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第二十四話
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「あーー、嫌だ嫌だ。手が汚れちゃった。」
れいこの手は、みちるのそれで濡れていた。
「やっぱり、あの子じゃあまり興奮できないのよね。」
ぶつぶつ言いながられいこは教会の外の水道で手を洗う。
「あの子はまだいいわよ。私が初めてなんだから!!」
れいこは執拗に手を洗った。
すると、背後からまたあの声。
「楽しいことでもするのかなって思って覗いたら、本当に楽しいことしていたのね。羨ましい。」
「ちょっと、また貴女?私のストーカーなの?」
「そうなのかもね。」
れいこはイライラしながらポケットからあの髪飾りを出すと、ゆりに向かって投げた。
「忘れ物よ。気を付けてくれる?すみれちゃんに何か思われたらどうするの!?」
「それ、忘れ物じゃないわ。」
「はぁ?」
ゆりは、れいこをのぞき込んで言う。
「わざと置いていったの。魔除けに置いたのよ。」
「なんですって?」
「貴女に悪魔がつかないように!」
「ゆり!いい加減にしてくれる!?」
ゆりは、れいこの言葉を無視するように彼女を抱きしめた。
「ねぇ、この頃の貴女、おかしいわ。やりすぎよ。戻ってきてよ。れいこ。」
「離してくれる?私がこんなのは昔からでしょ?」
ゆりは、今度はれいこの両肩を持つと今までにない泣きそうな目で彼女を見た。
「確かにそう。でも違うの。貴女変わってしまったわ。私が初めて出会ったときは、もっと気高く、優しくて、清らかだった。」
その言葉を聞いてれいこは思わずゆりの頬を叩いた。
「知ったような口きかないで!!」
それに対してゆりは叩かれた頬をおさえながら静かに口を開く。
手には銀色に光るロザリオがあり、それをれいこに見せる。
「ねぇ、覚えている?これ、貴女がくれたのよ。貴女も持っているでしょう?忘れてないわよね?」
れいこはその言葉を聞いて吐き捨てるように言う。
「そんなもの持ってもいないし、知らない。・・・ゆり、昔からの付き合いだからって調子に乗らないで。貴女が言う私がもし存在するならばそれは天使ね。でも残念ながら私は悪魔よ。そんなロザリオ持っていたら私、今生きてないから。」
れいこは、その後ゆりを見ることなく去っていった。
一人残されたゆりはロザリオを握りしめた。
「れいこ、私と貴女は誰よりも誰よりも清らかな関係なのよ。あんな子の元に行かないで。きっとあの子、貴女を破滅の道に連れて行くわ。戻ってきてよ。」
崩れ落ちると、ゆりは教会を見ながら二人の過去を思い出す。
あれは、中等部一年生の春。
二人が天使だった頃の話を。
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「やっぱり、あの子じゃあまり興奮できないのよね。」
ぶつぶつ言いながられいこは教会の外の水道で手を洗う。
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れいこは執拗に手を洗った。
すると、背後からまたあの声。
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「ちょっと、また貴女?私のストーカーなの?」
「そうなのかもね。」
れいこはイライラしながらポケットからあの髪飾りを出すと、ゆりに向かって投げた。
「忘れ物よ。気を付けてくれる?すみれちゃんに何か思われたらどうするの!?」
「それ、忘れ物じゃないわ。」
「はぁ?」
ゆりは、れいこをのぞき込んで言う。
「わざと置いていったの。魔除けに置いたのよ。」
「なんですって?」
「貴女に悪魔がつかないように!」
「ゆり!いい加減にしてくれる!?」
ゆりは、れいこの言葉を無視するように彼女を抱きしめた。
「ねぇ、この頃の貴女、おかしいわ。やりすぎよ。戻ってきてよ。れいこ。」
「離してくれる?私がこんなのは昔からでしょ?」
ゆりは、今度はれいこの両肩を持つと今までにない泣きそうな目で彼女を見た。
「確かにそう。でも違うの。貴女変わってしまったわ。私が初めて出会ったときは、もっと気高く、優しくて、清らかだった。」
その言葉を聞いてれいこは思わずゆりの頬を叩いた。
「知ったような口きかないで!!」
それに対してゆりは叩かれた頬をおさえながら静かに口を開く。
手には銀色に光るロザリオがあり、それをれいこに見せる。
「ねぇ、覚えている?これ、貴女がくれたのよ。貴女も持っているでしょう?忘れてないわよね?」
れいこはその言葉を聞いて吐き捨てるように言う。
「そんなもの持ってもいないし、知らない。・・・ゆり、昔からの付き合いだからって調子に乗らないで。貴女が言う私がもし存在するならばそれは天使ね。でも残念ながら私は悪魔よ。そんなロザリオ持っていたら私、今生きてないから。」
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「れいこ、私と貴女は誰よりも誰よりも清らかな関係なのよ。あんな子の元に行かないで。きっとあの子、貴女を破滅の道に連れて行くわ。戻ってきてよ。」
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