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1章妖精の愛し子

2.

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リリーフィアには高めのベットだが、そこは妖精の力を使って降りるのを手助けする。
いつも傍にいるサクラは着替えなどの身の回りのことを、ハヤテは怪我をしたときの治療を、そしてスカイはベットの登り降りや移動を手伝っていた。

妖精は自分の羽の色に対応する魔法が使える。
赤い羽は火を操り、青い羽は水を…
他にも沢山の色があり、それぞれ使える魔法が違う。
そのなかでも特に珍しいのが黒と金色の羽。
黒い羽の妖精は魔法で剣を作り出し仲間のために戦い、金色の羽の妖精はみんなに力を分け与える。
妖精は産まれた時の体の大きさによって使える力の強さが決まっている。

サクラ達程の大きさの子は軽い手助けを、リリーフィア程の大きさになると小さな村をひとつ滅ぼせる程度、そしてまわりの大人程の大きさになると国をひとつ簡単に滅ぼすことが出来る程の力を秘めている。

だが国が滅びないのは妖精が優しいから、それを知らない人間はいまだ妖精の扱いを変えていない。
そして黒と金色の羽の妖精は必ずしも大人の大きさの妖精として産まれる。

「リリーフィア、このお洋服を着てね」
そう言ってサクラが持ってきたのは動きやすさ重視の可愛らしいワンピース。
いいお返事をしたリリーフィアはそれを着ると小さな椅子に腰かけた。
するとサクラがスカイの手助けを借りながらいつものようにくしと可愛いシュシュの髪ゴムを持ってきた。

ピンクの羽の妖精はみんな器用だ。
だからサクラは毎日使える魔法を駆使してリリーフィアの髪型を可愛らしく整えていた。
今日はツインテールの中に細い三つ編みをいれたおしゃれで可愛い髪型だ。
三つ編みのゴムは目立たないような色合いで、シュシュはリリーフィアの髪色似合うようにサクラが厳選したものだった。

リリーフィアは朝の身支度を終わらせると、そーっとドアを開けた。
ドアの外ではメイドや執事の方々が慌ただしく動いていた。
そしてどのメイドや執事だろうと肩にひとりずつ妖精を乗せている。

「あら、おはようございます。 リリーフィア様」
そう言ってリリーフィアに声をかけたのはリリーフィアと仲の良いメイドのひとりだ。
彼女はティファニーが来る前から働いていた。
「おはようごじゃいましゅなの」
「今ご飯の用意を致しますね」
リリーフィアにそう告げると、メイドは屋敷の奥へと戻っていった。

そのメイドの肩にもやはりひとりの妖精が座っていた。
その妖精はリリーフィアに手を振ると、またあとでねと言ってそのままメイドと共に奥へと消えていった。
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