少年少女剣客隊

渋谷かな

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エレキさん!? 黒子の日常

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「これでも元将軍家。貧しくても負けてなるものか!」
 長屋で暮らしている徳川16代将軍の家々は、ご飯と汁物だけの晩御飯を力一杯に食べていた。
「いいのう。ちいやペリー、楓たちには家族がいて。そういえばペリーには母親がいないそうだが、父親はいるもんな。うらやましい。はあ・・・。」
 家々は所詮は寺子屋に通う子供なので、父や母が恋しかった。しかし家々には、両親も兄弟もいない。天涯孤独の身であった。
「うおおおおおー! 嘆かわしや! 若!」
「おまえが泣いてどうする!? 我々が若の生活を支えるのだ!」
「おお!」
 家々を陰から支える黒子たちも家々の境遇に涙する。家々の黒子たちは何人いるかは不明だが、隠密とも呼ばれ優秀な忍者のようなものである。彼らの日々の行動も謎に包まれている。

 ある日、寺子屋で試験が行われた。
「はじめ!」
「なになに!? 第一問、エレキテルとは何か!? 分からない!? よし! 適当に書こう!」
 家々は、分からないので適当に書いた。その様子を天井に忍び込んだ黒子が覗いている。
「家々様はなんて書いたんだ? 何!? エレキさんが作ったテルテル坊主!? これは緊急事態だ!?」
 黒子Aは黒子Bに直ぐに知らせる。
「エレキテル!? バカな!? 電気のはずだ!?」
「そうだ!? ただの電気のはずだ!?」
「探せ! エレキさんを! 江戸中! いや! 日本中を探してでも、エレキさんを見つけるのだ! ダメなら船に乗って世界に行くぞ!」
「おお!」
「若の成績がかかっているのだ! 絶対に失敗は許されないのだ!」
 こうして黒子達は、隠密や御庭番の総力を結集して、エレキさんを探すのであった。
「あなたはエレキさんですか!?」
「はい。私はエレキです。」
「早速ですが、テルテル坊主を作って下さい!」
「はい? どうして私が?」
 突然の全身黒タイツの男たちの登場に、警戒心全快のエレキさん。
「タダとは言いません。これをどうぞ。」
「これは!?」
「徳川埋蔵金です。」
 エレキさんに大量の小判を渡し、テルテル坊主を作ってもらう。現代に徳川埋蔵金が見つからないのは、黒子達が散々して使ったからかもしれない。
「直ぐに瓦版を刷ってくれ!」
「帰ってくれ。今は鼠小僧の印刷中で忙しいんだ。」
「これをどうぞ。」
「き、金の小判!?」
「嫌なら、他の瓦版屋に行きますが?」
「直ぐに印刷させていただきます! 号外で直ぐに街中にバラまきます!」
「宜しくお願い致します。」
 大量の小判に目がくらんだ瓦版屋は、大人気の鼠小僧の印刷を途中で止めて、エレキさんが素晴らしいテルテル坊主が作ったという瓦版を刷った。こうして徳川埋蔵金は消費されていった。
「家々くんにも困ったものね。エレキさんがテルテル坊主を作っただなんて。クスクス。」
「ほい。」
「何かしら? 瓦版の号外ね。」
 そして黒子たちは、瓦版を寺子屋の窓から、試験の採点をしている桜先生に投げつけた。
「これは!? こんなことがあるの!?」
 桜先生は瓦版の号外を見て驚愕した。そして、渋々ではあるが、家々の試験養子に震える手で正解の丸をつける。
「家々、試験の点数は何点?」
「もちろん100点でござる。これでも元将軍家。生まれながらの天才は隠しようがないな! ワッハッハー!」
「家々のくせに生意気よ! 殺す!」
「エレキさんがテルテル坊主を大砲で吹き飛ばしましょうよ!」
「お腹空いた。試験も終わったし、お昼ご飯にしよう!」
 その様子を陰から涙を流しながら見つめる黒子達。
「良かった! 本当に良かった!」
「若が無事でこそ、徳川家の再興もできるというもの! うおおおおおー!」
 結論からいって、家々の成績は黒子たちの大活躍によって成り立っているのであった。
 つづく。
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