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第十二話 『忍び寄る悪魔』
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『おはようございます。 ハナがスキル範囲外にいる為、【ハナを守る】スキルの全てが開始できません。 1部のスキルのみ発動出来ます。 【検索】スキルを開始します』
監視スキルの声が寝ぼけた脳内で響く。
脳内で立体型の地図が拡がり、優斗の精神が立体型の地図へダイブする。 地図上を飛んでオースター村の上空で止まった。
遠くに首都ユスティティアのツリーハウスが視える。
『ハナも今頃、頑張ってると思うよ。 会えなくて寂しいかもしれないけど頑張ろう、ユウト』
ブートキャンプが始まって1週間が過ぎた。 偶には監視スキルもいい事してくれるんだな、と素直に喜んだ。 首都ユスティティアを眺め、華に想いを馳せる。
本日は自主練の日だった。
優斗の精神体の瞳に、やる気に満ちた眼差しが拡がっていた。
(よし、頑張ろう。 そうだ、今日は試してみたい事をやってみるか)
◇
草原に吹き抜ける風が草花を揺らし、心地よく優斗の白い肌や白銀の髪を撫でる。
草原には優斗とフィルしか居なかった。
参加した新成人たちは、悪魔を退治する事に少しずつ慣れ、それぞれ順調に進んでいた。 優斗も剥がしと悪魔を退治し、経験を重ね、パーティーで連携する事を学んだ。
今日は力を開放する為に、キャンプ場から離れた場所にある草原へやって来た。
狩をしない場合は、魔力のコントロール、武器の技磨きに当てられている。
瑠衣たちもそれぞれ、自身の修行に励んでいる。 そして、カラトスの講義がある日だ。 涙目になりながら、ディノが講義から帰って来た事があった。
カラトスの術者の講義は予想以上に厳しいらしい。 一応、休日もある、らしい。
頭の上にフィルが飛び乗って来る。
弾力のある丸い物体が飛び乗った衝撃で揺れている。 狩りには参加できないが、それ以外は従魔を連れていても何も言われない。
深く深呼吸して魔力の流れを感じ、武器を取り出す。 もう、武器名を心の中で呟かなくても取り出せる様になった。
草原へ来たのは、前世の時の様な凍結魔法が使えるのか、確かめたかったからだ。
身体の全身に魔力を巡らせ、足先、指先まで魔力を循環させる。
頭の上からフィルの感心しような声が降りて来る。 フィルの声には、少し悲し気な音が混じっていた。
「ユウト、まりょくせいぎょがうまくなったね。 もう、ぼくのたすけもいらないねっ」
フィルの気持ちを察して、先回りして懸念している事を言わせないようにした。
フィルに笑って優しく声をかける。
「今世はさ、フィルは、そばに居るだけでいいんだよ。 役に立たないとか、そんな事気にするな。 フィルは必要な仲間なんだから。 フィルにはムードメーカーの役目と、これから俺たちがする事を最後まで見届けて、主さまに報告する役目があるんだからな」
木製短刀2本を片手で握り直す。
武器を持っていない方の手を伸ばし、フィルの頭を優しく撫でた。 フィルは気持ち良さそうに瞳を閉じ、白い羽根を震えさせていた。
「で、もし、俺たちが間違った事をしそうになったら止めてくれ」
「うん、わかった」
「よし! じゃ、始めるかな」
再び深呼吸をして、冷たい魔力を流して、2本の木製短刀に氷を纏わせる。
強化をして長さを変えられるか試したが無理だった。 1本にする事も出来なかった。 2本とも草地に突き刺す。
氷の木製短刀に魔力を流すと、周囲に冷気が漂い出した。
白銀の瞳が力強く光りを放つ。 前の時と同じように、凍結魔法の言葉を心の中で叫んだ。
『全てを凍り尽くせ!』
周囲の草地から優斗の魔力が一気に噴き出した。 陽射しに反射して優斗の魔力を含んだ冷気が煌めき、光の粒が周囲で舞い上がる。 冷気の光の粒は暫く舞っていたが、全て消えてしまった。
優斗の表情に困惑の色が混じる。
「凍らなかったっ?!」
「あらら、しっぱい?」
「う~ん、前世のやり方じゃダメなのか……」
何度か試したが、前世の時のように周囲を凍結させる事は出来なかった。
何も成果を得られず、キャンプ場へ帰る事になってしまった。
夕食の後、男子専用テントの中は、各々の修行で疲れたのか、優斗たちは直ぐに眠りに着いていた。 規則正しい3人分の寝息がテントの中で静かに鳴っている。
優斗から魔力が溢れ出し、周囲に漂う様にゆらゆら揺れ、優斗の姿を形取る。
『邪魔しない為に何も言わなかったけど。 凍結魔法のヒントは、ジュースを冷やした時なんだけどな。 でも、こればっかりは自分で見つけないと身に付かないからね。 さて、少し夜の散歩をしてこようかな』
テントを飛び出した監視スキルは、夜空へ飛んで行く。 勿論、優斗は夢の中だった為、監視スキルのヒントの声や、何処かに散歩へ行ってしまった事は気づいていなかった。
監視スキルの行先は、オースター村の上空、首都ユスティティアのツリーハウスが良く視える場所だ。 監視スキルもハナに想いを馳せていた。 ハナを守る為に24時間、危険がないか監視して、危険人物が居れば敵認定し、何か危険があれば優斗へ報告する。
それこそが、監視スキルに課せられた義務だからだ。 口元に笑みを浮かべると、1つ呟く。
『ふむ、今度はどうやってユウトを起こそうかな、楽しみだな』
夜空に漂う監視スキルの楽しそうな声が、誰にも聞こえていない夜空で響いた。
◇
ブートキャンプが始まって2週間、今日は身体を休める為、一日休養日となっている。 パーティーメンバーは、それぞれ個別で過ごしていた。
フィルは大好きな川遊びを楽しんでいる。
優斗は川辺の岩の上で、胡坐を組んで瞳を閉じていた。 精神を自身の奥へ集中させる。 精神を自身の中に落とすと、不思議と自身の中にある力と繋がる。
冷たい魔力と熱い魔力が混ざり合い、不思議な魔力の感触を感じる。
(前世の時は全然感じなかったよな。 これもエルフの血かな。 ん?)
頭の中で、自動で立体型の地図が拡がり、深い森と目の前の川が映し出された。
自動で精神が地図にダイブする。
発動されたスキルに戸惑い、そして、森の中に立体型の人型の黒い表示が点滅していた。 黒い点滅という事は、監視スキルが敵認定した人物を表している。
黒い人型は2つ、1つはエカテリーニ。
もう1つは、カラトスとふき出しが出ていた。
『一応、この二人を敵認定しておいたよ』
監視スキルの楽しそうな声に、内心で呆れる。
(勝手に敵認定するなよっ。 まだ、敵とは決まってないだろう)
『でも、マークしておいた方がいいと思うんだよね』
(ん~。 カラトスさんとは、魔族退治事業とかで敵対するかもしれないけど。 エカテリーニも? てか、敵認定する必要あるのか?)
『もしもの為にだよ』
カラトスは森の奥まで進み、何かをしている様だ。 ダイブした精神がカラトスの位置まで移動する。 カラトスは木に向かって何かを話しているが、遮音魔法か、魔道具を使っているのか、何を話しているか分からない。
ただ少し魔法陣が視えた様な、と思ったのは気のせいだろうと判断し、戻る事にした。 この判断が後に大変な事になるとは、夢にも思っていなかった。
(これって、覗きと盗み聞きなんじゃ。 駄目だろう、戻ろう)
『あ、』
監視スキルが何かを言いかけたが、優斗は本体に精神体を戻す。 立体型の地図が再び広がり、キャンプ場へ続く道に、エカテリーニの黒い人型の表示が点滅された。
直ぐ後ろでエカテリーニの声がした。
精神体で飛んでいた為、本体の背後の警戒を解いていた。 今後の課題だな、と内心で頷いた。
「レアンドロス」
「エカテリー二」
エカテリーニに声を掛けられ、振り向いた。 ブートキャンプの初日よりはましだが、とても不機嫌なのは分かった。
小さく息を吐いた優斗は、岩から降りてエカテリーニと向き合った。
フィルがこちらを見ている視線、川の流れる音、森の奥から動物の鳴き声が聞こえる。
優斗とエカテリーニは、無言で見つめ合っていた。 気まづい雰囲気を破ったのは、エカテリーニだった。 深緑のフード付きマントの奥から、真剣な表情が覗く。
エカテリーニの様子に、優斗は拳を強く握り締めた。
「本当にあの子と結婚するの?」
エカテリーニに予想していた通りの事を聞かれ、瞳を僅かに見開いた後、覚悟を決めて口を開いた。 申し訳ない気持ちはあるが、優斗は正直な気持ちを真剣な眼差しで伝えた。
「ああ、するよ。 エカテリーニには申し訳ないけど、君とは結婚できない」
一瞬、傷ついた表情をしたエカテリーニに罪悪感が沸くが、気持ちがないのに頷くわけにはいかない。 エカテリーニの事は幼馴染以上には思えないのだから。
「彼女のこと、そんなに好きなの? 婿に行くぐらい?」
華の優しく微笑む姿や、ちょっとズレた事を言う様子が脳裏に浮かぶと、自然と優斗の表情が愛し気に緩む。 白銀の瞳が柔らく優し気に細められた。
「華がいいんだ。 ずっと見守ってたいんだ。 俺のストーカーじみた想いを許容してくれる子は華しかいない。 世界中で一番、大事にして、本当はっ」
(ずっと俺の腕の中で閉じ込めていたい。 誰にも会わせたくないし、誰とも仲良くして欲しくない。 前世で、俺の外見だけで言い寄って来た女子とは違う。 『王子なんて呼ばない』って言った華がいいんだ)
『うん、もの凄く重いね、胸やけしそうだ』
(ほっといてくれっ、今、思った事は出来ないし、華には嫌われたくないからやらないけどな)
監視スキルと会話していると無言になってしまう。 優斗から初めて聞く言葉が意味不明だったらしく、エカテリー二が訊き返して来た。
「えっ? ストーカー? って何?」
「俺のもの凄く重い気持ちを受け止められるのは、華くらいって事だよ」
質問を茶化したが、優斗は柔らかい表情を浮かべたままだった。 今まで見た事がない優斗の表情に、エカテリーニの整った顔が歪んだ。
「……っ、そんな顔、一度も見た事なかったっ。 相手は、次期里長なのよ。 もしかしたら、あんたの他にも婿に来る人が居るかもしれないのにっ。 私だったらっ……」
小さく肩が跳ね、優斗の表情から感情が消えた。 周囲から冷気が漂い、足元の小石が棘を突き出して凍っていく。
小さく凍っていく張りつめた様な音が辺りに静かに鳴らす。
優斗の雰囲気に呑まれ、一歩、優斗から離れ、エカテリーニの肩が小さく跳ねた。
川遊びをしていたフィルも、優斗の雰囲気に異変を感じて固まっている。
エカテリー二の言葉に、華の集団お見合いに居た取り巻きの子息が脳裏に過ぎった。 優斗の他に婿へ来るとしたら、見合いに来ていた子息たちしかいない。
華に近づく男を思い出だしただけで憎らしくて、優斗の顔に黒い笑みが広がる。
(なんなら、『虫除けスプレー』を撒き散らして、2度と近づかない様に撃退したくなる)
全身から魔力が溢れ出し、優斗の周囲に拡がっていく。
「そんな事はさせない。 華に俺以外の男は必要ないし、近づけさせない」
「……っ」
柔らかい表情から一変、冷たい表情の優斗に、エカテリーニは拳を握りしめる。
冷たい白銀の瞳と、只ならぬ雰囲気に呑まれ、エカテリーニは声も挙げられなかった。
『ユウト、落ち着いてっ! 魔力を抑えてっ、たらればの話だからっ。 彼女、怖がってるよっ!』
監視スキルの声で、恐怖で青くなっているエカテリー二に気づいた。 深呼吸して気持ちを落ち着かせる。 がらりと、優斗の表情が柔らかい表情へと変わる。
表情が色々と変わる優斗にも、エカテリーニは眉を寄せ、白銀の瞳には面白くなそうな色が滲んでいた。
「怖がらせてごめん。 エカテリー二の事は、幼馴染以上の好意は持てない。 ずっと、直接話をしないとダメだと思ってたんだ」
「あんたが怒ったとこ、初めて見た……っ、もういい!」
「エカテリーニっ!」
エカテリー二は、キャンプ場へ走り去って行った。 大きく息を吐き出した優斗は、凍らせてしまった石に視線を落とす。
氷が徐々に融けていく様子をじっと眺めていた。
◇
優斗の元から逃げ出したエカテリーニは、森の中に入って尖った気持ちを落ち着かせていた。
自身のキャンプ場へ戻ろうと思っていたエカテリーニだったが、尖った神経のままで戻っても、自分に付き人としても一緒に来ている幼馴染に当たり散らしてしまうに違いない。 察しのいい彼女の事だから、直ぐに気づかれて何を言われるか分からない。 家へ報告されても困る。
(……っあんな表情、初めて見た。 昔はあんな顔しなかったし、怒りもしなかった。 別人みたいじゃないっ。 私は、何でも言う事を聞いてくれたレアンドロスが良かったのにっ)
前世の記憶が戻る前のユウトは何処か心あらずで、いつも何かを探している様子だった。 一般的なエルフの顔立ちではなく、エキゾチックな容姿は違う世界の人間ではないのか、と思わせる雰囲気があった。 感情が抜け落ちてしまったユウトは突然居なくなりそうな、そんな印象を受けた。
エカテリーニの足は、大きな葉擦れの音を鳴らし、無意識に森の奥へと進んでいた。
皆はエルフの容姿としては普通だと言っていたが、ユウトの掴み処の無い性格に合っていると思っていた。 皆には、ユウトの魅力が分からなくても良かった。
エカテリーニに優しく笑いかけてくれ、願い事は何でも聞いてくれた。 それがとても嬉しかったのだ。
ただ、結婚する事は頷いてくれなかった。 一生、ずっと一緒に居てくれる事も許してくれなかった。 でも、友達でいてくれる事は許してくれた。
12歳の年に、里長の娘の婚約者を探す為のパーティーから返って来たユウトと会った時は、驚いた。 ユウトが感情豊かになり、今までの儚げで何処かへ行ってしまいそうな雰囲気がなくなっていたからだ。
別人になって帰って来たユウトを悪魔憑きになったんじゃないかと、本気で疑ったりもしていた。
ユウトの父親にどうしたのだと訊くと、想定外の言葉が返ってきて呆然とした。
「あれが、本当のユウトですよ。 今まで足りなかった物が埋められて、新たなユウトという人物が出来上がったんです。 あのままでは、半分死んでいた様なものですからね。 エカテリーニ嬢も、以前と同じ様にユウトと仲良くしてあげて下さいね」
笑顔でそんな事を言うユウトの父親が信じられなかった。 別人のユウトは、今まで聞いてくれたどんな我儘も聞いてくれなくなった。 聞いてくれるどころか、反対に説教までする始末だ。
森の奥へと分け入っていたエカテリーニは、一際、大きい大木の前で足を止めた。
全くの別人になってしまったユウトとは顔も見たくなくて、説教もされたくなくて、自分が知っているユウトではなくなってしまった事が腹正しくて仕方がなかった。
今まで、周りの子供たちとも上手く行ってなかったユウトが、自分以外の友人が出来ていた事も許せなかった。 ユウトがエカテリーニのそばから離れて行ってしまうのが、どうしても許せなかったのだ。
(何なのよっ! あんな顔っ……私には一度も向けてくれた事ないっ)
ユウトが里長の娘の話をする時の柔らくて、優しい表情を思い出す。 胸に針を刺した様な痛みが拡がり、胸の奥の方を何度も突き刺す。
エカテリーニの顔が歪に歪んだ。
足元で生えている草や野花を何度も、何度も踏みつけて形が無くなるまで、子供が癇癪を起したみたいに踏みつけ続けた。
エカテリーニの耳と心の中に、何処からか低くて禍々しい声が聴こえて来た。
『あの男が欲しいか?』
「えっ、何?」
聴こえて来た声に周囲を見回して見ても、誰の姿もなかった。 エカテリーニは不気味な雰囲気に呑まれ、身体を小さく震わせた。 恐怖に駆られたエカテリーニは、元の道を引き返して急いでキャンプ場へと戻って行った。
エカテリー二は気づいていなかった。
悪魔の声に反応してしまった事で、悪魔が付いて来てしまった事に。
監視スキルの声が寝ぼけた脳内で響く。
脳内で立体型の地図が拡がり、優斗の精神が立体型の地図へダイブする。 地図上を飛んでオースター村の上空で止まった。
遠くに首都ユスティティアのツリーハウスが視える。
『ハナも今頃、頑張ってると思うよ。 会えなくて寂しいかもしれないけど頑張ろう、ユウト』
ブートキャンプが始まって1週間が過ぎた。 偶には監視スキルもいい事してくれるんだな、と素直に喜んだ。 首都ユスティティアを眺め、華に想いを馳せる。
本日は自主練の日だった。
優斗の精神体の瞳に、やる気に満ちた眼差しが拡がっていた。
(よし、頑張ろう。 そうだ、今日は試してみたい事をやってみるか)
◇
草原に吹き抜ける風が草花を揺らし、心地よく優斗の白い肌や白銀の髪を撫でる。
草原には優斗とフィルしか居なかった。
参加した新成人たちは、悪魔を退治する事に少しずつ慣れ、それぞれ順調に進んでいた。 優斗も剥がしと悪魔を退治し、経験を重ね、パーティーで連携する事を学んだ。
今日は力を開放する為に、キャンプ場から離れた場所にある草原へやって来た。
狩をしない場合は、魔力のコントロール、武器の技磨きに当てられている。
瑠衣たちもそれぞれ、自身の修行に励んでいる。 そして、カラトスの講義がある日だ。 涙目になりながら、ディノが講義から帰って来た事があった。
カラトスの術者の講義は予想以上に厳しいらしい。 一応、休日もある、らしい。
頭の上にフィルが飛び乗って来る。
弾力のある丸い物体が飛び乗った衝撃で揺れている。 狩りには参加できないが、それ以外は従魔を連れていても何も言われない。
深く深呼吸して魔力の流れを感じ、武器を取り出す。 もう、武器名を心の中で呟かなくても取り出せる様になった。
草原へ来たのは、前世の時の様な凍結魔法が使えるのか、確かめたかったからだ。
身体の全身に魔力を巡らせ、足先、指先まで魔力を循環させる。
頭の上からフィルの感心しような声が降りて来る。 フィルの声には、少し悲し気な音が混じっていた。
「ユウト、まりょくせいぎょがうまくなったね。 もう、ぼくのたすけもいらないねっ」
フィルの気持ちを察して、先回りして懸念している事を言わせないようにした。
フィルに笑って優しく声をかける。
「今世はさ、フィルは、そばに居るだけでいいんだよ。 役に立たないとか、そんな事気にするな。 フィルは必要な仲間なんだから。 フィルにはムードメーカーの役目と、これから俺たちがする事を最後まで見届けて、主さまに報告する役目があるんだからな」
木製短刀2本を片手で握り直す。
武器を持っていない方の手を伸ばし、フィルの頭を優しく撫でた。 フィルは気持ち良さそうに瞳を閉じ、白い羽根を震えさせていた。
「で、もし、俺たちが間違った事をしそうになったら止めてくれ」
「うん、わかった」
「よし! じゃ、始めるかな」
再び深呼吸をして、冷たい魔力を流して、2本の木製短刀に氷を纏わせる。
強化をして長さを変えられるか試したが無理だった。 1本にする事も出来なかった。 2本とも草地に突き刺す。
氷の木製短刀に魔力を流すと、周囲に冷気が漂い出した。
白銀の瞳が力強く光りを放つ。 前の時と同じように、凍結魔法の言葉を心の中で叫んだ。
『全てを凍り尽くせ!』
周囲の草地から優斗の魔力が一気に噴き出した。 陽射しに反射して優斗の魔力を含んだ冷気が煌めき、光の粒が周囲で舞い上がる。 冷気の光の粒は暫く舞っていたが、全て消えてしまった。
優斗の表情に困惑の色が混じる。
「凍らなかったっ?!」
「あらら、しっぱい?」
「う~ん、前世のやり方じゃダメなのか……」
何度か試したが、前世の時のように周囲を凍結させる事は出来なかった。
何も成果を得られず、キャンプ場へ帰る事になってしまった。
夕食の後、男子専用テントの中は、各々の修行で疲れたのか、優斗たちは直ぐに眠りに着いていた。 規則正しい3人分の寝息がテントの中で静かに鳴っている。
優斗から魔力が溢れ出し、周囲に漂う様にゆらゆら揺れ、優斗の姿を形取る。
『邪魔しない為に何も言わなかったけど。 凍結魔法のヒントは、ジュースを冷やした時なんだけどな。 でも、こればっかりは自分で見つけないと身に付かないからね。 さて、少し夜の散歩をしてこようかな』
テントを飛び出した監視スキルは、夜空へ飛んで行く。 勿論、優斗は夢の中だった為、監視スキルのヒントの声や、何処かに散歩へ行ってしまった事は気づいていなかった。
監視スキルの行先は、オースター村の上空、首都ユスティティアのツリーハウスが良く視える場所だ。 監視スキルもハナに想いを馳せていた。 ハナを守る為に24時間、危険がないか監視して、危険人物が居れば敵認定し、何か危険があれば優斗へ報告する。
それこそが、監視スキルに課せられた義務だからだ。 口元に笑みを浮かべると、1つ呟く。
『ふむ、今度はどうやってユウトを起こそうかな、楽しみだな』
夜空に漂う監視スキルの楽しそうな声が、誰にも聞こえていない夜空で響いた。
◇
ブートキャンプが始まって2週間、今日は身体を休める為、一日休養日となっている。 パーティーメンバーは、それぞれ個別で過ごしていた。
フィルは大好きな川遊びを楽しんでいる。
優斗は川辺の岩の上で、胡坐を組んで瞳を閉じていた。 精神を自身の奥へ集中させる。 精神を自身の中に落とすと、不思議と自身の中にある力と繋がる。
冷たい魔力と熱い魔力が混ざり合い、不思議な魔力の感触を感じる。
(前世の時は全然感じなかったよな。 これもエルフの血かな。 ん?)
頭の中で、自動で立体型の地図が拡がり、深い森と目の前の川が映し出された。
自動で精神が地図にダイブする。
発動されたスキルに戸惑い、そして、森の中に立体型の人型の黒い表示が点滅していた。 黒い点滅という事は、監視スキルが敵認定した人物を表している。
黒い人型は2つ、1つはエカテリーニ。
もう1つは、カラトスとふき出しが出ていた。
『一応、この二人を敵認定しておいたよ』
監視スキルの楽しそうな声に、内心で呆れる。
(勝手に敵認定するなよっ。 まだ、敵とは決まってないだろう)
『でも、マークしておいた方がいいと思うんだよね』
(ん~。 カラトスさんとは、魔族退治事業とかで敵対するかもしれないけど。 エカテリーニも? てか、敵認定する必要あるのか?)
『もしもの為にだよ』
カラトスは森の奥まで進み、何かをしている様だ。 ダイブした精神がカラトスの位置まで移動する。 カラトスは木に向かって何かを話しているが、遮音魔法か、魔道具を使っているのか、何を話しているか分からない。
ただ少し魔法陣が視えた様な、と思ったのは気のせいだろうと判断し、戻る事にした。 この判断が後に大変な事になるとは、夢にも思っていなかった。
(これって、覗きと盗み聞きなんじゃ。 駄目だろう、戻ろう)
『あ、』
監視スキルが何かを言いかけたが、優斗は本体に精神体を戻す。 立体型の地図が再び広がり、キャンプ場へ続く道に、エカテリーニの黒い人型の表示が点滅された。
直ぐ後ろでエカテリーニの声がした。
精神体で飛んでいた為、本体の背後の警戒を解いていた。 今後の課題だな、と内心で頷いた。
「レアンドロス」
「エカテリー二」
エカテリーニに声を掛けられ、振り向いた。 ブートキャンプの初日よりはましだが、とても不機嫌なのは分かった。
小さく息を吐いた優斗は、岩から降りてエカテリーニと向き合った。
フィルがこちらを見ている視線、川の流れる音、森の奥から動物の鳴き声が聞こえる。
優斗とエカテリーニは、無言で見つめ合っていた。 気まづい雰囲気を破ったのは、エカテリーニだった。 深緑のフード付きマントの奥から、真剣な表情が覗く。
エカテリーニの様子に、優斗は拳を強く握り締めた。
「本当にあの子と結婚するの?」
エカテリーニに予想していた通りの事を聞かれ、瞳を僅かに見開いた後、覚悟を決めて口を開いた。 申し訳ない気持ちはあるが、優斗は正直な気持ちを真剣な眼差しで伝えた。
「ああ、するよ。 エカテリーニには申し訳ないけど、君とは結婚できない」
一瞬、傷ついた表情をしたエカテリーニに罪悪感が沸くが、気持ちがないのに頷くわけにはいかない。 エカテリーニの事は幼馴染以上には思えないのだから。
「彼女のこと、そんなに好きなの? 婿に行くぐらい?」
華の優しく微笑む姿や、ちょっとズレた事を言う様子が脳裏に浮かぶと、自然と優斗の表情が愛し気に緩む。 白銀の瞳が柔らく優し気に細められた。
「華がいいんだ。 ずっと見守ってたいんだ。 俺のストーカーじみた想いを許容してくれる子は華しかいない。 世界中で一番、大事にして、本当はっ」
(ずっと俺の腕の中で閉じ込めていたい。 誰にも会わせたくないし、誰とも仲良くして欲しくない。 前世で、俺の外見だけで言い寄って来た女子とは違う。 『王子なんて呼ばない』って言った華がいいんだ)
『うん、もの凄く重いね、胸やけしそうだ』
(ほっといてくれっ、今、思った事は出来ないし、華には嫌われたくないからやらないけどな)
監視スキルと会話していると無言になってしまう。 優斗から初めて聞く言葉が意味不明だったらしく、エカテリー二が訊き返して来た。
「えっ? ストーカー? って何?」
「俺のもの凄く重い気持ちを受け止められるのは、華くらいって事だよ」
質問を茶化したが、優斗は柔らかい表情を浮かべたままだった。 今まで見た事がない優斗の表情に、エカテリーニの整った顔が歪んだ。
「……っ、そんな顔、一度も見た事なかったっ。 相手は、次期里長なのよ。 もしかしたら、あんたの他にも婿に来る人が居るかもしれないのにっ。 私だったらっ……」
小さく肩が跳ね、優斗の表情から感情が消えた。 周囲から冷気が漂い、足元の小石が棘を突き出して凍っていく。
小さく凍っていく張りつめた様な音が辺りに静かに鳴らす。
優斗の雰囲気に呑まれ、一歩、優斗から離れ、エカテリーニの肩が小さく跳ねた。
川遊びをしていたフィルも、優斗の雰囲気に異変を感じて固まっている。
エカテリー二の言葉に、華の集団お見合いに居た取り巻きの子息が脳裏に過ぎった。 優斗の他に婿へ来るとしたら、見合いに来ていた子息たちしかいない。
華に近づく男を思い出だしただけで憎らしくて、優斗の顔に黒い笑みが広がる。
(なんなら、『虫除けスプレー』を撒き散らして、2度と近づかない様に撃退したくなる)
全身から魔力が溢れ出し、優斗の周囲に拡がっていく。
「そんな事はさせない。 華に俺以外の男は必要ないし、近づけさせない」
「……っ」
柔らかい表情から一変、冷たい表情の優斗に、エカテリーニは拳を握りしめる。
冷たい白銀の瞳と、只ならぬ雰囲気に呑まれ、エカテリーニは声も挙げられなかった。
『ユウト、落ち着いてっ! 魔力を抑えてっ、たらればの話だからっ。 彼女、怖がってるよっ!』
監視スキルの声で、恐怖で青くなっているエカテリー二に気づいた。 深呼吸して気持ちを落ち着かせる。 がらりと、優斗の表情が柔らかい表情へと変わる。
表情が色々と変わる優斗にも、エカテリーニは眉を寄せ、白銀の瞳には面白くなそうな色が滲んでいた。
「怖がらせてごめん。 エカテリー二の事は、幼馴染以上の好意は持てない。 ずっと、直接話をしないとダメだと思ってたんだ」
「あんたが怒ったとこ、初めて見た……っ、もういい!」
「エカテリーニっ!」
エカテリー二は、キャンプ場へ走り去って行った。 大きく息を吐き出した優斗は、凍らせてしまった石に視線を落とす。
氷が徐々に融けていく様子をじっと眺めていた。
◇
優斗の元から逃げ出したエカテリーニは、森の中に入って尖った気持ちを落ち着かせていた。
自身のキャンプ場へ戻ろうと思っていたエカテリーニだったが、尖った神経のままで戻っても、自分に付き人としても一緒に来ている幼馴染に当たり散らしてしまうに違いない。 察しのいい彼女の事だから、直ぐに気づかれて何を言われるか分からない。 家へ報告されても困る。
(……っあんな表情、初めて見た。 昔はあんな顔しなかったし、怒りもしなかった。 別人みたいじゃないっ。 私は、何でも言う事を聞いてくれたレアンドロスが良かったのにっ)
前世の記憶が戻る前のユウトは何処か心あらずで、いつも何かを探している様子だった。 一般的なエルフの顔立ちではなく、エキゾチックな容姿は違う世界の人間ではないのか、と思わせる雰囲気があった。 感情が抜け落ちてしまったユウトは突然居なくなりそうな、そんな印象を受けた。
エカテリーニの足は、大きな葉擦れの音を鳴らし、無意識に森の奥へと進んでいた。
皆はエルフの容姿としては普通だと言っていたが、ユウトの掴み処の無い性格に合っていると思っていた。 皆には、ユウトの魅力が分からなくても良かった。
エカテリーニに優しく笑いかけてくれ、願い事は何でも聞いてくれた。 それがとても嬉しかったのだ。
ただ、結婚する事は頷いてくれなかった。 一生、ずっと一緒に居てくれる事も許してくれなかった。 でも、友達でいてくれる事は許してくれた。
12歳の年に、里長の娘の婚約者を探す為のパーティーから返って来たユウトと会った時は、驚いた。 ユウトが感情豊かになり、今までの儚げで何処かへ行ってしまいそうな雰囲気がなくなっていたからだ。
別人になって帰って来たユウトを悪魔憑きになったんじゃないかと、本気で疑ったりもしていた。
ユウトの父親にどうしたのだと訊くと、想定外の言葉が返ってきて呆然とした。
「あれが、本当のユウトですよ。 今まで足りなかった物が埋められて、新たなユウトという人物が出来上がったんです。 あのままでは、半分死んでいた様なものですからね。 エカテリーニ嬢も、以前と同じ様にユウトと仲良くしてあげて下さいね」
笑顔でそんな事を言うユウトの父親が信じられなかった。 別人のユウトは、今まで聞いてくれたどんな我儘も聞いてくれなくなった。 聞いてくれるどころか、反対に説教までする始末だ。
森の奥へと分け入っていたエカテリーニは、一際、大きい大木の前で足を止めた。
全くの別人になってしまったユウトとは顔も見たくなくて、説教もされたくなくて、自分が知っているユウトではなくなってしまった事が腹正しくて仕方がなかった。
今まで、周りの子供たちとも上手く行ってなかったユウトが、自分以外の友人が出来ていた事も許せなかった。 ユウトがエカテリーニのそばから離れて行ってしまうのが、どうしても許せなかったのだ。
(何なのよっ! あんな顔っ……私には一度も向けてくれた事ないっ)
ユウトが里長の娘の話をする時の柔らくて、優しい表情を思い出す。 胸に針を刺した様な痛みが拡がり、胸の奥の方を何度も突き刺す。
エカテリーニの顔が歪に歪んだ。
足元で生えている草や野花を何度も、何度も踏みつけて形が無くなるまで、子供が癇癪を起したみたいに踏みつけ続けた。
エカテリーニの耳と心の中に、何処からか低くて禍々しい声が聴こえて来た。
『あの男が欲しいか?』
「えっ、何?」
聴こえて来た声に周囲を見回して見ても、誰の姿もなかった。 エカテリーニは不気味な雰囲気に呑まれ、身体を小さく震わせた。 恐怖に駆られたエカテリーニは、元の道を引き返して急いでキャンプ場へと戻って行った。
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