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5.共通項
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そう、テスト1週間前。部活はすべて休みになる期間だった。
それでも買い物はしないといけない。
スーパー寄り道コースの帰り道、西二谷堀駅の高架下をくぐったところで、四月一日と佐藤が並んで歩いているところに遭遇したのだ。
スポーツ少年で日焼けした浅黒い肌の佐藤――もともと色黒なほうだが――と、完全室内培養で白い四月一日――日光に当たっても日焼けせず赤くなって皮がむけるだけ――が並んでいる。
即座にオセロの駒を思い浮かべながら二人をしげしげ眺めると、四月一日の手にはスターボックスコーヒーの舌をかみそうな名前のドリンク。確か500円くらいしたはず。
佐藤曰く、
『クラス委員の作業とか授業中に内職してて。
ぶっちゃけノート取れてないの多いんだよね。
で、頼らせてもらおうと』
ノート提出がない分はスマホ撮影した画像でもらい、テスト前にまとめて写し書き。
提出がある分はながら族で頑張っているが、取り逃しなどは夕方一言して翌日朝借りているという。
テニス部は運動部の中でも珍しく朝練がない。そこをうまく利用しているようだった。
四月一日は字が上手く、矢島をはじめ複数人がノートを借りに来る。
いつもつるんでるわけじゃない佐藤が借りていても、何ら不思議はなかった。
『ただやっぱりさ、それだけ頼らせてもらっといてコンビニコロッケじゃ悪いでしょ』
四月一日への報酬の元となる金の出所はなんと株取引。
ネット取引でばらつきはあるものの毎月万単位の利益を確保しているらしい。
聞いてるだけで俺まで他のクラスのやつらより一足先に大人の世界に足を踏み入れた気がした。
『中でマフィンも~食べてき~たし~』
四月一日は言葉の後半から勝手に作曲して軽く歌い上げると、ぴゅうっと一息だけ口笛を吹いた。
そのままその場解散で、二人とも俺とは逆方向の家にそれぞれ分かれて歩いて行くも、普段見ない組み合わせでしばらく後ろ姿を眺めてしまった。
「時間のやりくり、だいぶ大変なんだろうなと」
「しかし体力あるなサトウくん」
コウダの言葉に頷く。
部活やってクラス委員やって友達付き合いもあって株やって塾行って小難しい本読んで。
中学に入って部活もやらずにだらだらしている俺は、能力的にやれたとしても多分へばってしまうだろう。
「テニス部朝練ないんなら、普段朝は?」
「クラス委員の仕事があるときは早いはずだけど、他は普通に登校してる。遅めだよ」
なにせ俺より登校が遅かったりする。俺がチャイム5分前あたりだから、遅いときの佐藤は本当にギリギリだ。
毎朝早起きはできないからテニス部なんだろうと勝手に思っている。
「やっぱりなんだかな…株で儲けてるんじゃ朝バイトしてるわけはないし…しっぽ出さないな」
コウダ的には証拠がないだけで、どっかの点で佐藤は完全に黒らしい。
「そこまで?」
「お前は思わないか?」
思うけど、証拠もないのに疑うのもどうか。
そういう奴がいたっておかしくはないだろう。
俺の身の安全に直結するからホワイトな奴! そうであってほしい。
前回みたいに『大丈夫。何とかなる』なんて軽い気持ちはもう消し飛んでいたから。
コウダは時間なくて済まんと謝って駅に走っていった。
レポートの内容に書き直しを命じられ、その他上の人とか手続きとかの諸事情により今日休日にもかかわらず協会に出しに行かないといけないとのこと。
大人になっても宿題に追われるのは変わらないんだろうか。
…ヤダな。
佐藤について追加情報があったら月曜日にまた行くから教えてほしいとのこと。
今回は安藤さんの時と違って直前打ち合わせできないから、それが最後だそうだ。
学校の中だから、考えただけでもちょっと緊張する。
いったんそれは頭から追い出そうと、帰り道で極力周りを見るようにしたが、基本いつもと変わらない。
そりゃそうか。
俺の個人的な事情に、世の中はドライだ。
緊張が解けるというよりがっくりと脱力。
そのとき、人だかりができているのを発見した。
いつもは誰もが通り過ぎるところ。
『博物館動物園駅』。
上野公園から家に帰るときの三叉路の角、国立博物館側のところにある。
どうも今日は中に入れるらしい。
でも、例によって待ち行列ずらり。ちょっと気になるけど通り過ぎることにしよう。
この炎天下にご苦労なことだ。
家帰ったらマンガでも読もうかな。
周囲の人波は動物園帰りか親子連れが多い。
小学校低学年のころに母さんと行ったきりだ。
実はあまり動物に興味がなく、ふーんくらいにしか思っていなかった。
人の隙間からごろごろするパンダをちらっと見たのと、ハシビロコウの前で動くのをじっと待ったのは覚えている。
次行くことがあるのだろうか。
デートスポットらしいから、彼女できたら…げふんげふん。
今はそのドリームより、家の時計のメンテが先だった。
家に着くやいなや、ダイニングに直行した。
いつもの秒針の音がする安物の時計がテーブルに置きっぱなし。
親父は2階で寝ている。
昨日の夜親父が柱に肩をぶつけた瞬間から、そこにかかっていたこいつは9時23分から24分に行けずにいる。
いつもはこの手のものが壊れるといいおもちゃができたとばかりに工具を取り出す親父が、珍しくその日の内に直す気にならず放置したのを見てしめしめと思っていた。
案の定まだ放置されている。
工具セットを手元に持ってきて、とりあえずドライバー、多分このサイズか。
あとは釘箱のこの辺に、あった。埋もれた中からギターのピックを探り出した。
電池を取り出し、ビスをすべてドライバーで外しきると、プラスチックのわずかな隙間にギターのピックを差し込む。
キッキッ
広がってきた隙間にマイナスドライバーを差し入れ、ゆっくりを押し広げる。
カツッ
うまいことプラスチックのツメの部分も壊れずに分離した。
その蓋部分をそっと外して横に置く。
時計の裏にある小さな四角い心臓部内が丸裸になった。
つややかとはいい難いプラスチックと金属部品達。時計が瀕死状態であると語りかけてくる。
くそ重たい金属性の、もう平成も終わるのに昭和の異物的懐中電灯を当ててみる。
歯車の合わせ目のところに何か噛んでしまっているようだ。
こいつか?
角度を変えて当ててみると案の定。ホコリの塊らしい。
爪切りなんかと一緒に入っているピンセットを持ってくる。
大きな部分はを取り除いてから、歯車をわずかにずらして細かいホコリも乾いた布で除去。
仕上げにフッと強く息を吹きかけてさらに綺麗にしてから、外したものをすべてはめ込む。
電池を入れると、若返った時計の分針は元気に9時24分へと進んだ。
ふぅ。
スッキリ。
今日はこんないいおもちゃで遊べてラッキーだった。
開けた蓋を元通り閉め、時間をケータイと合わせて壁にかけなおす。
工具をかたづけ棚から煎餅を取り出してお茶を入れていると、親父が降りてきた。
夜中柱にぶつかった時点でふらふらしてたけど、単に疲れただけらしくてよかった。
チッチッチッという音に気付いたらしい。
柱にかかっている時計を見て、俺を見る。
じっと、見る。
思わず俺の口元が緩むと、親父は俺の頭をぽんぽんと2回ほど叩いた。
お茶を入れると向かいに座る。
親父はそのままスマホをいじりだした。
バリバリっ、ばりっ、がりっ
俺と親父がかじっている煎餅の砕ける音が、時計の秒針の音に混ざって響き渡る。
自分の前に飛び散った煎餅の破片をふきんで拭いて、グラスを片付け、部屋に戻ろうとした時だった。
「今年も母さん来るって」
「…ん」
その親父の一言で、相羽家シルバーウィーク恒例行事『母さん襲来』予告編が脳内で展開され始める。
今年こそパラっとした黒炭抜きのチャーハンと、インスタントじゃない中華スープが出てくるだろうか。
その料理の腕なのになぜかおいしい親父も大好き手作りレモンタルトは今年もおやつ時のテーブルを飾るのか。
『大学入ってすぐに初めて付き合った人も甘党でね。頑張って練習したの』。
親父にだけは内緒にしているそのおいしさの秘訣が、今年はばれてしまうのか!?
なんにせよ前に会ったときは来れないかもしれないとどんよりしていたから、予定が立てれて何よりだ。
部屋に戻って畳の上に枕だけ出してごろ寝する。
ぶら下がる蛍光灯の丸い光が俺の顔を照らし、瞼を閉じさせた。
これで合点がいった。
親父、毎日飲んでいた大好物のコーラ。先週半ばに飲みきって以降飲まなくなった。
代わりに風呂上りの筋トレ。
最近腹だけ出てきたのが気になったのだろう。
3週間で何が変わるかと思うものの、親父なりの男心。
そこらへんつつくとおもし…怒られるので静かにしていよう。
その結果仕事でへばってるんじゃシャカイジンとしてダメなんじゃない?
そう思いながら目を閉じると、エーレッシャさんが俺に微笑んでいる。
ふとももとは程遠いと思われるパイプ枕で天井のシミをぼんやり眺めながら後の休みはどうやってだらだら過ごすか考えると、楽しくてしょうがなかった。
それでも買い物はしないといけない。
スーパー寄り道コースの帰り道、西二谷堀駅の高架下をくぐったところで、四月一日と佐藤が並んで歩いているところに遭遇したのだ。
スポーツ少年で日焼けした浅黒い肌の佐藤――もともと色黒なほうだが――と、完全室内培養で白い四月一日――日光に当たっても日焼けせず赤くなって皮がむけるだけ――が並んでいる。
即座にオセロの駒を思い浮かべながら二人をしげしげ眺めると、四月一日の手にはスターボックスコーヒーの舌をかみそうな名前のドリンク。確か500円くらいしたはず。
佐藤曰く、
『クラス委員の作業とか授業中に内職してて。
ぶっちゃけノート取れてないの多いんだよね。
で、頼らせてもらおうと』
ノート提出がない分はスマホ撮影した画像でもらい、テスト前にまとめて写し書き。
提出がある分はながら族で頑張っているが、取り逃しなどは夕方一言して翌日朝借りているという。
テニス部は運動部の中でも珍しく朝練がない。そこをうまく利用しているようだった。
四月一日は字が上手く、矢島をはじめ複数人がノートを借りに来る。
いつもつるんでるわけじゃない佐藤が借りていても、何ら不思議はなかった。
『ただやっぱりさ、それだけ頼らせてもらっといてコンビニコロッケじゃ悪いでしょ』
四月一日への報酬の元となる金の出所はなんと株取引。
ネット取引でばらつきはあるものの毎月万単位の利益を確保しているらしい。
聞いてるだけで俺まで他のクラスのやつらより一足先に大人の世界に足を踏み入れた気がした。
『中でマフィンも~食べてき~たし~』
四月一日は言葉の後半から勝手に作曲して軽く歌い上げると、ぴゅうっと一息だけ口笛を吹いた。
そのままその場解散で、二人とも俺とは逆方向の家にそれぞれ分かれて歩いて行くも、普段見ない組み合わせでしばらく後ろ姿を眺めてしまった。
「時間のやりくり、だいぶ大変なんだろうなと」
「しかし体力あるなサトウくん」
コウダの言葉に頷く。
部活やってクラス委員やって友達付き合いもあって株やって塾行って小難しい本読んで。
中学に入って部活もやらずにだらだらしている俺は、能力的にやれたとしても多分へばってしまうだろう。
「テニス部朝練ないんなら、普段朝は?」
「クラス委員の仕事があるときは早いはずだけど、他は普通に登校してる。遅めだよ」
なにせ俺より登校が遅かったりする。俺がチャイム5分前あたりだから、遅いときの佐藤は本当にギリギリだ。
毎朝早起きはできないからテニス部なんだろうと勝手に思っている。
「やっぱりなんだかな…株で儲けてるんじゃ朝バイトしてるわけはないし…しっぽ出さないな」
コウダ的には証拠がないだけで、どっかの点で佐藤は完全に黒らしい。
「そこまで?」
「お前は思わないか?」
思うけど、証拠もないのに疑うのもどうか。
そういう奴がいたっておかしくはないだろう。
俺の身の安全に直結するからホワイトな奴! そうであってほしい。
前回みたいに『大丈夫。何とかなる』なんて軽い気持ちはもう消し飛んでいたから。
コウダは時間なくて済まんと謝って駅に走っていった。
レポートの内容に書き直しを命じられ、その他上の人とか手続きとかの諸事情により今日休日にもかかわらず協会に出しに行かないといけないとのこと。
大人になっても宿題に追われるのは変わらないんだろうか。
…ヤダな。
佐藤について追加情報があったら月曜日にまた行くから教えてほしいとのこと。
今回は安藤さんの時と違って直前打ち合わせできないから、それが最後だそうだ。
学校の中だから、考えただけでもちょっと緊張する。
いったんそれは頭から追い出そうと、帰り道で極力周りを見るようにしたが、基本いつもと変わらない。
そりゃそうか。
俺の個人的な事情に、世の中はドライだ。
緊張が解けるというよりがっくりと脱力。
そのとき、人だかりができているのを発見した。
いつもは誰もが通り過ぎるところ。
『博物館動物園駅』。
上野公園から家に帰るときの三叉路の角、国立博物館側のところにある。
どうも今日は中に入れるらしい。
でも、例によって待ち行列ずらり。ちょっと気になるけど通り過ぎることにしよう。
この炎天下にご苦労なことだ。
家帰ったらマンガでも読もうかな。
周囲の人波は動物園帰りか親子連れが多い。
小学校低学年のころに母さんと行ったきりだ。
実はあまり動物に興味がなく、ふーんくらいにしか思っていなかった。
人の隙間からごろごろするパンダをちらっと見たのと、ハシビロコウの前で動くのをじっと待ったのは覚えている。
次行くことがあるのだろうか。
デートスポットらしいから、彼女できたら…げふんげふん。
今はそのドリームより、家の時計のメンテが先だった。
家に着くやいなや、ダイニングに直行した。
いつもの秒針の音がする安物の時計がテーブルに置きっぱなし。
親父は2階で寝ている。
昨日の夜親父が柱に肩をぶつけた瞬間から、そこにかかっていたこいつは9時23分から24分に行けずにいる。
いつもはこの手のものが壊れるといいおもちゃができたとばかりに工具を取り出す親父が、珍しくその日の内に直す気にならず放置したのを見てしめしめと思っていた。
案の定まだ放置されている。
工具セットを手元に持ってきて、とりあえずドライバー、多分このサイズか。
あとは釘箱のこの辺に、あった。埋もれた中からギターのピックを探り出した。
電池を取り出し、ビスをすべてドライバーで外しきると、プラスチックのわずかな隙間にギターのピックを差し込む。
キッキッ
広がってきた隙間にマイナスドライバーを差し入れ、ゆっくりを押し広げる。
カツッ
うまいことプラスチックのツメの部分も壊れずに分離した。
その蓋部分をそっと外して横に置く。
時計の裏にある小さな四角い心臓部内が丸裸になった。
つややかとはいい難いプラスチックと金属部品達。時計が瀕死状態であると語りかけてくる。
くそ重たい金属性の、もう平成も終わるのに昭和の異物的懐中電灯を当ててみる。
歯車の合わせ目のところに何か噛んでしまっているようだ。
こいつか?
角度を変えて当ててみると案の定。ホコリの塊らしい。
爪切りなんかと一緒に入っているピンセットを持ってくる。
大きな部分はを取り除いてから、歯車をわずかにずらして細かいホコリも乾いた布で除去。
仕上げにフッと強く息を吹きかけてさらに綺麗にしてから、外したものをすべてはめ込む。
電池を入れると、若返った時計の分針は元気に9時24分へと進んだ。
ふぅ。
スッキリ。
今日はこんないいおもちゃで遊べてラッキーだった。
開けた蓋を元通り閉め、時間をケータイと合わせて壁にかけなおす。
工具をかたづけ棚から煎餅を取り出してお茶を入れていると、親父が降りてきた。
夜中柱にぶつかった時点でふらふらしてたけど、単に疲れただけらしくてよかった。
チッチッチッという音に気付いたらしい。
柱にかかっている時計を見て、俺を見る。
じっと、見る。
思わず俺の口元が緩むと、親父は俺の頭をぽんぽんと2回ほど叩いた。
お茶を入れると向かいに座る。
親父はそのままスマホをいじりだした。
バリバリっ、ばりっ、がりっ
俺と親父がかじっている煎餅の砕ける音が、時計の秒針の音に混ざって響き渡る。
自分の前に飛び散った煎餅の破片をふきんで拭いて、グラスを片付け、部屋に戻ろうとした時だった。
「今年も母さん来るって」
「…ん」
その親父の一言で、相羽家シルバーウィーク恒例行事『母さん襲来』予告編が脳内で展開され始める。
今年こそパラっとした黒炭抜きのチャーハンと、インスタントじゃない中華スープが出てくるだろうか。
その料理の腕なのになぜかおいしい親父も大好き手作りレモンタルトは今年もおやつ時のテーブルを飾るのか。
『大学入ってすぐに初めて付き合った人も甘党でね。頑張って練習したの』。
親父にだけは内緒にしているそのおいしさの秘訣が、今年はばれてしまうのか!?
なんにせよ前に会ったときは来れないかもしれないとどんよりしていたから、予定が立てれて何よりだ。
部屋に戻って畳の上に枕だけ出してごろ寝する。
ぶら下がる蛍光灯の丸い光が俺の顔を照らし、瞼を閉じさせた。
これで合点がいった。
親父、毎日飲んでいた大好物のコーラ。先週半ばに飲みきって以降飲まなくなった。
代わりに風呂上りの筋トレ。
最近腹だけ出てきたのが気になったのだろう。
3週間で何が変わるかと思うものの、親父なりの男心。
そこらへんつつくとおもし…怒られるので静かにしていよう。
その結果仕事でへばってるんじゃシャカイジンとしてダメなんじゃない?
そう思いながら目を閉じると、エーレッシャさんが俺に微笑んでいる。
ふとももとは程遠いと思われるパイプ枕で天井のシミをぼんやり眺めながら後の休みはどうやってだらだら過ごすか考えると、楽しくてしょうがなかった。
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