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「天界!?」
シューはアダイブ・シエルから、エクレアが天界にいると聞いて驚く。
「そうだ。神の血を司る天使エクレアは天界にいる。天界の嘆きの壁に埋まっている。」
天界でのエクレアの居場所が分かった。エクレアは天界の嘆きの壁に閉じ込められている。
「嘆きの壁!?」
「そうだ。嘆きの壁だ。嘆きの壁に捕らえられ、アダイブを生み出すシステムとして生かされている。」
「なんて酷いことを!?」
シューはエクレアが捕らえられていると聞いて、怒りが込み上げてくる。
「アダイブのために血の涙を流しているのだ!」
壁に捕らえられているエクレアが流す血の涙が、アダイブを生み出す材料だった。
「エクレアさんの血でアダイブは出来ていたのか!? それで吸血鬼のように血を吸って強くなるのか!?」
シューはアダイブに、どこかブラッディソード・エクレアと同じようなものを感じていた。アダイブ誕生の秘密を知って、その違和感が解消された。
「だが、物語には続きがある。」
「続きだと!?」
アダイブ・シエルは語り始める。
「ある日、壁に捕らえられているエクレアの魂が体を置いて逃げ出した。」
「まさか!?」
シューには思い当たる節がある。
「そうだ。シュー、おまえがであったエクレアだ。」
「でもエクレアさんは魂だけじゃなくて、ちゃんと生きていたぞ!?」
「違うな。魂だけだ。天使エクレアの魂が実態化していただけにしか過ぎない。」
「そ、そんなバカな!? エクレアさんが・・・。」
シューの頭の中にエクレアとの思い出が走馬灯のように思い出される。エクレアと出会った時、エクレアと食い逃げした時、エクレアに剣を刺して殺した時のことを記憶が覚えている。
「エクレアの魂の抜けた体は抜け殻になり、血の涙を流さなくなった。そのため神の血から創られる俺のような純潔のアダイブが創られなくなってしまった。」
嘆きの壁に残ったのはエクレアの魂の無い体だけである。アダイブ・シエルは神の血を司る天使エクレアの血の涙から生まれた天使であった。
「新たな純潔のアダイブを創り出すため、天界から逃げ出したエクレアの魂が必要なのだ。」
これがアダイブが街を襲った理由である。
「寄こせ! ブラッディソードを!」
アダイブ・シエルの狙いは、神の血を司る天使エクレアの魂の入った深紅の剣ブラッディソード・エクレアであった。
「・・・誰が、誰が渡すものか! おまえなんかに、エクレアさんを渡すものか!」
例え相手が神であっても、シューはブラッディソード・エクレアを渡す気はなかった。
「僕がエクレアさんを守る!」
今度こそ、今度こそ、自分で守る。守ってもらうのではなく、シューは自分でエクレアを守るために戦うと心で誓う。
「交渉決裂だな。」
「そうだ。」
シューとアダイブ・シエルの顔つきが変わる。
「シュー、おまえを殺して、力ずくで奪うまでよ!」
アダイブ・シエルは剣を構えシューに突進する。
「こい! アダイブ・シエル!」
シューも剣を構えアダイブ・シエルに突進する。
「どりゃああああ!」
「でえええええい!」
シューとアダイブ・シエルの剣と剣が激しい血しぶきを飛ばしながら、ぶつかり合う。
「エクレアさんを助け出してみせる!」
「天界に行きたければ、俺を倒してから行くんだな!」
シューとアダイブ・シエルの意地と意地がぶつかる。
「ああ! 倒して見せるさ!」
シューの剣がアダイブ・シエルを振り払う。
「倒せるものなら、倒して見ろ!」
アダイブ・シエルが間合いを詰めて、剣を力強く振り回す。
「そんなもの、当たるか!」
シューはアダイブ・シエルの攻撃を避ける。
「逃げるな! 俺を倒さなければ、エクレアは救えんぞ!」
「誰が逃げるか!」
今度はシューの方からアダイブ・シエルに斬りかかる。
「そうだ! それでいい! こい! シュー!」
アダイブ・シエルは余裕を持って、シューを待ち受ける。その様子は、自分が天使であると驕れているのではない。人間と天使の戦いという枠を超えた戦いに、アダイブ・シエル自身も気づいていないが正々堂々としたもので、シューと戦うことに喜びを感じていた。
「エクレアさん、僕に力を貸して下さい!」
シューの救いを求める声に深紅の剣が答える。
「ブラッディ・ウイング!」
剣から血が噴き出し、シューの背中に血の翼が生える。
「くらえ! アダイブ!」
シューの一撃は血の翼で加速し、スピードを増してアダイブ・シエルに攻撃する。
「俺は逃げん!」
アダイブ・シエルはシューの攻撃を剣で受け止める。
「シュー、おまえの実力は、こんなものか?」
「なに!?」
「それならガッカリだな。もっと俺を楽しませてくれると思ったのに。」
アダイブ・シエルはシューの加速した攻撃も簡単に受け止める。
「おまえを殺し、エクレアの魂を取り戻し、嘆きの壁のエクレア本体が血の涙を流すようになれば、純潔のアダイブが、たくさん創造され、世界はアダイブで覆われるのだ。アダイブが世界を管理するのだ!」
アダイブの理想。アダイブの夢である。それを叶えるためにはエクレアの魂が宿っているブラッディソードがいるのである。
「そうはさせるか!」
シューは歯を食いしばって抵抗しようとする。
「諦めろ! 諦めて絶望するがいい!」
アダイブ・シエルは、天使というよりは恐怖の大魔王というぐらいの迫力を持っていた。
つづく。
シューはアダイブ・シエルから、エクレアが天界にいると聞いて驚く。
「そうだ。神の血を司る天使エクレアは天界にいる。天界の嘆きの壁に埋まっている。」
天界でのエクレアの居場所が分かった。エクレアは天界の嘆きの壁に閉じ込められている。
「嘆きの壁!?」
「そうだ。嘆きの壁だ。嘆きの壁に捕らえられ、アダイブを生み出すシステムとして生かされている。」
「なんて酷いことを!?」
シューはエクレアが捕らえられていると聞いて、怒りが込み上げてくる。
「アダイブのために血の涙を流しているのだ!」
壁に捕らえられているエクレアが流す血の涙が、アダイブを生み出す材料だった。
「エクレアさんの血でアダイブは出来ていたのか!? それで吸血鬼のように血を吸って強くなるのか!?」
シューはアダイブに、どこかブラッディソード・エクレアと同じようなものを感じていた。アダイブ誕生の秘密を知って、その違和感が解消された。
「だが、物語には続きがある。」
「続きだと!?」
アダイブ・シエルは語り始める。
「ある日、壁に捕らえられているエクレアの魂が体を置いて逃げ出した。」
「まさか!?」
シューには思い当たる節がある。
「そうだ。シュー、おまえがであったエクレアだ。」
「でもエクレアさんは魂だけじゃなくて、ちゃんと生きていたぞ!?」
「違うな。魂だけだ。天使エクレアの魂が実態化していただけにしか過ぎない。」
「そ、そんなバカな!? エクレアさんが・・・。」
シューの頭の中にエクレアとの思い出が走馬灯のように思い出される。エクレアと出会った時、エクレアと食い逃げした時、エクレアに剣を刺して殺した時のことを記憶が覚えている。
「エクレアの魂の抜けた体は抜け殻になり、血の涙を流さなくなった。そのため神の血から創られる俺のような純潔のアダイブが創られなくなってしまった。」
嘆きの壁に残ったのはエクレアの魂の無い体だけである。アダイブ・シエルは神の血を司る天使エクレアの血の涙から生まれた天使であった。
「新たな純潔のアダイブを創り出すため、天界から逃げ出したエクレアの魂が必要なのだ。」
これがアダイブが街を襲った理由である。
「寄こせ! ブラッディソードを!」
アダイブ・シエルの狙いは、神の血を司る天使エクレアの魂の入った深紅の剣ブラッディソード・エクレアであった。
「・・・誰が、誰が渡すものか! おまえなんかに、エクレアさんを渡すものか!」
例え相手が神であっても、シューはブラッディソード・エクレアを渡す気はなかった。
「僕がエクレアさんを守る!」
今度こそ、今度こそ、自分で守る。守ってもらうのではなく、シューは自分でエクレアを守るために戦うと心で誓う。
「交渉決裂だな。」
「そうだ。」
シューとアダイブ・シエルの顔つきが変わる。
「シュー、おまえを殺して、力ずくで奪うまでよ!」
アダイブ・シエルは剣を構えシューに突進する。
「こい! アダイブ・シエル!」
シューも剣を構えアダイブ・シエルに突進する。
「どりゃああああ!」
「でえええええい!」
シューとアダイブ・シエルの剣と剣が激しい血しぶきを飛ばしながら、ぶつかり合う。
「エクレアさんを助け出してみせる!」
「天界に行きたければ、俺を倒してから行くんだな!」
シューとアダイブ・シエルの意地と意地がぶつかる。
「ああ! 倒して見せるさ!」
シューの剣がアダイブ・シエルを振り払う。
「倒せるものなら、倒して見ろ!」
アダイブ・シエルが間合いを詰めて、剣を力強く振り回す。
「そんなもの、当たるか!」
シューはアダイブ・シエルの攻撃を避ける。
「逃げるな! 俺を倒さなければ、エクレアは救えんぞ!」
「誰が逃げるか!」
今度はシューの方からアダイブ・シエルに斬りかかる。
「そうだ! それでいい! こい! シュー!」
アダイブ・シエルは余裕を持って、シューを待ち受ける。その様子は、自分が天使であると驕れているのではない。人間と天使の戦いという枠を超えた戦いに、アダイブ・シエル自身も気づいていないが正々堂々としたもので、シューと戦うことに喜びを感じていた。
「エクレアさん、僕に力を貸して下さい!」
シューの救いを求める声に深紅の剣が答える。
「ブラッディ・ウイング!」
剣から血が噴き出し、シューの背中に血の翼が生える。
「くらえ! アダイブ!」
シューの一撃は血の翼で加速し、スピードを増してアダイブ・シエルに攻撃する。
「俺は逃げん!」
アダイブ・シエルはシューの攻撃を剣で受け止める。
「シュー、おまえの実力は、こんなものか?」
「なに!?」
「それならガッカリだな。もっと俺を楽しませてくれると思ったのに。」
アダイブ・シエルはシューの加速した攻撃も簡単に受け止める。
「おまえを殺し、エクレアの魂を取り戻し、嘆きの壁のエクレア本体が血の涙を流すようになれば、純潔のアダイブが、たくさん創造され、世界はアダイブで覆われるのだ。アダイブが世界を管理するのだ!」
アダイブの理想。アダイブの夢である。それを叶えるためにはエクレアの魂が宿っているブラッディソードがいるのである。
「そうはさせるか!」
シューは歯を食いしばって抵抗しようとする。
「諦めろ! 諦めて絶望するがいい!」
アダイブ・シエルは、天使というよりは恐怖の大魔王というぐらいの迫力を持っていた。
つづく。
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