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キング・オブ・スポーツ7
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「よろしくお願いします。」
近代五種協会の日本代表選考会前の練習大会が行われる。もちろん私はエントリーすることにした。初めての試合で緊張で手に汗をかいている。
「参加者、少くな。」
周囲を見渡しても、真面目に近代五種に取り組もうとしている人は30人くらいと思った。後は記念参加レベルの子供やおじいちゃんとおばあちゃんがいるぐらいだった。
「まったく誰が誰だか分んないよ。」
誰が一番日本で強い人なんだろう? スター選手のいない近代五種では、誰が強い選手なのかも、私は全く分からなかった。まあ、周りの人からすれば、私も冷やかしの女子高生にしか見えないんだろうけど。
「それではみなさん、水泳から始めますので、着替えてプールに集まってください。」
「は~い。」
まず水泳から始まる。200メートルの自由形だ。私は高校のスクール水着に着替えて、プールに行く。この時点で水着を持って来ていない参加者は失格である。どんだけマイナー・スポーツなんだろうと呆れる。
「位置について、よ~い、ドン!」
私はプールに飛び込んだ。普通にクロールで泳いでいる。女子高生の若い私は普通に泳いだだけなのだ。そして無事に200メートルを泳ぎ終える。
「1分59秒。」
「おお!?」
会場がどよめいた。私にとって普通のタイムではあるが、普通の人々からするとかなり早いタイムだと認識されたみたいだった。
「1位!? 私なんかが1位!?」
私は驚いた。2020東京オリンピックに出場するために、つい最近、近代五種に取り組んだ私。急遽、高校に近代五種部を作った私が全選手が水泳を終えて1位だった。
「おいおい!? どんだけマイナーなんだよ!? 有力選手とかライバルとかはいないのか!?」
2位の選手が2分10秒。この時点で1位の私と11秒の差がある。正直、開きすぎじゃねえ? と思うくらい、私の楽勝ペースが現実味を帯びてきた。
「あの女子高生すごいな!」
「見た目も可愛いな!」
「みんなで応援しようぜ!」
最初の種目を終えて1位になった私には、にわかファンができ始めた。ただの一人の人間だった私が有名人になりつつあった。こんなんでいいのか? はい、いいんです。これがマイナー・スポーツの近代五種。少しの活躍で大きなものを得ることができます。
「水泳の1位は、東京都渋谷区渋谷高校の女子高生の無知萌々さんです!」
「どうも、どうも。」
私は照れながら愛想笑いを振りまいた。今まで大きな大会で1位に等なったことがないので、どうしたらよいのか分からなかった。それでも私は大きな一歩を踏み出したといえる。
つづく。
近代五種協会の日本代表選考会前の練習大会が行われる。もちろん私はエントリーすることにした。初めての試合で緊張で手に汗をかいている。
「参加者、少くな。」
周囲を見渡しても、真面目に近代五種に取り組もうとしている人は30人くらいと思った。後は記念参加レベルの子供やおじいちゃんとおばあちゃんがいるぐらいだった。
「まったく誰が誰だか分んないよ。」
誰が一番日本で強い人なんだろう? スター選手のいない近代五種では、誰が強い選手なのかも、私は全く分からなかった。まあ、周りの人からすれば、私も冷やかしの女子高生にしか見えないんだろうけど。
「それではみなさん、水泳から始めますので、着替えてプールに集まってください。」
「は~い。」
まず水泳から始まる。200メートルの自由形だ。私は高校のスクール水着に着替えて、プールに行く。この時点で水着を持って来ていない参加者は失格である。どんだけマイナー・スポーツなんだろうと呆れる。
「位置について、よ~い、ドン!」
私はプールに飛び込んだ。普通にクロールで泳いでいる。女子高生の若い私は普通に泳いだだけなのだ。そして無事に200メートルを泳ぎ終える。
「1分59秒。」
「おお!?」
会場がどよめいた。私にとって普通のタイムではあるが、普通の人々からするとかなり早いタイムだと認識されたみたいだった。
「1位!? 私なんかが1位!?」
私は驚いた。2020東京オリンピックに出場するために、つい最近、近代五種に取り組んだ私。急遽、高校に近代五種部を作った私が全選手が水泳を終えて1位だった。
「おいおい!? どんだけマイナーなんだよ!? 有力選手とかライバルとかはいないのか!?」
2位の選手が2分10秒。この時点で1位の私と11秒の差がある。正直、開きすぎじゃねえ? と思うくらい、私の楽勝ペースが現実味を帯びてきた。
「あの女子高生すごいな!」
「見た目も可愛いな!」
「みんなで応援しようぜ!」
最初の種目を終えて1位になった私には、にわかファンができ始めた。ただの一人の人間だった私が有名人になりつつあった。こんなんでいいのか? はい、いいんです。これがマイナー・スポーツの近代五種。少しの活躍で大きなものを得ることができます。
「水泳の1位は、東京都渋谷区渋谷高校の女子高生の無知萌々さんです!」
「どうも、どうも。」
私は照れながら愛想笑いを振りまいた。今まで大きな大会で1位に等なったことがないので、どうしたらよいのか分からなかった。それでも私は大きな一歩を踏み出したといえる。
つづく。
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