘れ、心配されるほどボーっと拓哉の事を見つめていたのだ。
「うん、大丈夫。 あの人、本当に同じ高校生なの? 何というか、凄い色っ、大人っぽいね」
(何!? あの人! すっごい色っぽいんですけど!!! 色気に当てられたなんて、初めてだ!!)
二人の視線を感じたのか、拓哉が不意にバルコニーの方に目を向けてきた。 拓哉は胡桃と目が合うと、少し頬を染めた。 拓哉の様子に胸がキュンと鳴った。
(今の何? ちょっと可愛いとか思ったよ)
胡桃は予鈴が鳴るなり、逃げるようにバルコニーを後にした。
――キッチンから母親の見事な包丁捌きが聞こえる。
キッチンから漂ってくる匂いに、今日は肉じゃかと予想を立てる。 胡桃は自宅のリビングのソファーで、寝転がりながら2枚のメモを眺めていた。 メモだけを見れば揶揄われてるのは否めない。
(やっぱり、揶揄われたのかな?)
昼間の胡桃と目が合った瞬間、拓哉の照れた顔が思い出される。 胡桃はメモとのギャップで益々分からなくなってくる。 不意に手元からメモが消えた。 いつの間にかリビングに降りてきた妹が、2枚のメモを、目を細めて凝視している。
「何、お姉ちゃん。 いじめられてんの?」
「違うわよ!」
妹からメモを取り返す。
「どっちにしてもその男は止めとい方がいいと思うけど」
妹の意見に苦笑いしか出ない。 母親の「ご飯出来たわよ」の声にテーブルにつく。 胡桃の予想通りテーブルにはメインの肉じゃがと、きゅうりとワカメの酢の物、焼き鮭も並んでいる。 父親の席の前には、お刺身の盛り合わせが置いてあった。 葉月家の肉じゃがは少し甘い。 胡桃はいつもの味に満足し、今後の方針を決めた。
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