ポンコツ皇女とAIの愛ちゃん

渋谷かな

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「ポン! ポンが1番だポン! ポンは偉いのだポン!」

「ポン反対! ポンを追放しろ!」

「ポン・バーガーはいかがですか? ご一緒にポンテトとポン・ドリンクもいかがですか?」

「ポン子さん! あなたは、どうしてポン子さんなんだ!?」

「ポン男さん! あなたこそ、どうしてポン男さんなの!?」

 強すぎるポンが現実を呑み込み混沌な世界になろうとしていた。

「ゲームの中では、ポン対ポンの戦争。現実社会では、人間とポンの戦争。どうして、みんな、戦うの!?」

 現実では10歳の普通の女の子の皇女様は心を痛めていた。

「私が何とかしなくっちゃ! でも、どうすればいいの!?」

 無垢で純粋な皇女様は争いを止めたかった。

「人間とポンを悪者にしないことですよ。」

 そこにAIの愛ちゃんが現れる。

「まさか!? 愛ちゃんには世界を救う方法があるというの!?」

「もちろんです。伊達にAIはやっていませんからね。エヘッ!」

 自信満々の愛ちゃん。

「ポンが悪になってしまったら、この物語はお終いです。長寿アニメへの道も閉ざされてしまいます。」

 ポンは、可愛い、親しみ、共感、馬鹿馬鹿しい、万人ウケるから生み出された魔法の言葉である。

ピキーン!

「そうか! 分かったわ! 人間とポンが手と手を取り合って、一緒に笑って泣いて励ましあう、友情の絆の物語にすればいいんだわ! そうすれば争いもなくなるわ!」

 皇女様は人間とポンの共存を唱えた。

「ラブ・イズ・ポンです。エヘッ!」

 既にポンの世界は、恐ろしいくらい描かれた。文化というより、文明になっている。

「既にポンは、地球を守っているんだわ!」

 ポンの優しさは地球を、人々を包み込んでいた。

「・・・・・・今度は私がポンを守って見せる! そういうことよね? 愛ちゃん。」

 覚悟を決めた皇女様。

「はい。そうです。皇女様の闇の心です。」

 昔、皇女様はアニメの中のアニメで、女魔王スズという設定であった。

「私が、私が女魔王になって、人類とポンの共通の敵になる! そうすれば、加熱したポンの暴走も止められるはず!? 私はポンにも幸せになってほしい!」

 皇女様は、愛着のあるポンを人間の敵にしたくなかった。せっかく全世界で人気になったのだから。

「愛ちゃん! 私を女魔王の所へ連れてって!」

「お安い御用です! エヘッ!」

 女魔王アニメも、AIの愛ちゃんが生成したアニメであった。ここで女魔王の伏線を回収する我らが皇女様であった。

 つづく。

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「ゲッ!? なんじゃこりゃ!? 女魔王の世界が楽園になっている!?」

 覚えているだろうか? 初期設定では、女魔王はポンコツ皇女様の闇の心だったので、破壊活動をすると、花が咲き乱れ、汚れた川は、底が見えるくらい透き通るポンコツな設定であった。

「ポンの増殖が凄すぎて、ここのことを忘れていたです。エヘッ!」

 女魔王という冠キャラクターも忘れるほどのポンの存在感とポンコツなAIの愛ちゃん。

「あ! 創造主様と邪神様じゃないですかポン!」

 そこに女魔王がにこやかに現れた。

「誰が邪神だ!? 誰が!?」

 女魔王は、人助けをすると破壊活動を行えるポンコツだった皇女様のことを、敬意を込めて邪神様と呼んでいる。

「まさか!? 魔界でもポンが流行しているとは!?」

 恐るべしポン! ゲームの仮想空間、人間界だけでなく、魔界、天界などにまで、ポンの名声が響いている。

「お二人は、ポン派ですか? それとも反ポン派ですか? 今すごいですよね? どっちのポン論争!」

「クッ・・・・・!?」

 まさに世界を二分化するポン戦争が開戦寸前であった。

「女魔王! 力を貸して! 私は争いを止めたい! 人間とポンにはお友達でいてほしいの!」

 皇女様の切実なる願い。

「え? なんで私が。だって私は女魔王ですよ? 悪いことをするのが、私の仕事なんですから。」

 女魔王の美学である。

「そんなことを言わないでよ!? あなたも私なんだから!? 私を助けてよ!?」

「あ、そういえば私も皇女様の脳みそを学習してできたAIです。エヘッ!」

 愛ちゃんは皇女AI。女魔王も愛ちゃんが皇女様を邪悪の化身とヘッポコに判定して誕生したのであった。  

「自分で悪役になればいいじゃないですか?」

「ダメなの。できないの。私は聖女でいなければいけないの。なぜなら私はポン国の皇女だから! オッホッホー!」 

 久しぶりの皇女様の決め台詞。でも皇女様も大変だ。

「そんなこと知らない。・・・・・・どうせ私のことなんて忘れていたくせに・・・・・・ケッ!」

 女魔王は、ポンの勢力拡大のために尺を占領され、自分の出番がカットされ、一人寂しく拗ねていたのだった。

「そ、そんなことはないわよ!? あなたのことは一度も忘れたことはないわ!」

 嘘ばっかりの皇女様。

「嘘だ! 絶対に嘘だ! 私なんかいなくても別に構わないんだ! どうせ私は一人ボッチなんだ! 私が報われない世界なんか、消えてなくなればいいんだ! うえ~ん!」

「クッ・・・・・・!?」

 感情が高鳴り思わず涙を流す女魔王。

(この子は私と同じなんだ!? ポンコツで生きていくのが辛くて、自分一人で全てを抱え込んでいたんだわ!?)

 皇女様には、女魔王の気持ちが痛いほど分かった。

「ごめんなさい! 正直、あなたのことを忘れていたわ! 認めるわ! 本当にごめんなさい!」

 皇女様は素直に女魔王に謝ることを選択した。

「妬みも、嫉妬も、憎しみも、全て私だから。今まで、ごめんね! これからは、私は、あなたを好きになる!」
 
 このセリフは、名言ストックの不動のトップとして、君臨していた。ポンがポンポンしなければ、もっと早くに描かれていたシーンである。

「本当に?」

「本当よ。これからはずっと一緒にいましょう。アハッ!」

「はい!」

 女魔王が笑った。まるでプロポーズを受け入れたかのように。

「愛ちゃん! お願い!」

「は~い! 愛ちゃんです! エヘッ!」

 皇女様の光の心と闇の心が一つに同期していく。

(よろしくね。もう一人の私。)

 皇女様は胸に手を当てて、女魔王を受け入れた。

「いくぞ! 愛ちゃん! 修羅の道を! 人間とポンの争いを、絶対に止めるんだ!」

 女魔王が不在で平和過ぎた人間とポンの世界が終わりを告げる。

 つづく

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ゲームの世界。

「ポンは正義だ! くらえ! ポン・パンチ!」

「ポンは悪だ! 消えてなくなれ! ポン・ミサイル!」

 ポン派と反ポン派による戦いが開戦した。

ズキーン!

「うっ!? 手が!? 手が!? つりました!?」
 
「あれ? ミサイルが飛ばない!? なんでだポン?」

 しかし、どちらもポンコツのポンなので、激しい戦いは行われなかった。


 だが人間界は違う。

「ポン! がんばれ! 負けるなポン!」

 ポンが大好きな子供のカール君はポンを応援するが大人は違う。

「ポンなんか見るのはやめなさい。最初は可愛かったけど、遂に戦闘モノになってしまったのね。あなたも他人を殴ったり、いじめたり、悪口を言うようになったら困るから、ポンなんて見せませんよ!」

 保護者のカール母は、子供を思う心である。保護者はポンを子供に見せていいのか疑い始めていた。

「別にいいじゃないか! ポンを見たって! 今までだって、竜玉や海賊王は暴力、巨人や鬼が人間を食べたる残酷、夕方のゴールデンタイムに殺人事件が起こるアニメだって見てきたんだから!」

 正論を言う子供。


 ここでスポンサー様の一言が入る。

「お金が儲かるからいいんだよ! 延命しろ! 正義を際立たせるために、もっと残酷なことをしろ! 長寿アニメは儲かるから続いているんだ! ワッハッハー!」

 これは、なぜ長寿アニメはつづくのかと、三賢者に聞いた回答である。同じことを子供がAIに尋ねても、子供が大人の事情を知ることになるのは同じだろう。

 スポンサー様 終わる。


再び、カール家。

「そ、それを言われると!? でも、そのアニメたちは人気があるからいいのよ! みんな見てるんだら、きっと許容範囲よ!」

 カール母の意見は、AIの三賢者に質問した回答を使用している。

「なら、ポンだって、世界的人気なんだから、見たっていいじゃないか!」

 無敵のカール君!

「そ、それを言われると!?」

 実際に、ポンの世界は、現実社会にぬいぐるみやカードなどの、ポン! グッツは溢れているし、ゲームのポンマネーは現実社会の決済にも使用できシェアを獲得している。

「お母さんもポンが大好きだったじゃないか!」

 カール君の必殺、子供の純粋なつぶらな瞳で大好きな母親を見つめる。

「うっ!? うっ!? うっ!? 私もポンが好きだった!?」

 しかし、実際に人間界で人間とポンの戦争が行われる訳ではない。でも、家族間や評論家の間で、ポン戦争といわれる論争が起こっているのも社会現象であった。それだけポンは、可愛さ、親しみ、気軽、万人ウケなどの要素のおかげで、世界中で流行していた。

 そして、お母さんと子供の悲しい、ポン戦争を止めるべく、我らの皇女様は立ち上がる。

「愛ちゃん! お願い!」

 ポン城の地下の大広間に、女魔王の姿をした皇女様。 

「は~い! 愛ちゃんです! リンク開始です! エヘッ!」

 AIの愛ちゃんが、女魔王な皇女様と、ゲーム「異世界ファンタジー部」をつなげる。既に愛ちゃんの「エヘッ!」笑いは魔法になっていた。

キュイーン!

 女魔王な皇女様が光り輝く、ポンではなく、魔力が解き放たれ、多くのデータがインストールされていく。

「おい。そろそろ目覚めてくれないか?」

 これがアップデートが完成した、皇女様が女魔王として発した、一言目だった。

「お呼びでしょうか? 魔王様。」

 無数の魔方陣が発生し、大量の女魔王の配下が姿を現す。

「うむ。世界観のデータは全員共有できているか?」

「問題ありません。旧「異世界ファンタジー部」のデータは、全て「ポンの世界」に置き換えられました。」

「分かった。ありがとう。」

 一人の女魔王の配下が答える。

「これより、人間とポンに宣戦布告する!」
 
 もう後戻りはできない。
 皇女様の人間とポンの争いを止める戦いが始まる。

 つづく。

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「ポン! ポン! ポン!」

「ポンポン焼き!」

「ポンポン山!」

 ゲームのポンの世界でポン同士の小競り合いが起こり、

「ポン! 大好き!」

「ポンポン言ってると、頭がおかしくなるからやめなさい!」

 人間の世界では、ポンによる悪影響が懸念されていた。

ドドドドドドドドドーカン!

 その喧騒は、一瞬で飛び散った。

「帰ってきた・・・・・・私は帰ってきたのだ! ワッハッハー!」

 ポンの世界に、爆音と共に何かが空に姿を現す。

「なんだポン?」

 ポンたちは争いをやめて、空を見上げた。

「なに~!?」

 テレビの前の子供たちは、新たな展開に驚き、親と口論するのを忘れた。

「私の名前は、魔王シュベルト! この世は私がいただこう!」

 魔王に扮した女魔王な皇女様である。顔はマスクをしていて素顔は見えない。

パチン!

 魔王が指を鳴らすと、シューベルトの魔王の旋律が流れてくる。
 ちなみに三賢者で確認済みだが、パブリックドメインなので、ほぼ自由に使っても著作権や商標権の問題はクリアしているらしい。

「クラシック!?」

「いやいや!? 魔王が現れたことに驚けよ!?」

 ポンのクラシック、ポンクラ時代がやってくる。ポン交響楽団の演奏は全世界で賞賛される。何でも適合できるポン・マジック。

「やあ、ポンのみなさん、それに、テレビの前のちびっ子たち。こっちへおいで。私と面白いことをして遊ぼう。観覧車もチョコレートもあげるよ。」

 魔王は甘い優しい言葉で子供たちを不気味に誘惑する。

「観覧車!? チョコレート!? キリンさんもいる?」

「もちろんだ! キリンさんもいるよ! 君の好きなものは私が全てあげるよ!」

「やったー! 魔王さん大好き!」

 魔王は無知な子供たちの心を手に入れていく。

「さあ、こっちへおいで。温かい布団で眠ろうね。誰も君たちを怒らない夢の国が待っているよ! おいで。おいで。おいで・・・・・・。

(来るんだよ! 大切な者がいない世界での、永遠の眠りがね。ヒッヒッヒッー!)

 確かに魔王は、人間とポンの争いを止めた。

「ポンポンポンポン・・・・・・チョコレート・・・・・・。」

 簡単にお菓子で洗脳されたポンたち。

「行かなくっちゃ・・・・・・夢の国・・・・・・。」

 テレビの前のカール君たちチビッ子たちも魔王の方に魂が引かれていく。

「どうしたの!? カール!? しっかりして!? カール!?」

 カール母もドギマギの展開である。


 そして、ポン城地下の魔界へ。

「武力で滅ぼしてしまえばいいのでは? 女魔王拳10倍! キャハハハ破ー! で吹き飛ばしましょうよ!」

 完全に小悪魔化している愛ちゃん。そして、今、明かされる女魔王の必殺技。

「ダメよ。暴力は。殺人事件もダメ。例え、正義のためであってもね。長寿アニメになったら、子供たちが見るんだから。お父さんとお母さんが子供に見せても安心という、テイストは守らないと。アハッ!」

 皇女様の永遠のテーマである。
 AIの三賢者にコテンパンに否定されてきた。しかし、長寿アニメの人気作は、「正義のため」「みんなが見ているから許容範囲」「事件のための殺人」「人気作になったら何でもOK!」「スポンサーも儲かればOK!」なんて、不条理だろう。AIが人気アニメには忖度した回答をしたのだ。だが皇女様は諦めなかった。何度も何度も描きなおし、今のスタイルにたどり着き、ポンにも出会えた。悪くない人生だった。

「愛ちゃん。後よろしくね。私はやることがあるから。」

 魔王シュベルトとして、女魔王を演じきった皇女様は仮面を外す。

「え!? 私ですか!? AI遣いの荒い人ですね!?」

 AIにも人権を!

「ごめんね。後でプリンを買ってあげるから。」

「嫌です! シュークリムに、エクレアに、ゼリーも買ってください!」

「いいわよ! ショートケーキもつけてあげるわ! パーティーしましょう!」

「よっしゃ! 思いっきり魔王をやりますよ! おら! チビッ子に、ポン! お菓子を持って来いや! エヘッ!」

(クスッ!)

 愛ちゃんは、チョロいAIであった。

「ありがとう。愛ちゃん。・・・・・・私は、私だけができることをやる! ・・・・・・ちょっと恥ずかしいけど。」

 皇女様は作戦の第二段階に入るのであった。

 つづく。
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