汚れ無き純粋な瞳の平凡な日常。2 魔法少女育成編

渋谷かな

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個人戦、始まる

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 ここは代々木の体育館。渋谷区高校剣道女子個人戦が始まろうとしていた。
「1回戦を始めます。渋谷高校、笹塚高校、前へ。」
 谷子の剣道部員としての戦いが始まる。
「ま、前が見えない。」
 前髪長過ぎガールの谷子は、剣道の面を被ると前が見えない。
「これで良し。」
 ということで前髪を横わけにして視界を保ち、カワイイ素顔を面の中に隠して戦う。
「それでは、はじめ!」
 遂に谷子の初戦が始まった。
「さあ、私を倒してくれ。」
 谷子は考えて、動かなかった。なんらかのパニックになる前にさっさと負けて終えようと。
「あれ? 全然、攻めてこない?」
 谷子は戦意無く立っているだけなのに、相手の笹塚高校剣道部員Aがかかってこない。
「す、隙が無い!?」
 笹塚高校剣道部員Aは金縛りにあっていた。まるでカエルが蛇に睨まれたかのようなプレッシャーを受けていたのである。
「そんなばかな!?」
 ただ谷子は棒立ちしていただけである。
「負けろ! 負けろ!」
「全国大会に行って、学校の授業をサボるのだ!」
「一歩でも動いたら酸性雨の雨を降らすぞ!」
 谷子の背後で魔法少女3人が呪いをかけていたことを、谷子は知らない。
「ま、参りました。」
 笹塚高校剣道部員Aは、あまりの恐ろしいプレッシャーに怖気づき降参した。
「え? そんなバカな。」
「それまで。渋谷高校の勝ち。」
 何もせずに谷子は勝ってしまった。
「おお!?」
「なんだ!? 何が起こったんだ!?」
「あの子は只者ではない!?」
 谷子の勝ち方を見ていた代々木体育館のお客さんたちがざわめく。
「ぷはあ。」
 谷子は面を外した。
「化け物だ!?」
「貞子だ!?」
「イエテイだ!?」
 前髪が長過ぎる谷子を見た代々木体育館のお客さんたちが不気味がる。
「好き勝手に言ってろ。」
 もちろん、心無い代々木体育館の観客の酷い醜い言葉は谷子に聞こえている。
「情けないヤジばかり飛ばす、ウジ虫どもめ。」
 谷子は知っています。自分は安全な所に、そして他人の悪口は好き勝手に言う、ウジ虫な人間が多いことを。
「おまえらみたいな、人間の皮を被ったウジ虫がいるから、この世界は平和にならないんだ!」
 谷子は心の中で叫びました。ウジ虫として生きるよりも、人間として生きることを選択しました。
「おめでとう! 怪獣ちゃん!」
「ありがとう! お姉ちゃん!」
 谷子は自陣に帰り姉と喜びを分かち合った。
「帰れるところがあるって素晴らしい。エヘッ。」
 谷子は仲間がいることを幸せに感じる。
「2回戦、渋谷高校と幡ヶ谷高校の試合を始めます。」
「かわいい怪獣ちゃん! がんばって!」
「うん! 絶対に優勝してやる!」
 谷子は徐々に気合が入って来た。これも他人の悪口を言ってアホ笑いをしているつまらない人間の性である。意外に谷子は負けん気が強かった。
「両校、前へ。」
「絶対に勝つ!」
「こい! 化け物!」
 たかが幡ヶ谷高校剣道部員Aにまで、けなされた谷子の怒りは爆発寸前である。
「それでは、はじめ!」
「でやああああああああ!」
 幡ヶ谷高校剣道部員Aが谷子に向けて突進してくる。
「もらった!」
 幡ヶ谷高校剣道部員Aが竹刀を振り下ろす。谷子の面をとらえたかに見えた。
「なに!? 当たらない!? これは残像だとでもいうのか!?」
 谷子の姿は目の前のあるのに幡ヶ谷高校剣道部員Aの竹刀は空を切った。
「早き事、流れ星の如く。」
 谷子が素早い速さで移動し続けている。
「静かなること、月の如く。」
 谷子は幡ヶ谷高校剣道部員Aの背後を捉える。しかし幡ヶ谷高校剣道部員Aは谷子に気づいていない。
「侵略すること、太陽の如く。」
 谷子は幡ヶ谷高校剣道部員Aに面を食らわす。
「1本! それまで。」
「動かざること、銀河の如く。」
 谷子は風林火山を完成させて圧倒的な勝利を飾った。

つづく。
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