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『普通にはもう飽きた。』瀬戸宮雛菜乃と不思議な猫<不思議な猫との出会い>編 ~ 1 ~
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不思議な猫がいる。
私の名前は瀬戸宮 雛菜乃(せとみや ひなの)当たり前の学生として過ごし、当たり前の生活を送る、そんな刺激のない毎日だった。
そんな私の前に不思議な猫がいる。
不思議そうに見上げてくるその瞳が綺麗で、吸い込まれてしまいそうだ。
毛並は真っ白でしんしんと降る雪に溶け込んでしまいそうで、目を開けば宇宙を見上げた星空のような藍色が美しい。
尻尾の先っぽだけがピンク色なのがセクシーだ。
雛菜乃「君は、何処から来たの?」
そう聞くとニャアと小さく返事をしてくれる。
微笑ましい。出来るだけ姿勢を低くして警戒させないように近づくが、不思議猫は全くの不動で警戒させないようにしている私を意に返さない。
雛菜乃「にゃぁ。」
多少恥ずかしい。だがニャアと返してくれるのがうれしい。
そっと抱き上げても全く動かない彼女?は熱い体温と小さい鼓動を私の腕に伝えてくる。
今は冬、マフラーを目の前で揺らしてみるがじゃれる頃はなく凛々しく前を見ている。
雛菜乃「気高い猫ちゃんなんだね」
そう言って頭を撫でると、耳先がぴくっと動く。可愛い反応をするものだからついつい何度も撫でてしまう。
すると彼女は私の腕の中から飛び出してどこかへ行ってしまった。
しかしその瞬間景色が変わった。世界がひっくり返るような衝撃、上下が一瞬で逆になったようだ。
彼女が手から離れると。そこは雪山だ
雛菜乃「なにっ?!」
それだけでは終わらず視点が低くなり、雪に埋もれてしまう。四つん這いになっていて立とうとするが立てない。
しかも皮膚の様子がおかしい、私の腕に、というより全身は毛皮で覆われていた。
雛菜乃「これって……まさか……」
そこにいるは一匹の雌猫だ。
猛吹雪で前は殆ど見えないが、毛皮のおかげか全く寒くはない。埋もれるほどの雪が積もっているが、私の体重も猫同様となり慣れると雪の上に立てる。
しかし…。
雛菜乃「全裸で雪山なんて、冗談じゃない。」
感覚としては裸で毛の長いふかふかの毛布に包まっているような気分だ。だが自分のアソコや肛門が空気に晒されていて落ち着かない。
寒さを感じていないのが救いだ。この異常な状況から一刻でも早く抜け出したい。
おしりの付け根に違和感があって少し力を入れると自分の横にチラチラと先っぽだけがピンクの尻尾がみえる。
人間にはない感覚だ。恐る恐る触ってみるとゾクッとした快感が背筋を走る。
雛菜乃「あっ……あぅう……」
今まで感じたことのない刺激に声が出てしまった。
とにかく移動だ。こんな雪山にいたらきっと死んでしまう。
雛菜乃「どうしよう。」
どこに行けばいいのかも方向もここがどこかもわからない。
うろうろ歩き回るが私の足跡がポツポツ残るだけで景色が変わらない。来た道を振り返るとすぐ足跡も雪に埋まりどう移動したのかもわからなくなった。
雛菜乃「これは…ヤバいかも。」
いくらなんでも遭難しすぎだ。せめて何か目印になるものがあれば…… そんなことを考えながら歩いていた時だった。
雛菜乃「きゃっ!?」
急に体が宙に浮いて足が地面から離れた。そしてそのまま落下する。
ドサッと落ちた先は柔らかい雪の上だ。
どうやら雪庇を踏んだらしい、全く分からなかった。
雪山を舐めると危険だ。
雛菜乃「もう、なんなのよ!」
深い雪に落ちて埋もれたので上下すらわからなかった。私は不貞寝した。
目が覚めると辺りはすっかり暗くなっていた。
雪は止んでいるようだ。月明かりが私を照らしている。
雛菜乃「寒い……」
気温はかなり下がっていた。雪が降っていない分まだマシだが、それでも凍えそう……
雛菜乃「寒い?」
寒くなかった。体感が裸で周りが雪まみれなので勘違いしていたが私は猫なんだった。
雛菜乃「とりあえず、人がいるところまで行こう。」
そう思い立ち上がると、今度は下半身に違和感があった。
何事かと思い視線を下げると、私の性器が気持ち悪い。猫に習って片脚をピンと上げてペロペロと性器を舐める。淡く塩味がして美味しい。尿道もしっかり舐めて準備完了だ。もう違和感はない。
雛菜乃「さて、と」
雪をかき分けて外には出たがどうしたものか。
雪は止んでいて見上げるとそこには絶景が広がっていた。
満天の星空にぽっかりと浮かぶ三日月。
綺麗な夜空で、違うのは星の瞬きだ。空いっぱいに光が広がっていて宇宙のすべてが天の河になったようだ。
雛菜乃「わぁ……。」
猫の目とはこれ程高性能なものなのかと感心する。
月明かりだけで、何処までも雪原が見える。
雛菜乃「何処までも雪原しかない……。」
絶望だ。
だが体調は悪くない、どころかむしろいい。
お腹も空いておらず体も軽い。
猫の野生根性を存分に発揮してやろう。
雛菜乃「さぁ!進もう!」
意気揚々と歩き出す。
雪も降らず風も無い
まあ、道も無いのだが。
そんなことを考えながら雪に肉球の跡をぽちぽち付けながらあるく。
四足歩行にも慣れてきた。とても安定して、走り出したくなってくる。
雛菜乃「きゃほー!」
前足で地面を蹴ってみる。すると体はグンっと前に飛び出す。
そしてその勢いのままジャンプしてみた。
まるでロケットのように高く飛び上がる。
しかし着地点は雪だ。
雪に突っ込んで、べしゃっと潰れた。
雛菜乃「にゃあ~。」
体を雪から出してぷるぷると振る。
雛菜乃「私、学生してるより猫のほうが合ってるかも」
そう言いながらまた歩き始める。
しかし、そううまくいくはずもなく、歩けど歩けど風景に変化がない。
雛菜乃「らるらら~ら~」
のんきに人間時代の歌を歌ってるが耳に聞こえるのはニャアニャアと猫の声が木霊しているだけだ。
鼻唄を歌いながら歩く。
そうしていると目の前に大きな白い塊が出現した。
景色は遠くまで見えているのに気づかなかった。
雛菜乃「なに、あれ?」
恐る恐る近づいてみるとそれは巨大な狐だった。その大きさは大型犬を倍にしたぐらいだろうか。迫力がある。
その毛皮は私と同じ真っ白で雪に同化している。唯一の違いは私の尻尾の先はピンクということだけだろうか。
雛菜乃「おお…。」
狐って猫食べるんだっけ?兎とか食べてた気がする。
その見事な毛並みに吸い寄せられるように近づくが敵意は感じない。
雛菜乃「あのぉ……」
恐る恐る話しかけてみるが返事はない。
じっとこちらを見つめてくる。瞳孔が縦に細くなっていて怖い。
雛菜乃「にゃっ!?」
突然私の体が宙に浮き上がった。首の後ろを噛まれたのだ。
雛菜乃「うにゃあぁ!」
もがこうとするが体の力が勝手に抜けてブラブラと垂れ下がる。そして私の体はゆっくりと持ち上げられて運ばれてしまう。
雛菜乃(うー)
狐は私のことをくわえたまま歩き始めた。
抵抗しても無駄だと悟った私は大人しくすることにした。
雛菜乃「どこいくのかな?」
そんなことを考えながらしばらく歩いていると、ふと地面に下ろされた。
どうしたのかと見てみると、そこは洞窟だった。
そしてそこにはたくさんの小狐がいて
まさか餌!?と思ったのもつかの間、巨大ぎつねが私の毛皮をペロペロ舐め始めると子狐たちも寄ってきてすりすりしてくれる
。
雛菜乃「わわわ……」
くすぐったくて身を捩ると逃がさないとばかりに捕まえられる。
そしてそのまま毛皮を舐められ続ける。
雛菜乃「うーん。ちょっとお返し。」
巨大ぎつねこと母狐をお返しにペロペロ舐めると、気持ち良さそうに目を細めた。
雛菜乃「君たち可愛いね。」
子狐達が寄ってくるので頭を肉球でナデナデすると嬉しそうに鳴く。にゃんにゃん。
私はモフモフに囲まれながら眠りについた。
目が覚めると辺りは明るくなっていた。
雛菜乃「んぅ……朝か。」
寝ぼけた頭で考える。昨日は不思議な体験をした。
夢のような現実だったような……。
猫になった夢を見た気がするなぁとぐっと伸びをして髪を整える。整え……、私は猫だった。
雛菜乃「まじかぁ……。」
どうやら私は猫として生きるらしい。
そんなことを考えているうちに子狐達は私にじゃれついてきて尻尾を掴んできたり顔を舐め回したりしてくる。
雛菜乃「あははははは!」
くすぐり攻撃だ。
子狐達を振り払うと追いかけっこが始まる。
雛菜乃「待ってよ~」
必死に追いかけるが、雪の上を走るのに慣れていないせいか転んでしまう。
雛菜乃「にゃうぅぅぅぅ」
冷たい雪が気持ちいい。雪山だから当然だ。
私は仰向けになって大の字に寝そべる。
すると子狐たちが群がってきた。
雛菜乃「ちょっ、くすぐったいよっ!」
子狐達の舌が身体中を這い回る。
ガバっとおきあがってピューっと走る。瞬発力でも持続力も子狐には負けない。
でも猫ってこんなに俊敏だっけ?
私はいくら走っても疲れないし子狐達がハーハー言いながら母狐にご飯(ねずみと兎)をもらっている間もお腹が空かない。
欲求で言えばたまにチーっとおしっこすることと子狐に混ざってモフモフしながら眠る睡眠欲だけで他は快適だ。
たまに水分補給と思って雪を食べているが別に食べなくても良いように思う。この体になってうんちも一度も出ていない。
どうなっているのか分からないが、とりあえず猫ってすごい。
雛菜乃「んー……」
猫の生活にも慣れてきた頃、お腹が空かないことが分かったので移動することに決めた。
そう思いながら振り返るとわかっている。とばかりに母狐と子狐が洞窟からこちらを見ている。
雛菜乃「にゃんにゃんにゃーん!」
大きく叫ぶと狐たちは遠吠えのように首を上げて『キューン』と答えてくれた。
私の名前は瀬戸宮 雛菜乃(せとみや ひなの)当たり前の学生として過ごし、当たり前の生活を送る、そんな刺激のない毎日だった。
そんな私の前に不思議な猫がいる。
不思議そうに見上げてくるその瞳が綺麗で、吸い込まれてしまいそうだ。
毛並は真っ白でしんしんと降る雪に溶け込んでしまいそうで、目を開けば宇宙を見上げた星空のような藍色が美しい。
尻尾の先っぽだけがピンク色なのがセクシーだ。
雛菜乃「君は、何処から来たの?」
そう聞くとニャアと小さく返事をしてくれる。
微笑ましい。出来るだけ姿勢を低くして警戒させないように近づくが、不思議猫は全くの不動で警戒させないようにしている私を意に返さない。
雛菜乃「にゃぁ。」
多少恥ずかしい。だがニャアと返してくれるのがうれしい。
そっと抱き上げても全く動かない彼女?は熱い体温と小さい鼓動を私の腕に伝えてくる。
今は冬、マフラーを目の前で揺らしてみるがじゃれる頃はなく凛々しく前を見ている。
雛菜乃「気高い猫ちゃんなんだね」
そう言って頭を撫でると、耳先がぴくっと動く。可愛い反応をするものだからついつい何度も撫でてしまう。
すると彼女は私の腕の中から飛び出してどこかへ行ってしまった。
しかしその瞬間景色が変わった。世界がひっくり返るような衝撃、上下が一瞬で逆になったようだ。
彼女が手から離れると。そこは雪山だ
雛菜乃「なにっ?!」
それだけでは終わらず視点が低くなり、雪に埋もれてしまう。四つん這いになっていて立とうとするが立てない。
しかも皮膚の様子がおかしい、私の腕に、というより全身は毛皮で覆われていた。
雛菜乃「これって……まさか……」
そこにいるは一匹の雌猫だ。
猛吹雪で前は殆ど見えないが、毛皮のおかげか全く寒くはない。埋もれるほどの雪が積もっているが、私の体重も猫同様となり慣れると雪の上に立てる。
しかし…。
雛菜乃「全裸で雪山なんて、冗談じゃない。」
感覚としては裸で毛の長いふかふかの毛布に包まっているような気分だ。だが自分のアソコや肛門が空気に晒されていて落ち着かない。
寒さを感じていないのが救いだ。この異常な状況から一刻でも早く抜け出したい。
おしりの付け根に違和感があって少し力を入れると自分の横にチラチラと先っぽだけがピンクの尻尾がみえる。
人間にはない感覚だ。恐る恐る触ってみるとゾクッとした快感が背筋を走る。
雛菜乃「あっ……あぅう……」
今まで感じたことのない刺激に声が出てしまった。
とにかく移動だ。こんな雪山にいたらきっと死んでしまう。
雛菜乃「どうしよう。」
どこに行けばいいのかも方向もここがどこかもわからない。
うろうろ歩き回るが私の足跡がポツポツ残るだけで景色が変わらない。来た道を振り返るとすぐ足跡も雪に埋まりどう移動したのかもわからなくなった。
雛菜乃「これは…ヤバいかも。」
いくらなんでも遭難しすぎだ。せめて何か目印になるものがあれば…… そんなことを考えながら歩いていた時だった。
雛菜乃「きゃっ!?」
急に体が宙に浮いて足が地面から離れた。そしてそのまま落下する。
ドサッと落ちた先は柔らかい雪の上だ。
どうやら雪庇を踏んだらしい、全く分からなかった。
雪山を舐めると危険だ。
雛菜乃「もう、なんなのよ!」
深い雪に落ちて埋もれたので上下すらわからなかった。私は不貞寝した。
目が覚めると辺りはすっかり暗くなっていた。
雪は止んでいるようだ。月明かりが私を照らしている。
雛菜乃「寒い……」
気温はかなり下がっていた。雪が降っていない分まだマシだが、それでも凍えそう……
雛菜乃「寒い?」
寒くなかった。体感が裸で周りが雪まみれなので勘違いしていたが私は猫なんだった。
雛菜乃「とりあえず、人がいるところまで行こう。」
そう思い立ち上がると、今度は下半身に違和感があった。
何事かと思い視線を下げると、私の性器が気持ち悪い。猫に習って片脚をピンと上げてペロペロと性器を舐める。淡く塩味がして美味しい。尿道もしっかり舐めて準備完了だ。もう違和感はない。
雛菜乃「さて、と」
雪をかき分けて外には出たがどうしたものか。
雪は止んでいて見上げるとそこには絶景が広がっていた。
満天の星空にぽっかりと浮かぶ三日月。
綺麗な夜空で、違うのは星の瞬きだ。空いっぱいに光が広がっていて宇宙のすべてが天の河になったようだ。
雛菜乃「わぁ……。」
猫の目とはこれ程高性能なものなのかと感心する。
月明かりだけで、何処までも雪原が見える。
雛菜乃「何処までも雪原しかない……。」
絶望だ。
だが体調は悪くない、どころかむしろいい。
お腹も空いておらず体も軽い。
猫の野生根性を存分に発揮してやろう。
雛菜乃「さぁ!進もう!」
意気揚々と歩き出す。
雪も降らず風も無い
まあ、道も無いのだが。
そんなことを考えながら雪に肉球の跡をぽちぽち付けながらあるく。
四足歩行にも慣れてきた。とても安定して、走り出したくなってくる。
雛菜乃「きゃほー!」
前足で地面を蹴ってみる。すると体はグンっと前に飛び出す。
そしてその勢いのままジャンプしてみた。
まるでロケットのように高く飛び上がる。
しかし着地点は雪だ。
雪に突っ込んで、べしゃっと潰れた。
雛菜乃「にゃあ~。」
体を雪から出してぷるぷると振る。
雛菜乃「私、学生してるより猫のほうが合ってるかも」
そう言いながらまた歩き始める。
しかし、そううまくいくはずもなく、歩けど歩けど風景に変化がない。
雛菜乃「らるらら~ら~」
のんきに人間時代の歌を歌ってるが耳に聞こえるのはニャアニャアと猫の声が木霊しているだけだ。
鼻唄を歌いながら歩く。
そうしていると目の前に大きな白い塊が出現した。
景色は遠くまで見えているのに気づかなかった。
雛菜乃「なに、あれ?」
恐る恐る近づいてみるとそれは巨大な狐だった。その大きさは大型犬を倍にしたぐらいだろうか。迫力がある。
その毛皮は私と同じ真っ白で雪に同化している。唯一の違いは私の尻尾の先はピンクということだけだろうか。
雛菜乃「おお…。」
狐って猫食べるんだっけ?兎とか食べてた気がする。
その見事な毛並みに吸い寄せられるように近づくが敵意は感じない。
雛菜乃「あのぉ……」
恐る恐る話しかけてみるが返事はない。
じっとこちらを見つめてくる。瞳孔が縦に細くなっていて怖い。
雛菜乃「にゃっ!?」
突然私の体が宙に浮き上がった。首の後ろを噛まれたのだ。
雛菜乃「うにゃあぁ!」
もがこうとするが体の力が勝手に抜けてブラブラと垂れ下がる。そして私の体はゆっくりと持ち上げられて運ばれてしまう。
雛菜乃(うー)
狐は私のことをくわえたまま歩き始めた。
抵抗しても無駄だと悟った私は大人しくすることにした。
雛菜乃「どこいくのかな?」
そんなことを考えながらしばらく歩いていると、ふと地面に下ろされた。
どうしたのかと見てみると、そこは洞窟だった。
そしてそこにはたくさんの小狐がいて
まさか餌!?と思ったのもつかの間、巨大ぎつねが私の毛皮をペロペロ舐め始めると子狐たちも寄ってきてすりすりしてくれる
。
雛菜乃「わわわ……」
くすぐったくて身を捩ると逃がさないとばかりに捕まえられる。
そしてそのまま毛皮を舐められ続ける。
雛菜乃「うーん。ちょっとお返し。」
巨大ぎつねこと母狐をお返しにペロペロ舐めると、気持ち良さそうに目を細めた。
雛菜乃「君たち可愛いね。」
子狐達が寄ってくるので頭を肉球でナデナデすると嬉しそうに鳴く。にゃんにゃん。
私はモフモフに囲まれながら眠りについた。
目が覚めると辺りは明るくなっていた。
雛菜乃「んぅ……朝か。」
寝ぼけた頭で考える。昨日は不思議な体験をした。
夢のような現実だったような……。
猫になった夢を見た気がするなぁとぐっと伸びをして髪を整える。整え……、私は猫だった。
雛菜乃「まじかぁ……。」
どうやら私は猫として生きるらしい。
そんなことを考えているうちに子狐達は私にじゃれついてきて尻尾を掴んできたり顔を舐め回したりしてくる。
雛菜乃「あははははは!」
くすぐり攻撃だ。
子狐達を振り払うと追いかけっこが始まる。
雛菜乃「待ってよ~」
必死に追いかけるが、雪の上を走るのに慣れていないせいか転んでしまう。
雛菜乃「にゃうぅぅぅぅ」
冷たい雪が気持ちいい。雪山だから当然だ。
私は仰向けになって大の字に寝そべる。
すると子狐たちが群がってきた。
雛菜乃「ちょっ、くすぐったいよっ!」
子狐達の舌が身体中を這い回る。
ガバっとおきあがってピューっと走る。瞬発力でも持続力も子狐には負けない。
でも猫ってこんなに俊敏だっけ?
私はいくら走っても疲れないし子狐達がハーハー言いながら母狐にご飯(ねずみと兎)をもらっている間もお腹が空かない。
欲求で言えばたまにチーっとおしっこすることと子狐に混ざってモフモフしながら眠る睡眠欲だけで他は快適だ。
たまに水分補給と思って雪を食べているが別に食べなくても良いように思う。この体になってうんちも一度も出ていない。
どうなっているのか分からないが、とりあえず猫ってすごい。
雛菜乃「んー……」
猫の生活にも慣れてきた頃、お腹が空かないことが分かったので移動することに決めた。
そう思いながら振り返るとわかっている。とばかりに母狐と子狐が洞窟からこちらを見ている。
雛菜乃「にゃんにゃんにゃーん!」
大きく叫ぶと狐たちは遠吠えのように首を上げて『キューン』と答えてくれた。
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