『私に嫌われて見せてよ』~もしかして私、悪役令嬢?! ~

伊織愁

文字の大きさ
12 / 27

12話

しおりを挟む
 コサージュ作りを続けながら、エディは執行委員の実情を調べる事にした。 本年度は無理でも、リュシアンが生徒会長となった時に是正したいと思ったのが本音だ。 リュシアンの平民への心象を良くしたいという邪な欲もある。

 「そう、毎年……」
 「はい、私たちも上の学年の先輩に聞きました。 執行委員へ入ると、教師陣の心象も良くなるし、卒業後に王宮へ就職しやすいんです」
 「なるほど……」

 (だから、高官の子供たちが多いのか、というか、高官の子供しかいないわねっ)

 「……う~ん、じゃ、貴族子息令嬢は何してるのかな?」
 「はいっ、当日の音楽祭の司会と、会場の受付と簡単な案内です」

 エディの質問に女生徒が答える。 彼女も高官の娘でポリーヌ・ガムゼ・デュリスだ。 エンリコとは幼馴染だそうだ。 エディは二人の雰囲気からもしかしてと思っている。

 エンリコがポリーヌの後を続ける。
 
 「案内も医務室に行くとかですね。 講堂での警備は平民の僕たちです。 僕たちだけでは足りないので、平民生徒から有志を募って補います。 執行委員の中でも、音楽祭に出る方も居るので、その方は一切、裏方の手伝いはしません」
 「……そう」

 (あれ? そう言えば、演奏者のリストにカトリーヌ様の名前があった様な……)

 「それは、芸術祭とかも同じなの?」
 「はい、芸術祭も貴族たちがやる事は一緒です。 劇に出る人は、練習で頭が一杯ですから、裏方は出来ませんからね」
 「じゃ、今年の芸術祭もこんな感じかしら?」
 「はい、もっと酷いですね。 彼らは朝の受付しかしなくて、後は観劇してます」
 
 エンリコたちの話を聞いて、エディとロジェは、想像以上な事に口をぽか~んと開けてしまった。

 (うちの国の貴族、大分、腐ってるっ?!)

 エディが思っていた以上に貴族子息令嬢は仕事をしていなかった。 執行委員の皆は、卒業したら仕官するという。 王宮で女官や官吏として働くのだ。

 (リュシアンの年からとか言っていられないわねっ)

 「もう、音楽祭も間近に迫っているから、揉めると当日にストライキされても困るわっ。 芸術祭では、何としても少しくらいは手伝わせるわっ」
 「「「「……っ」」」」

 エディ以外の皆が顔を見合わせ、複雑な表情をしている。 貴族に楯突くのは怖いのだろう。

 「いいえっ、彼女たちがこのまま王宮で女官として就職しても、全く働かないで終わるわっ!」
 「まぁ、半分は婚姻で辞めるでしょうけれど。 女官といっても、貴族令嬢方は婚姻までの行儀見習いでしょう」
 「……まぁ、そうね」

 エンリコの意見にエディも賛同した。 皆は父親が官吏という事で、真面目に王宮に仕官する事を目指している。 エディが王太子妃になった後、仕える事が楽しみだと、皆は笑顔を浮かべた。

 (私の元で仕えるかどうかは分からないわよっ……その前に私は死んでるかもしれないしっ……)

 談笑しながら最後のコサージュを作り終えると、丁度いいタイミングで執行委員室の扉が開かれた。

 「おや、皆さんまだ残っていたんですね」

 入って来たのはガッドだった。 生徒会もまだ仕事で残っていたらしい。 生徒会は音楽祭準備以外もやる事が沢山ある。 ねっとりした視線がロジェに注がれ、小さな身体が跳ねた。

 ガッドのサージェントであるヨアンがじっとエディの隣で座っているロジェを見つめている。

 「ごきげんよう、ガッド様」

 エディはロジェを庇う様に背後に隠して前へ出た。 目線を遮られたヨアンが獣目を細める。

 (こわっ!!)

 相変わらず、気持ち悪いサージェントである。 自身のサージェントが気味悪がれ、怖がられている事に気づいているのか、気づいていないのか、ガッドは執行委員室を見回した後、眉尻を下げた。

 「まだ、作業を続けますか? もう、閉門の時間なんですが……」
 「えっ?!」
 
 執行委員の皆が壁に取り付けられた時計へ目をやった。 確かに、下校時間をとっくに過ぎていた。

 「あら、時間を忘れて作業に没頭していたみたいですね。 皆さん、お疲れ様です。 今日は帰りましょう」
 「そうですね、そうしましょう」

 女生徒たちも賛同すると、皆が帰り支度を始める。 エディにそっと近づいて来たガッドが、小声で声を掛けて来る。

 「ドゥクレ侯爵令嬢、少しお話があるのですが……」
 「ガッド、私の婚約者に何の用だ?」

 小声だったというのに、少し離れて立っていたリュシアンには聞こえていたらしい。 声のした方へ振り返ると、リュシアンが厳しい眼差しをガッドに向けて立っていた。 扉にもたれた行儀悪い所作でも、リュシアンはとても美しい。 何も悪い事をしていないのだが、ドキッとして心臓に悪い。

 エディがまだ学園に残っていると知って、迎えに来てくれたようだ。

 「……いえ、何も」

 小さく息を吐き出し、顔には笑顔を張り付け、ガッドは扉の方へ歩き出した。 エディのそばを通り過ぎる時『殿下には内緒で、音楽祭が終ったら少しだけ時間を下さい』と呟いて来た。

 エディはガッドを見上げ、訝し気な眼差しを送る。

 『君たちの密約を知っています。 大聖堂でって言えば分かりますか?』

 エディの青い瞳が見開かれ、僅かに驚いた表情を浮かべる。 しかし、エディは直ぐに淑女の仮面を被った。 爽やかな笑みで自慢話ばかりをするだけじゃないガッドに、少しだけ驚いた。

 (ふ~ん、自慢話ばっかりしている訳じゃないのね。 ちょっと何を考えてるのか分からないけど)

 ガッドはエディの返事を待たずに、執行委員室を出て行った。 エディに何か呟いた事に気づいたリュシアンは、鋭い眼差しをガッドへ送っている。

 遠回りになるというのに、リュシアンはエディを屋敷まで送り届けてくれた。 だがエディは、馬車の中でリュシアンから尋問を受ける事になる。

 王宮の馬車は揺れも少なく、座席のクッションも柔らかいので、長時間乗っていてもお尻が痛くならない。 とても乗り心地が最高だと囁かれている。 だから、何もエディを膝へ乗せなくてもいい。

 エディの喉が緊張で上下に鳴らされる。

 「あの……リュシアン?」
 「ん? 何かなエディ」

 エディはリュシアンの膝の上へ有無も言わさず乗せられ、ロジェが見ている前で辱めを受けている。

 辱めと言っても膝の上に乗っているだけで、それ以上の事は何もされていない。 ロジェは見ているだけでも恥ずかしいのか、あさっての方向を向いていた。 ロジェの隣に座っているアンリは、リュシアンに呆れた様な眼差しを向けていた。 リュシアンがにこやかな笑みを浮かべる。

 「誰も見ていないから、大丈夫だ」
 「いや、そうじゃなくてですね。 下ろして欲しいなって……」

 エディが赤くなって恥ずかしがっている様子を楽しそうに眺め、リュシアンは小さく笑みを零した。

 「やっぱり、淑女の仮面を被っているエディより、照れている姿の方が可愛いな」
 「リュシアンっ!」
 「ごめん、でも、充電させて。 さっきのガッドの親し気な感じがとても鼻に衝くんだ」
 
 切なげにリュシアンが溜息を吐き、強く抱きしめて来る。 エディは小さく身体を震えさせた。

 さっきとは、ガッドがエディに近づいて来て、何か呟いて来た時の事だろう。 ガッドが囁いた『密約』は、エディがリュシアンから嫌われるようにしている話の事だ。

 (リュシアンと賭けてる事は言ってないはずよねっ? う~ん、もしかしなくても、カマかけられた?)

 「で、ガッドに何を言われたの?」

 リュシアンに聞かれて一瞬だけ躊躇ったが、内容はリュシアンも知っている話だ。 隠していても、きっとリジィが言うまで離してはくれないだろう。

 「私と……いや、違います」
 「ん?」
 「私がリュシアンに嫌われる様に行動している事を知られたみたいです」
 「どうしてそんな事に?」
 「光妖精を探しに大聖堂へ行った時です。 祭壇の前でロジェとその事について話していて……後ろに人がいるなんて気づかなくて……ガッド様に聞かれたみたいです。 それで、リュシアンに内緒で音楽祭が終った後、話す時間が欲しいと言われました」
 
 僅かに眉を上げたリュシアンが問いかける。

 「それはいつの話?」
 「以前に行った舞踏会の次の日です」
 「そうか。 その日にガッドも王城の敷地に居たのか……」

 リュシアンの瞳が光り、アンリと視線を合わせてアイコンタクト取っている。 膝の上に乗せられているエディは首を傾げた。

 (リュシアン……何を考えてるのかしら? 絶対に危ない事を考えているに違いないっ)

 「あの、ガッド様に何を言われたか話したのですから下ろして下さい」
 「私は話したら、下ろしてあげるなんて言ってないよ」
 「それはっ、そうですけどっ」

 エディの屋敷に着くまでリュシアンは何を言っても膝から降ろさず、ずっと抱きしめられていた。
 
 ガッドが大聖堂でエディに接触した日は、リュシアンの元に闇妖精の呪いの小包が届けられた日だ。

 「じゃ、エディ。 音楽祭の後、ガッドと話してくれないか? あいつが何を考えているのか知りたい」
 「……分かりました」
 「お嬢様っ」

 ロジェの心配そうな様子にリュシアンが答える。

 「ロジェも一緒にガッドと会うといい。 サージェントを遠ざけるという事はやましい事をしようとしている証拠になるからな」
 「承知致しました」
 「エディには『影』が居るから大丈夫だ。 危険になったら私も控えているから、エディを絶対に守るよ」
 「分かりました、お願いします」

 エディは力強く頷いた。

 タイトルボードを飾るコサージュが何とか出来上がり、当日に間に合った。 エンリコたちが言った通り、執行委員の貴族子息令嬢は音楽祭の司会をやりたがった。 皆で頑張って作ったコサージュの事など目に入っていない様で、エディと平民生徒たち呆れるばかりである。

 音楽祭の司会は、生徒会長がリュシアンにお願いして事なきを得たが、次はアシスタントを誰がするかで裏でもめていた。 リュシアンが司会をするなら、アシスタントはエディだろう。

 しかし、普通に生徒会長がやる事になった。 エディは執行委員なので、敢えて裏方を選んだ。

 音楽祭で演奏する生徒の楽器を運ぶのも、エディたち執行委員の仕事だった。 生徒会メンバーは会場での機材の搬入や設置で忙しく動き回っている。

 全ての楽器を運び終え、一息つくと、マイクを通したリュシアンの声が聞こえて来た。

 そっと大聖堂の祈りの間に置いてあるベンチ、空いている席へ滑り込み、何とか始まりに間に合った。 一人目の生徒の紹介が始まり、音楽祭が幕を上げた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

愛しいあなたは竜の番

さくたろう
恋愛
 前世で無惨に処刑された記憶を持つ少女フィオナは、今世では幼い頃から番である竜族の王に保護されて塔の中で大切に育てられていた。  16歳のある日、敵国の英雄ルイが塔を襲撃しにきたが、なんとフィオナは彼に一目惚れをしてしまう。フィオナを人質にするために外へと連れ出したルイも、次第に彼女に離れがたい想いを感じ始め徐々に惹かれていく。  竜人の番として育てられた少女が、竜を憎む青年と恋に落ちる物語。 ※小説家になろう様に公開したものを一部省略して投稿する予定です。 ※全58話、一気に更新します。ご了承ください。

さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~

阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」 婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。 けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。 セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。 「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。 ――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。

処理中です...