最強の歯科助手、みなみちゃん4

渋谷かな

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6話

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「どうもです。」

美代先生は、ゴージャスなドレスを着て、会場にやってきた。

「今年の流行語大賞は・・・どうもです。」
「おお!」

美代先生をカメラのフラッシュが照らしまくる。

「美代先生、流行語大賞に選ばれた感想をお願いします。」
「どうもです。」

どんな場面でも使える、どうもです。は、美代先生がセレブになり、テレビに出れば出るほど、世間に流行していった。

「パンパン、おいしいね。」
「キュルキュル。」

会場の隅っこで、肉にかぶりつく女と、笹を食うパンダがいた。女の名前は、みなみちゃん。

「どうもです。どうもです。どうもです。」

美代先生は、歯科医師として、芸能人として成功を収め、セレブになった。この物語は、その陰には、助手とパンダがいたという、サクセスストーリーである。


「ああ~どうしよう!?」

美代先生は、頭を両手でかきながら、ジタバタ動いている。

「先生、どうしたんですか?」
「キュルキュル。」

助手とパンダは、美代先生に聞く。

「明日になれば、あの綾ちゃんが、また来てしまう!? ああ~どうしよう!?」
「もう開業してから、1週間なんですね。早いですね。」
「キュルキュル。」

美代歯科医院は、開業して7日目である。

「いろんなことがあったな。」
「そうですね。」
「キュルキュル。」

あり過ぎである。

「それでも、初日に綾ちゃんのチョコキノコと苺の虫歯に出会ってますから、後は何とかなりましたね。」
「そうだな。」
「キュルキュル。」

苦労は、若い間にすると、後の人生が楽である。

「しかし、あの綾ちゃんが、1週間の間に新しい虫歯を作っていないと思うか?」
「・・・そうですね。歯の中に異世界とか作ってそうですね。」
「キュルキュル。」

その時、美代歯科医院の入り口の扉が開き、一人のおばさんが入ってきた。

「こんにちわ。ここになんでも治せる歯医者さんでいいのかしら?」
「すいません。うちは完全予約制ですので、飛び込みのお客さんは、すべて断ってます。」
「あら? そうなの? でも、私なら、いいでしょう?」
「え!? 困ります!」

助手は、しつこいお客さんに困る。

「芸能人!?」

そこに美代先生が現れ、お客さんを見て驚く。

「は~い!」
「芸能人!?」

芸能人は、美代先生を見て、自分のことを知ってくれていると思い、話が早いと思い手を振って挨拶する。助手は、普段テレビを見ないので、分からない。

「まあ! カワイイ、パンダ。」
「キュルキュル。」

芸能人は、パンダ好きだった。

「パンダ好きなんですか?」
「私は、パンダ芸能人よ。」
「そうなんですね。」
「この子、名前はなんていうの?」
「パンパンです。」
「かわいいわね、パンパン。」
「キュルキュル。」

パンパンも、芸能人に遊んでもらえて、うれしそうだった。

「すいません。助手が失礼な対応をしまして。」
「いえいえ、おかげでパンパンと遊べましたし。」

美代先生は、芸能人に謝る。心の広い芸能人は、怒っていなかった。

「今日は、どうされたんですか?」
「歯がシャキシャキと言うのね、いろいろな病院に行ったんだけど、どこも現代医学では治せないって言うの。それでテレビを見ていたら、先生の特集があって、何でも治してくれるって言うので、治してもらおうと思ってやって来たのよ。」

テレビの宣伝効果は、絶大である。

「ありがとうございます。シャキシャキですか?」
「シャキシャキなの。」
「みなみちゃん、診察室にご案内して。」
「はい、先生。こちらです。パンパンもおいで。」
「キュルキュル。」

助手も、パンダが好きな人に悪い人はいないと思った。


「それでは口の中を見ますね。口を大きく開けてください。」

先生と助手は、芸能人の口の中を覗いた。

「ギャア!?」
「た、タマネギが生えてる!?」

なんと口の中でタマネギ畑があったのだ。

「どうして、こんなことに!?」
「私、タマネギが大好きなの。」
「はぁ・・・。」

毎度毎度、変な患者さんばかりやって来るな、と思う先生と助手。

「安心してください。これなら簡単に治せますよ。」
「本当!? 先生、よろしくお願いしますね。」
「はい。大丈夫ですよ。」

先生は患者さんに優しく微笑む。

「みなみちゃん。」

そして、助手に振る。

「ですよね・・・。」

助手も先生の行動パターンを理解してきた。

「後よろしく。」

美代先生は、ダッシュで休憩室に逃げて行った。

「はあ・・・先生ったら・・・。」

助手は、不貞腐れる。

「キュルキュル。」

パンパンが助手を応援する。

「がんばれって言うのね。分かったわ、みなみ、がんばる!」

パンダに励まされ、やる気になった助手。

「私にきれいにできない歯はない!」

決めゼリフが決まった。

「みなみ、いきます!」

助手とタマネギの戦いが始まった。

(タマネギは簡単に取れるわね。これなら楽勝ね。)
(捨てるのがもったいないから、これでカレーでも作ろうかな?)
(あれ? そういえば、パンパンは口の中で生まれたのかな?)

助手は、いろんなことを考えてしまう。

「できました!」

助手は、タマネギを取り除くことができ、歯は真っ白になった。


「先生、できました。」

助手が休憩室にやって来た。

「タマネギ持ってきてくれた?」

美代先生は、カレーを作っていた。考えることは、2人とも同じだった。

「ズコー!?」

助手はコケタ。

「虫歯の治療してくるから、タマネギ入れて煮込んどいてね。」

そう言うと、美代先生は、診察室に向かった。

「私、先生と同レベルなんだわ・・・。」

助手は、ショックを受ける。

「キュルキュル。」

パンパンが助手を慰める。


「先生、どうもありがとうございました。」
「こちらこそ、どうもです。」

芸能人の虫歯は治った。

「芸能人に、歯医者は美代先生がいいわよって宣伝しとくわね。なんなら私の番組のスポンサーになればいいのに。」
「お金ができましたら。」

美代先生は、愛想笑いを浮かべる。

「あれ? パンパンちゃんは?」
「パンパンは、休憩室で、カレーを食べています。」

ちゃんと、タマネギ入りである。

「じゃあ、さようなら!」
「さようなら!」

芸能人のおばちゃんは帰っていった。

「あ~疲れた。毎日、これだな。」
「先生、私たちもカレーを食べましょう。」
「そうだね。みなみちゃん、もう鍵は閉めといてね。」
「は~い。」

こうして、美代先生と助手の勤務時間は終わった。


「しまった!?」

美代先生がカレーのタマネギを食べながら、突然、大声を上げた。

「明日は、最近娘が来る日じゃないか!?」

初日に来た、綾ちゃんが来るのだ。

「ああ!? ギャア!? うわあ!?」

美代先生は、狂喜乱舞した。

「パンパン、カレーおいしいね。」
「キュルキュル。」

助手とパンダは、おいしくカレーを食べた。

つづく。
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