剣物語

渋谷かな

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俺の剣

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「よく来た。新たな剣騎士。救世主よ。」
「な、なんなんだ!? この展開は!? 答えろ! 佐藤!」
「佐藤? 誰だ、そいつは。私は、この世界のプリンセスである。邪悪なる者が再び現れし時、剣騎士が現れ、世界を邪悪から守る。まさに言い伝え通りだ。」 
「ダメだ。こいつ人の話を聞いていない。」
 僕の声は、目の前の姫と呼ばれる佐藤美姫には届かなかった。言い伝えの通り「邪悪なる者が現れ世界を闇が覆いつくそうとする時、剣騎士が現れて、邪悪なる者を倒す。」僕は救世主に祀りあげられていく。僕に拒否権はない。
「救世主よ。おまえの名前は何という?」
「ドリーム。」
「おお! よく来た! ドリームよ!」
「おまえが呼んだんだろう。」
「で、おまえの剣を見せてみろ。」
「無視かい!?」
 なんだかわざとらしいお芝居を見ているような気分になってくる。それでも物語を前に進めようとする姫の意地を感じる。なんか恐ろしい。
「け、剣が折れている!?」
「先の戦いで折れてしまったんです。」
「この剣の材質は、オリハルコン。この世で1番固いとされる鉱物で作られた剣が折れたというのか!? この救世主は、いったい何者だ!? どのような冒険をすればオリハルコンの剣が折れるというのだ!?」
「新しい剣をくれるんですか? それとも俺は救世主失格ですか?」
「この世界で剣とは全てであり、全ては剣である。」
「また無視かい。」
「良い剣、悪い剣。「純粋な剣」「純粋な心」「世界に平和をもたらす剣」「人々を笑顔にする剣」。逆に「邪悪な剣」「邪悪な心」「世界を暗闇で覆う剣」「人々を泣かす剣」剣には、色々な剣がある。その剣が折れたということは、それがその剣の寿命だったのだろう。」
「剣の寿命?」
「その剣は、本当のおまえの剣ではなかったということだ。人は誰でも心に剣を持っている。選べ。戦うか、戦わないかは、自分で決めろ。生きながら苦しむか、生きながら死ぬか。人生は、そんなものだ。」
 生きて自分の望を叶えるためには努力しなければならない。かといって努力しても必ずしも報われるという訳ではない。なら夢も希望も全てを諦めて、生き奴隷として、生きているのか死んでいるのかも分からない者、存在になるのか。その瞬間、人は人であって、人ではなくなる。
「新しい剣を探せってことですか?」
「違う。おまえは既に自分だけの剣を持っている。」
「え?」
「おまえの剣だ。」
「俺の剣?」
「誰もが心に剣を持っている。おまえの心にもあるはずだ。おまえだけの剣が。」
「俺だけの剣?」
 折れたオリハルコンの剣に変わる剣を既に心に持っていると姫は僕に言う。
「ちなみに姫である私に対しての暴言は死罪に値するから気をつけろ。」
「聞こえてるのか!?」 
つづく。
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