汚れ無き純粋な瞳の平凡な日常。2 魔法少女育成編

渋谷かな

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第11魔法少女、楽子

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 ここは魔法渋谷高校剣道部の稽古場。渋谷高校剣道部とドキ子軍団の練習試合が行われていた。
「ギャアアア!?」
 前回までのあらすじ。中堅戦でドキ子との楽子の直接対決。しかし、ドキドキ魔法で人間洗濯機を出現させたドキ子は、楽子を激しい水流のうごめく洗濯機の水の中に沈めるのであった。
「私はここで死ぬの?」
 楽子は洗濯機の水の中で目を瞑り自分に問いかけた。
「それとも、もう死んでいるの?」
 大量の水を飲んだと思われる楽子の体は意識の無い水の様に、水の中を漂っている。
「相手の魔法がどんなものか分からなかったとはいえ、油断した。」
 楽子は相手が、カワイイだけのドキ子だから大したことはないと高を括ってしまったのだ。
「悔しい。ドキ子なんかにやられるなんて。私が勝って、みんなに勇気を与えないといけないのに。」
 楽子は不甲斐ない自分の性でチームメイトに迷惑をかけることに責任を感じる。
「ごめん、みんな。」
 楽子は戦いを諦めて負けを認めようとした。
「諦めないで!」
 その時、楽子の心に誰かが声をかける。
「こ、声? 幻聴が聞こえる。きっと私は死んだのね?」
「違うよ! 楽子は死んでないよ!」
 今度は楽子に、はっきりと声が聞こえた。
「あなたは誰? いったい誰なの?」
「僕は、楽子の心だよ。」
「私の心?」
 ピンチの楽子に声をかけたのは、楽子の心だった。
「そう、僕は楽子の心だよ。楽子の本当は負けたくないという強い気持ちが僕を生み出したんだ。」
「そんな、アホな!? これが自問自答ってやつ!?」
 楽子の心が意志を持って、楽子に話しかけてくる。
「自分に負けないで、楽子。」
「でも、もう私はドキ子の魔法で洗濯機の水の中で溺れて死にかけているのよ?」
 確かに楽子は絶体絶命のピンチであった。
「大丈夫だよ。楽子には仲間がいるから。楽子の勝利を信じている友達がいるから!」
 楽子の心に、谷子たちの声が聞こえてくる。
「試合を止めた方がいいのかな? 私、審判なんてしたことないから分からない。」
「練習試合が終わったら、みんなで原宿に行って、クレープを食べましょうよ。特別ゲストの泪さん、結さん。」
「竹下通りが込んでたら、私のM6重戦車で道を開いてやるよ!」
「やめなさい! クレープを焼く人まで非難しちゃうだろ! 私が通りごと買い占めてやるわよ。オッホッホー!」
「見た! 見た! ドキ子の勝利よ! 魔法渋谷高校剣道部の主将は、今から、かわいいドキ子よ! ドキ子主将と呼びなさい! ドキ。」
 渋谷高校剣道部の部員たちは、好き勝手なことを言っていた。
「え?」
 誰も自分の心配をしていないことに、思わず立ち尽くす楽子。
「さ、さあ! 楽子! こんな部員たちを野放しにはできないぞ! 立ち上がるんだ!」
 楽子の心の声も、友情青春路線から復讐劇路線に変わる。
「そうね。誰がクレープなんか食べに行かせるもんですか。こいつらを鍛えに鍛えて全国制覇してやる!」
 楽子の心から、諦めの気持ちが消えた。心の底から勝ちたいという闘志が湧き上がってくる。楽子は竹刀を構える。
「心頭滅却すれば、魔法も斬れる!」
 楽子の気合が、ただの竹刀を光り輝かせる。
「魔法斬り!」
 楽子は竹刀を振り下ろす。
「谷子ちゃん! ドキ子の勝ちを宣言しなさい!」
「審判するのが初めてだから、どうやって勝ち名乗りすればいいのか分からないよ。」
 その頃、洗濯機の外の世界ではドキ子が審判の谷子に詰め寄っていた。
「あ!? 洗濯機が!?」
 バキーンと洗濯機が真っ二つになり、大量の水が排水された。
「今から乾燥の時間よ!」
 洗濯機の中から、ビショビショに濡れた楽子が姿を現わした。楽子の竹刀は、魔法洗濯機を切り裂いた。

 つづく。
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