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殺人
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「きっと、これは夢だ。本当の僕は天国で平和に暮らしているんだ。」
突如、ゲーム「剣物語」の世界に似た異世界にいる自分に戸惑いながらも、中世ヨーロッパに似た世界の城下町を、僕はボケっと歩いている。
「どうやったら現実世界に帰れるのかな? それとも飛び降り自殺で死んでいるなら天国か地獄に帰らないと。救世主といわれても、折れた剣を持った騎士を、剣騎士と呼べるのだろうか? はあ。」
僕は理解しがたい現状にため息がこぼれた。騎士は非常時以外は、街中では鎧を着ていない。私服のような軽装で買い物やデートをして、商売をしている街人たちと馴染んでいる。この光景だけを見ていると平和な世界だ。
「この街中にも剣騎士がたくさん混じっている。恐らく、あの人も、こっちの人も、みんな剣騎士だろう。筋肉の質や体の傷だけでも歴戦の勇者だということは容易に分かる。」
他のプレイヤーは、剣騎士。生活をしている街人や商売をしている街人は、CPU。ゲームの世界では、それだけでいいのだが、僕の目には、夢でも見ているのか、目の前の人々は、生きて普通に生活をしているように見えた。
「キャアアア!」
「なんだ!?」
「人殺し! 強盗だ! 誰か捕まえてくれ!」
「あいつか!? 待て!」
僕は犯罪者を逃がさないように追いかける。そして犯人を人気のない路地裏で追い詰めた。逃げていた犯人が諦めて、僕の方へと振り返る。
「ああ、逃げそこなったぜ。」
「火油!?」
「ああ? 俺はおまえなんか知らないぞ。」
「そ、そうだ。ここはゲームの世界なんだ。こいつの顔が火油に似ているからって関係ない。」
犯罪者の顔は、現実世界で僕をいじめている、クラスメートの火油注にそっくりだった。
「見たことのない顔だな。おまえ新入りの剣騎士か? そうだろ。顔に書いてある。まだ、この世界に絶望していませんってな。」
「なにを!?」
「俺を見逃してくれって言っても、見逃す気はないんだろうな。おまえの目つきは正義感でいっぱいだからな。」
「悪い事をしたんなら、ちゃんと謝って、自首しよう。」
「嫌だね。この世界は剣が全て。正しいことをする剣騎士もいれば、悪い事をする剣騎士もいるだよ! いでよ! 俺の騎士の鎧(ナイト・アーマー)!」
何もない所から、火の手が上がる。その火は火油の体にまとわりつき、火の騎士の鎧を装着していく。
「火の鎧!?」
「これが俺の火のナイト・アーマーだ。おまえも剣騎士なんだろ? おまえもナイト・アーマーを身に着けて、俺と戦え。」
怖い。なぜだろう、やっぱり怖い。ここが異世界やゲームの世界としても。でも現実みたいな絶望感はない。今まで必死に鍛えてきたキャラクターが自分自身なら、今までの日々の修練が僕自身に自信を与えてくれている。
「夢は見るものではなく、夢は叶えるものだ!」
何も恐れるな。これが僕の夢の世界の出来事なら、きっと自分の思い通りにできるはずだ。やってやる、やってやるぞ!
「いいだろう。現実とは違って、この世界では俺は最強の剣騎士だ! 最強の騎士の鎧! オリハルコンのナイト・アーマー!」
「オ、オリハルコンだと!?」
僕の体をオリハルコンの鎧が装着されていく。剣物語の最強の剣騎士の証でもある。
「俺に戦いを挑んだことを後悔させてやる。」
「こんな小僧が最強のオリハルコンの鎧を持っているというのか!? 信じられん!?」
「さあ、剣を抜け。俺が相手をしてやる。」
僕は剣を鞘から抜いた。
「なっにっ!?」
オリハルコンの剣は前回の戦いで折れたままだった。
つづく。
突如、ゲーム「剣物語」の世界に似た異世界にいる自分に戸惑いながらも、中世ヨーロッパに似た世界の城下町を、僕はボケっと歩いている。
「どうやったら現実世界に帰れるのかな? それとも飛び降り自殺で死んでいるなら天国か地獄に帰らないと。救世主といわれても、折れた剣を持った騎士を、剣騎士と呼べるのだろうか? はあ。」
僕は理解しがたい現状にため息がこぼれた。騎士は非常時以外は、街中では鎧を着ていない。私服のような軽装で買い物やデートをして、商売をしている街人たちと馴染んでいる。この光景だけを見ていると平和な世界だ。
「この街中にも剣騎士がたくさん混じっている。恐らく、あの人も、こっちの人も、みんな剣騎士だろう。筋肉の質や体の傷だけでも歴戦の勇者だということは容易に分かる。」
他のプレイヤーは、剣騎士。生活をしている街人や商売をしている街人は、CPU。ゲームの世界では、それだけでいいのだが、僕の目には、夢でも見ているのか、目の前の人々は、生きて普通に生活をしているように見えた。
「キャアアア!」
「なんだ!?」
「人殺し! 強盗だ! 誰か捕まえてくれ!」
「あいつか!? 待て!」
僕は犯罪者を逃がさないように追いかける。そして犯人を人気のない路地裏で追い詰めた。逃げていた犯人が諦めて、僕の方へと振り返る。
「ああ、逃げそこなったぜ。」
「火油!?」
「ああ? 俺はおまえなんか知らないぞ。」
「そ、そうだ。ここはゲームの世界なんだ。こいつの顔が火油に似ているからって関係ない。」
犯罪者の顔は、現実世界で僕をいじめている、クラスメートの火油注にそっくりだった。
「見たことのない顔だな。おまえ新入りの剣騎士か? そうだろ。顔に書いてある。まだ、この世界に絶望していませんってな。」
「なにを!?」
「俺を見逃してくれって言っても、見逃す気はないんだろうな。おまえの目つきは正義感でいっぱいだからな。」
「悪い事をしたんなら、ちゃんと謝って、自首しよう。」
「嫌だね。この世界は剣が全て。正しいことをする剣騎士もいれば、悪い事をする剣騎士もいるだよ! いでよ! 俺の騎士の鎧(ナイト・アーマー)!」
何もない所から、火の手が上がる。その火は火油の体にまとわりつき、火の騎士の鎧を装着していく。
「火の鎧!?」
「これが俺の火のナイト・アーマーだ。おまえも剣騎士なんだろ? おまえもナイト・アーマーを身に着けて、俺と戦え。」
怖い。なぜだろう、やっぱり怖い。ここが異世界やゲームの世界としても。でも現実みたいな絶望感はない。今まで必死に鍛えてきたキャラクターが自分自身なら、今までの日々の修練が僕自身に自信を与えてくれている。
「夢は見るものではなく、夢は叶えるものだ!」
何も恐れるな。これが僕の夢の世界の出来事なら、きっと自分の思い通りにできるはずだ。やってやる、やってやるぞ!
「いいだろう。現実とは違って、この世界では俺は最強の剣騎士だ! 最強の騎士の鎧! オリハルコンのナイト・アーマー!」
「オ、オリハルコンだと!?」
僕の体をオリハルコンの鎧が装着されていく。剣物語の最強の剣騎士の証でもある。
「俺に戦いを挑んだことを後悔させてやる。」
「こんな小僧が最強のオリハルコンの鎧を持っているというのか!? 信じられん!?」
「さあ、剣を抜け。俺が相手をしてやる。」
僕は剣を鞘から抜いた。
「なっにっ!?」
オリハルコンの剣は前回の戦いで折れたままだった。
つづく。
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