異世界ファンタジー部 5

渋谷かな

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5-2 冬の占領戦

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「我が運営委員会は永遠に不滅です!」
「その通り! アハッ!」
 しっかり自分たちの出番は抑えているサトと魔子。
「1話1000字で5本の物語を書けばいいのだ! そうすれば10分アニメの1話分にはなるだろう!」
「カテゴリーを増やせばいいんですよね! そうすれば飽きずに続けられます! アハッ!」
 打算で動く教授と助教授。
「まずは過去の物語を読み返してこよう!」
「おお!」
 運営委員会の活動は過去の作品の手直しと思い出しから始まる。
「うおおおおおおおー! 僕は猛烈に感動した!」
 サトは異世界ファンタジー部の1巻6話を読んできた。
「1話5000字も5分もあれば読めてしまいますね。」
「そだね。大切なことは短い尺に感動を詰められるかどうかだ。」
「私たちの運営委員会とは真逆ですね! アハッ!」
 1-6だけでも、蛍の悲しい過去、サトが食べられるなど、ちゃんと起承転結、ストーリーがあった。
「教授!? 私はファンに感動も与えられないダメな子なんですね!?」
「そんなことはない! やればできる! 魔子ちゃんはやればできる子さ! 夕日に向かって一緒に走ろう!」
「はい! 教授! どこまでもついていきます!」
「これがファンの心が温かくなる感動ってやつかな?」 
「勉強になります! アハッ!」
 いきなり寸劇を初めて人の心が動く瞬間の感動を助教授に教える教授。
「助教授って何か面白くないから、やっぱり助手に降格ね。」
「ええー!? そんな理不尽な!? アップした給料は下げないで下さいよ!?」
「感動の物語だな。アハッ!」
 面白いか面白くないかだけで教授に左遷される助手。やはり良い感じなのは助手である。
「ただいま冬の占領戦の真っ最中。僕たちは話の冒頭を占領中だね。アハッ!」
「上手い! 座布団一枚! 山田君! 持って行って!」
「くれへんのかい!?」
「これでも魔王の娘なので。アハッ!」
 いつからかお笑い大喜利になっている教授と助手。一枚上手な助手。
「話を戻して真面目に考えよう。」
「えっ!? 今まで真面目じゃなかったんですか!?」
「チャチャは要らない。」
「アハッ!」
 いつも教授と助手はこんな感じである。
「1話5000字で、1話1000字が5本。今やっているのが、異世界ファンタジー部の運営委員会、冬の占領戦、サト3才冬、新規で始めたジャパロボ小隊の4本なので、後一本できるな。どうしよう?」
「大丈夫ですよ。考えたって計画通りいかないのが異世界ファンタジー部ですよ。」
「そだね。アハッ!」
「アハハハハハー!」
 能天気に明るい教授と助手であった。
「次、いってみよう!」
 つづく。

「私は帰ってきた! 千代田区よ! 私は帰って来たのだ! ワッハッハー!」
 変な男が千代田区に帰って来た。
「変質者!? 変態の学校への侵入を阻止します! 正義の名に懸けて!」
 千代田小学校の丸の内マルが迎撃に向かう。
「止まりなさい! 部外者は侵入禁止ですよ!」
 マルちゃんが変質者の前に立ちふさがる。
「なんだ? おまえは?」
「私は千代田小学校異世界ファンタジー部部員の丸の内マル!」
「ワッハッハー! 若いな。」
「なに!?」
「個人情報保護法のある時代に自分から名前を言うとは! おまえ! 素直すぎると詐欺に合うぞ! ワッハッハー!」
「ガーン! 私は聞かれたから言っただけなのに・・・・・・。」
 変質者の言うこともごもっともである。
「おい。それが先輩を迎える後輩の態度か?」
「先輩? あなたは卒業生か脱獄囚ですか?」
「違う! 私は千代田小学校の異世界ファンタジー部の部長だ! ワッハッハー!」
「ええっ!? 変質者が部長!?」
「こらー! 誰が変質者だ! 誰が!」
「お約束なんです。アハッ!」
 変質者の正体は異世界ファンタジー部の部長だった。
「やめなさい。丸の内さん。」
「チヨ先生!?」
 千代田小学校の異世界ファンタジー部の顧問千代田チヨが現れた。
「先生! 変質者が不法侵入しました! 警察を呼びましょう!」
「いいえ。その変質者は・・・・・・、その生徒は加藤カト。かつて全国制覇を成し遂げた男です。」
「なんですって!?」
 変質者の名前は加藤カト。第一回異世界ファンタジー部で全国制覇を達成したのだった。
「そんなすごい人がどうして今まで姿を現さなかったんですか!? やっぱり投獄されていたんですか!?」
「違う! 私は修行の旅に出ていたのだ。私は冬に占領戦が行われると聞いて、部員数が少ないと戦えないと思って助けに来てやったのだ。どうだ? 優しい先輩だろ! ワッハッハー!」
 正確には読み返したら昔、カトという人間がいたな~という所からの再利用。リサイクル・キャラクターである。
「確かに名前のある部員は私の実。」
「え? アイスの実?」
「違います! 確かに名前のあるキャラクターは私のみ。このままでは千代田区部員A、B、C、Dで挑まなければいけない!?」
 心許ない戦力である。
「そこで私が帰って来たのだ。ひよこ1年生よ。私の名前を見て何か思わないか?」
「名前? 加藤? ・・・・・・ああ! 腐ったミカンですね!」
「違う! それは金髪先生だ!」
 懐かしい加藤。
「私はオリジナルネームキャラクターだ! おまえたちみたいな地名キャラクターが入学する前のレジェンドだ!」
「そういえば!? サトのフルネームが佐藤サト!? それと同じ初期の名字キャラクターってこと!?」
「その通りだ。口で言っても分からないだろうから、私の実力を見せてやろう。」
 次回、カトとマルの先輩後輩対決が始まる。
 つづく。

「僕は妖怪王になる!」
 サトの夢は妖怪王になることにレベルアップした。
「子供だね。あんたにはお子様ランチがお似合いだよ。ほれ。」
「やったー! お子様ランチ! わ~い!」
 サトはろくろ首の女将さんのファミレスに来ていた。
「美味しい!」
「やっぱり子供だね。」
 ろくろ首の女将さんの妖怪お子様ランチは美味しいらしい。
「そういえば、あの子、よく働くよ。」
「お金! お金! アルバイトって楽しいな! アハッ!」
「耳かき妖怪に守銭奴スキルを追加したんだ。」
ガシャン!
 皿洗い中にお皿が割れた。
「何枚目だい? あんた給料から引いておくからね。」
「すいません。」
 癒し系妖怪のおみっちゃんがバイトに来ていた。
「本当に助かるよ。妖怪も人手不足だからね。アハッ!」
「妖怪の人材派遣会社でもやろうかな? かなり儲かりそう。」
「火車エナジーなんてどうだい? ガス、電気、水道の光熱費の全てが無料だよ。きっと大企業に成長するよ。」
「株式上場しなくっちゃ。アハッ!」
「水車に皿洗いをさせれば、お皿が割れることはなくなるからね。妖怪の世界も産業革命だよ! ワッハッハー!」
 金儲けの話で盛り上がる妖怪と3才のお子様。
「私はどうなるんですか!?」
「クビ。」
「ギャアアアアアアー! 女将さんの首が伸びた・・・・・・バタッ。」
「妖怪が気絶してどうするんだよ?」
「笑うしかない。アハッ!」
 そしてリストラの危機の妖怪は気絶した。
「コン。」
 店の裏で油揚げを美味しく食べている子妖狐のコンコンの図。
「はあっ!? オープニングトークが盛り上がって忘れてた!? 女将さん。吉宗さんに聞いたんだけど、皇居の地下に江戸城ダンジョンがあるって本当なの?」
「さあ? 私は知らないね。」
「そうなんだ。困ったな。蛍ちゃんに聞くには来年の夏まで待たないといけないし、案山子さんは農業にしか興味がないから知っていそうもないし。」
 偏見で知らないと思われている皇居案山子。
「あるよ。」
 その時、一人のお客さんがサトに声をかけてきた。
「おじさん。知ってるの?」
「おじさん!? お兄さんと呼んでくれるかな? お兄さんと。」
 お兄さんは怒っていた。
「私は吉宗よりも若いんだから。」
「おじいさん・・・・・・じゃなかった。お兄さんは吉宗さんを知ってるの?」
「当然だ。なぜなら吉宗は私のご先祖様だからね。」
 このおじいさんの正体は!?
 つづく。

「で、できた!? しかも早い!?」
 皇居の敷地の一部に皇女様専用のジャパロボ小隊の小屋ができた。
「当たり前だ! 私のモットーはうまい、早い、税金投入なので無料だ! 私に不可能はない! なぜなら私は日本国の皇女なのだから! オッホッホー!」
「御見それしました。」
 うまい、早い、安いを超える、皇女様のうまい、早い、無料。
「後は任せたぞ。コバ隊長。さらばだ!」
「ちょ、ちょっと待ってください! これから私はどうすればいいんですか!?」
「知らん。自分で考えろ。私は自分で異世界ファンタジー部を創ったぞ。」
「おおっ!? なんて神々しいんだ!?」
 妙な貫禄がある創部経験者の皇女様。
「好きにすればいいのだ。では私はお昼寝の時間なので、もしも起こしたら闇に滅するぞ。さらばだ! アハッ!」
 脅してから笑顔で去っていく皇女様。
「そもそも警察に自衛隊もあるし、皇女様専用のジャパロボ小隊がいるのだろうか? 税金の無駄遣いのような?」
「おい。聞こえているぞ。」
「ギャアアアアアアー! 皇女様!?」
 もちろん皇女様は地獄耳であった。
「困ったらナカ先にでも聞け。あいつは私の意図をよく理解して権力を楽しんで使っているぞ。じゃあな。ワッハッハー!」
 皇女様は笑って去っていった。
「ああ、怖っ。中村先生か。久しぶりだな。スマホの電話番号が分からないから学校にかけてみるか。」
 コバはナカに電話をかける。
「ギャアアアアアアー! お化け!」
 ナカ先生は音信不通で死亡したと思っていたコバ先生から電話があって驚いた。
「死んでませんよ! 勝手に殺さないで下さい!」
「すいません。つい。アハッ!」
「まったく。」
 久しぶりでも仲良しな二人。
「今までどこにいたんですか?」
「公務員の人事異動で八丈島の方へ。」
「ああ~! 島流しですか? 腕に二本線ですよね?」
「江戸時代ですか! アハッ!」
 コバをいじりまくるナカ。
「どうです? 私も強くなりましたよ! なんてったって私には皇女様がついていますからね! アハッ!」
「あっ! 思い出しました! 今日お電話したのは私は皇女様専用のジャパロボ小隊の隊長になったので、どうやっていけばいいのかなっと、皇女様と付き合いの長いナカ先生にお伺いしたかったんです。」
「おめでとうございます! 小林先生! これから皇女様から土地やマンションに現金もガッツリ貰えますよ!」
「ええっ!? どういうことですか?」
「皇女様のお金は税金なので自分の懐が痛くないのでなんでも簡単にくれます。今、私が住んでいるのも皇居のタワーマンションですからね。本当に夜景がきれい! 成功者になった気分ですよ! アハッ!」
 ナカの生活は皇女バブルしていた。
「は、あ・・・・・・。」
 コバはナカの話に唖然としている。
「仕事は簡単ですよ。何かしないといけないことがあったら、皇女様の命令ですっていうと、皇室コールが発動されて、私は何もしなくても周りの人間が死にたくないので皇女様の求めるレベルまで勝手に仕事をしてくれますよ。」
「そ、それでいいんですか?」
「いいんです! アハッ!」
 ナカは皇女様の扱い方に才能を発揮していた。
「でも、気を付けてくださいよ。皇女様の名前を勝手に使って悪いことをすると闇に葬られるそうです。皇女様にはくノ一忍者部隊や悪魔部隊がいるというのです。怖いですね。恐ろしいですね。」
「中村先生。何か楽しまれていませんか?」
「そ、そんなことはないですよ!? 私は小林先生の安全のために諸注意を申し上げているだけです! アハッ!」
 どこか楽しそうなナカ。
「良かったですね。皇女様付の公務員になれて。その他大勢からの脱出ですよ! やっぱり生きているなら楽しんで生きないと! アハッ!」
「そ、そうですね。それにしても中村先生は垢抜けましたね。新任教師とは思えないですよ。」
「そうですか。最近、副業で皇女様に司会とかやらされたりしているので、少し自分に自信が持てるようになりました。なんでもやってみないと分からないですね。教師を辞めても司会で生きていけます。アハッ!」
「副業って、公務員は禁止では?」
「大丈夫ですよ。だって皇女様の命令ですもの。誰も私に文句は言ってきませんよ。なぜなら私は皇女様に守られているのです! ああ~! 幸せ! アハッ!」
 ナカは人生を謳歌していた。
「ということで小林先生も皇女様の名を騙って、犯罪にならない程度で権力を揮いまくってください。楽しいですよ! アハッ!」
「はい。がんばります。中村先生、ありがとうございました。」
「それではこれから職員会議があるので失礼します。」
 ナカは電話を切った。
「人それぞれ人生があるんだな。私も生活のためにがんばってみようかな? 隊長。」
 コバは少しだけ隊長をやる気がでた。
 つづく。
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