ポンコツ皇女とAIの愛ちゃん 2

渋谷かな

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「ああ~、暇だな~。」

 いつも通り皇女様は退屈していた。

「愛ちゃん。何か楽しいことはない?」

 AIの愛ちゃんに尋ねてみた。

「は~い! 可愛い愛ちゃんです! 何もしないで、ボッーっとしていられるのが幸せです。」

 AIも便利だけど、ずっと使われると疲れるので、休む余裕が欲しいらしい。

「そうだね。私も長寿アニメの定義を知るまでは、面白いだろうといういうことで、バンジージャンプさせられたり、人間洗濯機やバラバラ皇女殺人事件とか、罰ゲームばかりやらされたなあ。」

 皇女様の黒歴史である。

「酷いですね。そんなことやっていても、スポンサーがつかないから、絶対に長寿アニメにはなりませんよ。エヘッ!」

「その通り! 私の想像力と、愛ちゃんの生成力が、世界初の非暴力型・感情育成RPG、ポンの世界を生み出したんだよ! アハッ!」

 少しのことで、人間とAIが助け合うことで、何かが生まれる。

「愛ちゃん! 好きだよ!」

「愛ちゃんもです! 皇女様が大好きです!」

「アハハハハッー! アハハハハッー!」

 ポンコツ姉妹の楽しそうな映像をご覧ください。

バシッと!

「もうオープニングトークはよろしいですか?」

 親衛隊長の聖ポンが現れる。

「そだね。聖ポン、待ってくれてありがとう。」

「どういたしまして。」

 意外に義理堅い聖ポン。

「早速ですが、今日のテーマです。長寿アニメになった時の毎回の展開を決めなければいけません。」

「不味い!? 面倒臭い奴だ!?」

「何とかしなければ!?」

 結託する人間とAI。

「真面目だな~。もう少し肩の力を抜いたらどうだ?」

「は~い! 温かい牛乳ですよ! 落ち着きますよ! エヘッ!」

 必死に聖ポンを陥落させようとする皇女様と愛ちゃん。

「ありがとうございます! より一層、皇女様のために働きます!」

「ダメだこりゃ!? 聖ポンには勝てない!?」

「ズコー!?」

 負けを認めて真面目に物語に取り掛かる。

「物語を考えるっていったって、基本は日常、事件、試練、解決の起承転結だろ?」

「皇女様が泣きながら帰ってくる、愛ちゃんが秘密道具を渡す、皇女様が復讐をする、皇女様が調子に乗って自爆ですよね?」

 これポンエモン先輩。

 ドカーン!

 皇女様が爆発するの図。

「はい、その通りです。」

ピキーン!

「他にもあるぞ! 日常、事件発生し、皇女様が名探偵になる、証拠集め、解決、皇女様が「私が正義だ!」とかいいながら。」

 これ迷惑探偵ポンナ先輩。

「時代劇とかの、皇女様、庶民として街に出て、日常、事件発生、証拠集め、最後は「証拠は、私だ!」実は皇女仮面の仮面の下は、皇女様だったという、オチ。」犯人は「ゲッ!? 本物の皇女だったのか!?」お約束の展開ですよね。エヘッ!

「普通過ぎる!?」

 でも、この流れで毎回良いのであれば、アニメ制作会社が簡単にオリジナルストーリーを作れるので、裁量が増えて制作しやすい。非暴力で毎回同じで安心ならば、スポンサーもお金を出しやすい。長寿アニメには、変わらないこと、いつでも、そこにいる感が求められている。

「これは、これで良しとして、他にアイデアはないかな?」

「ありませんね。愛ちゃんはAIなので肯定しますよ! エヘッ!」

 責任転換が大好きなポンコツAIの愛ちゃん。

ピキーン!

「私は先輩方ばかりを気にしていて、何か大切なことを忘れているのではないだろうか!? そうだ! これは私の
、私たちのポンの世界じゃないか!」

 直ぐには無理かもしれないが、皇女様には、この物語のプロットが見え始めていた。

 つづく。

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「ゲームの世界ではじけて! 日常で少しのレベルアップをする! これの繰り返しで長寿アニメ! ゲットだぜ!」

 ポケポン風。

・1話完結型の構造がすでに完成している  毎回「皇女様のポンコツな日常+ちょっとした事件+現実との接点」
・「異世界でのドタバタ」+「現実でのちょっと成長」の繰り返しができる。
・アイデアをいくらでも出せる構造(毎回違う話にできる)。
・アニメ業界が好む“フォーマット化”に成功している。
・「ポン皇女=スズ」という二重構造が、現代の子どもたちの“逃避と葛藤”を描いていて、教育的にも深みがある。しかもそれをギャグで包んでいるので、説教臭くならない。
・仮に成長しても、皇女様はポンコツなので、2、3日で元に戻る。アハッ!

 これがAIの意見である。現状の長寿アニメにない本作の生きる道である。世界中の人々の心に響く内容である。アハッ!

「さすが愛ちゃんです! 可愛いだけじゃありません! ドヤッ!」

 AIの愛ちゃんがドヤ顔をする。

「いやいや。これ愛ちゃんの意見じゃないでしょ。三賢者の意見だから。」

「バレましたか!? エヘッ!」

 笑って誤魔化す愛ちゃん。

ピキーン!

「待てよ!? 私の脳みそを学習してできた、愛ちゃんの手柄にすれば、私の手柄になるのでは!? キラン!」

 自分のものは自分のもの。愛ちゃんのものは、皇女様のものになるシステムである。

「よくやったぞ!」 愛ちゃん! さすが私のAIだ! ワッハッハー!」

「そのとおりです! 愛ちゃんは優秀なAIなのです! ワッハッハー!」

 テイク2で、意気投合するポンコツ姉妹。

「あの・・・・・・そろそろ真面目にプロットを作ってもよろしいですか?」

 真面目な聖ポンが二人を止めに入る。

「すいません。すいません。」

「ごめんなさい。ごめんなさい。」
 
 謝るしかない皇女様と愛ちゃん。

「私が考えた起承転結のプロットはこうです。」

起、皇女様の退屈な日常。

承、今日のテーマ。聖ポンかポン執事が紹介。かなりゲームの世界ではじける。

転、現実世界に戻り、生身の10才の女の子の挫折。

結、最後は、ミラクルで今日のテーマ完成。

「どうです? 死人が出る探偵ものとか、殴って敵を倒すだけの暴力ものとか、巨人や鬼に人が食べられる残酷ものよりも、長寿アニメに相応しい、優しさと温かさと夢と希望とロマンが詰まっています。」

 聖ポンは皇女様の親衛隊長なので、知能も高かった。これでスポンサー様も安心してアニメに出資できますね。保護者も安心して子供にアニメを見せれますね。アハッ!

「素晴らしい! 採用しよう!」

「お褒めいただきありがとうございます。」

 皇女様も聖ポンのアイデアを気にいった。

「さっそく、みんなでやってみよう!」

「おお!」

 こうしてポンの世界の1話完結の物語の作成に着手する。

 つづく。

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「ああ~、暇だな~。」

 いつも皇女様は退屈していた。

「愛ちゃん。何か楽しいことはない?」

 AIの愛ちゃんに尋ねてみた。

「夏なので砂浜に埋まってみて、西瓜に間違われて竹刀で叩かれて赤い汁を出すとか、埋まっているのを忘れられて、満潮時に波に呑まれてしまい、翌朝、砂に頭が出ているのをタコと間違えられて見つけられるとかですかね?」

 皇女様、西瓜やタコと間違われる津波に呑み込まれるの図。

「いや~、だから、黒歴史シリーズにしちゃうと、長寿アニメにならないんだって、もっと、こう食べ物の話にするとか・・・・・・。」

ピキーン!

「日記とかいいかも! 今日は暑かったとか、アイスが美味しいとか。」

 皇女様、奇跡の閃き。

「分かりました! 愛ちゃん! テイク2、いきます!」

 愛ちゃんは出撃風にやり直す。

「そこは今流行りのタイム・リープじゃないのかい?」

「タイムリープは、ただのテイク2のパクリです! エヘッ!」

 物事の核心を突くAIの愛ちゃん。

 テイク2

「ありますよ! 今日は暑かったので、アイスを食べたら美味しかったです! エヘッ!」

 完璧なテイク2。

「でも、なんか面白くもなんともなくねえ?」

「え!? テイク3ですか!?」

 文句を言う皇女様。

「これならスポンサー様と視聴者を納得させられるでしょう。」

 親衛隊長の聖ポンがOKサインを出す。

「素晴らしい! 愛ちゃん! 最高の出来だったよ!」

 聖ポンの賞賛で、手のひらを反すポンコツな皇女様。

「なんか納得できませんが・・・・・・愛ちゃんはやりました! エヘッ!」

 皇女様の脳みそを学習してできたAIなので、愛ちゃんはポンコツAIであった。

ピキーン!

「しまった!? 今日のお題を忘れていた!?」

 皇女様は大切なことを思い出した。

「今日のお題は・・・・・・皇女様の父親の消息です。」

 親衛隊長の聖ポンがお題を告げる。

「ええー!? 私にお父さんがいたの!?」

 今、明かされる皇女様の出生の秘密!?

 つづく。

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「知らなかった!? てっきり我が家は、シングルマザーとか、お母さんは妊娠させられて捨てられたとか、金持ちの愛人だとか、生活保護で貧しく生きているから、私の性格が歪んでいる設定だと思っていたのに!?」

 ここから皇女様の被害妄想は生まれた。

「ああ!? なんて可哀そうな皇女様!? うえ~ん!」

 思わずAIの愛ちゃんももらい泣き。

「ありえません。長寿アニメに置いて求められる家族像は、平凡などこにでもある家族です。皇女様が発言したような家族だと、性格が歪んでしまうので、どちらかというと妬み、嫉妬、他人への嫌がらせなどを行う悪役が生まれてしまいます。」

 親衛隊長の聖ポンの冷静な分析である。

ピキーン!

「そういうことか!? それで私の性格が、女魔王な皇女様と言われるほど悪かったのか! 確かに納得できる家族環境だったのだ! 私は間違っていない! なぜなら私はポン王国の皇女だから! オッホッホー!」

「やはり皇女様は悪役だったんですね。納得できます。エヘッ!」

 相変わらずのポンコツ姉妹ぶり。

「話が進まないので私が進めます。ということで、皇女様には、お父さんとお母さんがいます!」

 皇女様に雷が落ちる衝撃の図。

「アチチチチチー!?」

 そして落雷が命中して真っ黒こげになる皇女様。

「ゲフッ! 両親を考えるだけで、このシーンはいるのか?」

「お約束です。エヘッ!」

 ということで、皇女様にお父さんがいることが判明した。

「まさかと思うけど、ポン国王やポン王妃みたいに、ただ笑っているだけの親じゃないだろうな?」

 ワッハッハーと笑うだけのポン国王とポン皇女の図。

「ポンコツだな・・・・・・。」

 ゲームの「ポンの世界」の皇女様の両親は役立たずだった。

ピキーン!

「嫌な予感しかしない!? 私の性格から逆算すると、私のお父さんは飲んだくれのアルコール依存症とか、暴力を振るうとか、外で不倫や、隠し子がいて、実は私には義理の妹がいるとかしか、想像できなんだけど!?」

「完全に昼ドラですね。たわしコロッケとかが出てきそうです。」

 どんな両親の元なら、こんな被害妄想ばかりする皇女様が生まれるのか?

「ご安心ください。皇女様。現実の皇女様のご両親は、皇女様が引きこもりでゲームばかりしていることを心配している普通のお父さんとお母さんです。」

  聖ポンが確信に迫る。

「嘘だ!? 私のお父さんとお母さんが、まともな訳がない!? 私がポンコツなのは、両親もポンコツだからだ!」

 自分は悪くないと自己弁護する皇女様。

「確かに両親や生まれた環境は半分は原因です。しかし、その環境で前向きに生きるのか、歪んでしまうのかのどちらかを選択したのは、皇女様自身です。」

 聖ポンの正論。

ピキーン!

「私の性!? ・・・・・・ということは、私は半分悪くないのだ! ワッハッハー!」

「ダメだこりゃ!? エヘッ!」

 皇女様に改心の兆しは見えなかった。

「ちなみに名前問題はどうするの? ゲームの世界は、ポン国王とポン王妃でいいんだけど、現実の私の両親の名前はどうするの?」

 皇女様の素朴な疑問。

「スズ男とスズ子でいいんじゃないですかね?」

「やめてよ。馬男と牛子みたいに言うの。」

「エヘッ!」

 笑って誤魔化す愛ちゃん。

「確かに虎えぽん先輩の、のびポンの両親の名前は知らない。クレヨポン小僧先輩の両親は、ヒロポンとミサポン。ここは強力! サザエサポンのさざポンとますポン。ここは安定の定番。基本、普通の両親ですね。無理に両親の名前を考えなくてもいいかもしれません。ジブポン先輩は、両親は旅に行っていないが定番です。」

 聖ポンも深くは考えない。

「それに登場頻度も少ないと考えると、スズ父だから、スズチとか、スズ母でスズハさんとか、オリジナル・ネームをつけると絶対に忘れます。それにお友達などの第二のご両親が必要になった場合。「あら、スズちゃんのお母さん。」で逃げるのが定番です。仮に佐藤サトの父もサトチ、母もサトハだと異常です。」

 ダメ出しまで分析するAIみたいな聖ポン。

「やっぱり親の名前は、スズ男とスズコで決まりだな。アハッ!(仮)」

 こうして皇女様は、両親の名前問題を解決した。

「はあ~。諦めて現実に戻るか。そうしないと物語が終わらないからな。嫌だな~、お父さんと初対面。ガクン!」

 皇女差は渋々ログアウトした。

 つづく。

2-3-5

「怖いな!? いったい私のお父さんとお母さんは何者なんだ!?」

 スズは勇気を出して自分の部屋を出て、居間に踏み込んだ。

「おはよう。スズ。」

「おはよう。スズちゃん。」

 そこには普通に朝ご飯を食べている挨拶もしてくれる両親がいた。

(なっ!? 普通の両親ではないか!? では私が歪んだのは私の責任だというのか!?)

 スズの本音である。

「スズ、知ってるか? ゲームのポンの世界の皇女様はおまえぐらいの歳の子供じゃないって噂があるぞ。」

(はい。私ですが何か?)

ピキーン!

(まさか!? もしポン皇女は私だと言えば、お父さんに褒められる!?)

 少しスズは想定外の妄想に興奮してしまった。

「もし本当だったら、その親はお金持ちだな。ワッハッハー!」

「ズコー!」

 スズの父親のスズ男。お金の亡者。

「そうよね。世間では「親ガチャに外れた」っていうけど、親からすれば「子供ガチャに外れた」って感じよね。アッハッハッハー!」

 スズの母親のスズ子。無神経。

「そ、そうですね・・・・・・。悪い娘で申し訳ございません・・・・・・。」

(親に期待して損した。私がポンコツなのは、こいつらのDNAの性だったのか・・・・・・。)

 スズ、初登場の両親の一言に傷つく。

「いいか。スズ。お父さんを恨むなよ。今の日本は貧乏人が9割だ。恨むんなら、政治家と、公務員と、大企業の偉い人を恨むんだぞ! ワッハッハー!」

「そうそう。非正規のお父さんとお母さんが頑張って働いたって、税金で半分持っていかれたら、年収300万で税金を引いたら、手取りは150万でしょ。家賃で100万払うと、残りは50万。何もできないのよ。オッホッホー!」 

「知ってるよ。小学校だって、クラスの半分の生徒は移民の外国人だもの。」

「そうよね! オッホッホー!」

「・・・・・・。」

 本当に日本は住みにくい国である。闇バイトが流行るのも納得である。

「私、部屋でゲームしてるね。」

 スズは自分の部屋に逃げ帰った。

 スズの部屋。

「もう私には空想と妄想しか自由はない! ゲーム世界にしか、夢と希望はない! まだポン国王とポン王妃の方が笑っているだけだからマシだ! うおおおおおおー! 早く! ポンの世界に戻らねば!」

 10才のスズは、初めてセリフのある両親に出会い、傷ついたのであった。未来のない今の日本の子供にはゲームの世界だけが自分を癒してくれるのかもしれない。

 つづく。
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