剣物語

渋谷かな

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霜の巨人

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「なに!? 邪悪なる者が甦っただと!?」
「はい。なんと邪悪なる者の正体は、かつて邪悪なる者から世界を救った伝説の剣騎士デカノーホウトだったのです。」
「なんだって!? 伝説の剣騎士が邪悪に呑み込まれてしまったというのか!?」
「なんでも、世界を救った自分を称える声が少なかったのが気に入らなかったみたいです。」
「そんなことで、再び世界を闇に包もうというのか?」
「伝説の剣騎士の気持ちが俺には分かるぜ。」
「なんでヨルムンガンドさんが分かるんですか?」
「だってよ。兄は氷の狼の人気者。妹は死者の国ヘルヘイムを支配する女王。あくまでも俺は、おまけみたいな位置づけ、酷い差別だぜ。これは、いじめだ。」
「そんなことないですよ。ヨルムンガンドさんは、生まれながらの土属性。それに海に捨てられて水属性の二属性のエリートじゃないですか。」
「それでカチカチに氷漬けにされてたら意味がないんだよ。」
「ごもっともで。」
「おい、おまえたち。妹たちの剣気が尽きて、戦いが終わりそうだぞ。」
 フェンリルは妹のヘルたち女王の醜い戦いが終わったことを伝えてくれる。
「はあ・・・はあ・・・これが最後の一撃よ! 氷の塊で押しつぶす! アイスクイーン・ソード・スラッシュ!!」
「さすが氷の女王と地獄の女王。はあ・・・はあ・・・我が友だけのことはあるわ。でも! 負けない! スノークイーン・ソード・スラッシュ!」
「はあ・・・はあ・・・あなたたちが死んだら私の死者の国で面倒を見てあげるわ! ヘルクイーン・ソード・スラッシュ!」
 雪と氷と地獄の三つの剣気がぶつかり合う。
「燃え尽きたぜ。」
 バタっと三人の女王たちは気を失って倒れ込む。
「これで一件落着だな。」
「いや!? 何か様子がおかしいぞ!?」
 周囲に、霜と換気の異様な空間を作り出す。そして冷たいものは一つに集約されて、大きな人の姿になっていく。
「ガオオオオー!」
「きょ、巨人!?」
「あれは霜の巨人ヨトゥンだ!?」
「なんで、あんな化け物が!?」
「女同士のくだらない戦いが、霜の巨人を呼び寄せてしまったんだ!?」
「なんて迷惑な妹たちだ!?」
「ガオオオオー!」
「うわあああー!?」
 霜の巨人は激しい吹雪をまき散らす。ヒムロたちは吹きとばされそうになるが必死に踏ん張る。
「あいつを何とかしないと!?」
「その通りだ。ヒムロ。これはいい機会だ。もし、おまえが霜の巨人を倒すことができたら、この氷狼の剣騎士の鎧を与えよう。」
「本当ですか!? フェンリルさん!?」
「本当だ。なんなら妹も付けようか?」
「それはお断りします。でも私も強くならないといけないので、フェンリルさんに認められて、氷狼の剣騎士の鎧は必ずもらいます!」
 ヒムロの氷の剣気が高まっていく。
 つづく。
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