剣物語

渋谷かな

文字の大きさ
14 / 78

友情

しおりを挟む
「ミキ姫様。ようこそ。悪夢の世界へ。」
悪夢の剣騎士ナイトメアのコクムは、姫に悪夢を見せ続けて操っている。
「さあ、姫、今宵は私と楽しいことをして、朝まで遊びましょう。飽きたらあのお方に花嫁として献上いたします。」
 しかし、操られているはずの姫はコクムの誘惑に防いで動かない。
「悪夢に操られているのに、私の言うことを拒むとは!? まあ、いいでしょう。もうすぐ、あなたの頼りにしている救世主様の死体を、炎の剣騎士が持ってくることでしょう。その時は、もっと深い悪夢にご招待いたしましょう。」
「救世主様・・・。」
 姫は必死に悪夢に抵抗するのでした。姫は剣騎士ではない。しかし姫は、姫だけのプリンスの剣を持って戦っているのかもしれない。

「くらえ! フレイム・ソード・スラッシュ!」
「おまえの炎がどれほど熱くても、俺の夢を燃やすことはできない! 俺は夢を絶対に叶えるんだ! ドリーム・ソード・スラッシュ!」
 お互いに炎と夢の剣の必殺技を繰り出す。
「なに!? 私の灼熱の炎が、救世主様の夢を叶えたいという思いに、斬られたというのか!?」
 叶の必殺技が、カエンの炎を真っ二つに切り裂いた。
「うわあ!?」
 そして叶の必殺の一撃が、カエンを吹き飛ばす。
「見たか! これが俺が夢を叶えたいという気持ちの強さだ!」
「ま、負けた。私の負けだ。さあ、殺すがいい。」
 カエンは潔く自分の負けを認める。
「やめとくよ。おまえは俺の友達に似ているから。」
 叶には、現実世界の鈴木の顔が浮かんだ。もしカエンにとどめを刺して、現実世界で友達の鈴木が死んでしまったら、何とも言えないからだ。
「さすが救世主様だ。なんという心の広いお方なんだ。」
 カエンは心から叶に感服した。

「その代わりと言ってはなんだが、聞きたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「カエン、おまえも剣騎士なら姫に会ったことがあるだろう? なんだか最近、姫の様子が何か変わったとか思うことは無いか?」
「姫? そういえば最近ミキ姫は変わられてしまった。あの優しかった姫から笑顔が消え、冷たい表情をすることが増えた。今回の救世主様の追跡でも、捕えろなら分かるが、殺せと命令されるとは思わなかった。まるで姫は人が変わったのか、誰かに操られているんじゃないか、と思ったほどだ。」
「誰かに操られる・・・そうか! 悪夢だ! ナイトメアの仕業だ!」
「ナイトメア?」
 ナイトメアとは、悪夢を象徴する黒い馬のことを指す。夢を見てうなされることを悪夢という。
「悪夢の剣騎士に姫は操られているんだ! きっと、そうに違いない!」
「そういえば最近、クロムという剣騎士が姫の側近になったような。」
「クロム!? そいつだ! そいつが悪夢の剣騎士だ!」
「なんだって!?」
「クロムが姫に悪い夢を見せているんだ!」
「信じられん!? もし姫に危害を加えているというのなら、悪夢の剣騎士を許す訳にはいかない!」
「カエン、俺に協力してくれ。俺は姫を助けたい。」
「分かった。真実を確かめよう。」
 現実世界の友達は、夢の世界でも友達になれた。
 つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

処理中です...