少年少女剣客隊

渋谷かな

文字の大きさ
9 / 53

顧問

しおりを挟む
「ねえねえ、そういえば江戸城に行った時、何かの石碑をみんなで蹴り倒したわよね?」
「そうそう。みんなで蹴り倒せば怖くないわよ。」
「実は徳川家の先祖たちが祀られている石碑だったりして?」
「構わない! これも少年少女剣客隊を盛り上げるためだ! 第十六代将軍の僕が言うのだから、きっとご先祖さまも許してくれるのだ! ワッハッハー!」
「家々! おまえが笑うな! 殺す!」
「調子に乗っていると、大砲をぶち込むわよ!」
「お腹空いた。」
「静かに! みんな席について!」
 子供たちが騒いでいると桜先生が教室にやって来た。
「そして、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
 子供たちは学校から去って行く。

「少年少女剣客隊! どんな難事件でも解決します! お小遣い求む!」
 ちいたちは、放課後に少年少女剣客隊の活動をすることにした。
「どう? いい看板でしょ?」
「住所も学校の教室だし、信頼はバッチリ。」
「お腹が空いても、給食室で盗み食いができます。」
「まさに徳川第十六代将軍に相応しい仕事だ。」
「これも貧しい家々が生きていくためにお金を稼ぐためよ。」
「そうそう、孤児の家々を助けなくっちゃ。」
「同じ寺子屋のクラスメイトだもんの。」
「ありがとう。みんな。僕はみんなのことを誤解していたよ。ありがとう。本当にありがとう。うるうる。」
 本当は何か楽しいことがしたいだけの、ちいたちであった。
「あなたたち!」
 そこに桜先生が現れた。
「ゲッ!? 桜先生!?」
「バレた!?」
「怒られる!?」
「家々を差し出しますから、お許しください!」
「裏切ったな!? お主たち!?」
 桜先生にバレて、我が身が可愛い、ちいたちは家々の身柄を差し出す。
「教室の使用許可申請書を出しなさい!」
「あ、そういうこと。」
「少年少女剣客隊? あなたたち部活動をするの?」
「はい。これも貧乏な家々のためです。」
「そう。友達思いなのね。」
「それ程でも。」
「でもね。部活動をするなら顧問が必要よ。」
「顧問?」
「監督する先生のことね。」
「私が少年少女剣客隊の顧問になってあげましょう。これで少年少女剣客隊は正式な部活動として認められるわ。」
「わ~い! やったー!」
「桜先生ありがとう!」
 こうして少年少女剣客隊は正式に発足した。
「すいません。ここは少年少女剣客隊でしょうか?」
 そこに一人の男が現れる。
「はい、そうです。」
「ようこそ。お客様が少年少女剣客隊のお客様第一号です。」
「事件ですか? それとも食い逃げですか?」
「なんでも僕たちが解決するでござる。」
「食べたい。」
「え?」
「おまえたちの霊力を食べたい!」
「キャアアア!?」
 現れた男は、全身を邪霊に憑りつかれていた。禍々しい存在であった。
「じゃ、じゃ、邪霊!?」
「初めて見ました! ワンダフル!」
「蛍ちゃんを呼んでこなくっちゃ。」
「僕なんか食べても不味いぞ!? どうせなら女子を食った方が美味しいぞ!?」
「霊力を寄こせ! 俺は甦ったばかりで霊力が足らないのだ! ガオー!」
 逃げ惑う子供たち。迫りくる邪霊。
「フッフッフ。子供たちは顧問の私が守る!」
「たかが女に何ができる?」
 桜先生が邪霊に立ち塞がる。
「いでよ! 妖怪! 幽霊! 魑魅魍魎!」
「なんだと!? おまえ!? 人間ではないな!?」
「そう私は、幽霊! でも人間の姿をしている霊体だ! そして、得意技は、妖の召喚だ!」
「おまえは!? 平将武!? 確かに倒したはず!? なぜおまえがここにいる!?」
 呼び出したのは、桜の亭主の蛍であった。蛍は、蛍の集合体の妖怪である。
「知るか。安らかに眠っていたら、最近、禍々しい妖気に誘われて目が覚めたのだ。」
「光れ! 蛍光灯! 夏の世の光!」
「ギャアアア!?」
 蛍は必殺の一撃で、邪霊、平将武を切り裂いた。
「すごい! 蛍さん!」
「楓のお父さんは光ってます!」
「蛍ちゃん、お腹空いた。」
「みんなが無事で良かった。」
「さすが私の旦那様!」
 なぜ邪霊が現れたのか、謎だけが残った。

「家々。家々。」
 その夜。解き放たれた徳川家康の邪霊が家々の枕元に来た。
「zzz。」
 しかし、熟睡している家々は目覚めなかった。
 つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

対米戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。 そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。 3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。 小説家になろうで、先行配信中!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...