少年少女剣客隊

渋谷かな

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15の災い。その7

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「ねえねえ、ペリー。」
「なに? ちいちゃん。」
「神隠し、虐殺、巨人、ゾンビ、カラスの糞、ゴキブリ・・・じゃなかった、火事の災いって何なのかしら?」
「災いは、災いなんじゃないの?」
「ゴキブリは災いじゃなかったんだね。」
「不思議だね。ゴキブリは災いではないんだ。」
「何を言っている! ご先祖様が街に火を放って、ゴキブリを焼き殺してくれたのだ! やはり江戸の街は、徳川が作ったのだ! ワッハッハー!」
「でも、次の災いは、もう始まっているみたいよ。」
「楓が聞いたら、ショックで気絶して、口から泡を吹いて倒れちゃうわよ。」
「私が倒れる? どんな災いが起きたの?」
「米不足。」
「ギャアアア!?」
「ああー!? 楓ちゃんが口から泡を吹いて気絶してる!?」
「だから言ったのよ。楓には耐えることのできない災いだって。」
「疎開だ! 疎開して、米を食べよう!」
「あ、起きた。」
「楓の頭の中は食べることばかりね。」
「誰かのご先祖様が、街を焼き尽くすから、食料も燃え尽きてしまったのよ。」
「知るか!? 悪いにはご先祖様で、僕は悪くない! 無実だ!」
「ご先祖様の罪は、末裔も連帯責任だろうが。」
「桜先生!?」
 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。 
「霊体の私はお腹は空かない。それでは、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
 子供たちは寺子屋から帰って行った。

「霊体って、いいな。お腹空かないんだ。」
「教会の倉庫に米がたくさんあるけど。」
「だから、ペリーのお父さんは何者なんだよ!?」
「困っている人に炊き出しなんかしたら、直ぐに倉庫が空っぽになっちゃう。」
「私も並ぶ。」
「楓は来るな!? 楓1人で備蓄米が尽きるわ。」
「そんな!? 腹八分にするから!? 許して!?」
「1人お茶碗1杯よ。平等にね。」
「死んだら恨んでやる!?」
「安心して。対悪霊用の銃弾もあるから。エヘッ。」
「かわい子ぶるな。」
「鬼だ!? ペリーは悪魔だ!? 日本を開国させる気か!?」
「既に開国してるわ。」
「こんな会話ばかりで、少年少女剣客隊は大丈夫なのか?」
「真面目に書いてダメなので、崩して面白く書くしかない。ワッハッハー!」
「そこ笑うとこか!?」
 こうして江戸の大火災のために起こった食料不足にも、元気に立ち向かう子供たちであった。

「あ、ご先祖様。」
 家々たちが家に帰ろうと通学路を歩いていると、泣いている家々のご先祖様がいた。
「どうしたんですか? ご先祖様。」
「私は家々のご先祖様で、徳川15将軍の一人、第14代将軍、徳川家茂である。実は、私がカッコよく災いを発表する前から、食糧難という災いが始まっていたんだ。私だってカッコよく、災いを明治にバラまきたかった。ゴキブリとか。」
「バラまかんでいい!?」
「ゴキブリのどこがカッコイイんだ!?」
「まったく家々のご先祖様たちに、ロクなご先祖様がいないな。だから徳川の江戸幕府は滅びたんだ。」
「その通り! ワッハッハー!」
「笑うな! 誰も褒めてない!」
「ウエーン!? 子供にいじめられた!?」
「誰もいじめてないだろうが!?」
「今の時代って、たった1コマを進めるだけで、これだけ話をおバカに膨らませないとウケないんだね。」
「まったく嫌な世の中だ。」
「おまえたちは本当に子供か!?」
「私たちは、少年少女剣客隊!」
「れっきとした子供です。」
「決めポーズも決まったね。」
「わ~い! やったー!」
 あくまで寺子屋に通う子供たちの物語である。
「もう、疲れた。帰る。家々、何か困ったことがあれば、ご先祖様たちに言いなさい。」
「ご先祖様たちに困っている。」
「え? ええー!? そうだったのか!? 知らなかった!?」
「知らなかったんですって。クスッ。」
「自分たちで15の災いをまき散らすとか言ってるのにね。クスッ。」
「ご先祖様をいじめるな!」
「先にいじめたのは、おまえだろう!」
「そうだったかな? ワッハッハー!」
「笑って誤魔化すな!」
「家々くんのご先祖様は悪くないよ。」
「お嬢ちゃん。」
「悪いのは、お腹が空くのが悪いんだよ。」
「お嬢ちゃん、お名前は?」
「楓。お腹空いたよ。」
「ありがとう。楓ちゃん。直ぐにお米が届くからね。さようなら。」
「家々くんのご先祖様、さようなら。」
 楓に癒されて消え去った家茂であった。
「おい! 配給だ! お米の配給が!」
「やったー! 楓のお米だ!」
「楓! あんたの米じゃない!」
「それにしても家々のご先祖様がいなくなったら、配給のお米が届くなんて、やっぱり家々のご先祖様って、災いなのよね。」
「その通り! 僕のご先祖様は災いなのだ! ワッハッハー!」
「自慢すな!」
 こうして無事に15の災いの、その7を解決した少年少女剣客隊だった。
 つづく。
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