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6章 真の領主決定戦~竜貴族のお家騒動~
114話 真の領主決定戦!【第2幕:奥様運び 前半戦】【後編】
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いつの間にか、ロードンが背後に迫っている。
もはや夫の背で立ち乗りしているゲルダは、器用に玉を弾いていた。
『うわっ、まずい……』
ロードンの咆哮にあてられ、夫竜の速度が下がった。
私も何か、彼を援護できれば良いのだが――焦りが胸をよぎった、その時。
「助太刀するぜ、エメル様!」
威勢の良い声の直後。
背後のロードンめがけて、殺意のこもったナイフが飛んでいった。
「あなたたちは……!」
サツキをはじめとした、傭兵ノーム五姉妹だ。スライムの陰になって見えなかった彼女たちだが、上空に飛んでくるナイフの勢いは凄まじい。
「すごい殺気ですわね……」
ふと、半年近く前――ギルド落成式のことが頭に浮かぶ。
あの時も、地代を奪いに来たチンピラ・ロードンを、彼女たちが追い払ってくれたのだ。
「ほんと、ここは味方が多いなぁ……」
ここに来て、まだ1年も経たないというのに。
25年間過ごした元の世界より、いつの間にか馴染んでしまっている。
今は、領主家の命運をかけたレースに集中しなければならないのに――胸をよぎるのは、「選択」のこと。
『夫竜に心も体も許せば、元の世界へ帰れなくなります』
私の魂をこの世界へ運んだ彼女、時渡人の言葉は、いつも頭を回っている。
『エメル、このまま抜けられそうだよ……!』
「……え?」
いつの間にか町は遠ざかり、目の前には深い藍色が広がっていた。
ロードンがノームたちに手こずる間に、ドラグは海エリアへ到着していたのだ。尻尾やツノには、緑色の粘液がついているが――。
「すごいですわ、ドラグ様!」
この調子でいけば、トップ独走も夢ではない――淡い期待を抱いていると。
『ル~ルルラララ~』
甘く、心地よい歌声が耳に溶けていった。
「今のは……」
たどり着いた港付近には、半人半魚のセイレーンたちが待ち構えていた。
自分で企画しておきながら、すっかり忘れていた――ここからが本当に難しくなるところだ。
公平性を保つため、ドラグにあらかじめ教えることはなかったが、ある意味一番厄介なのがここ。
『勇ましい竜よ、やすらかに~……』
まずい。
セイレーンたちの歌声で、ドラグがふらつき始めている。ドラゴンは耳が遠いはずなのに、やはりセイレーンの音波は関係なく効いてしまうようだ。
「耳ってどこですか!?」
せめて耳を塞ごうと思ったのだが。竜の耳がどこにあるのか、よく分からない。
焦る間にも、ドラグの高度が下がっていく。
「ドラグ様、しっかり!」
白砂の浜で、気持ちよく歌うセイレーンたち。
やがて海面が揺らぎ、彼らを押し流すように港へ波が押し寄せた。
「アレは……!」
浜に飛び上がったのは、青く透けるヒレが美しい人魚。他よりひと回りも大きいセイレーンだ。
アレスターの最推し、ゲルダのキャバレーNo.1の歌姫でもある、彼は――。
『メルメイドと申します。お見知りおきを』
砂を引き寄せるほどに息を吸った彼が、喉から美しい音を奏で始めた。
「くっ……重圧、すごっ」
彼の歌は、耳栓では防げないほどの力強さがある。線の細い体からは信じられない音響が、波形を変えて水面を震わせていた。
藍色の海が、みるみるうちに近づいてくる。
『ご、め……もう、眠い…………』
ついにドラグの身体は、海上へ落ちてしまった。
メルメイドの起こす荒波に揺られながら、黒い身体が小舟のように漂っている。
「ドラグ様! 起きてくださいませっ!」
このままでは、ロードたちに追いつかれてしまう――。
「あれ……?」
そういえば。
どうして私は眠くならないのだろう――。
気づくと同時に、右目がじわりと熱くなった。【能力鑑定】が勝手に発動したのだ。
「メルメイドたちのスキルは……」
とろけそうなほどに熱い右目で、浜の人魚たちをなぞると。世界観クラッシャーのダイアログが、次々と表示された。
それぞれが複数の歌唱スキルを持つ中。あの場にいる全員に、【スキル:獣の子守唄】がついている。
「それで、獣人のドラグだけが眠ったんだ」
でも、どうすれば目が覚めるのか――まだ対処法が見つからないうちに、全身が震えるほどの咆哮が轟いた。
『ぁぁぁアアア! 障害物競争っつーのはイライラゲーか!?』
「アンタは気が短すぎるのよ! キリキリ飛びなさい」
まずい――ロードンとゲルダが追い付いた。
しかもゲルダはメルメイドの催眠歌唱に焦るどころか、「さすが、ウチのナンバーワン歌姫ね!」と拍手を送っている。
直後、彼女の黄金眼がこちらに向いた。
「ふふっ! さすがの後妻さんも、セイレーンの歌声に対処する方法が見つからないようね」
「くっ……」
自分で考えたコースと障害物なのに。
公平性を考えて、事前に対処法を考えないようにしていたのは誠実すぎただろうか。
「でも、貴女がたはどうするおつもりなのです!?」
「あーら、簡単なことよ。メルメイドの歌唱指導は、あの子が稚魚の時からこのアタシがやっているんだから」
ゲルダは胸が倍に膨れるほど息を吸い、そして吐き出した。
「……っ!」
鼓膜が破壊されそうな、とんでもない威力の咆哮なのに。耳を塞いだ手をすり抜ける音が、どこか美しく聞こえる。
その歌声はメルメイドたちの声を打ち消し、ロードンは難なく浜辺を通過していった。
そうか、音を打ち消せば――。
先を越されてしまったが、攻略法は分かった。
「ちょっとボロネロ、来てくださいませ!」
上空から結晶石カメラを回す、スマートな蒼竜を見上げた。
『……後妻、ギブアップ?』
「違います! マイクを貸してほしいのです」
後妻も歌うのか、とボロネロは首を傾げたが。人間の声量では、セイレーンの歌を打ち消すことはできない。
『テステス、マイクテス、会場の皆さま、聞こえていますか?』
これから私がするのは、「歌唱」ではない。
「演説」だ。
もはや夫の背で立ち乗りしているゲルダは、器用に玉を弾いていた。
『うわっ、まずい……』
ロードンの咆哮にあてられ、夫竜の速度が下がった。
私も何か、彼を援護できれば良いのだが――焦りが胸をよぎった、その時。
「助太刀するぜ、エメル様!」
威勢の良い声の直後。
背後のロードンめがけて、殺意のこもったナイフが飛んでいった。
「あなたたちは……!」
サツキをはじめとした、傭兵ノーム五姉妹だ。スライムの陰になって見えなかった彼女たちだが、上空に飛んでくるナイフの勢いは凄まじい。
「すごい殺気ですわね……」
ふと、半年近く前――ギルド落成式のことが頭に浮かぶ。
あの時も、地代を奪いに来たチンピラ・ロードンを、彼女たちが追い払ってくれたのだ。
「ほんと、ここは味方が多いなぁ……」
ここに来て、まだ1年も経たないというのに。
25年間過ごした元の世界より、いつの間にか馴染んでしまっている。
今は、領主家の命運をかけたレースに集中しなければならないのに――胸をよぎるのは、「選択」のこと。
『夫竜に心も体も許せば、元の世界へ帰れなくなります』
私の魂をこの世界へ運んだ彼女、時渡人の言葉は、いつも頭を回っている。
『エメル、このまま抜けられそうだよ……!』
「……え?」
いつの間にか町は遠ざかり、目の前には深い藍色が広がっていた。
ロードンがノームたちに手こずる間に、ドラグは海エリアへ到着していたのだ。尻尾やツノには、緑色の粘液がついているが――。
「すごいですわ、ドラグ様!」
この調子でいけば、トップ独走も夢ではない――淡い期待を抱いていると。
『ル~ルルラララ~』
甘く、心地よい歌声が耳に溶けていった。
「今のは……」
たどり着いた港付近には、半人半魚のセイレーンたちが待ち構えていた。
自分で企画しておきながら、すっかり忘れていた――ここからが本当に難しくなるところだ。
公平性を保つため、ドラグにあらかじめ教えることはなかったが、ある意味一番厄介なのがここ。
『勇ましい竜よ、やすらかに~……』
まずい。
セイレーンたちの歌声で、ドラグがふらつき始めている。ドラゴンは耳が遠いはずなのに、やはりセイレーンの音波は関係なく効いてしまうようだ。
「耳ってどこですか!?」
せめて耳を塞ごうと思ったのだが。竜の耳がどこにあるのか、よく分からない。
焦る間にも、ドラグの高度が下がっていく。
「ドラグ様、しっかり!」
白砂の浜で、気持ちよく歌うセイレーンたち。
やがて海面が揺らぎ、彼らを押し流すように港へ波が押し寄せた。
「アレは……!」
浜に飛び上がったのは、青く透けるヒレが美しい人魚。他よりひと回りも大きいセイレーンだ。
アレスターの最推し、ゲルダのキャバレーNo.1の歌姫でもある、彼は――。
『メルメイドと申します。お見知りおきを』
砂を引き寄せるほどに息を吸った彼が、喉から美しい音を奏で始めた。
「くっ……重圧、すごっ」
彼の歌は、耳栓では防げないほどの力強さがある。線の細い体からは信じられない音響が、波形を変えて水面を震わせていた。
藍色の海が、みるみるうちに近づいてくる。
『ご、め……もう、眠い…………』
ついにドラグの身体は、海上へ落ちてしまった。
メルメイドの起こす荒波に揺られながら、黒い身体が小舟のように漂っている。
「ドラグ様! 起きてくださいませっ!」
このままでは、ロードたちに追いつかれてしまう――。
「あれ……?」
そういえば。
どうして私は眠くならないのだろう――。
気づくと同時に、右目がじわりと熱くなった。【能力鑑定】が勝手に発動したのだ。
「メルメイドたちのスキルは……」
とろけそうなほどに熱い右目で、浜の人魚たちをなぞると。世界観クラッシャーのダイアログが、次々と表示された。
それぞれが複数の歌唱スキルを持つ中。あの場にいる全員に、【スキル:獣の子守唄】がついている。
「それで、獣人のドラグだけが眠ったんだ」
でも、どうすれば目が覚めるのか――まだ対処法が見つからないうちに、全身が震えるほどの咆哮が轟いた。
『ぁぁぁアアア! 障害物競争っつーのはイライラゲーか!?』
「アンタは気が短すぎるのよ! キリキリ飛びなさい」
まずい――ロードンとゲルダが追い付いた。
しかもゲルダはメルメイドの催眠歌唱に焦るどころか、「さすが、ウチのナンバーワン歌姫ね!」と拍手を送っている。
直後、彼女の黄金眼がこちらに向いた。
「ふふっ! さすがの後妻さんも、セイレーンの歌声に対処する方法が見つからないようね」
「くっ……」
自分で考えたコースと障害物なのに。
公平性を考えて、事前に対処法を考えないようにしていたのは誠実すぎただろうか。
「でも、貴女がたはどうするおつもりなのです!?」
「あーら、簡単なことよ。メルメイドの歌唱指導は、あの子が稚魚の時からこのアタシがやっているんだから」
ゲルダは胸が倍に膨れるほど息を吸い、そして吐き出した。
「……っ!」
鼓膜が破壊されそうな、とんでもない威力の咆哮なのに。耳を塞いだ手をすり抜ける音が、どこか美しく聞こえる。
その歌声はメルメイドたちの声を打ち消し、ロードンは難なく浜辺を通過していった。
そうか、音を打ち消せば――。
先を越されてしまったが、攻略法は分かった。
「ちょっとボロネロ、来てくださいませ!」
上空から結晶石カメラを回す、スマートな蒼竜を見上げた。
『……後妻、ギブアップ?』
「違います! マイクを貸してほしいのです」
後妻も歌うのか、とボロネロは首を傾げたが。人間の声量では、セイレーンの歌を打ち消すことはできない。
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