剣物語

渋谷かな

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氷狼

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「高鳴れ! 私の冷気よ! 目の前の霜の巨人ごときを凍らせることができないようでは、邪悪なる者となった伝説の剣騎士デカノーホウトに敵う訳がない! 全てだ! 全てを氷で支配できるようになるんだ!」
 氷の剣騎士ヒムロの剣気が、極限にまで高まっていく。
「これは!? なんという剣気だ!? まるで、この世の生きとし生ける者を凍らせてしまうような寒気だ!?」
「絶対零度だ!? ヒムロは絶対零度の世界を作り出しているんだ!?」
「そんなバカな!? たかが氷の剣騎士が周辺環境に影響を及ぼすぐらいの冷気を扱えるというのか!?」
「ダアアアアー! 凍えろ! 霜の巨人!」
 ヒムロは、極限に高めた氷の剣気で霜の巨人を凍らせようとする。
「ガオオオオー!」
「ダメだ!? やはり霜の巨人には効いてない!? どんなに剣気を高めても、氷の剣騎士の鎧では限界なんだ!?」
「そうだな。いいだろう。ヒムロ! 俺の氷狼の剣騎士の鎧を試してみろ!」
 ヒムロの体に氷の狼がまといつく。そしてヒムロに氷狼フェンリルの剣騎士の鎧が装着される。
「これが氷狼の剣騎士の鎧!? すごい! 全身から力が漲ってくる!? 氷の剣騎士の鎧の何倍もの凍気が扱えそうだ!?」
「さあ! ヒムロ! おまえの剣気を見せてくれ!」
「ありがとうございます。フェンリルさん。いくぞ! 霜の巨人!」
 ヒムロは、フェンリルに感謝する。そして、新たに得た氷狼の剣に自分の冷気を込めていく。
「噛み砕け! 氷の国の狼よ! 必殺! フェンリル・ソード・スラッシュ!」
「ガオオオオー!?」
 ヒムロの必殺技が霜の巨人を粉々に粉砕した。まるで氷の狼が噛み砕いた様に。
「なんという破壊力だ!? 氷狼の剣騎士の鎧は!?」
「それがおまえの力だ。これからの邪悪なる者との戦いは熾烈を極めるはずだ。今のおまえなら戦っていけるだろう。」
「はい。がんばります。」
 ヒムロは、邪悪なる者となった伝説の剣騎士デカノーホウトとの戦いを決意するのだった。
「それにしても、この女王様たちはどうしようか?」
 霜の巨人を呼び出した原因を作り出した、氷の女王、雪の女王、地獄の女王は、霜の巨人が現れたことも知らずに、雪の上で幸せそうに眠ったままだった。
「もう食べれませんよ。かき氷なんて。グウグウ。」
「私の雪だるまが一番カワイイ~。スヤスヤ。」
「どうせなら光の女王とかになりたかった。ゲホゲホ。」
「こいつらは、このまま永久に眠らせようか?」
「ほっとけ。相手するのが面倒臭いから。」
「それでは私は、師匠に挨拶をして姫の元に帰ります。」
 こうしてヒムロは無事に帰れることになった。

「師匠。氷狼の剣騎士の鎧を得ることができました。」
「そう。良かったわね。」
 スノーウーマン師匠は、ヒムロに素っ気ない態度をする。
「で、どうなったの? あなたは、どの女王様と結婚することになったの? その見返りで氷狼の剣騎士の鎧も得たんでしょう?」
「違います。」
「え?」
「私は、どの女王様とも結婚しませんし、氷狼の剣騎士の鎧も霜の巨人を倒す時にフェンリルさんに認めてもらったんです。」
「そうだったんだ。良かった。ニコ。」
 ヒムロが誰とも結婚しないと聞いて喜ぶスノーウーマン師匠。
「師匠。これからは、あなたのことを雪女師匠と呼んでもいいですか?」
「どうして?」
「それは私が好きなのは、氷の女王でも、雪の女王でもなく、地獄の女王でもなく、私が氷の剣騎士になれるように修行をつけてくれた、あなただからです。」
「ええー!? そうだったの!? じ、実は私も、ヒムロ、あなたのことが好きだったの。」
「雪女師匠、この世から邪悪なる者を滅ぼしたら、必ずあなたの元に帰って来ます。それまで待っていてください。」
「はい。分かりました。がんばりなさい。ヒムロ。」
 幸せそうに抱きしめ合う、ヒムロと雪女であった。
 つづく。
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