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風雲急を告げる
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「ねえねえ、のっぺらぼうって捕まったんだって。朝の瓦版に載っていたわよ。」
「きっと私たちが口から泡を吹いて気絶した姿にビビったのよ。」
「ということは、私たちがのっぺらぼうを捕まえたってことね。」
「その通りでござる! これで少年少女剣客隊は三戦三勝でござる! ワッハッハー!」
「家々! おまえが笑うな! 殺すぞ!」
「なんかムカつく! 大砲をぶち込むわよ!」
「お腹空いた。」
「どうしてそうなる!? 僕たちは同じ少年少女剣客隊の仲間じゃないか!?」
「静かにしなさい!」
いつものように寺子屋の家々たちの話から始まり、騒いでいると桜先生が教室に現れる。
「そして、さようなら。」
「桜先生。たまには授業しますか?」
「え? ええー!? やめてよ!? いつものように終わりの挨拶だけと思ったから、授業の用意なんかしてないわよ!?」
「じゃあ、やっぱり帰ろう。桜先生、さようなら。」
「みんな! さっさと帰りなさい!」
こうして家々たちは寺子屋から授業を終えて帰って行った。
「この物語って、私たちが主役よね? なんか私たちって、ショートカットが多くない? それに主役の私たちよりも、サブキャラの説明が多いことに疑問があるんだけど。」
「それを言っちゃあおしまいよ。どうせ私たちの人生なんて、飾りなんだから。」
「桜お姉ちゃんが大活躍過ぎて、楓の出番もないよ。」
「待つでござる! 一番文句を言いたいのは僕でござる! 徳川第十六代将軍、徳川家々という題名で始まったのに、僕の出番が一番少ないとは何事だ!? これではご先祖様に顔向けできないではないか!?」
そう、本来は家々たちが江戸城に侵入して、由緒正しき歴代の先祖を祀っている石碑を蹴り倒して、先祖の徳川十五将軍の悪霊たちが目覚めるというストーリー展開の予定であった。
「なんと哀れな家々様だ!?」
「若!? ここは耐えるんです!?」
「きっと陽が当たる時がきますって!?」
ストーリーがズレた原因は家々を陰から支える黒子達の性である。予定外の登場で意外に面白かったので、キャラ化してしまったのが脱線の始まりであった。
「あ、お父さん。」
「おかえり、ペリー。みんなも、いつも娘と遊んでくれてありがとう。」
「こんにちわ。」
ペリーの父親の教会の神父のザビエルである。
「お紅茶とクッキーを御馳走になってもいいですか!」
「いいよ。なんなら西洋のカステラもあるけど、楓ちゃん、食べるかい?」
「いいんですか!? 悪いですね。まるでお願いしたみたいで。」
「いいんだよ。いつも教会に来る子供たちにお菓子をあげているからね。」
「私も入教します! だから、毎日おやつを下さい!」
「はっはっは。いいよ。」
よだれを垂らしながら、毎日のおやつを夢見る楓であった。
「まずい!? このままでは、また僕の悪い妖怪を倒すというストーリーが進まない!?」
「家々くんも紅茶とカステラを食べていくかい?」
「いただきます!」
子供の家々の決意など、砂場の城の様に簡単に崩れ去った。家々たちは教会にティータイムに消えていった。
「家々様!? 徳川家再興の夢はどこへ!?」
「怒りを抑えて下さい!? 黒子頭様!?」
「ええ~い!? 離せ!?」
「所詮、若は、まだまだ子供です。」
家々に呆れる黒子達であった。しかし、ドヨーンと教会の上空に暗雲が渦巻き始める。
「黒子頭。」
「はあ!? この声は!? 殿!? 徳川家康様だ!?」
なんと黒子頭は、初代徳川家将軍、徳川家康公の頃に生きていた。ということは、黒子頭は死人で霊体である。全身黒タイツの下は、ガイコツと予想される。
「我々は、第二話で石碑を倒されてから、ずっと上空で待機しているのだが、いつまで待てばよいのだ?」
「申し訳ありません!? 殿!? 次話で家々様の枕元にご登場ください!?」
「そういうことなら許してやろう。だが、これ以上は待てないぞ。」
「はあはあ!」
暗雲は去り、晴天の江戸の空が戻ってきた。
「カステラは美味しいな! ワッハッハー!」
家々は、先祖たちの魂が現世に甦ったとは思いもしていなかった。
つづく。
「きっと私たちが口から泡を吹いて気絶した姿にビビったのよ。」
「ということは、私たちがのっぺらぼうを捕まえたってことね。」
「その通りでござる! これで少年少女剣客隊は三戦三勝でござる! ワッハッハー!」
「家々! おまえが笑うな! 殺すぞ!」
「なんかムカつく! 大砲をぶち込むわよ!」
「お腹空いた。」
「どうしてそうなる!? 僕たちは同じ少年少女剣客隊の仲間じゃないか!?」
「静かにしなさい!」
いつものように寺子屋の家々たちの話から始まり、騒いでいると桜先生が教室に現れる。
「そして、さようなら。」
「桜先生。たまには授業しますか?」
「え? ええー!? やめてよ!? いつものように終わりの挨拶だけと思ったから、授業の用意なんかしてないわよ!?」
「じゃあ、やっぱり帰ろう。桜先生、さようなら。」
「みんな! さっさと帰りなさい!」
こうして家々たちは寺子屋から授業を終えて帰って行った。
「この物語って、私たちが主役よね? なんか私たちって、ショートカットが多くない? それに主役の私たちよりも、サブキャラの説明が多いことに疑問があるんだけど。」
「それを言っちゃあおしまいよ。どうせ私たちの人生なんて、飾りなんだから。」
「桜お姉ちゃんが大活躍過ぎて、楓の出番もないよ。」
「待つでござる! 一番文句を言いたいのは僕でござる! 徳川第十六代将軍、徳川家々という題名で始まったのに、僕の出番が一番少ないとは何事だ!? これではご先祖様に顔向けできないではないか!?」
そう、本来は家々たちが江戸城に侵入して、由緒正しき歴代の先祖を祀っている石碑を蹴り倒して、先祖の徳川十五将軍の悪霊たちが目覚めるというストーリー展開の予定であった。
「なんと哀れな家々様だ!?」
「若!? ここは耐えるんです!?」
「きっと陽が当たる時がきますって!?」
ストーリーがズレた原因は家々を陰から支える黒子達の性である。予定外の登場で意外に面白かったので、キャラ化してしまったのが脱線の始まりであった。
「あ、お父さん。」
「おかえり、ペリー。みんなも、いつも娘と遊んでくれてありがとう。」
「こんにちわ。」
ペリーの父親の教会の神父のザビエルである。
「お紅茶とクッキーを御馳走になってもいいですか!」
「いいよ。なんなら西洋のカステラもあるけど、楓ちゃん、食べるかい?」
「いいんですか!? 悪いですね。まるでお願いしたみたいで。」
「いいんだよ。いつも教会に来る子供たちにお菓子をあげているからね。」
「私も入教します! だから、毎日おやつを下さい!」
「はっはっは。いいよ。」
よだれを垂らしながら、毎日のおやつを夢見る楓であった。
「まずい!? このままでは、また僕の悪い妖怪を倒すというストーリーが進まない!?」
「家々くんも紅茶とカステラを食べていくかい?」
「いただきます!」
子供の家々の決意など、砂場の城の様に簡単に崩れ去った。家々たちは教会にティータイムに消えていった。
「家々様!? 徳川家再興の夢はどこへ!?」
「怒りを抑えて下さい!? 黒子頭様!?」
「ええ~い!? 離せ!?」
「所詮、若は、まだまだ子供です。」
家々に呆れる黒子達であった。しかし、ドヨーンと教会の上空に暗雲が渦巻き始める。
「黒子頭。」
「はあ!? この声は!? 殿!? 徳川家康様だ!?」
なんと黒子頭は、初代徳川家将軍、徳川家康公の頃に生きていた。ということは、黒子頭は死人で霊体である。全身黒タイツの下は、ガイコツと予想される。
「我々は、第二話で石碑を倒されてから、ずっと上空で待機しているのだが、いつまで待てばよいのだ?」
「申し訳ありません!? 殿!? 次話で家々様の枕元にご登場ください!?」
「そういうことなら許してやろう。だが、これ以上は待てないぞ。」
「はあはあ!」
暗雲は去り、晴天の江戸の空が戻ってきた。
「カステラは美味しいな! ワッハッハー!」
家々は、先祖たちの魂が現世に甦ったとは思いもしていなかった。
つづく。
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