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第五話
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次の日。
衝動が止められないれいこは、すぐさまその思いを行動に移した。
一年生のすみれの教室の前で彼女を待ち伏せる。それを見たほかの女学生たちは、いきなり一年生の教室にやってきたれいこを見て驚き、遠巻きに群れを成している。
「ミカエル様!?」
そんな折、子供みたいな甲高い声ですみれは現れた。
「こんにちは。徳島さん。」
「どうしてここに!?」
「会いに来ちゃった。」
すみれが慌てふためいていると、周りもざわつきだしたのでれいこは場所を変えることにした。
「静かな場所にでも行きましょう。そうだ、貴女と出会った薔薇園がいいわね。ほかの子が入らないように庭師さんに頼んで立ち入り禁止にしてあげるから。」
れいこはすみれの腕を引っ張り促す。すみれはそれに狼狽えるばかりで、れいこを不安そうな目で見つめる。
その目にれいこは嬉しくて震えるた。
何かしてあげたくなる目。それが彼女にとっていいことでも悪いことでも。
れいこは嬉しくなってきて、彼女の手を取り薔薇園といざなった。
きっと彼女の胸も私と同様高鳴っていることでしょう!
しかし薔薇園につくと、すみれは息を切らせながられいこの予想もしなかった言葉を突き付けた。
「やめてください。私、困ります。」
「困るですって・・・?どうして?」
するとすみれは、下を向いて泣きそうなか細い声で答える。
「みんなの前であんなことされると・・・困ります。やめてください。」
「どういうこと?嬉しくないの!?」
れいこが不服そうな目ですみれを見ると、おびえた表情で見つめ返された。
「み、ミカエル様は、みんなの大天使様です。私なんかに声をかけないでください。私のような価値のない人間一人に時間を割いてはだめです。私はミカエル様に声をかけてもらえる価値はないのです。」
声を必死に絞り出すようにして言うすみれは、目を真っ赤にして今にも泣きそうな様子である。
自分に価値がないからと困って拒絶したのか。
誘われて嬉しいのに拒絶しないといけない立場らからそうしたのか。
そんなことどちらでもいい。れいこは、また一層嬉しくて震える。そういう「やめてください。」なら大歓迎である。
とはいえ、今ここで泣かすのは早すぎるし、なんだかちょっと違う。
れいこは、嫌がるすみれの腕をつかんで引き寄せた。
「私ね、徳島さんの踊りがもう一度見たくて。連れてきたの。」
「え・・・、私の・・・踊り・・・?」
すみれは予想外のれいこの言葉にキョトンとする。れいこはそれに拍車をかけるように一気に仕掛ける。
「そう。徳島さんの踊り、すごく綺麗だったもの。だから、ね?私のために踊ってくれる?見たいの。貴女の踊り。」
「踊って・・・いいのですか?私の踊りでいいのですか!?」
「ええ、勿論。見せて?」
れいこは、天使のような・・・いや天使そのものの笑顔で微笑んだ。
衝動が止められないれいこは、すぐさまその思いを行動に移した。
一年生のすみれの教室の前で彼女を待ち伏せる。それを見たほかの女学生たちは、いきなり一年生の教室にやってきたれいこを見て驚き、遠巻きに群れを成している。
「ミカエル様!?」
そんな折、子供みたいな甲高い声ですみれは現れた。
「こんにちは。徳島さん。」
「どうしてここに!?」
「会いに来ちゃった。」
すみれが慌てふためいていると、周りもざわつきだしたのでれいこは場所を変えることにした。
「静かな場所にでも行きましょう。そうだ、貴女と出会った薔薇園がいいわね。ほかの子が入らないように庭師さんに頼んで立ち入り禁止にしてあげるから。」
れいこはすみれの腕を引っ張り促す。すみれはそれに狼狽えるばかりで、れいこを不安そうな目で見つめる。
その目にれいこは嬉しくて震えるた。
何かしてあげたくなる目。それが彼女にとっていいことでも悪いことでも。
れいこは嬉しくなってきて、彼女の手を取り薔薇園といざなった。
きっと彼女の胸も私と同様高鳴っていることでしょう!
しかし薔薇園につくと、すみれは息を切らせながられいこの予想もしなかった言葉を突き付けた。
「やめてください。私、困ります。」
「困るですって・・・?どうして?」
するとすみれは、下を向いて泣きそうなか細い声で答える。
「みんなの前であんなことされると・・・困ります。やめてください。」
「どういうこと?嬉しくないの!?」
れいこが不服そうな目ですみれを見ると、おびえた表情で見つめ返された。
「み、ミカエル様は、みんなの大天使様です。私なんかに声をかけないでください。私のような価値のない人間一人に時間を割いてはだめです。私はミカエル様に声をかけてもらえる価値はないのです。」
声を必死に絞り出すようにして言うすみれは、目を真っ赤にして今にも泣きそうな様子である。
自分に価値がないからと困って拒絶したのか。
誘われて嬉しいのに拒絶しないといけない立場らからそうしたのか。
そんなことどちらでもいい。れいこは、また一層嬉しくて震える。そういう「やめてください。」なら大歓迎である。
とはいえ、今ここで泣かすのは早すぎるし、なんだかちょっと違う。
れいこは、嫌がるすみれの腕をつかんで引き寄せた。
「私ね、徳島さんの踊りがもう一度見たくて。連れてきたの。」
「え・・・、私の・・・踊り・・・?」
すみれは予想外のれいこの言葉にキョトンとする。れいこはそれに拍車をかけるように一気に仕掛ける。
「そう。徳島さんの踊り、すごく綺麗だったもの。だから、ね?私のために踊ってくれる?見たいの。貴女の踊り。」
「踊って・・・いいのですか?私の踊りでいいのですか!?」
「ええ、勿論。見せて?」
れいこは、天使のような・・・いや天使そのものの笑顔で微笑んだ。
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