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渋谷かな

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私、過疎を救う5

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「村長!? その方々は!?」
「村民です。」
「あの、狸にしか見えないんですが?」
「私の命の恩人に失礼な。我が山深村では、狸にも住民票を交付します。これは村長の専権事項です。」
 東京出張の翌日、私は狸たちを連れて村役場に出勤した。

「クソっ!? テントどころか、寝袋すら売ってない。ザ・田舎って感じ。ああ~早くネット環境を整えて、ネット通販で商品を注文して、宅配屋さんに届けてもらわないと。」
 私は村長として、村人の生活の向上を真剣に考えている。
「仕方がない。歩いて帰るか。運が良ければ、今日中には村に帰れるはずだ。」
 ただいま時間は午後6時。村までは歩いて約6時間。ギリギリの戦いである。

「お腹空いた。駅でお弁当でも買っておけば良かった。なぜかカップヌードルはあるけど、こんな山の中にお湯がある訳ないじゃない。」
 山登りを始めて3時間。私は野宿セットに気を取られ、夜ご飯を買うことを忘れてしまった。
「こうなったら狸か狐を狩って食べるしかない!」
 鎌や銃は持っていないので、素手で捕まえるしかない。
「ガサガサ。」
「出たな! 狸! 今夜は狸汁にしてやる! 待て待て! 私の夕ご飯! キャッハッハ!」
 その時、木々が音をたてた。空腹はカワイイ女の子を狂気に狂わす。秋田県のなまはげのような者が私に乗り移り、暗闇に光る目のような者たちを追う。
「こ、これは!? お、温泉!?」
 湯気が立ち上る温泉を見つけた。先客は山の動物たち。狸に狐、リスに、サル、鹿に、鳥など、様々な動物が気持ち良さそうに温泉に浸かっていた。
「ポンポン。」
「なになに? これは温泉の源泉できれいだよ。だから私たちを捕まえて食べないでって。」
 狸が私に近づいてくる。そしてお湯が沸き出ているところを指さしている。疲れ切っていた私には、幻聴の様に狸の声が理解できた。
「おお! これでカップヌードルが食べれる! ありがとう! 森の動物たちよ!」
「ポンポン。」 
 私はカップヌードルにお湯を注ぐ。
「あ、箸がない。まあいいか、誰も見ていないし、素手で食べよう。」
 これも田舎の特権だ。私は人生で初めて素手でカップヌードルを食べた。
「おいしい! こんなに美味しいものが、この世の中にあったなんて!」
 空腹だったからか、素手で食べるカップヌードルは、とても美味しかった。都会でどれだけお金を出しても食べられない御馳走の味がした。
「ついでだ、誰もいないし、汗もかいて臭いから、温泉も入って行こう。」
 私は堂々と服を脱ぎ、動物たちと一緒に温泉に入る。
「ああ~! 気持ちいい! 自然の温泉って、こんなに気持ちがいいんだな!」
「ポンポン。」
「おまえたち、もしも人間だったら鍋の具材の刑だからな。ワッハッハー!」
 私は動物たちと仲良く温泉に入った。
「なんて星空がきれいなんだ。マジ、田舎、最高。」
 ふと見上げた夜空には、都会では見れない満天の星空が広がっていた。
「まさに星空の湯だな。」
「ポンポン。」
 温泉の湯船には、夜空の星々がうつり、まるで温泉が光っている様にも見えて美しかった。
 つづく。
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